機動戦士Ζガンダム異伝 エグザベ・オリベ戦記   作:1スレ130番より愛を込めて

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己が罪深いから、他人も罪深い。

傲慢な考えだ。唾棄していい。

己と他人の区別がつかねえクソしか言わねえよ、こんな事。

例えば、クジラの激減だ。人類の罪?違うな。鯨油欲しさに考えなしに乱獲をした人間だけの罪だ。

例えば、ドードー鳥の絶滅。地球の大半の人類はドードー鳥なんて見たことも無ければ、知りもしなかった。

例えば、ミヤイリガイ。人間が生きるために殺した。生存競争と何が違う?何も違わない。

生きるために、生物は殺し合う。食らい合う。植物も、動物も、だ。

生きることを否定したいなら、原罪を肯定するなら、てめえ1人でやれってだけの話だ。

そっちのが簡単だぜ。

彼岸はいつも、隣にある。



世に原罪は無し

 

 

 

エグザべ・オリベ!応えろ!

私に、このパプテマス・シロッコに応えろ!エグザベ・オリベ!

 

「味方強襲揚陸艦、全艦、アクシズへの着艦を確認しました。」

 

「よくやった。よく、味方艦を守った。だが、まだ気を抜いて良い時ではない。周辺の敵MSおよびデブリを排除し、作戦終了まで味方を守り切らねば、ヴェルザンディではない。」

 

「無論です。パプテマス・シロッコ艦長。全軍に警戒継続を通達します。」

 

「頼む。それから、予備部隊を出せ。予定より早いが、先行していたMS部隊を収容して補給と休息を。観測班、補給艦は予定通りに巡行しているな?」

 

「はい。各補給艦、消耗した味方艦に補給を行っています。航路も時刻も予定通りです。」

 

応えろ!私の思考が、考えていることが、お前にはわかるはずだ!私の放つプレッシャーだとて、お前に届いているはずだ。お前と私だろう!

私の、パプテマス・シロッコの声に応えろ!どこにいる?どこまで物が分かっている?分かりすぎているのだろう?

そのままでは、宇宙に溶けることになる!

 

「艦長、ヤザン・ゲーブル大尉が共和国軍ムサイ改級軽巡洋艦リヨンと接触を図るそうです。指揮下のアドル曹長から光点滅信号で許可を求めてきています。リヨンから救援要請が、ドゴス・ギアに向けて発信されていた、と。」

 

「共和国軍は後方で、MS部隊の収容を始めていたはずだが。後方から救援要請を?いや、ヤザン大尉ならば、不測の事態でも対応できるか。アドル曹長には『許可する。接触後、帰艦し報告しろ』、と。アクシズの残党に情報を欠片も渡すべきではない。ヤザン部隊の補給の準備を。帰還次第、最優先で取り掛かれるように整備班へ。」

 

どの方向にも、エグザべ・オリベが「ある」。どこにでもいて、どこからも応えがない。

宇宙に溶けかかっているからだ。分かっているのか!エグザベ!

 

溶けかかっているから、赤い巨人の戯言、その声に混ざるようにしてエグザべ・オリベの声が「ある」!

赤い巨人にさえ、混ざりかけている!

 

「はい、パプテマス・シロッコ艦長!『リヨンとの接触を許可、帰艦の後、報告』をアドル曹長に発信します。整備班へは『ヤザン隊の整備を最優先』を通達します。」

 

「パプテマス艦長。グラナダ基地より、中継衛星を使った暗号通信があります。エゥーゴ旗艦アーガマより、パプテマス・シロッコ艦長とのビデオ通話を打診してきています。」

 

「このようなときに、ブライト・ノアか?」

 

お前と赤い巨人の声が混じるなど、あってはならないことだ。

何があった?

誰が、お前に、ここまでのことを望んだ?宇宙に意識を広げることを選ばせた?エグザべ・オリベ。

何故、応えない?何故、ドゴス・ギアに戻ってこない?

私に助けを求めない?お前と、私だ。お前の敵は、私の敵だろう?何故、私に、パプテマス・シロッコに助けを求めない?

 

「いえ、エゥーゴ所属アムロ・レイ大尉を名乗っています。」

 

「アムロ・レイが私に?…ヌー・ハーグ曹長の策か?いや、奴が指示したのならば、今この時に通信を求めない。グラナダ基地からの通信であることに間違いがないのであれば……エグザべ・オリベ中尉の関係する事だろう。」

 

「パプテマス・シロッコ艦長。エグザべ中尉からは、まだ何の連絡も…。」

 

「分かっている。ヴェルザンディもエグザべ・オリベ中尉も作戦行動中だ。軽率な連絡は控えろ、と返せ。」

 

カミーユ・ビダンにも、応えていないのか、エグザべ。

お前が、応えなければ、あの少年はまた彼岸に惹かれることになる。分かっているはずだ。お前が守らなければ、カミーユ・ビダンはどうなる!

 

ルウムのカミーユだとて、あの少年を利用している。カミーユ・ビダンをお前から隠れるための盾としている。

お前がカミーユ・ビダンから目を背けているからだ。

 

お前は、人間だ。私と、このパプテマス・シロッコと同じ、軍人だ。

お前1人が、人類の罪を負ういわれはない。

 

生命に、人類に原罪などあるはずがない!!

 

エグザベ、お前が守るべきカミーユ・ビダンに応えろ!目を背けるな!

カミーユ・ビダンは父として、エグザベ・オリベを必要としている。それに応えてきたのが、お前ではないか!

それが、私の友のエグザベ・オリベだ!

 

「グラナダ基地周囲に異変があるのか?連邦と共和国の会議が行われているはず。念のためだ。グラナダ基地の観測も行え。」

 

「はい、艦長。グラナダ基地も観測します。」

 

「すまないな、だが、頼りにしている。」

 

カミーユ・ビダンの声にも、私の声にも応えないというのならば、お前は誰といる?誰と何を話している?

 

「再度、グラナダ基地より暗号通信です。…アーガマ情報部所属ヌー・ハーグ曹長を名乗っています。『ニュータイプおよび強化人間の全てを艦内に収容すべし。異常発生。』と。」

 

「ヌー・ハーグ曹長ならば、面識がある。だが、奴のような人間は、ドゴス・ギアまで来るはず。異常?……通信を繋げ。」

 

異常?そうだ、異常だ。

エグザべは知った。赤い巨人を、『良き生命体』という幻想を求める人類の敵を知った。

 

知ったエグザべは、何をするつもりだ?

 

赤い巨人と同質の、同等の存在にでもなるつもりか?人類の敵を倒すために、同じ人類の敵になる必要がある、とでも言うのか?

どうして、お前がそれをする必要がある!お前だけが!何故!

 

人間を、捨てるのか?エグザべ・オリベ!

 

『私を知っているはずだ。パプテマス・シロッコ艦長。』

 

「初めて顔を合わせる。随分と危ない橋を渡るのだな。」

 

『挨拶は不要だ。だが、突発的な通信になったことは詫びよう。月のニュータイプの精神に悪影響が出ている。ヴェルザンディにはニュータイプも強化人間も所属しているのだろう。すぐにMSからは降ろすべきだ。』

 

「MSから。なるほど、人型か。」

 

人型、赤い巨人がエグザべ・オリベを苛んだか。

 

『話が早くて助かる。木星は騒がしい所であったか?』

 

「…地球や月まで届くほどの騒ぎはない。アステロイドベルトも騒がしい所だったか?」

 

『シャア・アズナブルが去ってからは、木星の騒がしさも届きはしなかった。』

 

「シャア・アズナブルが異常か。了解した。グラナダ方面に数隻向かわせよう。」

 

そうだ、赤い彗星、シャア・アズナブルは『アムロ・レイ』だけを求めていた。『良き生命体、理想の生命体』を求める赤い巨人と同じように。

起こす行動も同じ、か。

 

『感謝する。』

 

「それは私の言葉だ。いずれ、会ったときに改めて形にもしよう。」

 

『結構だ。武運を祈る。』

 

ハマーン・カーンは、通信を切った。

 

人型。人の形をした巨人。木星の凍り付いたような一瞬を思いだす。

 

そうだ。あれは、玩具のようなロボットだった。

 

玩具のような、だが、戦うためのロボットだった。

 

戦うために生まれてきた形の中に、精神が囚われている。戦いに関することでしか、生命体と関われない。

 

「ヤザン部隊、帰艦しました。アドル曹長より報告。『共和国軍ギャン部隊からの救援要請でした。エグザべ・オリベ中尉がシャア・アズナブルを追って、月方面へ単機で先行したため捕縛と救援のための戦力を必要としています。』と。」

 

「シャア・アズナブル、やはり月へ向かうか?」

 

よく逃亡してくれたシャア・アズナブル。よく赤い巨人の手の内に居てくれる。力の家畜、シャア・アズナブル。今回だけは誉めてやろう。

 

「ドゴス・ギアはこのまま、アクシズの味方強襲揚陸艦の援護を続ける。デブリ排除にはドゴス・ギアの主砲が必要だ。別働隊として、シャア・アズナブル捕縛に向かわせる3隻を補給の完了した艦から抽出しろ。軽巡洋艦でいい。ヤザン部隊に『補給が完了次第、別働隊の直掩と、ギャン部隊の支援を命じる』と伝えろ。」

 

エグザべ・オリベ!応えろ!

 

さもなければ、こちらから助けを向かわせる。

私が、パプテマス・シロッコがヤザン大尉を向かわせるのだ。この貸しは、一生をかけてでも返してもらう。

 

 

 




パプテマス・シロッコはあの後、着拒くらってました  編


親友が「人類の敵がいる」と言ったっきり着拒したので、ガチギレで連続で電話かけてるイメージ。

表面上は穏やかにヴェルザンディの総統してるのになぁ。いや、お前、偉いよ。凄いな!パプテマス・シロッコ。
ほんと、パプテマス・シロッコはエグザべ殴っていいよ。
ドゴス・ギアのMS部隊隊長ヤザン・ゲーブル大尉を救援に向かわせることで妥協した。




ハマーンさんは結構危ない橋を、全力で渡った。この通信がアクシズ側にバレたら身の危険が危ない(ドラえもん)。アムロ大尉の名前もヌー曹長の名前も使っていいよって、タナカ伍長がOK出した。タナカ伍長はイカレてるぜ。

ハマーンとパプテマス・シロッコが必要最低事項だけ話すと、こうなる。俺の中ではこうなる。
話した内容:ニュータイプに悪影響のあるナニカがあるんだけど?

      ニュータイプと強化人間は戦艦に収容しとくのおススメ

     :ああ、人型の道具に入っていると一層悪影響受けるのか。ありがとう。

     :木星の声うるさくない?

     :ここまでうるさいのは初めて。アステロイドベルトだとどうだった?

     :シャアいなくなってからは静かだった。

     :OK、シャア狙う。月行くだろうから。(エグザべも赤い巨人狙いでシャアの近くに行ってる確信した。)


必要最低限コミュニケーション。



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