TSして承認欲求爆発しちゃった俺がガチ全能系クラスメイトに愛されて幸せになっちゃうまで   作:あるふぁせんとーり

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第7話「水は低いところに流れる」

「ふふっ、絶景だね。足元、ちゃんと見えてるの?」

 

 

 品定めするように俺の身体を見回してから、そんなことを尋ねてくるチア衣装の黑谷ちゃん。

 

 ギリギリ入る程度の少しキツめの長袖インナーの上からおそろいの衣装に袖を通した俺は静かに首を横に振った。

 

 

「まあ、そのサイズだとね。凝ったりしたらいつでも言って。私が丹精込めて揉んであげるから」

 

「肩をだよな?」

 

「……」

 

「答えろよおい」

 

「……はぁ、そんなの決まってるでしょ?お」

 

 

◇◇◇

 

 

「みんなおまたせ〜!!」

 

「白山くん、私のセリフぶつ切りされたんだけど」

 

 

 何とか集合時間ギリギリで教室に滑り込んだ俺達。

 

 同じくチア衣装に身を包んだ一軍女子や体育祭での活躍間違いなしであろう運動部の陽キャからは「いいよモノクロー!!」「似合ってる似合ってるぅー!!」と歓声が上がる。

 

 あ〜♡

 

 待ってヤバい♡

 

 ニヤけ止まんない♡

 

 背筋ゾックゾクする♡

 

 

「よくそんなこと考えながら清楚系美少女みたいな顔出来るね、白山くん」

 

「そのままそっくり返すわ。マジでヤバかったろさっきの発言とか」

 

「それは白山くんが悪いでしょ。こんな生徒以上艦船未満みたいな身体してるんだから」

 

「最悪な比喩すぎる」

 

 

 そして黑谷ちゃんと俺が席に着くと、それからさらに少しの間を挟んで「みんなおはよ〜!」と青色のクラスTに袖を通したクラス担任、化野(あだしの)先生が入ってくる。

 

 掴みどころのないローテンションが平常運転の先生も流石に今日のようなイベントデーは3割増でテンションが高い。

 

 

「それじゃ、45分になったら椅子と飲み物、タオルなんか持ってグラウンドに移動すること。お昼は戻ってきてもいいけど、それまでは鍵締めるから忘れ物とかしないように。……あ、財布、スマホなんかの貴重品も忘れないでね〜」

 

「白山くん、お昼何食べる?」

 

「氷室先輩が言ってたんだけど、体育祭の日は唐揚げとかの肉料理が大盛になるらしい」

 

「んじゃそれでいこ」

 

 

 一通りの連絡が終わったのは丁度移動時間の7時45分。

 

 開会式が8時20分だから時間はそれなりにあるけど、まあ早いに越したことはないだろう。

 

 俺は小さめのナップサックにペットボトル、財布、スマホ、フェイスタオルを詰め込んで教室を出た。

 

 

「……あれ?黑谷ちゃん、荷物は?」

 

「グラウンド行ったらテレポするよ。私の労力は貴重なんだから」

 

「前からだけど、能力の使い道コスいよね、黑谷ちゃん」

 

「健全って言って。チカラがあることとチカラを使うことは全く違う意味なんだから。……あ、今のやっぱナシ。なんか異能バトルみたいだから」

 

「路線変更を恐れすぎだろ」

 

 

◇◇◇

 

 

「──であるからして、スポーツというのは青少年の健全な──」

 

 

 何回でも言うが、偉い人の話ほどつまらないものはそうそうない。

 

 ましてや5月も始めに差し掛かった暑さを感じる今日この頃、一応テントの下とはいえそのつまらなさはいつも以上だろう。

 

 

「ねえ白山くん。双剣って血氣覚醒と狂化奮闘天衣無崩どっちが良いと思う?」

 

「俺は狂化の方が好きかな。快適だし」

 

「了解、ありがとね」

 

「まあ火力は覚醒の方が黑谷ちゃん何やってんの?」

 

「え、モンハン」

 

「は?」

 

 

 膝にディスプレイを乗せ、手元でSwitch2のプロコンをカチャカチャしている黑谷ちゃん。

 

 ひっそりとイヤホンどころかスピーカーで立体音響を楽しむ余裕すら見せる彼女に俺の頭ははてなマークで埋め尽くされる。

 

 ほんとに何やってんのこいつ?

 

 

「認識阻害+空間遮断+テレポート。つまり周囲の人間は私が何をしてるか認識できないし、空間遮断使ってるから音漏れもないし、テレポートで隠し場所も必要ナシ。暇潰しとしては合理的でしょ?」

 

「人類が何年かけて辿り着く領域だよそれ……って、じゃあなんで俺は分かってんの?」

 

「だって、白山くんにはかけてないもん。それより、やるでしょ?モンハン。君のも取り寄せてあるよ」

 

「取り寄せの意味が物理的過ぎる」

 

 

 なにはともあれ黒谷ちゃんの無法っぷりには敵わない。

 

 それに、校長の話よりは間違いなくモンハンだ。

 

 俺は相変わらず手によく馴染むプロコンを握り、彼女と同じように膝の上にSwitch2のディスプレイを乗せた。

 

 

「……あ、次回は競技丸々すっ飛ばしてお昼休みからだよ。楽しみにしてて」

 

「何の話?」

 

「先バレカスタム、かな」




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