機動戦士Ζガンダム異伝 エグザベ・オリベ戦記   作:1スレ130番より愛を込めて

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1年戦争から7年経った今、ブライトは戦艦アーガマの艦長へと着任した。

英雄ブライト・ノアの名を背負って、再び戦場へ。

そう、戦場へ戻ってきてしまったのだ。

人が殺し合う場に。


ブライト・ノア

情報部のヌー曹長は、エグザべ中尉にジュピトリスへの『お土産』を用意するように『お願い』されて、中尉をお土産にしようと提案したらしい。

カミーユ・ビダンが私にそう、報告してくれた。

 

ブライト・ノア、お前がアーガマの艦長で、先日、実質エゥーゴのトップになったからだ。

 

…勘弁してくれよ。

 

まだ、体も心も本調子ではない。

グラナダに入港しているアーガマから休日は降りて、妻とハサウェイとチェーミンと過ごせるくらいには回復したが。それでも、私の子供たちを見ると、気づけば涙が頬を伝っている。

それを子供たちに言われて初めて気づくのだ。

 

まだ、幼い子供達にこんなに心配をかけて、私は何をしていたんだろうか。何を考えていたんだろうか。

私が幼い時、この子たちくらいの年齢の時、父は私に何をしてくれた?休日くらいは一緒に過ごして、遊んだり話したりしてくれていたじゃないか。仕事も忙しかっただろうに、家にいる時は私の話をしっかり聞いてくれて、キャッチボールだってしてくれていた。

父の偉大さを、ようやく知った。

 

テンプテーションが、何が閑職だ。閑職、万歳じゃないか!

 

子供たちと過ごす時間を、なぜ今まで無駄にしていたんだ、ブライト!こんなに私のことを愛してくれているハサウェイとチェーミン。私の可愛い子供たち。

 

それにようやく、ようやく気付いたというのに、気づけたのに、私は戦艦の艦長となり、地球連邦軍の一派閥の実質的なトップになっていた。

もちろん、エゥーゴ全体の代表であれば別だ。つい先日、地球連邦軍中央参謀本部直属即応特殊作戦軍団エゥーゴとなったのだ。代表は中央参謀本部に所属しているエンリコ・ハイマート少将になる。

どうして、こんなことになったのだろう。ブレックス准将がダカールで殺害されていたという報告を受けた後には、このような状況に置かれていた。

ハイマート少将からは、自由にするとよい、とだけ言われてしまっている。

 

本当に、本当に私の自由にしていいというのであれば、休日が、子供たちのために欲しい。

 

今も、エグザべ中尉の作った情報部と憲兵の治安維持活動のおかげで最低限の休日は確保できている。少なくとも出撃が無ければ1ヶ月に2日は家族と過ごせる予定になると、情報部はそう算段を立ててくれた。

エグザべ中尉の働きありきで。

 

彼とカミーユ・ビダンとファ・ユイリィはアーガマから降りられない。シャア・アズナブルに身柄を狙われているからだ。だから、エグザべ中尉には実質、休日がない。自分がしてきたことを思うと、罪悪感で眠れもしなかった。

 

そのうえで、本当に本当に心から、悪質な冗談だろうとわかってはいてもヌー曹長の言葉だ。

 

勘弁してくれよ!!頼むから!

 

胃が痛いのは、もはや常だった。誰も私の胃に穴が開くことをトトカルチョにはしてくれるなよ。

 

憲兵には入念に頼んだ。首に縄をかけてでも、お願いだからエグザべ中尉を必ず連れて帰ってきてほしい、と。ヌー曹長は置いてきてもいいから、中尉だけは必ず頼むと。彼らの仕事ではないことはわかってはいても必死に頼んだ。縋りつきさえした。

 

なんせ情報部から出向くのがヌー曹長だ。他に頼み手がいない。

 

アムロ?アムロを宇宙に出すだなんて、そんなバカげたことは、二度としたくない。何より、彼もシャア・アズナブルに狙われているし、憲兵も警察組織もグラナダ市の大掃除が終わるまで護衛を外さないし、グラナダ基地から出さない、と宣言した。

 

カミーユ・ビダンとファ・ユイリィもその範囲にいたが、社会見学でジュピトリスからの許可が通ってしまったのだ。それを受けて、憲兵も許可してくれた。

パプテマス・シロッコ大尉。こちらの気持ちを分かってほしい。かつての無礼は伏して謝る。謝るから、なんで許可してくれたんだ。

 

ハサウェイ、チェーミン、愛しい我が子たち。どうか、どうか父の失敗を繰り返さないでほしい。争いを収めるためなどという美辞に誑かされて、争いを肯定する愚かな大人にはならないでほしい。

 

私は、愚かな人間だ。護るべき自分の子供たちを忘れ、彼らの未来を騒乱の世に変えてしまうところだった。

 

軍人なんて閑職でいいのだ。自分の子供を両腕に抱え、休日は家族サービスでつぶせるくらいの閑職でいい。

 

早く戦争を終わらせたい。そうでなければ、私は帰れない。

あの子たちが無邪気に笑ってくれる日常に帰れない。

 

私も、アムロも、カツも。早く帰りたい。今はただ、それだけなのだ。

 




ブライトが閃光のハサウェイを阻止したRTA 編

これで、ハサウェイはマフティを名乗らない。そういうルートが開いた。RTA完

胃が痛まないとは言っていない。苦労しないとも言っていない。

だが、クェスとは出会っても出会わなくても、もうハサウェイはマフティを名乗らない。

ブライトはこれからも、のたうち回るし、苦しむだろうが、親をやっていく。ただそれだけでいい。




ハサウェイ君、肉欲断ちたいんだって?
多分、ハサウェイにとって英雄ブライトはそういう存在なのかもな。父ではなく英雄。
あまり会えない。常に家族より世界平和優先。尊敬される軍人。英雄の名を背負って政治家さえも目指す。
そんなブライトの経歴の汚点となったハサウェイ。
素直にCCAの後で服役してれば、多少は変わったんだろうなハサウェイの心境も。
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