機動戦士Ζガンダム異伝 エグザベ・オリベ戦記   作:1スレ130番より愛を込めて

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水の星どうでしょう! 海岸清掃 編

 

全ての生命の源は、地球の海で生まれたと言うけれど、僕にはそれを目の前にしても実感が湧かなかった。

人生で一度も嗅いだことのない匂い。これが海というものらしい。

おしてはかえす波、深い藍色。遠く遮るものがなく、視界のその先、水平線が海と空を分けていた。ああ、その水平線に遠く島?の影が映っている。本物の島。

 

ここはオダワラという市だ。日本の、海に近い都市。

白い砂浜ではないけれど、波は白くなるんだな。考えてみれば当たり前のことを、僕は当たり前に理解した。海から吹いてくる強い風は、なんだか少しペトッとしている。

 

 

「これが、海なんだね、カミーユ、ファさん。」

 

「シャトルからもずっと見てたんじゃないですか、エグザべさんは!僕らを起こしてくれなかった!ファも怒ってますからね!」

 

海に背を向けて、後ろにいた2人に向き直る。思ったより怒らせてしまったな。でも、君たち昨日、楽しみで寝られなかったって言って、ずっと欠伸していたし、何度も瞬きしてたじゃないか。

 

「2人ともよく寝てたから。コーヒー飲んでも寝てたんだから起こせないよ。」

 

そう、彼らはまだ未成年だ。睡眠はしっかりとるべきだ。

 

「僕らは騙されませんからね!!エグザべさんは地球にすぐ夢中になって!」

 

「興味があるものにも、すぐフラフラ寄っていくの、エグザべさんの悪いところよ!カミーユ、もっと言って!!」

 

「ごめん、悪かったよ。本当に。本当にごめんって。うわっあ!!」

 

2人に平謝りして居たら、足が波に飲まれていた。

うそ!2メートルは波打ち際から離れていたのに??

慌てて2人も下がらせる。せっかく卸たてと言ってた2人の服と靴を濡らしては悪い。

 

「あーあー!エグザべさんに罰があたった!」

 

カミーユも言いながら顔が笑っている。ファさんも。

 

「言ってる場合か!ほら、もうちょっと下がって。あとで砂は払ってやるから。海は塩水なんだって習っただろ?」

 

「エグザべさんのズボンのすそも靴も、もうダメそうね。ホテルのクリーニングに頼まなきゃ。カミーユも気を付けてよ!アムロ大尉に会う前に汚したら、私がただじゃおかないわよ!わかってるの?カミーユ!」

 

「また僕にだけ言う!不公平だぞ、ファ!」

 

相変わらず仲のいい2人だなぁ。でも、確かにそろそろアムロ大尉と合流する時間だ。

 

「僕はもう、手遅れだから言わないんだよ。これ、アムロ大尉に笑われないといいんだけど。」

 

ズボンのすそはぐしゃぐしゃで、靴はゴッポゴポと歩くたびに音がする。あーあー。

片足ずつ脱いで靴をひっくり返しても、中に砂が入ってて痛い。海って痛いのか。本当に、僕は知らないことだらけだ。

 

今回のオダワラ市への訪問は、地球連邦の広報部からのジオン共和国のエグザべ・オリベへの依頼だった。

軍服でないのは、まぁ、地球とコロニーとジオン共和国の感情を配慮して、だ。

 

カミーユとファは僕が誘った。せっかくの機会だ。アムロ大尉にも会いたいだろうし。

 

アムロ大尉は今、地球環境の広報活動をしている。地球各地を巡り、1年戦争前の環境と今の環境、何が違うのかを紹介したり、地球の環境を取り戻す為に現在、行われている環境改善活動を実際に行ったりして、その様子は人類の生存圏に報道されていた。さすがにリアルタイムではないが、有数の人気番組だ。

 

この番組の始めに、サイコロで地球のどこへ行くのか決める、というシーンは一度、視聴率が60パーセント超えたという。アムロ大尉も笑いながらサイコロを投げていて、楽しそうだった。

 

今日の活動内容は、海岸のゴミ拾いだと聞いた。なんでも、戦争の傷跡で、まだコロニーの破片が海岸に打ち上がることは日常で、生物の環境も悪化してばかりなのだという。地球は広すぎて、清掃が間に合わないのか。まだ、この海の下にコロニーがあるのか。

 

かつて、誰かが産まれて誰かが育った、誰かの故郷のコロニーが、海の底に。今も、誰かと一緒に。

コロニーが、海の底にある。

 

「エグザべさん、あっちに見える、あの作業用プチモビ!あれがアムロ大尉の設計した海岸清掃用のプチモビじゃないですか?」

 

その声に、カミーユが指さす方向をみた。ガンダムMK-Ⅱくらいの大きさのプチモビか。今回アムロ大尉は海岸清掃にあたり、MSの設計を元に目の前に見えるプチモビを設計開発した。今回はそのお披露目回だ。ついでに、人間のサイズで拾えるごみは、僕が拾う。

 

「向こうも準備できたのなら、カミーユとファさんは憲兵の人たちと一緒に逸れない様にしてくれ。僕はこれから仕事だから。行ってくるよ!」

 

アムロ大尉もこっちに気づいたのか、プチモビのコクピットから手を振ってくれた。手を振り返す。

 

「もう、アムロ大尉も、エグザべさんも!早く終わらせてくださいよ!」

 

「カミーユ、あっちでアイスクリーム売ってるって。エグザべさんに奢ってもらいましょ!」

 

仕方ないな。シャトルで起こさなかったのは確かだし。財布をファさんに渡した。

 

「こっちが終わったら、アムロ大尉も合流して食事に行くんだから、な。アイスクリームでもコーヒーでも好きに頼んでいいけど、食べ過ぎないように。」

 

2人がニコニコ返事をするのを確認した。本当に大丈夫だろうな?

まあ、いざとなれば、アムロ大尉にも一緒に叱ってもらおう。

 

 

 

仕事の後、僕も含めて3人ともアムロ大尉に怒られた。なんで??

 

「財布ごと子供に渡していいわけないだろ!!」

 

 




サイコロ 編仮

サイコロはもちろん、キャラメルの入っていた紙製のサイコロ(カラ)。雨だろうが風だろうが2メートルは上に投げることがレギュレーションになっている。アムロさんはニュータイプだから大丈夫って髭だるまが言った。

移動は全て軍用の飛行機やトラックや船(旧式や型落ち)。もちろん居住性は低い。
アムロが乗り物に乗る前と乗って降りた後のビフォーアフターの比較が大人気。

嫌な宇宙世紀だな。

サイコロ投げるとき、アムロさんが笑っている理由はいろいろな感情がそうさせてる。
「帰してくれ!!俺を!!宇宙に!」は名言として後世に残る。
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