機動戦士Ζガンダム異伝 エグザベ・オリベ戦記   作:1スレ130番より愛を込めて

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いやーっはっはっは!!深夜遅くに!こんばんはー!!
水の星どうでしょうが今週もやってきましたよぉ!!
ユーコン川第5夜!みんなでカヌー編でぇ、ございます。

先週はようやっと、ゲーツさんとエグザベさんが配達されてきまして、アムロさんとの篤い友情を見せてくれました!
我々、どうでしょう班も感慨深いです。
あの、アムロさんにお友達が!!と、子供の成長を見守る親のように感動していたのであります。

ままま、それはそれとして、ユーコン川のキャンプはまだ2日目です。皆さーん、恐ろしいでしょう!まだ2日目なんですよぉ!まだ我々はスタート時点にいるんですよぉ!!
恐ろしいでしょー?!

さてさて、どうなることやら!では、どうぞ!



水の星どうでしょう!ユーコン川 編5

 

≪全員!カヌーの練習!!≫

 

 

ゲーツ「カヌーは乗ったことがないな。ん?意外と軽い。1人でも持ち上げられるんだな。」(40キログラムのカヌーを持ち上げてみるゲーツさん)

 

 

エグザベ「フジムラさんは、僕とバディでお願いします。僕もボートとかカヌーは初めてなんで、経験者と乗りたいんです。」

 

フジムラ「いやいやいやいや、私だって初心者ですよぉ!昨日、乗ったばかりですし、ほら、筋肉痛がねぇ。私、年齢も年齢なんで…」

 

ゲーツ「それなら、アムロは私の後ろに乗ってくれ。パドルの漕ぎ方が正しいか、後ろから指摘してくれると助かる。」

 

アムロ「わかった。でも、まずは、2人ともライフジャケットを着てくれ。水温は3℃で、120秒水に浸かっていたら命に係わるそうだ。」

 

エグザベ「あ、結構ややこしい構造ですね、これ。前のと違う。フジムラさん、これ、どうやって着るんです?」

 

フジムラ「ややこしいわけないでしょー!!ややこしいライフジャケットなんて、この世にあるわけないでしょー!ちょっと見せてごらんなさいよぉ!」

 

エグザベ「コロニーでライフジャケットを着る機会なんてないですから。不慣れで。」

 

フジムラ「いやぁ、それはまあねぇ。コロニーはねぇ、どこも水深浅いし、ボートとか乗れる場所と機会にはライフセーバー義務付けられてますからねぇ。ま、ま、ま、ま、まあ、それ、守ってるコロニーなんか全くありませんけど!水深が10センチもあれば大人も溺れ死ぬことだって忘れちゃって、世話ないですよ。まったく…あ!!!」

 

〈この隙にアムロさんとゲーツさん、とっとと出航!〉

〈エグザベさんにカヌーに連行されるフジムラ!!〉

〈フジムラ!痛恨のミス!!〉

 

フジムラ「エグザベさん!!エグザベさーん!あなた酷い人ですねぇ!この、良い年したおっさんが筋肉痛で辛いって言ってるのに!あなた!こんな可哀そうな私をカヌーに乗せようとして!ライフジャケット、着れない演技までしてぇ!」

 

エグザベ「ええ?いや、そんなつもりでは…でも、フジムラさんがカヌーとキャンプを企画したって…楽しみにしてたのはフジムラさんもじゃないんですか?」

 

フジムラ「酷い!これは、酷い!エグザベさん、筋肉痛のおっさんを甚振って!」

 

アムロ「フジムラ!グダグダ言わず、カヌーに乗れ!いい加減、大人になるんだ!」(湖上のカヌーから怒声を浴びせるアムロさん)

 

ゲーツ「アムロ、あまり、身体を傾けないでくれ。」

 

アムロ「ああ、悪い。つい、身を乗り出してしまった。バランスとってくれたんだな、ありがとう。ゲーツ。」

 

エグザベ「なんか、よく分からないですけど。まあ、フジムラさん、カヌーの練習しましょう!あ、僕が前でいいですか?後ろから指導してもらった方が助かるんで。」

 

〈フジムラ!スタッフに押されて無念の出航!!〉

〈エグザベさん!ニコニコで出航〉

 

カメラマン「湖に浮かぶ2艘のカヌー…いい絵だねぇ。でもこれ、あれだね。写真とか静止画でいいね。だって動きが暇だもん。」

 

スタッフ「エグザベさんがニッコニコでカメラ意識してくれてるんで、そこだけ抜きましょうよ。」

 

カメラマン「いやぁ。これ、カメラ覗いてみてよ。エグザベさんの後ろに疲れきったおっさんがいるもん。あのおっさん、顔が五月蠅いねぇ。」

 

スタッフ「ああ。フジムラ隊長、カメラにすんごい恨みがましい顔むけてきてますね。わざとか。」

 

カメラマン「ゲーツさんとアムロさんは真面目過ぎてねぇ。」

 

スタッフ「ちゃんとスクーカムさんの指示通りにカヌー動いてますけど?良い感じでは?」

 

カメラマン「そこが駄目だよねぇ。うちの視聴者はそんなん求めてないでしょ…それに、全然、楽しそうじゃないもん。2人とも真剣そのものだもんなぁ。見てごらんよ、カメラ。」

 

スタッフ「これ、競技者の顔ですね。これから、カヌー大会に出るのかな?」

 

カメラマン「この際、エグザベさん以外カヌーから降ろすか?」

 

スタッフ「また、無茶言って。」

 

カメラマン「だって、ユーコンでのキャンプ楽しそうって思うか?この、絵で?」

 

スタッフ「……いやぁ、厳しいですねぇ。とても厳しい。」

 

 

≪遅い、昼食!!≫

 

 

エグザベ「この魚、初めて食べます。何て名前の魚なんです?」

 

スクーカム「パイクですよ。ユーコン川を守る会のメンバーが釣って自宅の庭で燻製したんです。ヒッコリーの香りが鼻に抜けて美味しいでしょう?…この地域では重要なたんぱく源で、冬でも食べられるように燻製にして長期保存します。」

 

エグザベ「ああ、これが本物の燻製なんですね!臭くない。美味しいです。バターライスにも合います。」

 

ゲーツ「食事を準備してもらえるのは本当に助かるな。温かい食事じゃないと手足が冷える。…うまいな、パイク。これは、今の時期に釣れる魚なのか?」

 

スクーカム「いつでも釣れます。夕方、次のキャンプ地で釣りできますよ。」

 

アムロ「次の、キャンプ地…」

 

フジムラ「そうですよぉ、これで終わりじゃないんですよぉ今日はぁ!こっから、20キロ下ったとこまで向かうんですよぉあんたらはぁ……この疲れ切ったオッサンの世話をしながらねぇ…次のキャンプ地まで行けますかねぇ?」

 

スクーカム「川の流れは早いので、あっという間です。景色を楽しみながら進みましょう。…多分時速10キロ程度の流れです。何もしなくても、2時間くらいでつきます。大丈夫です。どんなに遅くても、疲れてても問題ないです。あと6時間は明るいのでいくらでも残業できます。」

 

アムロ「いくらでも残業って…まあ、2時間で着くのならいいか。」

 

エグザベ「スクーカムさん、カヌーで進み過ぎたら、どうすればいいですか?」

 

スクーカム「いつもなら、練習でやった通りに、逆に漕ぐか、向きを変えて遡ってくださいって言います。でも、多分、皆さんには難しいので、その時は次の予定地に変更します。8キロほど下流に次のキャンプ地がありますので、そこに。そこでも駄目なら、また6キロほど下流に。」(フジムラさんを見ながら言うスクーカムさん)

 

アムロ「フジムラ、止めろ……いや、本当にフジムラ。止めてくれ、本当に。人間を思い出してくれ。フジムラ、止めろ!」

 

〈アムロさんの制止を無視してメープルシロップを瓶から直飲みし続けるフジムラ〉

 

アムロ「なんで、俺がこんなに恥ずかしい気持ちにさせられるんだ…辛い。なんでなんだ…なんで俺は今、とても恥ずかしいんだ。止めてくれ、フジムラ!」

 

フジムラ「ッフゥ!生き返りますねぇ。疲れには甘い物ですよ、甘い物。スクーカムさん、これ、もう一瓶欲しいですけど、あります?」

 

ゲーツ「スクーカム、絶対に渡すな。フジムラさん、せめてカメラに映らない場所に移動してから飲んでくれ。」

 

フジムラ「嫌ですよ!この疲れ切ったオッサンはねぇ、さっき、エグザベさんに無理やり、いいですか?先ほど、この、エグザベ・オリベさんにぃ、無理やりカヌーに乗せられて疲れ切ってるんですよぉ。メープルシロップの1本や2本程度がなんです?そりゃ、飲みますよ。ここから2時間でしょ?スクーカムさんがおっしゃるには2時間。我々は、2時間も冷たーい川の上をねぇ、無理やりカヌーに乗せられて移動するって言うんですから、そりゃ飲みますよぉ。カロリー、飲まなきゃやってられないでしょ、この企画。」

 

アムロ「俺を無理やり、ここまで連れてきた人間の言うことか、これが…」

 

エグザベ「フジムラさん、健康にも悪いですから。虫歯にもなっちゃいますよ。今度は、僕がカヌーの後ろに乗りますから。フジムラさんは前で座っててくれるだけでいいです。なんとなくカヌーの操縦分かってきたんで、僕の方で何とかしてみます。」

 

アムロ「エグザベ、甘やかすな!頼むから!フジムラを!甘やかすな!」

 

エグザベ「でも、アムロさん。フジムラさん、今年でもう、50歳になるって…無理させて、怪我でもしたら…」

 

アムロ「余計に恥ずかしいだろう、そんな大人は!見ているこっちが居た堪れない!50歳にもなった良い大人が、人を無理やりカヌーとキャンプに連れてきた50歳の大人が、こんなカメラの前で……こんなカブトムシと変わらない真似をして…あげく年下に甘やかされてる姿は!いたたまれない!」

 

ゲーツ「エグザベにとってフジムラさんは要介護者なんだな…」

 

 

≪カヌー、出航!!まえに大騒ぎ≫

 

 

フジムラ「はーい!!ではでは、皆さん笑って笑って!!ユーコン川カヌー160キロの旅!!がんばるぞー!!えい!えい!おー!!」〈パドルを振り上げるフジムラ〉

 

エグザベ「おー!!」〈律儀に右腕を上げてくれるエグザベさん〉

 

アムロ「メープルシロップ1本でそんなに元気になれるんだから、安い人間だな、フジムラは」〈やさぐれるアムロさん〉

 

ゲーツ「目標地点までの地図とか、特徴的な地形とか覚えさせてもらえないのか?併走するエレボートからの指示は拡声器だけ?本気か?このメンバーだと、本当にキャンプ地を通り過ぎる可能性もあるが。」〈スクーカムさんと話し出すゲーツさん〉

 

フジムラ「まとまりのないメンバーですねぇ。皆さん、そういう自分勝手な姿はいけませんよぉ!そんなんでね、視聴者の子供たちの見本になれるんですかぁ?」

 

アムロ「ハハ、何言ってるんだ?フジムラ。この番組の視聴者に子供がいるわけないだろ、深夜放送だぞ!」(半笑いのアムロさん)

 

ゲーツ「いや、意外と子供たちにも人気らしい。サイド6やジオン共和国だと夕方に放送されている。そうだったよな?エグザベ。」

 

エグザベ「はい!共和国は国営放送局でゴールデンタイムに放送してもらってます。サイド6だと、動画配信サイト運営会社があるので時間帯関係なく視聴できるんです、水の星どうでしょうは。月でも人気番組って大評判です。」

 

アムロ「世も末だ。」〈両手で顔を覆うアムロさん〉

アムロ「こんな番組見て何になるんだ、何にもならないだろう。俺が…ずっと苦しんでいる様子を見て…なんになる?…もっと自分の人生の為になる番組を見るべきだ!」

 

エグザベ「アムロさんを応援してる人たちがたくさんいるんです。頑張ってるアムロさんを見ていると元気が出るって、僕の部下たちも●●〇〇(ヴェルザンディ)の皆も言ってて…」

 

〈両手で顔を覆ったまま崩れ落ちるアムロさん〉

 

ゲーツ「エグザベ。良くない、今のアムロにその情報は良くない。もう少し手心を加えた表現に変えてくれ。」

 

フジムラ「ほらほらほらほら!!聞きましたか?アムロさーん!全世界で人気者のア・ム・ロ・さーん!世界中の皆さんの明日の元気はアムロさんの頑張り次第ですよぉ!!わかってますか?!おたく、ニュータイプなんでしょー!!世界中の皆さんのお手本になるよーなリアクションしてごらんなさいよぉ!」

 

ゲーツ「フジムラさん、挑発は止めてくれないか。今だって、アムロは頑張っているじゃないか!これ以上の無理強いとリアクションの強要は駄目だ。許容できない。」〈アムロさんを背中に庇うゲーツさん〉

 

エグザベ「そもそも、アムロさんがニュータイプ関連の発言をしないといけなくなったのは、当時のマスコミの過熱し過ぎた報道合戦を鎮静化させたかった連邦軍が原因って僕は聞きましたよ。それを…不誠実ですよ。おまけに10年も経った今になってまで言うもんじゃないでしょう!フジムラさん。」

 

ゲーツ「そうだ、アムロのニュータイプ関連のインタビューにおいては君たち大人の責任が大きすぎる。それを忘れたようなふりをして、挑発の材料にするんじゃない。卑怯な真似はいけない。フジムラさん。」

 

エグザベ「そうですよ。それにアムロさんにニュータイプ関連のインタビューをしてもらうにしても、もう少し内容を精査が必要でしたよ。あんな、何回聞いてもよく分からない頓珍漢な内容を、16歳の子供に…アムロさんだって、あんな意味の分からないインタビュー言わされて、今の今まで沢山の人に誤解を受けてるんですよ!」

 

ゲーツ「(絶句)」〈エグザベさんを信じられないものを見る目で見るゲーツさん〉

 

フジムラ「(絶句)」〈咄嗟にアムロさんを見つめるフジムラ〉

 

アムロ「(うめき声)」〈地面に突っ伏したまま頭を抱えるアムロさん〉

 

エグザベ「僕もインタビューの録音を聞いたことありますけど、哲学入門のテキストと大乗仏教の思想の切り貼りじゃないですか。いくら、マスコミがいい加減な事しか書かないからと言って、あんな内容では。実際、世間の理解もマスコミの鎮静化も得られませんでしたし、アムロさんはますます見世物になってしまって。アムロ・レイ文書なんて名前まで付けられてるんですよ……あの内容を聞いて〇〇(フラナガン博士)は怒ってたんですよ。まともな精神状態の人間が書いた内容ではないって。プロバガンダにしても下手すぎるって。」

 

フジムラ「はあー、なるほどなるほど、〇〇(フラナガン博士)の見解はそーなんですねぇ…アムロ・レイ文書の内容は出鱈目、と。いやぁ、流石のご慧眼!弟子を名乗る方々にぜひとも見習ってほしいくらいのご知性ですなぁ!」(言いながらアムロさんを見るフジムラ)

 

エグザベ「フジムラさんの他人事みたいな態度、良くないですよ。ニュータイプなんてダイクンとザビ家の妄想のでしかなかったのに。碌に定義もされていない概念を、プロバガンダとはいえ16歳のアムロさんに言わせるなんて。あなた方の軽はずみな行動でアムロさんがどれだけ不自由な目に遭ったか。知らないわけではないんでしょう?」

 

〈説明しよう!!アムロ・レイ文書とは1年戦争後に16歳だったアムロさんがマスコミの要求に応えてニュータイプの見解について語ったインタビューを書き起こしたものであり、現在でも全世界で読むことができる文章だ!〉

〈エグザベさんは知らないが、16歳のアムロさんが自ら草案を書いたのである。〉

〈もう一度、言おう!〉

 

〈アムロさんが、書いたのである!!〉

 

アムロ「……」〈苦悶の表情のまま立ち上がるアムロさん〉

アムロ「…僕!!書きました!!書いたんだ!アムロ・レイ文書を書いたのは僕なんだ!!アムロ・レイなんだよ。エグザベ!僕が、あの演説の内容を考えて!軍の許可も取らないで!発表したんだ!!ニュータイプとかそんなの関係なく!もともと文章を書くのが下手なんだよ、僕は!エグザベが庇ってくれたのは嬉しいけど!…本当に嬉しいんだけど、あれを作ってしまったのは僕なんだ。申し訳ありませんでした!」〈思いつめた顔でカメラにむかって土下座するアムロさん〉

 

ゲーツ「謝れ!エグザベ!アムロに、謝ってくれ。いくら知らないとはいえ。今の発言は酷いぞ。」(エグザベさんの背中をどつくゲーツさん)

 

エグザベ「え?うそっ…」〈右往左往しながらアムロさんを抱え起こすエグザベさん〉

エグザベ「ご、ごめん、なさい。知らなくて、本当にごめんなさい。いや、アムロさんだってたったの16歳だったんだし、本当なら連邦軍がインタビューとか押しとどめるべきだった、と僕は今でも思ってるけど。違う!アムロさんは何にも悪くないよ!16歳にしては良く書けていた、と思う。いや、ごめん、ごめんな。一生懸命作ってたのに、僕は酷いことを……」

 

アムロ「やめ、止めてくれ!本当に止めてくれ…」

 

エグザベ「哲学書を読むのは良いことだと思うよ。視野が広がるし、「理性的に考える」って訓練をしないとできないことだから。誰だってできることじゃない。アムロさんは昔から勉強熱心だったんだなって。僕が16歳の頃なんて友人と遊んでばかりだった。」

 

アムロ「(絶句)」〈両手で顔を覆って見せないアムロさんとアムロさんを慰めようとするエグザベさん〉

 

エグザベ「唯心論のくだりは個人的に好きだよ。でも、途中で仏教の唯識論も混ざっちゃってるから、あの部分は整理した方が良いと思う。アムロさんはショーペンハウアーが好きなんだね。僕は哲学はあまり詳しくないんだけど、でも、「悟り」とか「涅槃」とかいう概念は一般人に馴染みがないし、宗教のイメージが先行し過ぎてしまうのがよくないよ。だから、アムロさんのインタビューも戦後長いことオカルト的に解釈されちゃったたんじゃないかなって。…あ、いや、ごめん。今度は、僕も手伝うから。え?違う?」

 

ゲーツ「……残酷だ、あまりに残酷すぎる。」

 

フジムラ「ハハハ、いやぁ、ほんと残酷ですねぇ。…16歳の情熱にうなされて書いた演説のことなんて最近まで忘れていたアムロさんにとって、あまりに残酷!」

 

 

≪改めて、カヌー、出航!!≫

 

 

フジムラ「ユーコン川カヌー160キロの旅!!がんばるぞぉ!!えいえいおー!」

 

アムロ「おー…」〈うなだれて元気のないアムロさん〉

 

ゲーツ「オー!」〈アムロさんの肩を優しくたたいてくれているゲーツさん〉

 

エグザベ「オー!!」〈首を傾げているエグザベさん〉

 

〈アムロさんとフジムラのペア〉

〈エグザベさんとゲーツさんのペア〉

 

〈ゲーツさんがエグザベさんに対してレフェリーストップをかけたのでこうなりました!!〉

 

フジムラ「いやいやいや、意外なところに手強い伏兵が居ましたねぇ、アムロさーん。大丈夫ですかぁ?心に元気は残ってますかぁ?」

 

アムロ「……正直、しばらく、1人にしてほしい。フジムラも俺に話しかけないでくれ…」

 

フジムラ「まあまあまあ、あっちはあっちでゲーツさんがエグザベさん叱ってくれてますから。こんなことで落ち込んでちゃダメですよぉ、アムロさーん!!人生ね、生きてりゃ恥なんて死ぬほど掻くもんですからねー!あんたの、鈴虫の恥なんて、まだまだ、鈴虫程度の大きさですよぉ!!こんなの、恥のうちにも入りませんからねぇー!ヘラクレスオオカブトムシくらいの恥掻いてから落ち込みなさいよぉ、鈴虫!」

 

アムロ「(舌打ち)」

アムロ「全身恥で出来てる人間は言うことが違うな。人間カブトムシ。」

 

〈少し離れたところに居るエグザベさんとゲーツさんのカヌー〉

 

ゲーツ「エグザベ、さっきのは良くない、本当に良くないぞ。君がアムロをからかってるわけじゃないのは私だから分かるが。」

 

エグザベ「でも、ゲーツ、アムロさんは人と人が争うのを止めたくて、演説を作ったんだよ。その想いをなかったことにするのは…」

 

ゲーツ「それは、…そうなんだが。」

 

エグザベ「僕は16歳の頃、本当に何にも考えてなかったよ。ハイスクール行って、友人たちと遊んでた。学校の帰りに買い食いもしたし、映画館とか動物園に行ったこともある。平和のことなんて考えても無かった。」

 

ゲーツ「……16歳、だからな。」

 

エグザベ「でも、アムロさんは僕と違って、平和のことを考えて自分にできることをしよう、としたんだよ。インタビューの内容は滅茶苦茶だったけれど、いや、しない方が彼のためだった、とも思うけれど。でも、アムロさんは責任感が強い人だからね。実際、あのインタビューを書くために参考にされた書籍は10冊以上あるし、論文は5本は確実にあるんだよ。僕は、16歳のアムロさんがこんなに頑張って勉強して書いていたなんて本当に思っても無くて。彼の前であんなことを言ってしまって申し訳ないし、恥ずかしいよ。」

 

ゲーツ「〇〇(フラナガン博士)はアムロ・レイ文書の分析もしていたのか。」

 

エグザベ「当たり前だよ。いや、でも結局、ゴーストライターが書いたって結論を出していたから。この放送見たら倒れてしまうかもしれない。キャンプが終わったらフジムラさん達に代理で手紙でも届けてもらおうかな?」

 

ゲーツ「……しかし、アムロの前でもう、例の文書の話はするんじゃない。エグザベ、アレは残酷すぎる。傷口に海水をかける様なものだ。アムロにとって、あのインタビューは人生の大火傷だ。医者と本人以外が触るものではない。」

 

エグザベ「わかった。アムロさんの力に成れないのは残念だけど。ゲーツが言うのなら、僕向きじゃないんだろうね。」

 

ゲーツ「今の私たちの仕事は、アムロとフジムラさんのカヌーに先行して、今日のキャンプ地を見つけることだ。二人のカヌーの位置がかなり後方だ。7時の方向、距離20メートルと言うところか。」

 

エグザベ「ジグザグに動けるものなんだ、カヌーって。」

 

ゲーツ「性懲りもなく、フジムラさんを後ろに座らせるから!!…湖から出れないぞ、あのままだと。」

 

エグザベ「陸に戻ってバディ交代するべきかな?スクーカムさーん!1度ここでアムロさん達待たせてください!!」

 

〈一方、アムロさんとフジムラ〉

 

フジムラ「鈴虫、漕ぎなさいよ!」

 

アムロ「嫌だ!ゲーツとエグザベに合わせる顔がない。漕ぐな、フジムラ!」

 

フジムラ「子供みたいなわがまま言ってる場合ですか!鈴虫は夜が本番なんでしょうけど、カブトムシは早く寝たいんですよぉ!明日の朝も早いの!残業代もでないの!…器用にカヌーの進行方向変えるのやめなさいよ!何なのよ、この謎技術は!まっすぐ進ませなさいよ!鈴虫!」

 

アムロ「いやだ!よくよく考えてみたら、あの文章のせいで2人だけじゃない。たくさんの人間を振り回したんだぞ、俺は!どの面下げて…」

 

フジムラ「その面下げてりゃいいでしょーよー。16歳の、子供のインタビュー真に受ける馬鹿がいたのはアムロさんのせいじゃないんでー!自意識過剰なアムロさんにはわかんないでしょーけどぉ、勝手に落ち込まれる方が迷惑なんですぅ。いつものアホ面下げてなさいよ、鈴虫。」

 

アムロ「…カブトムシには人間の心が分からないもんな。」

 

フジムラ「ええ?!なんです?鈴虫、前見なさいよぉー!エグザベさんとゲーツさんが間抜け面で待ってるんですよぉ!あんた、現在進行で2人に心配かけてるじゃないの!いいんですかぁ?天下のニュータイプ、アムロさんがそんなことして!ニュータイプは目の前友人すら見えない人のことなんですかぁ?」

 

アムロ「ふざけるな、カブトムシ。16歳の俺が言ったことなんて真に受けるなって言った傍からこれか!髭ダルマ、ニュータイプなんて言葉は2度と口に出すなよ。口に出したら、俺はそのたびにユーコン川を遡上してやるからな!寝かさないからな!カヌーの上でキャンプしてやるからな!」

 

〈アムロさんとフジムラペアようやく前進!〉

 

ゲーツ「大丈夫か、アムロ、フジムラさん。必要があるなら、バディを交代するが。」

 

アムロ「うん、慣れてきた。ありがとう、ゲーツ。」

 

エグザベ「交代するなら、こっちのカヌーで先行して上陸できる場所探しますよ。」

 

アムロ「いや、大丈夫だ。エグザベもありがとう。先行して上陸を助けてくれると嬉しい。俺の後ろは50代の中年おじさんだから。」

 

フジムラ「よーしよしよしよしよし、堂々と喧嘩売ってくれるじゃないの。アムロさーん!こっちにゃ質草があるのを忘れるなぁ!」

 

ゲーツ「私とエグザベが〇〇(ヌー曹長)と連絡を取ってるのを忘れてもらうと困るな、フジムラさん。あっちでアムロの私物は確保できている。そう、こっちに来る前に聞かされている。」

 

フジムラ「おうおうおうおう!若年層の反乱ですかぁ?!いいですよ、いいですよ!こっちにゃアムロ・レイ文書の音読っつー最終手段も残ってるんですからねぇ!」

 

アムロ「…やっぱり、一緒に進んでもらってもいいか?ゲーツ、エグザベ。時々、後ろの髭をパドルで叩いてくれると助かる。」

 

 

 

 




記憶から消していたはずの黒歴史を掘り返され苦悩するアムロさん 編


高二病患ってたくらいの時期に書いた文章が発掘され、傷口をえぐられてる可哀そうなアムロさん。50周年記念の新規MVではあんなに生き生きしてたのに…弊SSでは…

おまけにエグザベがノンデリ発揮してきて、サア大変!ゲーツいてくれてよかったな、アムロ、エグザベ。
ままままままあ!アムロさんにも戦友ではない友人が必要ですからね!



余談ですが、エグザベがルウム出身だということは知られている設定で書いています。設定が生かされてない??まあ、SSって難しいよね…
あと、葉巻ストーリだけ追うと、日本の連邦正規軍からの感謝の品を「ジオン共和国軍人エグザベ・オリベ大尉」が仲介してユーコン川まで届けた上で、1年戦争の戦死者墓地で追悼の意を示すという、つまりこれ極めて小さな外交ですね。エグザベ本人は当然の礼儀としてしてるだけなんですけど。
政治とはこういう事と勉強の積み重ねで出来ていくもの…
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