機動戦士Ζガンダム異伝 エグザベ・オリベ戦記   作:1スレ130番より愛を込めて

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短い休息2

 

 

カミーユはエグザべさんの部屋にいる。というか、ここもう、僕の部屋でよくないだろうか?第2の部屋だ。勉強道具もここに置いてるし、ファと一緒に食事を取ったりもするし、何だったら訓練の後のストレッチもここでしている。エグザべさんが一緒に教えながらしてくれるから。

肝心のエグザべさんは寝る時と留守の時以外、部屋の扉を閉めないし。

 

床に置いた大きくて柔らかいクッションの上で、久しぶりに転寝をしていた。

最近忙しかったからって、急だけど今日は休日をもらえた。もちろん、訓練も勉強もなしだ。休日って最高だな。のんびり転寝できるって、最高だ!

 

「休日、ちゃんと休むのもパイロットの仕事だ。身体と心を休めないと、いや、どんな仕事でもそうだけど。僕らは特に気を付けないと。」

 

休日を告げた後にそんなことを僕に向かって言いながら、エグザべさんは書類を抱えて部屋を飛び出していった。部屋の扉は僕が閉めた。

休日なら当然そうする。誰だってそうだろう。訪問者はシャットアウトしないと、ゆっくり休めもしない。

 

「カミーユ、やっぱりココにいた。」

 

「今日は休日もらったんだ。勉強はなし!」

 

部屋に入ってきたファに言う。

エグザべさんは僕とファに甘い。エグザベさんが留守の時でも、僕らだけ勝手に部屋に入れるようにしてくれた。2人きりの時に部屋を閉め切るのは本当は良くないけど、と言いながら。僕らがいわゆる『レクリエーション』をしないことを信じてくれたのだとわかった。

 

グラナダ基地から出港してアーガマのあちこちで『レクリエーション』の単語を聞くようになった。僕はアポリー中尉から聞かされた。中尉の表情と話し方から、『レクリエーション』が恋人たちのアレソレだと分かった。

大人はデリカシーがないから嫌いだ。本当に、反応に困るじゃないか!

 

「知ってるわ。さっきエグザべ中尉さんから聞いたもの。休日なら、一緒に食堂に行きましょ。」

 

「もう、昼食の時間か?エグザべさんは?」

 

「今日は忙しくなるから、レーションで済ませるって。」

 

またか。航宙中も訓練はあるし、パイロットとしての仕事もグラナダにいた頃より増えて、エグザべさんは食事をレーションで済ませている。

ストレス緩和になるから、食事はしっかり食べること、と僕には言ったくせに、言った本人は高栄養価の流動食で済ませている、らしい。

 

食堂の人に頼み込んでレーションを作ってもらっているという話は聞かないから、この部屋のどこかに隠し持っているんだろうけど。収納も少ないこの部屋の、どこに?

チョコ味のお菓子が置いてある所にはないのは知っている。そのチョコとインスタント泥水だってしっかり鍵がかかる棚の奥に隠してある。他のスペース?どこだろう?

 

「ここ2日、パイロット用の食事も食べてるとこ、見てない。」

 

「カミーユはエグザべ中尉さんのこと、よく見てるのね。」

 

ファがなんだか、ニヤニヤしながらそう言う。なんだよ。当たり前だろ。

 

「それは、そうだろ。あの人のこと、ちゃんと見ててあげないと。…なんだよ、ファのことだってちゃんと見てるよ。」

 

「知ってるわ。カミーユ。私も見てるもの。」

 

わかってる。僕もファを見ているから。伝わったから。

 

支えあうには、温めあうには、お互いがお互いを見ていなければ、きっとできない。

心でも、自分の目でも、見ていなければ。

見える距離に居なければ。

 

 

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「ブレックス准将の護衛計画が、ティターンズに傍受された可能性がある?」

 

ここは艦長室だ。

情報部の傍受した例の無線通信の内容は、ブライト艦長以外には明かせない。エグザべ・オリベと情報部はそう判断をした。2人きりで話すしかなかった。機密を抱えるということは、艦長に酷い負担を強いることにもなる。僕の力不足だ。

 

ブライト艦長の顔色は悪い。白い顔をしている。情報部はまだ連れて来なかった。艦長室に情報部部員を入れれば、それだけで他の艦載員に異変を悟られる。何かがあった、と知らせて回るようなものだ。それさえ、知られてはいけない。

僕とブライト艦長が2人きりで話すのはよくあることだから、まあ、怪しまれはしない。

 

ブライト艦長の体調と判断次第で、この報告は僕とブライト艦長と情報部で、握りつぶさなければならない。それほどの、秘匿性と問題性の高い報告だった。

エゥーゴの指導者ブレックス准将の護衛計画は、決して外部に知られてはならないものだった。

 

「情報部が傍受した無線です。平文だった、と。ラーディッシュとグラナダのウォン・リー氏が交わした会話内容の書き起こしがこちらです。」

 

僕は、情報部からの報告書を手渡した。絶対に、平文で流して良い情報ではなかった。

特に今回の地球連邦政府総会でブレックス准将は、ティターンズのフォン・ブラウン市制圧とグラナダへのコロニー落としに関して批判的報告を上げるはずだった。

その後、准将がどうなろうが僕が知ったことではないが、せめて、ティターンズ批判くらいはしてもらわなければ、エゥーゴの意味がない。

 

「ブレックス准将の護衛計画なんて話は、アーガマでは把握していないんだぞ。クワトロ大尉と共に地球連邦政府の総会に出席するとは聞いてはいたが。」

 

「そのクワトロ大尉がブレックス准将の護衛兼秘書に選ばれていたようですね。たかが、MSパイロットが護衛をするほど人材と人脈がない、とティターンズにそう捉えられた可能性は高いです。」

 

おまけに、そのパイロットは戦場から会場へ直行している。月から地球へ。

クワトロ大尉自身が、その予定をウォン氏に伝えていた。果たして、万全な体調で護衛できるか?と言えば、普通なら難しい。

 

そもそも、パイロットの職責で護衛するならMSが必要だ。生身で護衛する訓練でも受けていたなら別だが、クワトロ・バジーナ大尉の、シャア・アズナブルの経歴を考えれば、訓練を受けていたとは思えない。何と言ってもジオン公国軍だ。

一般的な訓練課程では受ける訓練ではないし、そもそも重要人物の護衛には事前調査や人数が必要だ。専門の教育課程を受けた人間が、多数必要だ。それを、護衛計画をエゥーゴの旗艦アーガマの艦長にさえ機密にしている。

 

僕では判断しようがない、異常事態だ。

 

「会話内容から、そう考える人間が、1人でも出たなら。」

 

僕と情報部の最大の懸念は、それだ。バスクがこの情報を知り、ブレックス准将の護衛が少ないと考えたのならば。

ブライト艦長もその可能性に気づいてくれたらしい。ブレックス准将の護衛はプロではないし少ない、そう、考える人間が出たのならば。

 

「…ブレックス准将は2日目の総会に出席されていません。クワトロ大尉が代理で出席されていますが。」

 

「エグザべ中尉は、ブレックス准将が、殺害された可能性があると?」

 

ブライト艦長は流石だ。分かってくれたか。

 

「断言はできませんが。敵の、バスクの立場になって考えてください。エゥーゴの増長を妨げるのに、一番楽だと考えるのでは?」

 

むしろ、総会の会場ごと爆破しなかっただけ、バスクにしては理性的だ。ブレックス准将の腹心になるクワトロ大尉を殺していないことも、バスク・オムらしくない。

 

よほど、ソーラレイに執心しているのか。ブレックス准将さえ殺せば、エゥーゴを解体できると踏んでいるのか。

だが、バスク、お前の情報はもう古い。ソーラレイに夢中で周囲からも人材が消えているようだな。バスクミームのせいでもあるのか?

 

宇宙移民をガスで殺し、コロニーを、人の住む場所を兵器に変えたギレン・ザビの猿真似をして、何がしたい?バスク・オム。ティターンズ内部からも信用されていないのに、何ができる?

 

ブライト艦長は会話の書き起こしを何度も読み直している。

 

「可能性は、高い。バスクなら。いや、ならば、クワトロ大尉は何故無事なんだ?バスクなら会場ごと爆破してもおかしくない。30バンチさえ起こした。グリーン・ノアも強引な手段で……ティターンズへの恐怖心を煽るためにエゥーゴの支持者を全員殺しても不思議ではないはずだ。どうして?」

 

同じ結論が出たか。

ブライト艦長は、実際にバスク・オムに会ったことがある、と言っていた。バスクはそういう人間だとブライト艦長も認識している。

 

「そこまでは、わかりません。クワトロ大尉はいつ頃、こちらへ合流を?」

 

僕としては正直、ダカールで憲兵に捕縛されていてほしいが、地球連邦政府の総会だ。その開催都市で憲兵が動いたとあれば、今後の地球連邦軍の信用にかかわる。治安の悪化が止まらなくなる。

ただでさえ、反ティターンズの気運が高まっているのに、地球でも本格的な内戦をされては、人はどこで生きればいい?

 

いや、ティターンズは解体されるべきで、バスクは軍事裁判で銃殺刑を受けるべきだ。それが正しい。

しかし、だからと言ってティターンズ憎しで、暴力革命をされては人類の生存圏の存続に関わるのだ。その後の人類社会はどうなる?暴力で他人を押さえつけ、騒乱だけが続いていくことにならないか?

 

エゥーゴに参加している僕が言っちゃおしまいだが、社会に対する信用がなくなってしまう。信用。

 

「いや、私では…ラーディッシュのヘンケン艦長に連絡を取ろう。とてもじゃないが、私1人で判断はできない。ヘンケン艦長はエゥーゴの古参で先任だ。彼にしか教えられていない情報もあるんだろう。艦長の私が直接会って、情報交換する必要がある。エグザべ中尉、報告に感謝する。ありがとう。あとは、私が引き継ぐ。」

 

変わらず、顔色が悪いが、ブライト艦長は気丈に言う。腕も震えているが、本当に大丈夫だろうか?本当に、この情報を握りつぶさなくて大丈夫だろうか。

 

「情報部も憲兵も呼ぶ。ヘンケン艦長と同席させるから、大丈夫だ。…最近、流動食で食事を済ませていると、整備士からもパイロット達からも聞いている。せめて今日くらいは、食事を取ってきてほしい。」

 

そう、ブライト艦長は信用できる。良い艦長だ。

ただのパイロットの僕のことさえ気遣ってくれる。それは、ありがたいことだ。そうだろう、エグザべ・オリベ。

信用には信用を返すんだ。それが、信頼関係を作る第一歩になる。

 

「お気遣いありがとうございます。ブライト艦長。これから、また忙しくなりますから、助かります。」

 

そう、忙しくなる。それを思えば、久しぶりの食事は本当にありがたかった。食堂でゆっくりできるのは、そうか、フォン・ブラウン市防衛線以来か。

 

コロニー落とし作戦後、取り逃がした2隻。観測班が追っているが、毒ガスG3を輸送船から受け取ったと、先ほど艦橋で報告があった。僕がブライト艦長と艦長室に移動する直前のことだ。

 

僕の予測はいつも甘いんだ。人の悪意がここまでのことをさせるとは思わなかった。

 




Zガンダム本編23話Aパートの会話部分。ほんの10秒くらいだけど、大問題だろ…
護衛計画ってバレたらダメに決まってんだろ!抜け道や穴、探されるに決まってんだから。

日本近現代史においては暗殺はよくあることだけども!!

ブレックス准将は生かしておく理由が皆無なので、ここでさようならです!!バイバーイ!!


肝心の護衛シーンでの俺の感想ですが
「…………え?クワトロ君、護衛対象から離れてどこへ…おま、お前!!え?宿泊地からも離れて、え?え??」
「犯行現場近くに目撃者もいる!!え?」
「それなのに、エゥーゴの大幹部であるヘンケン艦長もブライト艦長も詳細しらないままなのか!つまり、通報してない???」




シャア君は、というかキャスバル君は護衛されるほうであって、本格的に護衛したことないから。護衛対象から離れちゃいけないことも知らないんだ。

あと、護衛も本気でするつもりもなかったんだ。シャア・アズナブル、キャスバル・レム・ダイクンに戻ったら、そう「自由が無くなる」んだからな。
アムロに言った言葉は本音だろうな。
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