機動戦士Ζガンダム異伝 エグザベ・オリベ戦記   作:1スレ130番より愛を込めて

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G3ガス。

その使用を確実に止めるため、アーガマは再度戦場へ向かう。

しかし、その戦場を作るはずのティターンズの2隻の戦艦の士気は著しく低かった。

バスクは彼らの忠誠を試す為に、G3ガスだけを補給したのだ。
虐殺を以て、その忠誠を示せ、と。

地球に家族もいる彼らは非情な選択を取らざる得なかった…
得なかったのだ。


建て前

 

G3ガスは2年前に30バンチのコロニーの住民を全滅させた、国際条約にも禁止された毒ガス兵器だ。

簡単に作成できるものではないし、簡単に輸送できるものでもない。精製するための機材の部品1つでさえ地球連邦軍の管理のもとにあるはずだ。研究目的の利用以外は許可されない、はず…ティターンズ、どうやってG3ガスを保持しているんだ?30バンチの時もそうだ。どこから調達した?

 

このG3ガスはコロニー内部に垂れ流すだけで、コロニー内部のすべての人間2,000万人強を1時間足らずで殺すことができる。

少数のMS部隊だけで使用可能な強力な兵器だった。

 

無論、1年戦争でジオン公国も使用した兵器だ。

 

「サイド2の35バンチにティターンズ残存艦隊2隻が向かっているのは昨日、話した通りだ。サイド2宙域で観測班により、敵戦艦がG3ガスをティターンズの特別輸送艦から受け取っているのを確認された。ガス管は1機だけではある、が。」

 

ブライト艦長が艦長席でブリーフィングの進行を行っている。顔色は悪すぎるくらい悪いし腕に震えがあるが、艦橋にいる誰も、いや、艦載員の誰も彼を笑いはしない。ブライト艦長の責任感に敬意を抱くだけだ。ブライト艦長の、努力と責任感には頭が下がる思いだ。

 

「本艦以下6隻の味方艦は、これより、敵戦艦の追撃を行い、G3ガス使用前に確実にこれを撃破しなければならない。サイド2の市長には既に連絡を行っているが、住民の避難が間に合うかどうか。いや、避難が間に合ったところで、ガスが使われれば、住民は2年間もコロニーに戻れず、難民となるしかなくなる。コロニー1つが死んだも同然になる。ティターンズの面目のためだけに。…30バンチの悲劇の再現を許すわけにはいけない。」

 

ブライト艦長の声が緊張に震えている。

 

2000万人の難民。たとえ避難が成功しても、ガスが使用されれば、その難民たちの中から死者が出るだろう。犯罪被害者も加害者も出る。治安と平穏が悪化すれば必ずそうなる。平穏に暮らしていけるはずの民間人が、そう、なってしまう。

 

今の地球圏にこれだけの新たな難民を抱えられるだけの余力は、ほぼない。

 

老人や、子供たちから死んでいくのだ。それを知っているだろう、エグザべ・オリベ。

僕は、知っている。僕が運が良かっただけだ、ということを。

 

ニュータイプやオールドタイプなんて関係なく、僕はただ、運が良かった。

 

「サイド2もコロニーの護衛のためのサイド2護衛隊の戦艦とMS部隊を既に発進させている。が、地球連邦軍の払い下げ品、つまりは旧式艦だ。彼らには戦闘ではなく、ティターンズ戦艦2隻の動向を見張ってもらう。敵の位置情報などは彼らと光点滅信号で提供してもらうので、観測班だけでなく余力のあるものは確認を怠るな。」

 

あの光景を、悲しみを繰り返させないためならば、僕は敵戦艦も敵MS部隊も殲滅できる。もう見ないためにそう、必要ならそう、できる。

 

幸い、僕は一人ではない。それをカミーユに教えてもらっただろう。彼は、宇宙で僕を見つけてくれた。孤独ではないということは何よりの力になる。

 

きっと、できるはずだ。

 

 

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白いリック・ディアス。機体を真っ白にされたリック・ディアスは変則的な動きをしつつも、確実にこちらの、エリートであるはずの俺たちのMS部隊を、そのMSのコクピットをビームライフルで打ち抜いてくる。

 

気づいたのは、コロニーに向かって先行していたハイザックのコクピットが、ビームライフルで打ち抜かれたからだった。狙撃!

母艦からの警告も間に合わなかった。

 

畜生!G3ガスを守れ、だ?そんなにバスクが怖いのか!ここは戦場だぞ!

敵機を確認すると同時にもう1機やられた。

敵がいる前線で!敵以外に怖いものがあるかよ!牽制に撃つビームライフルさえ、悠々と避ける敵がいるのに!

 

散開して囲んで叩こうとしても、味方のかげに回り込まれ攻撃を封じられる。シールドさえ持っていない。左腕にビームサーベルを構えて、かげに回り込まれたマラサイのコクピットが切り裂かれた。

こっちが取り付いて接近戦で、と考えても動きが読まれている!死角に、味方の後ろに入りこまれる。

こいつ!俺達に、ビームライフルを撃たせないつもりで。

 

最初は6対1だったはずなのに!俺ともうマラサイ1機しか、あ!白の、ひか…り。

 

 

 

 

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G3ガスを携行したMS部隊は、敵戦艦の近くで片付けることができた。今後に及んで、ガス兵器を守ろうとして動きが鈍かったのが幸いした。ガスを運んでいるMS部隊が捕捉されれば、ガス管が壊されれば終わりの作戦だったのに、MS部隊はガス兵器を守ろうとした。

いや、途中で散開しかけていたか。…事前に敵前逃亡を禁止された、と見るべきだな。

 

建て前、か。

残存艦隊はティターンズの、バスクの命令に従いG3ガス作戦を実行したが、MS部隊が全滅したため達成不可能になった。降伏を選ばざる得なかった、という…味方に、MS部隊は全滅を望まれた。

 

2隻の敵戦艦も既に降伏をしている。MS部隊とG3は彼らの前で片付けた。最後のMSを撃破したのと同時に彼らは降伏した。

 

遣る瀬無いな。MS部隊は2隻の戦艦とバスクの面目のために…味方だろうに。地球連邦軍のエリートを自認しているティターンズであっても、士官教育が徹底できていない。

本当に、人手が、前線を知っている士官が足りていない。

ジュピトリスからパプテマス・シロッコが招聘されているのも、人手と経験ある士官が足りていないから、か。

 

パプテマス・シロッコといえば、この間、交戦したアンノウンとハイザックのMS部隊がいないな。

武装解除した艦隊のほうにいたのかな?いなくて楽できたけど、こうなると不安だ。武装解除した艦隊すべてを見て回る権限はないし、アンノウンもティターンズには複数台、卸されたんだろうし、パイロットの名前もわからない。

 

パプテマス・シロッコのジュピトリスは、本格的にMS製造と販売も始めたのかな?ルナリアンやグリプスのガンダムMK-Ⅱと競合することになるが、パプテマス・シロッコのことだ、勝算があるのだろう。

 

正直、パプテマス・シロッコが僕にあの新体系のMSをくれる、というのなら欲しいし、試運転とか模擬戦くらいなら参加費を払ってでもやらせてほしい、と思っている。特に彼自身が操縦していたアンノウン1。僕の愛機ほどではないだろうけれど、それなりに速度と機動性があるはずだ。

その上、どうして、変形があそこまで滑らかな動きでできるのか、ずっと気になっていた。たかが、パイロット程度ではわからない技術の真髄が詰まっているんだろうが、気になる。

 

平和な時代なら、1年戦争が無ければ、良かったのに。

 

コロニー護衛隊の光点滅信号が見えた。全コロニー異常なし、か。良かった、本当に良かった。

 

アーガマからも帰還命令の信号弾が撃たれた。

今日はカミーユにもファさんにも怒られずに済むかな?相変わらず、帰還するMSの援護を任せているが、疲れていないといいんだけど。警戒するって心も体も疲れるからな。

 

疲労や極度の緊張状態は、いわゆるニュータイプ、つまりパプテマス・シロッコの言う物のわかる人間には酷い負担になる。

思考が走りすぎて、疑心暗鬼に陥り、他者の悪い面ばかりを受け止めてしまうことになる。

 

それを本質と呼ぶ人も過去にはいたが、人間って多面的だ。冷酷になる時もあれば、花一つ虫一匹傷つけたくない時だってある。

 

誰だってそうだ。タンスの角に自分で足の小指をぶつけておいてタンスの存在を恨むような、そんなヘンテコなものの考え方を疲労と極度の緊張状態が引き起こす。

僕らにとっては天敵と言ってもいい。人類の天敵だ。

 

カミーユもシールドと機体の扱いがだいぶ洗練されてきた。もう急ぎ過ぎない訓練で済むレベルだ。

もちろん戦場には出さないつもりでいるが、一度カミーユと軽く模擬戦をしてみてもいいかもしれない。気分転換にもなるだろうし、咄嗟の防御行動ができているか確認もできる。さっそく訓練計画も見直さないと。

 

まあ、とりあえずグラナダへ帰ってからだ。休みを取ったらカミーユに提案してみよう。

 




G3ガス唐突に使いだすの止めてくれよ。
戦術上も戦略上も意味ないだろ、この作戦。とにかく、「ティターンズ悪!」を出したいんだろうが、あまり馬鹿はするなよ。


馬鹿倒してもスッキリ感ないだろ?日本人なら分かる感覚だと思うけど。


日本人は「頭いい奴、要領良い奴」をラスボスに持ってきたがるんだよ。日本向けストーリーに「馬鹿」はラスボスに向かないんだよ。カタルシスが無くなるんだ!

「あいつ馬鹿なんだから許してやれよ」って言うセリフよくあるだろ。俺は嫌いだけど、こういう言い訳。
物語の終わりでしまらなくなるんだよぉ!敵が、馬鹿だと!!

以上、愚痴でした!!
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