機動戦士Ζガンダム異伝 エグザベ・オリベ戦記 作:1スレ130番より愛を込めて
アムロ・レイは、カツと、時間の許す限り面会することを続けていた。
エグザベ・オリベ中尉からの勧めでもあったが、アムロ自身もカツを放っておけなかったからだ。
1年戦争の、ほんの数か月しか一緒に居られなかったけれども、カツは確かにアムロの戦友であり、そして親を故郷を亡くした同じ子供だった。
同じ痛みを持っていた。
ブライト、まだ、ベットにいる時間のほうが長いのか。
艦長室に通され、憲兵の立会いのもと、俺はブライトのベットの横に置いてある椅子に座った。早くもここが俺の定位置になってしまったな。
グラナダ基地での俺の定位置だ。
アムロ・レイの、俺の訪問を喜んでくれる人間は、本当に少ない。今更になって俺は、それを知った。
俺がニュータイプであること、とは無関係で少ないということを。
俺は、この7年間、何をしていたんだ?地球連邦軍に監視されていたことを言い訳に、ただただ無為に過ごしていただけじゃないのか?
他人とのかかわりを拒絶する言い訳に、軍の監視を使っていただけじゃないのか?
俺は、俺に賞金が懸けられていたことも知らず、守られていたことも知らず、身近な疑問さえも尋ねないまま、いつの間にか自分の周りから他人を排除していただけの、排他的な人間になっていただけじゃないのか?他人を、見下す人間に。
俺は、俺のことなのに、何もわかっちゃいなかった。今もわからないままだ。
カツと話をして、それを分からされた。
ブライト、俺は本当に、何にもわかっちゃいなかった…
「ブライト、笑ってくれ。さっき、カツに殴られたよ。当たり前だな、俺はシャア・アズナブルがあいつの両親の、いや、俺の父の仇であることも忘れていた。シャアがニュータイプだということだけに囚われて。カツには殴られるしかなかった。泣いていたのに、あんな強い子が。…俺は何も言えなかった。」
そう、俺は、ニュータイプに囚われ過ぎていた。
他人をいつの間にか、ニュータイプとオールドタイプ、味方と敵に分けすぎて見ていた。
他人の心に鈍感になって、人の痛みに寄り添えない人間が、俺がニュータイプと名乗っていた。そして、分かり合えないと思った人間を排除しようとした。軍の監視とだって、同じ屋敷に居たのに話し合う時間さえ、設けてこなかった。
俺の身の回りの世話を何でもしてくれていて、「おかえり」も言ってくれていたのに。フラウ達が来た時も俺に文句も言わずもてなしてくれた彼らを、分かろうともしなかった。
いや、他人と分かり合おうともしなかった臆病な人間がアムロ・レイだ。
敵を排除することしか考えられないカラバを、ハヤト・コバヤシを、カツを止めもしなかった。
むしろ、助長していた。馬鹿な男だ。
「カツ、あいつは生まれてくる兄弟に、フラウの赤ちゃんに平和な時代を作ってやりたかった、と。戦争を起こす人間を全て殺せば、それが訪れると信じていた。本当に、信じ込んでいるんだ、今も!俺は……ブライト、俺を笑ってくれ。俺は、カツさえ1年戦争から、まだ帰してやれていない。」
ブライトの顔さえ見られない。ブライト、苦しい時に俺から、こんな話を一方的に聞かされて…俺はそれでも、ブライトにしか、ブライトくらいにしか弱音が吐けない。
アムロ・レイは無力な人間だ。愚かな人間だった。ララァ・スン、貴女と分かり合ったという経験を、貴女を殺してしまった苦悩を俺は自分の糧に、人類の糧にできなかった。
ただ、この7年間悲しみに浸るだけで、貴女の死に、命に敬意を示せなかった。今も、その方法がわからないままだ。分からないまま、生きて来た。
「誰が笑うものか。私の方が、酷い人間だ。アムロ。たった15歳のお前を、私はガンダムに乗せたんだ。戦場へ向かわせた。命を何度も危うくした。お前を殴ったこともあったな。酷い人間だよ、私は。カミーユ・ビダンにも命を懸けさせようとした。何度も同じ過ちを繰り返す酷い人間だ。」
ブライト、また泣いているのか。いや、泣いているのは俺も、か。膝に温かいものが広がり、それと分かる。涙が、温かかった。
「シャア・アズナブルがキャスバル・レム・ダイクンだと明かした。エグザべ・オリベ中尉とハマーン・カーンに。憲兵からも参謀本部からも許可が出た。私は、今まで大したことではないと思って、黙っていた。酷い過ちだった。」
「いや、俺だって黙っていた。セイラさんのこともある。そんなに大騒ぎするほどのこと……いや、俺は他人に対して冷たい人間だ。俺では、わからない、か。カツのことさえ分からなかった。」
そうだ。カツが、地球で鬱屈しているなんて、俺の勘違いだった。
あいつは、養母と養父に、フラウとハヤトの間に本当の子供が生まれることを知って、自分の居場所を失くしていた。だから、赤ちゃんに平和な時代を用意して、それをカツ自身の居場所にしたかったんだ。
平和をもたらした英雄。かつてのガンダムパイロットの『アムロ・レイ』のように。
カツは、ただの可哀そうな寂しい子供だった。
アムロ・レイを、立派な人間なんだと思い込んでしまった。俺は、ただの愚かな人間でしかない。優しくもない。英雄ですらなかったのに。
ただ、あの戦争を生き残った人間でしかなかった。
それを、そんな子供に俺は、フラウは、ハヤトは、……取り返しのつかないことをさせてしまっていた。
「エグザべ中尉は、シャア・アズナブルがアクシズを地球に落とすと確信した。ハマーン・カーンもエゥーゴの情報部も、だ。参謀本部には報告書を出したが、恐らく彼らは最初から予測していた。エゥーゴにクワトロ・バジーナが参加した当時には分かっていたから、正規兵が少なかったんだ。正規軍でもなかった。私は、キャスバル・レム・ダイクンの名が、そんなに大事を招くと欠片も思わなかった。お前を、アムロをガンダムに乗せた時のように。…こんなに大事になるだなんて。」
ブライトの、その言葉に俺は何も返せなかった。
セイラさん。もう7年会っていないセイラさん。彼女のことしか考えられなかった。
「私は、何もできない。ブライト・ノアはなんで、こんなにも何もできないんだ。……カミーユに、ファに何といえばいい?クワトロ・バジーナがシャア・アズナブルだなんてことは知っているだろうが、キャスバル・レム・ダイクンだったなんて。ジオニズムを支持して、地球を人類の住めない土地に変えようとしているだなんて。何も知らずに、その一助をしていただなんて。言えるわけが、言っていいわけがない。カミーユもファも、グリーン・ノアでのガンダムMK-Ⅱ奪取作戦に巻き込まれて、両親を亡くしているんだ。それなのに、それなのに。」
ブライト。お前は立派だよ。
俺は今、カツのこともカミーユのこともファのことも考えられなかった。
ブライトは、本当に親になったんだな。子供の親に。
子供の気持ちに寄り添える、父親になったブライト。
一番に子供のことを想える父親に成れたんだな。
父。…父を、テム・レイを想った。
父さん。俺はシャア・アズナブルを憎み切れなかった。あなたの死のきっかけになり、俺が戦場へ向かった原因だったのに。
何度も命を狙われ、戦友たちも死んだ。殺された。父が遺してくれた『ガンダム』が無ければ俺だって死んでいた。
それだというのに、俺は奴を憎み切れなかった。ア・バオア・クーでシャア・アズナブルを殺せなかった。
それは、地球を死の星へと変える人間だ、と言われている今でも、そうだ。
何故。ララァ・スンを戦場へ連れ出し、俺に殺させたシャア・アズナブルを憎み切れないんだ、俺は。
父の、ララァの、戦友たちの、俺自身の仇だろう。
地球とコロニーで大虐殺をしていたジオンの兵だ。佐官だ。
知識では分かっている。分かっているのに、どうして憎い、と思えないんだ。
涙をぬぐい、息を吸った。喉が、痛むな。目も痛い。重いもの吐き出す。
俺は、アムロ・レイは、それでもできることがあるんだ。
俺がやらないといけないことがある。
カツを、子供たちを戦場から引き離してやらないと。
父さんは、テム・レイはコアブースターを発明したんだ。少しでも生存率を上げるために、パイロットや兵士が無事に戻れるように…子供を戦場へ出さないで済むうちに、戦争を終わらせたかったから。
やるべきことを、出来ることをしていた。
もう一度、涙を右腕の袖で乱暴に拭う。いま、できること。
「俺にも、わからないことはある。ブライト、俺にも分からないことだらけなんだ。一つ一つ、できることをするしか、俺もブライトも、そうするしかないんだ。」
アムロ・レイ、きっとお前の父、テム・レイもそう考えていた。苦悩もあっただろう。でも逃げることなく、そう、していたんだ。
できることを、していたんだ。
ならば、俺にもできるはずだ。テムの息子のアムロならば。
カツ少年とアムロとブライト 編
カツとハサウェイはだいぶ状況が違ってきてる。
閃光のハサウェイはブライトさんが阻止した。カツも少年鑑別所に入っているので、精神鑑定やらカウンセリングも受けられます。カツが一般人に戻れるかどうかは、アムロとブライトの頑張り次第。
でも、まあ、2人ともカツを諦めないから大丈夫です!
弊SSの地球連邦軍&共和国軍
連邦軍「予算なーい!人手なーい!復興しようとしたらデラーズはフリートしてくるし、ほんと致命傷で済んでよかった…ゲホッ。ジオン許さん、とか言ったら金食い虫ティターンズ出来てた。」
共和国軍「デラーズがフリートしたせいで疑われちゃって鬱。公国残党殺そう…え?軍の中にもいるの?再戦派閥が?じゃあ、信用できる人材で、残党狩りのギャン部隊作るね…ねえ!ティターンズ君ウチら共同戦線…あ、30バンチ…あ(悟り)…次、ウチじゃん、ヤバたにえん…あ、あんた、エゥーゴって言うんだ?」
連邦軍「ティターンズに予算持ってかれてるし、軍の序列はグシャグシャになるし、もう!……いやぁ!30バンチ!!死んじゃう!地球連邦軍が死んじゃう!木星からジュピトリス帰ってきても、荷物整理する余力も場所もないのぉ!」
共和国軍「へえ、エゥーゴ君どこ住み?ラインしてる?へえ?MS部隊作りたいんだね。夢あっていいじゃん。まず、うちさぁ、いいMSパイロット揃ってるんだけど。使って見ない?育成で…じゃあ、エグザべ君、送るね(地球連邦軍に)」
連邦軍「は?共和国軍からMSパイロットが来た?1人?知らん、何それ?エゥーゴ?何それ?どこそれ?は?なーんも分からん!とりま暇人(情報部)と憲兵で調べといて!」
情報部&憲兵「エゥーゴにシャア・アズナブルおるやんけ!!!大事件や!!アナハイムエレクトロニクスも内乱に加わってるやんけ!地球圏おわる!!あー!共和国軍のやつ!!ルウムの!!!あー!(断末魔)」
連邦軍「シャア・アズナブル?は?シャアいるの?政府さん!ここ(エゥーゴ)シャアいるって!なんか、小惑星も地球に近づいてきて…あ、情報部と憲兵と『ルウムの亡霊』さんの緊急救命措置が、…間に合ったぁあああああああ!!」
なんで、割と連邦軍も共和国軍も泥縄の繰り返し。ブライトとアムロが考えてた深謀遠慮な軍もない。
両軍ともに問題の先送りをするしかなかっただけ。
連邦軍はとりあえず、英雄たちの身の安全と生活の保障を確保して、誰も正面切って文句つけてこなかったから優先順位下げてただけ。
地球でもコロニーでも明日の食事に困る難民たちを優先していただけ。それだけ。