機動戦士Ζガンダム異伝 エグザベ・オリベ戦記   作:1スレ130番より愛を込めて

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IFパラレル時空

あくまでパラレルなので。採用しませんでした。
Zガンダム開始の宇宙世紀0087年より8年後の0095年にシャア・アズナブル総帥がネオ・ジオン創設とフィフスルナ墜としを宣言します。




逆襲のシャアIF エグザべ/アムロ 編

僕にとって、月は思い出深い場所だ。故郷ではない。楽しい記憶があったわけでもない。

だが、8年前、この月での出会いが無ければ、帰れぬ故郷ルウムと自分を無理やり切り離し、やがて生きている実感も忘れ、現実から乖離し、幻想を漂う存在になったのかも知れなかった。

カミーユ、ファ、カツ、ハマーン、ミネバ、パプテマス・シロッコ。彼らとの出会いは、いつでも僕を現実へ引き戻してくれた。

現実。それは無くなった故郷、家族、友人、その思い出を抱えながら、彼らを思う時に感じる優しさを、誰かと分かり合えるという希望に変えながら進む時間だった。

 

そして、まぁ、悪い意味では、シャア・アズナブル。彼も僕を現実に引き戻してくれる。

 

ネオ・ジオン蜂起。ジオン共和国政府と軍は上も下も寝耳に水だったと言えば、地球連邦は鼻で笑ってくれるだろう。

しかし、それが現実だった。シャア・アズナブルは僕を現実に引き戻してくれる。

 

「馬鹿馬鹿しい話だろ?本当に勘弁してほしいし、これはもう、僕が共和国軍を代表して、アムロ大尉やブライト艦長に修正されても仕方ないと思って。いや、分かってる。あの人たちも僕なんかに頭を下げられても困るだけだろう?正直、4年前の共和国成立10周年記念の時に、国葬でもしておけばよかったんだ。独裁者ザビ家を暗殺した英雄として、さ。でもまぁ、僕も暗殺を国家が肯定してはいけないとハマーンに諭されて。いや、彼女は正しい。2年前の僕はどうかしてた。ハマーンに止められなければ、僕はシャア・アズナブルと同じ事をしていた。堕ちていた!あの暗殺部隊の育成は軍部でもかなり、いい線迄行ってたからなおさら惜し。…いや!違う、ハマーンは止めてくれた。でも、カミーユ、分かってくれるだろう。あの人と僕は、本当に相性が悪すぎる。」

 

時間を無理に捻出して、地球連邦の軍病院から来てくれたカミーユ・ビダンに対して話せるだけ話した。彼はブランクを乗り越え、つまり、グリプス戦役後、無事地球連邦の軍大学医学部に合格し、今は外科医として忙しくしているとは2カ月ほどまえに聞いたばかりだ。

あの頃の僕より忙しいだろうに、良く来てくれた。カミーユの元気そうな顔を見れて安心すると同時に、我慢していたものが込み上げて止まらなかった。

 

僕の話を聞かされているカミーユは苦虫を噛み潰したような顔をしている。

 

「甘い物食べます?」

 

それでも彼はチョコ菓子を差し出してくれた。その優しささえ辛かった。

 

「ありがとう。頂くよ。……正直、シャア・アズナブルがいつ、何するか、気が気じゃないんだ。部下には向精神薬を勧められた。でも、処方されると軍での行動に制限がかかって。メンタルチェックは大丈夫だよ。まだ引っかかってない。」

 

何も言わずカミーユは聞いてくれている。

まぁ、近くに両軍の監視も沢山居るし、迂闊に話をしたくないんだろう。僕の苦労人気質がカミーユに移ってしまったとファに言われたのは、そうか、あれも2年前か。

 

「ロンド・ベル、特にアムロ大尉とブライト艦長には本当に合わせる顔がない。ロンド・ベルが組織されてから、共和国軍も、ザビ家残党やらアクシズ残党やら、まぁ兎に角何らかの残党潰しを共同作戦でやってきたし、なんなら半年前には共同訓練もしたんだ。アステロイドベルトや木星だって情報交換や捜査協力をしてくれていた。どちらもニュース記事になってただろう?アナハイムエレクトロニクスにも協力者、いや何でもない。違った。君は何も聞いてないよ。兎に角、僕らは共同してあの人が馬鹿をしてないか人類の生存圏全てを監視してたはずなんだ。」

 

深呼吸をする。息を吐くと視界が滲んでいるのに気付いた。あまりに自分が情けなかった。

 

「サイド1とは、ね。相変わらず、やる事が大胆だよ。」

 

「あなたは、初めて会った頃とは随分変わりましたよね。エグザベ中佐。」

 

「僕にもっと階級と権限さえあればと、後悔しながら生きてきたらこうもなるよ。戦力もこれだけしか引っ張ってこれなかった。情報部の強化案も公国時代の秘密警察を持ち出されて通らなかった。旧ザビ家派閥を軍部からパージするのはスムーズに行ったのに、なんでダイクン派閥は去年までかかったんだ。いや、暗殺部隊は忘れてくれ。あれは本当に。共和国政府内の公職全てから、ジオニズムに染まった連中をパージ出来てれば違ったかな?でも、軍部がそれをするとザビ家と何が違うんだって話になると、ハマーンにもずっと釘を刺されてる。」

 

彼女にも苦労をかけている。地球でようやく平穏を過ごせるようになったのに、僕が過ちを犯さないように連絡をくれる。宇宙が逆毛を立てていると言っていた。

 

「睡眠時間は大丈夫ですか?食事は?」

 

「正直、ここ最近、僕はシミュレーションの記憶しか残ってないよ。でも、書類仕事は終わってるし、体調管理用に作らせたデバイスに異常はでてない。レーション以外も食べてるよ。まぁ、3日に1回は。」

 

カミーユは本当に、良い医者になったんだな。こんなにも僕なんかのことを心配してくれている。

心配をかけてしまっている僕が本当に悲しい。

 

「1日の平均睡眠時間は?中佐、今、省きましたよね。8年前にパイロットは1日8時間寝るのも仕事のうちと、僕に言ったのはあなたです。」

 

覚えてくれていたか。懐かしいな。クワトロ大尉は何かとカミーユをMSに乗せて戦場へ送り込みたがった。妄執じみて居た、と言うか妄執だった。

 

彼の心身を守るためにも兎に角、あの頃は軍規やら法律やら判例やら漁りまくっていた。

 

「昨日は5時間くらいかな?シャア・アズナブルを名乗って何をするのか考えてたら、とてもじゃないが。戦場の空気とか戦いの鼓動とか好きに言い出して、どうせ、衛星かコロニーか、どっちもかも知れないけど地球に落とすんだろう?連邦が一年戦争からずっと地球環境の保全と復興に力を入れているのは、人類の生存圏の安定にとっても決して損にならないと、共和国政府もようやく共同宣言出す方向に舵をきりだしたのに。」

 

そう、共和国政府と地球連邦の関係にはかなり改善が見られた。グリプス戦役がキッカケになったと言えば、大げさかもしれない。

あれは、反地球連邦組織兼反宇宙移民組織ティターンズを地球連邦とジオン共和国が共同作戦のもと壊滅させたとして歴史に刻まれた。

無論、僕以外にも居たのだろうが、当時のジオン共和国にとってエゥーゴに派遣されていたエグザベ・オリベ中尉がとても扱いやすい立場に居たのが功を奏した。

 

MSパイロットで階級も高くない上に、エゥーゴの中心人物に近い位置にいて、バスク・オム討伐にも功績があるルウム戦役被災者のジオン共和国軍人。

 

コレ幸いとばかりに共和国は僕の経歴を盛り、功績を盛り、喧伝した。

僕は軍の広報部と何度も頭を突き合わせて、ジオン共和国軍へ入った経緯をドラマチックにしたり、共和国民に連邦との協調路線への理解を求める発言をしたりもした。共和国と他コロニー群とも。

地球連邦政府議会の席上で、セレモニー的に発言させてもらったこともある。

 

共和国政府は成立当時から地球連邦と再度、戦争が出来るとは考えていなかった。

数多のコロニーにも被害を与えたザビ家の本拠地サイド3は、他コロニー群からも孤立していて信用もされていなかった。

共和国政府も僕も、もう戦争をしないためであれば、なりふり構わなかった。好戦的な国民をなだめ、平和のためならどのようにも旗を振ってみせた。犬の真似してみろと言われてもしただろう。今もして見せるけど。

 

「間違い無い。あの人が変わるものか。……どうせクワトロ、シャア・アズナブルの近くには少年兵が居るんだ。」

 

1番言いたくない確信だった。ザビ家残党もアクシズ残党も子供の強化人間を少年兵にする事に躊躇して来なかった。

 

彼が『キャスバル・レム・ダイクン』だけを名乗ってくれたのであれば、もしかすると僕は彼の良心を信じ、話し合いの場を設ける様に粉骨砕身したかも知れなかった。しかし。

 

本当に、シャア・アズナブルと僕は相性が悪すぎる。

 

「アムロ大尉を悲しませることになる。彼は、まだあいつが周囲におだてられて、求められるまま動いているんじゃないかと、心配までしていたんだ。せめて、彼の手を汚す事は避けたいと思っている。僕ももう、33歳になる。ここで奴を仕留め損なえば、それこそ本当にどんな手を使っても………」

 

「エグザベ・オリベ中佐、深呼吸してください。ハマーンさんが宇宙に上がって来ても良いんですか?」

 

言われて、頭を抱え深呼吸をする。

そうだ。カミーユの言う通りだった。2年前は本当に繰り返すべきではなかった。カミーユやハマーンの命さえ危うくした。

戦争ではない、政争が起こりかけて僕は本当に生きてる事さえ後悔した。次はさせない。そう決めて、今まで行動してきたのだった。

 

「カミーユ。僕は子供が、戦場に行かないよう手を尽くすよ。」

 

世界で1番信頼している医者で親友の君には、僕の真意を知ってほしかったのだ。

 

 

 

 

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僕がそうやってエグザベさんの話を聞いて、護衛と共に連邦軍病院に帰ったのは、それから1時間後のことだった。

 

ここ最近、エグザべさんの活動に落ち着きがないな、とは思っていた。

彼はジオン共和国から各コロニー、月、地球と呼ばれる講演会には全て行っていたらしい。先程、聞き出した。2ヶ月前に会ったときも戦死者への慰霊祭へ参加していて、それはニュースにもなった。僕も参列したついでに会ったが、あの時は何でもない風を装ってみせる余裕を持っていたのに。

 

だが、まぁ、2年前よりはだいぶ落ち着きを取り戻してくれていて安心した。今回の件でまたあの時のようになっているのではないかと、この目で確かめるまでは不安で仕方なかったのだ。

ニュータイプの勘はそんな事は無いと言っていたが、しかし、人間と言うやつはそんなには便利になれはしない。なってはいけなかった。生きて行くにはそうだ。

 

今日の、この面会は地球連邦軍によるジオン共和国軍に対する好意的な緊急措置として『往診』と言う扱いをされるので、病院についたらカルテを書かなければならない。異常無しと一言だけ。個人間の付き合いなのに、面倒な事だと思う。

しかし、こいつもそうだ。そんなに便利になれはしないし、なってはいけない。

 

 

 

 

 

 

軍病院に戻ると診察室に患者が待っていると案内された。

ニュータイプの勘ではなく、経験上、僕は来訪者を悟った。

アムロ・レイ大尉だろう。

 

実際、診察室にはアムロさんがいた。力なく患者用の椅子に座っていて、僕と目が合うと、右手を軽く上げ、力なく笑ってみせた。

 

「…エグザベ中佐にあわせる顔がない。」

 

エグザベさんもアムロさんも大体、同じタイミングで同じことを言う。

 

「茶化すなよ、カミーユ。俺は本気で言っているんだ。」

 

「エグザベさんも同じことを言ってましたよ。」

 

初診の患者向けのカルテを引き出しからだして、異常無しと書き込む。2枚。

 

「参ったよ。まさかネオ・ジオンを名乗るなんて。胸騒ぎを気の所為などと片付けずに向き合うべきだった。俺は鈍り続けているのかもしれないな。」

 

エグザベさんとアムロさんの2人の大きな違いは、会話する時の姿勢だろうか?

エグザベさんはいつ何時であろうと出来るだけ向かい合い顔を見ながら話してくる。アムロさんは、身体の姿勢に感情が出る。

かなり気落ちをしている彼は僕と顔を合わせようともしなかった。

 

「茶化すな、カミーユ。」

 

「今鈍るといったのはそっちですよ、アムロ大尉」

 

「俺は後悔しているんだ。2年前のあの時、あいつを殺しに俺が向かうべきだったんだ。セイラさんの気持ちを考えた、なんて言葉は俺自身のエゴだった。酷いエゴイストだ、俺は。ハマーン・カーン。思い起こせば、彼女は国による暗殺を否定しても、個人的なものには言及してなかった。俺を恨むだろうな。」

 

「ハマーンさんは、人を道具にするような事、とっくに辞めていますよ。だから地球に降りたんです。直接会って話したんですから、分かっていますよね。失礼ですよ、大尉。」

 

少し言い過ぎたかもしれないな。アムロさんはますます身体を丸め、とうとう頭さえ抱えだした。

 

「ああ!分かっているさ。分かっていても。……エグザベ中佐は俺を、いや、地球連邦やジオン共和国でさえも責めはしないだろう。だったら、誰が罪を苛んでくれるんだ?!」

 

相当、参ってるな。カルテを1枚、重傷と書き換えたいが、それでは手続きが通らない。困る。

 

だが、分かった。アムロさんは僕に怒鳴られに来たんだろう。

 

「僕はね、アムロ大尉。あなたを怒りませんよ。寧ろ感謝しています。エグザベさんも、ね。あなたやハマーンさん、ブライトさんの助けがなければ、あの人どうなっていたか。僕は家族を助けてもらったんです。」

 

「…奴の、シャアの資金源はサイド5コロニーの、再建費用を横領したものだったとしても、か!!ルウムだぞ!」

 

初耳だった。が、結論は変わらない。エグザベ中佐も言うだろう。

 

「横領した犯人が悪いんですよ。」

 

「ああ、エグザベ中佐ならそう言う。」

 

もういっそ、吐き捨てるようにしてアムロさんは言う。

 

「内心がどうあれ、そう言う。ロンド・ベルも地球連邦もグリプスが終わってからの彼の献身に感謝しているんだ。治安維持は共和国や彼と共同することによって、想定以上に結果を上げてくれた。一年戦争から続く難民問題もだ。なのに、過去の負債を返還できるかって時に!」

 

「大尉もわかってるでしょう?あの人、シャアは、資金源がどこから来ているかなんて考えてもいないですよ。」

 

こんなにも苦しげに顔を顰めたアムロさんは初めて見た。今にも倒れ込みそうなくらいだ。

 

「カミーユもそう思うのか。」

 

「まぁ、エグザベさんの受け売りで。でも、グリプス戦役のエゥーゴを思えば、そういう事でしょうね。」

 

エゥーゴは新型機をとっかえひっかえしていた。ティターンズは真相を知っていれば分かる。あいつらの資金源は地球連邦の懐と反宇宙移民思想の資産家だった。

エゥーゴは、ルナリアンを中心とした宇宙移民の資産家と地球連邦からの横領だった。

 

ティターンズは壊滅させなければならなかった。だが、必要であれば他人の金を騙し取って良いと言う世界は、そういう経緯で出来た世界は脆い。

人と人が手を取り合う事は出来ない。

 

「そういう世界にしか居られない人です。そこでしか、生きる実感を得られない悲しい人です。自分の優しさを育てられれば良かったのに。」

 

「シャアは本質的には優しい人間なんだ。だが、奴が、奴自身が!優しい人間であることを望まなかった。弱さだと。」

 

哀れには思うが、やはり、カミーユには家族のほうが大事だった。ファとエグザベさん。

 

そうか。シャア・アズナブルは誰かを優先する事を許されもしなかったのだろう。誰かを大事にするという方法を、感触を掴めなかったのか。

 

誰の手も掴めない世界は酷く狭くて、孤独なことだろう。何も見えず、触れるものもない暗闇の中にいるから、ずっと同じ場所にいる。戦場にいる。

 

彼は、そうか。グリプスの時、僕にも同じ場所にいて欲しかったのか。誰の手も掴めない暗闇の宇宙の戦場に。

 

同じ孤独な人間がいる事で、自分自身も慰められると思ったのか。

 

他人と手を取り合って得られる安心を知らないでいれば、ファやエグザベさんが支え合う事を僕に思い出させてくれなければ、僕もそうなっていたのか。やがて、同じ孤独な人間を作り出す、そんな人間に。

 

「エグザベさんは、クワトロ大尉、いや、シャア・アズナブルは少年兵を連れていると確信してましたよ。」

 

「エグザベ中佐に同意する。いるだろう。それも考えれば、より一層あわせる顔がない。」

 

シャア・アズナブルは、またあれを繰り返そうとしているのか。

 

「助けてやりたいと言う、中佐の気持ちは分かる。戦場でなければ、俺も生かすために最善を尽くすが。」

 

「知っています。あなたもエグザベさんも人間です。」

 

「カミーユ、彼を、エグザべを頼む。シャア・アズナブルは俺が決着をつけてやらなければならない。引導を、エグザベに押し付けて生きるなんて無様なことはしたくない。」

 

そう言われても、僕にはアムロさんも大切な人だった。

 

「エグザベ中佐は、シャアと刺し違えるつもりで居るんだ。共和国から引っ張ってきた戦力を見れば分かる。」

 

と、アムロさんは病院の天井を指さした。天井の、その更に先、このグラナダの上空にはグラナダ宇宙港にすら入らないほどの大きなMS母艦が滞在している。共和国軍の虎の子だ。

エグザベ中佐はそれを、己の権限の限界ちょっと先まで使ってここ迄運んできた、そう言った。要は方々に頭を下げて回り、必要性を理解してもらえるまで粘ったのだ。

 

MS母艦とは言っても、巨大なカタパルトにMSの格納庫と高出力のブースターを付けたものでしかない。確か、アステロイドベルトから効率的に資源となる小惑星を地球圏に運ぶのにザビ家時代に試作されたものだ。正規品はこの10倍規模で作るつもりで居たが、予算不足で試作品止まりになったのを、ザビ家残党を潰した時に見つけたので再利用する事にしたとかなんとか。

 

「あれは去年、地球圏の治安維持がある程度回復したと言うことで、サイド3は本国配備にしたはずだ。それを引き剥がすかのように。…昔のエグザべならしなかった。」

 

「いや、割と無理を押し通してましたよ。エグザベさんのあれ、何でか分からないんですけど、終わってから気づくんですよね。」

 

「…そう、だったか?」

 

「アムロ大尉も、だいぶ嫌がったのにあのカタパルト使わされたって。何の時だったか?」

 

「必要があれば、使うさ。」

 

当にその事を言ったつもりだったが、アムロさんにはどうにも実感がないようだ。

 

「実際、役に立った。少数勢力は逃げ回るからな。逃げられる前に手が届くのは本当にありがたい。手間が減る。正直、最初に聞いた時は正気を疑った。そうだな、彼の理想とする戦術を極めるための艦だと思えば、理想的ではある。」

 

つまり、必要だと思わされて押し通されたのだ。

 

「敵に気づかれるより前に頭を潰す。子供が戦場に出される前に。」

 

グリプスが終わってから、エグザベさんはずっとそれを言い続けている。

 

ギャン改-Ⅱはもうない。共和国には予算がないと嘆きながら、エグザベさんは愛機を破棄した。

まだあいつは使えるとか何とか無茶を言っても居たが。MSの両足が動かなくなる不具合が出れば流石に諦めた。そもそも、グリプスが終わるまで動いていたのが奇跡だった。

 

「2人には次の診察日に来てもらわないと困りますよ。予約はもう受付に通したので。」

 

エグザベさんの今の愛機は、確か、ギャン・ジャジャだ。より正確にはギャンZZ改。ZZをジャジャと呼ぶのもそうだが、あの人は愛機の事となると、ちょっとどうかしているコンセプトを採用する。

ガンダムZZの設計を元に、ギャンの様に近接戦闘に特化させ、大口径バーニアと細かな姿勢制御を可能とさせるスラスターを持ち、なおかつ事もあろうにパンジャンドラムを要求した。

 

装甲を捨てて、更に航続距離を伸ばそうとしていたのは流石に殴って止めたが、パンジャンドラムは止められなかった。

 

「それはシャア次第だな。いや、こんな事を言ってるのは甘さのあらわれか。奴が何かを地球に落す前に、俺もまた、あのカタパルトに乗るさ。」

 

「クワトロ大尉を、シャアをララァ・スンさんの元に導いてやってください。あの人に宇宙は寂しすぎる。」

 

「ララァ、ララァ・スンも、そう感じているさ。だから、迎えに来ている。後は手伝えば良い。そういうことか。」

 

「彼女にはいつでも会いに行けるんなら、僕らをまず優先してくださいよ。アムロさん。」

 

チョコ菓子を渡した。匂いをかぎ、舌で味わい、他人と心と身体を温め合う。それは、オールドタイプでもニュータイプでも関係なく、身体が、心が生きていなければ出来やしまい。生きていなければ。

 

 

 

 

 




裏設定(フリー素材)

エグザベは神様でも何でもないただの軍人なので、救えてない命。見捨ててしまったものも多々ある。

しかし、カミーユやファやカツやアムロやハマーンやミネバやブライトや献身的な部下たちも居て、立ち止まって泣くより走り続けることを選んだ。いざとなったら支えて助けてくれるのは知ってるから。

でも、子供は戦場に出るし、強化人間だし、助けられない。を2年前まで続けて、割とメンタルも身体もガタガタボロになってた。

そんな時にシャアが「戦場で育ったものにしか見えないものもある。」「かのアムロ・レイとて若くして戦場に出たからこそニュータイプとして覚醒したのだ。」と後援者に言っていると言う情報が入った。ので、エグザベはその日のうちに暗殺計画を立て、暗殺部隊の選抜を始めた。

「暗殺部隊の育成は、いいところまでいっていた」の本当の意味は共和国政府がGOしたら、即日シャアをあの世にGOできるところまでいっていたと言う意味。

シャアの死を確認したら、エグザベくんも責任取ってあの世にGOしてた。エグザベくんは知らないけど、そんな事したら、カミーユも半分あの世にGOしちゃうんだ。

流石に、恩人のカミーユとエグザベくんをシャアのせいで失うわけにはいかないハマーン様は持ち前の優しさと行動力で止めに来た。

暴走するエグザベくんをカミーユとアムロとハマーンの3人がかりで2日程会談して説得して、納得してもらえたところで、ニュータイプと政治家としてのハマーン・カーンとカミーユが担ぎ出されそうになった事を、エグザベくんは2人の命を危うくしたと認識している。

この頃のエグザベはかなり行くところまで行った状態だったので、クワトロ、シャア、ニュータイプの単語に過剰に反応するし、彼の話をする軍人の家族構成友人関係財産状況資金の流れまで調べ上げさせてた。そんななので更なる「情報部の強化」は無理だった。既にザビ家の秘密警察みたいなもんだろこれ、された。

専用機のカラーも白銀に銀色のラインに変えた。金色?いい思い出がない。多分そのうち赤も嫌いになる。



「地球にはハマーンを始めとする友人や大切に守るべき民間人がいる」を知ってるエグザベ+ララァ・スンが呼んでいるぞ、をしてくるアムロ+2人に鍛え上げられたMS部隊+強化されたロンド・ベル

vs

こまめにコツコツ残党狩りをされた結果、原作7割減された戦力のネオ・ジオン軍+シャア・アズナブル総帥+クェスに出会ってないギュネイ・ガス+そろそろ新しい男を探したいナナイ・ミゲル 



【フィフス・ルナはいつでも宇宙にある!】
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