機動戦士Ζガンダム異伝 エグザベ・オリベ戦記   作:1スレ130番より愛を込めて

49 / 138
呪い

 

 

敵MSはガザCと言う名称であることは、グワダンでハマーンから聞いた。そうだな、火力は悪くない。でも、それだけだ。

 

ギャン改-Ⅱを狙って、ビーム砲とでもいうのだろうか、強力なビームライフルを放ってくるが、偏差撃ちもギャン改-Ⅱの進路を絞るような射撃してこない。チームとして部隊として機能していない。

パンジャンドラムすら使わなくて良いくらいの拙い動きだった。

使うけど。

 

ガザCは耐久力も装甲も薄い。見ればわかる。整備班でもない僕でも分かるような装甲の薄さが分かる。

近接戦闘を想定していないMS。いや、そこまで訓練できる資源が、人材が無かったのか。だから、火力以外の要素を切り捨てた?

 

一番手前にいるガザCに、正面からぶつかる僕にすら対処できていない。

敵が近くに来ないことが前提のMSか。中距離から遠距離で敵を排除することが前提のMS。

 

パンジャンドラムにぶつかったガザCは、そのまま弾かれた衝撃で流れた後、爆発して消えた。パンジャンドラムだけで。

 

教官の言葉が蘇る。壁にも成れず死んでいったジオン公国の少年兵たち。

 

戦友たちと英霊の血と涙と骨で書かれた戦訓。

 

残りのガザCは15機か。

接近されて、同士討ちを避けるために、僕を攻撃すらできない。とっさに散開もできていない。そういう訓練さえ、敗残兵たちはしてこなかったのか。

いや、ガザC部隊のパイロットたちに教えてもいないし、彼ら自身も教わってもいなかった。それが、分かった。分かりたくないことだった。

 

シャア・アズナブル、アクシズにいたはずだろう。お前はアクシズにいた。

ビームライフルやビームサーベルは地球連邦が最初に開発して、ジオン公国はその後塵を拝した。その威力の恐ろしさを、近接戦での戦訓を、1年戦争で連敗を続けていたシャア・アズナブルこそが、それを指導するべきではなかったのか?

 

いや、地球連邦と戦争を起こすことを避けるように、アクシズを指導するべきだった!地球圏で争いを起こさないように、死力を尽くすべきだった。

それさえも投げ出して、地球圏に逃げてきてまで、MSパイロットだけをしていたかったとでも言うのか!!

 

お前は!!残された敗残兵たちは!!人間を何だと思っている!MSの部品ではないんだぞ!!

 

ふざけるな!

 

ギャン改-Ⅱののビームサーベルで撫でるようにしただけで壊れるガザC。

 

ガザC部隊の周囲を高速で移動し続ける僕を見失っている。

ガザC3機、下方から上方にすり抜けざま、パンジャンドラムとスラスターの働きでギャン改-Ⅱを高速右回転させビームサーベルで切り捨てた。3機につけた、らせん状の切り口にから爆発が起こり、近くにいた一機も誘爆した。

 

仕事だ。

本当に嫌な、嫌な仕事だ。

 

せめて、このガザC部隊は全滅させないといけない。異変に即応できた、拙いアクシズの兵士の中の上澄みだからだ。

 

「戦争は!!嫌なことなんだよ!!」

 

急制動、反転、姿勢制御を兼ねてギャン改-Ⅱで大きくビームサーベルを振るう。肺からまた空気が抜けた!

 

くそ!!あばらも痛めたか?!

 

複数のガザCの隙間を縫うように突貫をかける。大丈夫だ。敵の攻撃が見える。見えているのであれば、当たらない。そう、訓練してきた。

 

ギャン改-Ⅱが通った後には爆炎だけが残る。これも訓練の成果だった。

 

いや、本当なら、彼らがしっかり訓練を受けた一人前の兵士であったのならば!!

 

息を吸う。

 

そう。そうでなかったというだけの話だ。残党にはよくあることだ。

 

武器さえあれば、MSさえあれば、数だけいれば、コロニーや衛星さえ落とせば、などという馬鹿げた幻想に憑りつかれて、僕らを憎んで死んでいった。

 

恨んで、呪った。

 

馬鹿馬鹿しい、反吐の出る考えだ。

 

戦争を起こそうという人間は、僕が、軍が倒す。僕の友人、パプテマス・シロッコの手も汚させない。カミーユの未来に、子供たちの未来に、そんな思想を持った人間は残してはいけない。

 

人類の未来に必要なのは、命に敬意を払うという行動だ。

 

僕も、ガザCのパイロット達の命に敬意を払う。そう、君たちの死を、僕が君たちを殺したことを無駄にはしない。必ず、僕は、軍はアクシズの暴走を止める。どんなに時間をかけてでも。

 

アクシズをジオン公国の拠点ではなく、資源採掘用の小惑星へと戻す。人類の存続と発展の象徴へと。

 

僕の力だけではできないが、地球連邦とジオン共和国とコロニーが、そう思えるように変えていってくれるだろう。

 

そのためになら、僕は君たちの命に敬意を払って、君たちを殺せる。それを成すのが、軍人のエグザべ・オリベだ。

 

僕を、呪えばいい。

 

僕も、ルウムも、あの1年戦争で死んでいった誰もが、その後に死んでいった誰もが、皆が戦争を呪っている。

 

 

 

 

 

 




柄の長いビームサーベル

片手剣の柄を長く持つか短く持つか、という戦法は実際、剣道で使っている方がいるのを参考にしました。片腕というハンディキャップを持ちながらも、彼が独自に磨いた素晴らしい剣術でした。
短く柄を持つことにより、竹刀の振りが早くなります。長く持てば、間合いが伸びます。実際の試合を見て思いました。強いと。
この方がどれだけ稽古を重ね、工夫を凝らしてきたのか。凡人の自分にはわかりませんが、この素晴らしい剣術をもし生かせるのであれば、ガンダムで活かしたいと思いました。エグザべ中尉はその夢を叶えてくれた。アムロもできるだろうけど、別にビームサーベルに拘らないだろうから。



ここの部分スレとほとんど変わらない。戦闘シーンの加筆ができぬ雑魚は俺ですぅ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。