機動戦士Ζガンダム異伝 エグザベ・オリベ戦記   作:1スレ130番より愛を込めて

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脱出

 

 

 

 

さらば、グワダン!さらば、アクシズ!

 

キュベレイのコクピットの中、私の胸にはミネバ様がおられる。ようやく、この腕に、私の胸に抱くことができたミネバ様。

もう、ザラザラするという感覚も、怖いという感覚もないだろう。そのような恐ろしい思いは私が、このハマーンが二度とさせない。

分かってくださっているからこそ、私に微笑みをくれているミネバ様。

 

グワダン格納庫に、キュベレイのコクピットにお連れした際も私に抱かれてくださった。煙幕だって、大人の、侍女や兵士の怒鳴り声だって恐ろしかっただろうに、私を信じてくださった。信じてくれた、大切な子。もう、恐ろしいものは無い。

 

キュベレイはガザCの、セラーナとマシュマーの速度にも合わせてアーガマに向かっているのだ。ガザCはそう、早くは動けない。キュベレイよりも遅く、そして圧倒的に脆いのだから。

 

マシュマー、健気にもしんがりをガザCなんぞで、務めようと。

追手が迫れば、意味も無いことを。いや、己を犠牲にした囮さえ考える健気な子だ、マシュマーは。今、私たちに大人しくついてきてくれているのは、マシュマーの成長、か。ガザC1機程度では囮も意味が無いことを分かったか。

地球圏へ戻ってくるまでは幼い子供とばかり思っていたが……いや、遅い成長だが、よくやってくれた。よくわかってくれた、マシュマー・セロ。

 

しかし、ガザCに合わせた遅さでも、もう怖くないのであれば、恐ろしく感じないのであれば、ミネバ。

もう、そう呼べる。ようやく、遅くなったけれど、呼べる。

 

MSでアーガマにランデブーをすれば、即座にアーガマから着艦許可が下りた。こちらは武装も外していないというのに剛毅なことだ。罠だったらどうするつもりだ?ブライト・ノア。

それとも、これが地球圏のニュータイプということか。

 

アーガマに来るまでに、グワダンにまとわりつく、1本の白い糸を見た。細くて白い糸。白い糸がグワダンに傷を与えていく。主砲を、左舷の副砲を破壊していた。糸が通った後にグワダンで爆発が起こる。

あれが、ルウムのエグザべ・オリベ。頼りないが、グワダンをあの場に縫い留める白い糸。

 

「ミネバ様、いえ、ミネバ。もう大丈夫です、大丈夫。」

 

アーガマの格納庫に入り、コクピットを開ける。

そう、憲兵やクルーは私たちを銃を構えて囲んでいた。全員ノーマルスーツを着ているが、怖くはなかった。私たちはMSでアーガマの格納庫にまで入っているのだ。空気だってある。

 

私たちを囲む人々も、ミネバを、子供を見れば、銃を下す。

その中で1人、私に手を振る少年がいた。あれが、カミーユ・ビダンか。それが分かった。お前も、私を恐れなかったな。ガザCを、アクシズを恐れなかった少年、カミーユ。

左腕にミネバを抱えたまま手を振り返す。

 

私が、そうしていた。カミーユに手を振り返していた。

そうか、私はずっとこういうことをして生きていきたかった。だから、今、そうしたのか。手を振り返した。

ずっと、こういう事をしたかった。微笑んで、人と手を取り合って、家族を抱きしめて、生きていきたかった。

 

「姉さん!!」

 

セラーナも私の腕に飛び込んできてくれた!

セラーナ!ミネバを抱いた私の正面から抱き着いてきた愛しい妹。涙が見えた。あなたはずっと泣いていた?そう、ごめんなさい。私、気づかなかった。姉なのに、家族なのに。

これからは、必ず、気づいて見せるから。

 

左手でミネバを抱きしめ、右手でセラーナを抱きしめた。

 

ああ、温かい。私の両頬も温かく何かが流れていく。そうだ、涙も温かいものだった。

 

 

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見たことのない丸みを帯びたような形のMSのコクピットから出て来た女の人と女の子、ハマーンさんとミネバに手を振っていたら、横からファに耳を引っ張られた。ヘルメット脱いでたからか。油断した。痛くはないけど。びっくりするだろ!

 

「本当に、あんな小さな女の子が、ミネバ・ザビ?」

 

僕、カミーユはエアハッチの入り口で、ファと並んで、アーガマに着いたアクシズの穏健派4人を出迎えていた。

まあ、僕とファは野次馬に来たんだけれど。というか、本当はエグザベさんのギャン改-Ⅱの戦闘を見に来た。エグザベさんはハンドサインをギャン改-Ⅱで出した後、さっさとカタパルトに乗って行ってしまった。僕とファは整備班の休憩室なら戦闘映像が見られると思って格納庫まで来たのに、休憩室は閉まってて入れなかった。

アストナージさん達が暇そうなら訳を聞こうと思ってエアハッチで待っていたら、この騒ぎだ。

 

ハマーンさんたち、本当にすぐアーガマに追いついてきた。必死だったんだ。それがわかった。

 

「多分。でも、もう、ザビとは名乗らないよ。ファだってわかるだろ?」

 

「それは、わかるわ。カミーユ、あなたがあの女の人に見とれてたのも私にはわかってる。カミーユったら。」

 

「言いがかりだ。」

 

それは本当に言いがかりだ。誤魔化すようにエアハッチに入ってきたハマーンさんに手を振った。ファも一緒に小さく手を振ってくれた。

 

今度は女の子、ミネバだけが手を振り返してくれた。はにかんだ笑顔だ。

 

4人のうち、1人だけ男の人がいて、通り過ぎざまに振り返って僕を睨む。ああ、あいつ、僕が羨ましいのか。顔の表情で分かった。

 

「ほら、あの人だって、カミーユが鼻の下伸ばしてたの、分かってるじゃない!」

 

「違うって、あいつ、ミネバが笑顔だったから僕に怒ったんだよ。」

 

ファにひそひそ、そう話した。そういうことだろう。ミネバは普段あんまり笑わない子なんだ。見たらわかるだろ。

 

「何よ!カミーユ、エグザべ中尉さんの部屋で寝てたこと、私が中尉さんに言っても良いのよ!あちこち探したんだから!」

 

「そ、れは!言わないで欲しいけど!…そもそも、エグザべさんが怒るわけないし…怒られないよな?」

 

「知らない!まずは、私に、ごめんなさいって言うのがマナーでしょ!カミーユ!」

 

「はい。ごめん、ファ。」

 

逆らえないよな。僕は、ファにクッションでさんざんに叩かれて起こされた。

エグザベさんがグワダンから帰ってきたのに、僕がファと一緒におかえりを言いに行かなかったからだ。ファは僕を心配してアーガマ艦内をさんざん探し回って、僕が第2の部屋で寝ているのを見つけて激怒した。しばらくは強く出れない。

 

エグザべさんに仲裁してもらおうかな。

 

 

 

 

 

ハマーンさん達はアーガマに来た直後から、情報部は大忙しだったらしい。

カミーユはハマーンさん達を見送った後、艦内放送で情報部に行くようにブライト艦長に言われた。ブライト艦長からの『お願い』だった。

エグザべさんのギャン改-Ⅱ、見たかったのに!わざわざ、パイロットスーツまで着たのに!!

 

「ああああ、格納庫はエアハッチが8つあって左右4つ手前に4つ上階と下階同数で左舷カタパルトから侵入して手前の左舷格納庫上階奥から内部へ格納庫の大きさは奥行き100メートル高さ40メートル横50メートル位置はグワダンの鼻先ジオン公国マークの下。」

 

ヌー曹長がノンブレスで何か言ってる。グワダンから帰ってきてから、一休みしたヌー曹長の横で、取り合えず口から出す言葉をパソコンに打ち込むようにって情報部の人に言われた。今日一日、僕はヌー曹長の助手だからって。

 

いつの間にか、助手期間が延びていた。大人ってさぁ、これだから嫌だ。

 

この、上を向いて白眼を向いたまま、口だけを動かす人の世話はしたくないって他の情報部の人にも言われた。なんで、大の大人の世話を僕がしないといけないんだ?大人なんだから、しっかりしてくれよ!

ついてきてくれたファは僕らから離れたところで、コーヒーと水を他の情報部員に配っている。お礼にお菓子までもらって!ずるくないか?不公平だ。

 

「エアハッチ奥行き400高さ350横600センチから廊下へ移動グワダンの扉の規格は横120縦250センチでエアハッチ出て廊下を左に移動廊下は奥行き200横300センチ謁見の間まで30メートル扉は両開きドア規格高さ320横460センチドアマン2人いて玉座は右手奥扉から20メートル謁見の間奥行き20メートル横35メートル高さ18メートル白い鳥が2匹違う鳩じゃないでかくて首の長い白い鳥。」

 

音声記録も撮っているけれど、結局書き起こしするからって僕に任せるの、これって良くないことなんじゃないのか?だって、こういうの軍事機密ってやつだろ?僕みたいな子供に聞かせることじゃないでしょ!

ヌー曹長は無駄に肺活量があって口が回るから、書き起こしてる僕は手を休める暇もない。

なんだ?白い鳥って?本当に戦艦に居るものなのか?ヌー曹長の幻覚ではなくて?白い鳥が戦艦に居るって何の意味があるんだ?後でエグザべさんにも聞いてみよう。

 

「玉座の間は奥行き500横1000縦1500センチ中央に玉座でミネバの侍女が5人に老執事1人護衛の兵士が玉座下に4人謁見の間扉両隣横に6人の兵士正面に2人の兵士に囲まれたアクシズのミネバ摂政ハマーン・カーン扉から幅460センチの絨毯がエル字に玉座に伸びている赤いじゅうたん金房の縁取り羊毛ではない踏んだ感触が違う。」

 

羊毛とイミテーションって踏んだ感触が違うのか。初めて知った。ヌー曹長は本物の羊毛の絨毯踏んだことあるんだな。すごい人だ。何したら本物の羊毛絨毯なんて踏む機会があるんだか。

 

その後もグダグダ口から情報を垂れ流すヌー曹長の言葉をひたすらパソコンに手打ちして、僕はアーガマに新しく来たお医者さんから腱鞘炎と診断された。おじいちゃん先生だ。湿布を張ってもらったけれど、痛み止めはくれなかった。

 

次の日、腱鞘炎になったことの文句を情報部に言いに行ったけれど、情報部って楽しい仕事だよって、ヌー曹長も他の情報部員も笑顔で僕に言ってきた。というか、それしか、言わなかった。僕が何言っても、壊れた機械のように、それしか言わなかった。

 

これだから、大人って!!

 

 






オリキャラのヌー曹長の使い勝手の良さときたら…
あ、メートル法採用してます。ヤードポンドは殲滅しました。独自設定です。
ついでにガロンとかも殲滅しとこうぜ!

スレでここ書いたときに文書抜けがあって、本当に皆に申し訳なかった。ちゃんとした文に直した!ヨシッ!!(現場猫)


閑話なんだけど、カミーユがΖ本編や小説版で、スケベなのは精神と環境が不安定過ぎるのもあると思うんですよ、自分は。
ファの胸、堂々と覗いたり、ロザミィの裸、見て赤くなったり。ファの太ももに挟まって安心したい、とかいう小説版の部分だったり。
特にアーガマの環境がね。戦艦の中って、おちおちピーーーーピーーーー(規制)


弊SSのカミーユも、そういうスケベは考えるんだろうけど、誰かといるときはそこまで振り回されてない感じ。自室では知らん(弊SSカミーユの行動が幼いことの言い訳)

ヌー曹長も子供扱いしてくるから大人向けブロマイドとか入手の抜け道とか、カミーユにくれないもんな。当たり前に。
エグザベ??わからん。あいつ、性欲あるの??いや、ないならないでヤバいから、カウンセラーにでも相談してもろうて……カウンセラーと医者が足りない?うん、まあそう。
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