機動戦士Ζガンダム異伝 エグザベ・オリベ戦記   作:1スレ130番より愛を込めて

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宇宙世紀にも文化はある。

当然のこと。




家族のクリスマス

テレビの報道で流れてるのが、エグザベさんの白いメッサーラだと気づいて僕は食べていたサンドイッチを落としてしまった。

すかさず、テーブルの向かいに座っていたファに頭を叩かれる。

 

「カミーユ!マナー!!」

 

「何も、叩かなくたって…いや、ごめん。悪かったよ。」

 

「今度から、ちゃんと、お皿に置いてからテレビを見て頂戴。子供たちが真似するでしょ!」

 

「…はい。」

 

謝るしかない。息子たちに見られてなくて良かった。幼稚園万歳!!

こんな情けない姿、父親としては見られたくない。あの子たちのマナーについて注意もできなくなる。

 

テーブルに落ちたサンドイッチを皿に乗せなおして、テレビを見た。ジオン共和国軍の『ギャン部隊』と『ロンド・ベル』の共同訓練の報道だ。サイド4宙域のデブリ除去作業支援も兼ねている、と報道は教えてくれる。

 

暗礁のデブリ宙域はテロリスト達の潜伏地や仮拠点になりやすかった。

ソーラレイ、コロニーレーザー等でデブリごと吹き飛ばせばいい、とヌー曹長は相変わらず過激に主張している、とはハマーンさんから聞いた。黙らせたいので、ヌー曹長の弱みを探してほしい、とハマーンさんは僕に依頼してきたからだ。

僕はただの外科医なので、ハマーンさんの依頼を丁重に断り、代わりにエグザベさんを推薦しておいたけれど……

 

つまり、これが解決方法として採用されたわけ、か。平和的ではあるけれど、地道で、長期に渡る方法だ。手間も時間も人手も資金もかかる。

僕は、何も知らないふりを押し通そうと決意した。

 

「相変わらず、やっぱり、エグザベさんの機動はおかしい。」

 

メッサーラの本当の機動は、今報道で流されているものよりずっと速いはずだ。そのはずなのに、既に画面の中の白いメッサーラは機動がおかしい。

 

画面の中には急発進急制動しながら、高速で移動しているデブリをキャッチしている白いメッサーラがいる。何なら、遠目からなら白い光の糸が画面をのたうっている様にも見えるだろう。白い糸が、デブリ収集艦と宙域を何度も複雑な軌道で往復している。

見ているこっちが酔いそうだ。エグザべさんだから大丈夫だとは思うけれど、慣性でガンガンに揺さぶられてるんじゃないだろうか。

白いメッサーラは、パンジャンドラムを使ってないから、本当の本当にセーブした機動なんだろうけれど、後でちょっと電話かメールかしておこう。

ほっとくとすぐ無茶するんだから、エグザベさんは。本当に、もう。

 

「今更よ、本当に。エグザベさんは無茶し過ぎなの。」

 

ファの言う通りだ。怒っているファも可愛い。

エグザベさんは、短期間で地球とジオン共和国を往復したり、『ゼウス』を訪問したり、テロリスト鎮圧したり、平和講演会に出席したり。そもそも仕事が多すぎる。お人よしに仕事を引き受けすぎてる。僕がハマーンさんにエグザべさんを売ったことは別として。

 

「今年のクリスマスは僕らに会いに来てくれる、って言ってたけど。大丈夫かな?」

 

何年か前はクリスマス前にテロリスト鎮圧作戦が決定されて、年明けまで直接の連絡がつかない状態だった。ヌー曹長に頼んでクリスマスカードだけでも交換できたのは幸運だった、テロリストにとっても。多分。

 

テレビの報道は既に別のニュースに切り替わっていた。まだ、もう少しエグザベさんのメッサーラ見ていたかったのに。

グラナダ市クリスマスマーケットの開催が報道されている。レトロな観覧車が復元されて、実際に乗れるらしい。コーヒーカップ型の小さなカゴが5つついている観覧車や馬車やMSがクルクル回るメリーゴーランドが目玉になる、という。

絶対に、行きたい!!家族全員で行きたいけれど、次の休暇っていつだったっけ?

 

「行かないわよ、カミーユ。」

 

ファがそっけなく言う。

 

「え?なんで?」

 

「「パパがお外でキスするの、止めないなら僕は全裸になる」って、この前も宣言されたのよ、私。スーパーマーケットで!」

 

僕たちの小さな可愛い怪獣の反抗期だった。僕にはとても思いつかない反抗の方法だった。

実際、自ら服を脱いで上半身裸になるくらいは平気でした、既に5回。さすが、小さな可愛い怪獣だ。

 

「いい加減、私からもエグザベさんに言いつけるわよ!カミーユ。」

 

「また、教官式で怒られるじゃないか!やめてくれよ、ファ。」

 

エグザベさんに背筋を伸ばして怒られるのは、とても怖い。短かったMS訓練時代を思い出す。いや、あの時は怒られはしなかったけど。

どうしてか、思い出してしまう。

 

「せっかくのクリスマスマーケットなのに?」

 

諦めきれずに粘ってみる。

 

「カミーユがあの子たちにお願いしたら?」

 

僕に1分の勝ちも無い提案をされてしまった。

勝ち目…

 

「エグザベさん!エグザベさんから誘ってもらおう!」

 

我ながらいい考えだ、カミーユ・ビダン!

ファが呆れたような顔をしているのは、この際悪いけど無視しよう!呆れた顔のファも可愛い。

 

 

 

まあ、エグザべさんの力を借りて、僕は勝利したのだけれど。

クリスマスマーケットでついつい息子たちにキスをしてしまって、エグザベさんからも叱られることになるとは、想像していなかった。

 

 






弊SSのカミーユは、馬鹿の子。頭は良いのに、出力が馬鹿。
努力と出力の方向音痴。

東に行く、と宣言して夕日に向かって走る人間が、弊SSのカミーユ。
地球一周しないと目的地に辿り着かない。
1人でやらせると、無駄にいらん壮大な旅路をひた走ることになる。


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