機動戦士Ζガンダム異伝 エグザベ・オリベ戦記   作:1スレ130番より愛を込めて

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エレズム 母なる星、地球そのもののを生命体誕生の聖地とし、その無人化を目指す思想を指す。つまり、全人類は宇宙で生きていくべきだと謳った。

コントリズム 人類は既に宇宙コロニーや月面都市において自活可能になったとし、各サイド、各コロニーが強い自治権を持ち、地球連邦政府と対等に渡り合っていくべきであるという思想を指す。つまり、地球連邦政府からの独立を謳った。




歌は良いものだ。
夢を歌える。幻想を歌える。

絶望的な未来を歌う奴なんて滅多にない。あっても皆、聞きはしない。奇特な人間を除いて、わざわざ聞きはしないのだ。

独立するために何が必要なのか、どうして独立するべきなのか。
独立した先で何が起こるのか。
サイド3の人間は心地よい歌に酔いしれ、それを歌手に尋ねはしなかった。


ジャミトフ・ハイマン

 

 

ジャミトフ・ハイマンには信念がある。

 

人類はもっと、もっと数を減らすべきだ。それも、人類自身が人類の数を減らすべきだ。母なる地球に集る寄生虫共が多すぎる。

地球から人間を1人残らず、消すべきだ。

 

ギレン・ザビは、甘すぎた。

もっと、たくさんの人間を、地上の人間を殺すべきだった。地球を人間が住めない星にまでしてしまうべきだった。人間を消すため多少の犠牲には目を瞑ってでも、そう、するべきだった。

人間自身が地球を汚しているという罪に気づかない者どもなど、殺してしまうべきだった!

宇宙で人が生きられるようになったこの時代にさえ、母なる惑星を思いやれず、地球を汚染し続ける人間など、地球にしがみつく罪深い人間どもなど死滅してしまえばよかったのだ。

 

ギレン・ザビの慈悲のもとで。

 

そう、ザビが唱えたように、人間は地球から離れ宇宙に適応するべきだ。

もう、母なる地球を休ませる時が来たのだ。母から自立し、宇宙で生きる。それができるはずだ。コロニーがある!宇宙移民は正しく、母星から離れコロニーで生きている。

 

宇宙で生きる人間は新たな可能性さえ、手に入れた。宇宙で生きれば、その可能性に辿り着く道を進むことができる。

 

その道は、ジオン・ズム・ダイクンが示したではないか!ニュータイプだ。

宇宙に行けば、全ての人間がニュータイプになれる。

人類のすべてが宇宙でニュータイプとなれば、心の迷いや煩悩から解放され、真理を体得し、心安らかに過ごすことができるのだ。

全ての人間は、生まれ持って罪人だ。その罪人でさえニュータイプになれれば、心安らかに生きていける。

 

ジャミトフ・ハイマンは、私はそう、信仰している。

 

 

 

だから、1年戦争が終わっても今だに地球に住む愚か者どもを殺すつもりでいた。

 

その前哨戦として、ティターンズを創設したのだ。バスクのような狂人をも拾って見せた。

ティターンズが宇宙移民を虐待するのは、私がバスクの暴虐を許容して見せたのは、彼らに危機感を持ってほしいからだった。

ジオン公国がなくなってしまって、宇宙に住む彼らは地球を、地球連邦を頼るようになってしまった。宇宙で立派に生きている宇宙移民たちが、再び地球を頼りにするようになってしまった。自立した子供が実家に戻ってきたようなものだ。こんな馬鹿げたことがあるだろうか?

 

地球の重力が強すぎる。

地球連邦は、今もコロニーの復興に予算と人材を割き、宇宙への影響力を高めている。地球連邦は、地球に住む人々は、金で宇宙を支配しようとしている。

汚らしい話だ。消えるべきだ、こんな汚い方法で宇宙を支配しようとする地球連邦は。

 

地球の重力を弱めるために最適な方法は、地球連邦の汚い金を奪うことだった。

ティターンズの豊富な軍艦とMS。たくさんの兵隊たち。

全て金食い虫だ。地球連邦の汚い金を食わせるための金食い虫だ。

 

やがて、地球連邦の持つ汚い金は我々ティターンズによって食い尽くされ、地球に住む人々のの経済をズタズタにするだろう。荒れた経済は、地球の環境を汚さずとも人間が宇宙へ出るための切っ掛けとなる。

 

バスクは本当に良い仕事をしてくれた。毒ガスを使う人間の屑だが、私の真の目的のためには必要な男だった。

バスクの指揮するティターンズは宇宙移民からの憎悪と軽蔑を集め、地球連邦政府への反感へとつなげてくれた。再建したばかりのサイド7のコロニーをコロニーレーザーに作り直し、宇宙に軍需工場も作り、宇宙移民とルナリアンの危機感を煽ってくれた。

30バンチに毒ガス兵器も使って、エゥーゴの立ち上げにも一役買ってくれた。宇宙移民が地球連邦政府に対し、強い敵意を持ちなおしてくれたのは、バスクの功績だった。

 

だから、銃弾1発で楽にしてやった。何も分からぬまま逝けたのだ。バスクは幸せな男だ。

 

現実は、私の理想通りにはならなかった。そんな私の絶望を感じ取れずに死んだバスクが羨ましい。

 

地球連邦は変わらず、強い重力で、汚い金で、軍事力で宇宙を支配している。

その現実に、私のティターンズは抗いきれなかった。

 

シャア・アズナブルは、いや、キャスバル・レム・ダイクンにはバスク以上の期待を抱いていた。ジオン・ズム・ダイクンの息子の彼ならば、ザビ家の忠実な支持者である彼ならば、必ず、宇宙移民を地球の重力から解放してくれると、期待していた。

 

しかし、出来損ないだった。期待外れだったのだ。

 

シャア・アズナブルは、エゥーゴという弱小組織1つすら掌握できず、エグザべ・オリベというジオン共和国軍から来た中尉に乗っ取られさえした。

 

ジオン共和国は私にとって呪わしい国だ。地球連邦に監視され支配されたジオン共和国。それを許容し、歓迎して見せるジオン共和国め。

宇宙移民の希望だったジオン公国を、ザビ家を未来永劫糾弾すると宣言した、愚かしい地球連邦の犬め。

その忠実な狂犬エグザべ・オリベ。

エゥーゴを、シャア・アズナブルを、キャスバル・レム・ダイクンを助けることなく、地球連邦の旗下に降った宇宙移民の裏切り者め。

 

キャスバル・レム・ダイクンだぞ!彼はニュータイプだ。宇宙移民を率いて、人類を地球の重力から解放させる存在を、ニュータイプをエグザべ・オリベがエゥーゴから追い出した。キャスバル・レム・ダイクンと同じニュータイプのエグザべ・オリベが彼の居場所を奪ったのだ。

 

ニュータイプがニュータイプを追いやった。フラナガン博士によってニュータイプと確定されたのではなかったのか、シャア・アズナブルもエグザべ・オリベも!

まるで意味が分からない。ニュータイプだぞ!何故、反目しあうのだ!

人類の可能性だと、アムロ・レイも言ったではないか!誤解なく、分かり合えるのだと!

 

エゥーゴは宇宙移民の希望になる組織だった。私にとっても希望の組織だった。宇宙移民の権利を高らかに謳うエゥーゴ。そして、宇宙移民を虐待する私のティターンズに敵対し、最終的にエゥーゴが勝利することによって、そう、なるはずだった。

私がそのように手配したはずだった。

 

そのはずだったのだ。

エゥーゴの輝かしい勝利のために、ジャブローに核爆弾を仕掛けもした。アナハイムエレクトロニクスがアーガマとリック・ディアス、百式を開発するのも見逃した。グラナダ基地に地球連邦軍にいた不満分子を集めもした。反地球連邦政府テロリストのカラバが結成されたのも見逃した。シャア・アズナブルがエゥーゴの代表と成れるように、バスクがブレックスを暗殺したのさえ咎めなかったのに。

 

これでは、何のためにブレックスは死んだのだろうか。私は、何故、あの時、ブレックスの仇を、バスクを討たなかったのだ。

 

全てが、狂っている。

 

何より、私は地球連邦に殺された。いや、病死したジャミトフ・ハイマン大将は軍式に弔われ、地球に埋葬されたらしい。空の棺が軍人墓地に埋まっている。空の棺などゴミに過ぎない。ゴミを地球に埋めて何になる。環境を汚染するだけだ。馬鹿馬鹿しい。

 

何より、私は生きてアクシズにいるのだ。

そうだ、このアクシズで生きて苦しんでいる。アクシズをミネバの摂政という地位で治め、軍の統率までしていたハマーン・カーンはミネバ・ラオ・ザビを連れ、エゥーゴに逃走した。

今頃はグラナダの基地か。地球か。私自身が地球連邦軍を離れてしまっては両者の行方を捜すこともできない。

 

ハマーン・カーンを通じて、アクシズの機密情報はすべて地球連邦に知られてしまっているだろう。ハマーン・カーンの口を塞ぐことも今更できはしない。

 

私は宇宙に来たというのに、何もできていない。ニュータイプにも成れていない。

 

アクシズの掌握も、人をニュータイプに革新させることも、シャア・アズナブルを、キャスバル・レム・ダイクンを公王の座に着けることも、まだ、何もできていない。

 

全てが後手に回っている。

 

私がアクシズに到着したすぐ後に、アクシズの経済が崩壊の危機にあると知った。偽札と急激な人口増加が原因だ。

 

アクシズはマハラジャ・カーンを始めとしたダイクン派閥の人間達によって開拓された。1年戦争ののち、ジオン公国の敗残兵やデラーズフリートの残党を収容したが、それでも3万人しか住民がいないのだ。

3万人程度の住民相手であるならば、生半可に現金をキャッシュレス化するよりも、紙幣と貨幣を使用したほうがいい。それは、私でも分かる話だ。

アステロイドベルトでは、紙さえ貴重な資源であった。戦時においては、更に重要物資となる。書類を紙で作る方が機密を守れる場合があるからだ。

そうであるならば、来るべき戦争に備えアクシズの政治主要幹部は、紙資源を厳重管理し偽札など作らせる余裕を住民に与えなかった。3万人で完結している経済では、それで事足りたのだ。

 

だが、今、アクシズは地球圏にある。

地球圏からジオン公国を求めて、宇宙移民の真なる独立を求めて、志ある人々がアクシズに集まってきている。集まってしまうことを、このジャミトフ・ハイマンは止められない。

アクシズが想定していた収容人数をはるかに超える人間が集まってきている。

悪辣な地球連邦に偽札を掴まされて、型落ちの戦艦に型落ちのMSと乗せられるだけの人員を乗せて集まってきている。

 

アクシズの緊急措置として住民の食糧を配給制にするという方針はハマーン・カーンが計画として残していたものを、そのまま流用するしかなかった。だが、食料の生産量と住民及び兵士の消費量が嚙み合わない。当然だ。人口の増加が急激すぎた。

 

水も、もう足りない。水量はあるが、人の飲料にできるような水に浄化するための設備が、限界を迎えている。1年戦争前から酷使され続けていた設備だ。木星との密貿易で更新と維持を続けて来たようだが……。

 

宇宙港も足りない。戦艦を停泊させられる宇宙港の許容を越える数の戦艦とMSが集まってきている。どうかすると、赤く塗られたザクもある。それを整備し、あるいは解体するための人手も足りない。

 

赤いザク、か。

 

「キャスバル・レム・ダイクン、か。」

 

そして、とどめにキャスバル・レム・ダイクン配信動画だ。キャスバル・レム・ダイクンを名乗る人物はもう10人を超えている。彼の両親や兄弟を名乗る人間も現れている。

 

人類の指導者になるべきだったキャスバル・レム・ダイクン。

 

ニュータイプとして人類を地球の重力から解き放つべきキャスバル・レム・ダイクン。

 

そうなるはずだった。ここ、アクシズで、彼は父、ジオン・ズム・ダイクンの志を継ぎ、公王キャスバル・レム・ダイクンとなって、全人類を導くはずだった。

 

しかし、地球圏では、キャスバル・レム・ダイクンはコメディアンの代名詞となった。なってしまった。子供の保護者は、この名前を聞いただけで眉をしかめ、子供に真似しない様に注意する。そういう状況にあることを報道で知った。

 

キャスバル・レム・ダイクンは、もはや、人類の指導者にはなりえないだろう。シャア・アズナブルはもとより。

 

宇宙に上がった人類は、ニュータイプになるのではなかったのか?

人が、全人類がニュータイプになれれば、我々は生物的にも社会的にもより優れた存在になれるのではなかったのか?

 

私が今、していることは何だ?なんなんだ?

アクシズ内部で、ダイクン派閥とザビ派閥の間を渡り歩き、戦いたがる軍人たちを押さえつけ、財政対策をしている。

戦争の準備ですらなく、人類を導くための行動でもない。

アクシズの人間をニュータイプへと、人の革新へと導くこともできていない。

私は、ジャミトフ・ハイマンは……

 

『オマエガ シネバ ヨカッタノニ』

 

操作していたコンピューターの画面いっぱいに、血塗れの恨みがましい女の顔が映り、そう、言った。

 

地球圏から贈られてきたコンピューターウィルスだ。

そう、ジオン公国の流刑者や敗残兵が主な構成員であるアクシズでは、この程度のコンピューターウィルス一つ駆除するのにも時間がかかる。コンピューターウィルスを解析し駆除する時間もシステムエンジニアも足りていないのだから。

 

足りないものだらけだ。

 

物資も人材も時間も足りない。それなのに、アクシズは、アクシズに集まる敗残兵は地球連邦に勝てると信じ込んでいる。

 

この小さなアクシズを地球に落とせば、勝てると妄信している。

 

アクシズ包囲網すら突破できないのに、そう、妄信している。

今この瞬間も、地球連邦軍はアクシズを破砕するのに十分な核爆弾や爆発物を集めているだろうに。

 

このままでは、アクシズは地球に落ちることも無く、ただの宇宙デブリへ変えられてしまう。

 

アクシズには誰も味方がいない。ジオン公国には味方がいない。何故だ?

 

ジオン共和国は敵対した。サイド6もだ。そう、あの1年戦争で中立を宣言したサイド6も、今度は地球連邦政府を全面的に支持すると宣言した。

 

まだ、アクシズは宣戦布告もしていないのに?!

 

『オマエガ シネバ ヨカッタノニ』

 

声が聞こえる。

 

心の底から、地球を、母なる惑星を救いたいと思っていたジャミトフ・ハイマンを呪う声が、私の中から聞こえる。

 

 

私も、そう、罪深い人類の1人だった。

 

 




ジャミトフ・ハイマンは、死んでいる 編


Z本編見てて一番何してんのか訳が分からない登場人物。
こいつとシャア・アズナブルはその場のノリで行動して居る節がある。キリマンジャロにぃ!!基地!!作るな!!ばか!山頂近くに!基地作ってどう運用するんだ!!もっとちゃんと頭使え!!補給どうすんだ!!いちいち山登んのか!!ばか!!天候悪化する!!山頂に!!基地!作るな!!ばか!!


Zガンダム本編だとジャミトフは、サラの失態見ちゃった目撃者だからパプテマス・シロッコによって殺されるんですよね。まあ、シャアが悪い。(事実)

弊SSでは国際的に認められていないテロ組織アクシズなので、地球圏内に自由に使える財産はございません。該当するものがあったとしても、凍結させられています。
情報戦と経済戦争で既に負け確定しているのがアクシズです。
輸入も輸出も出来ません。
だけど、不思議だね。アクシズには残党たちが集まってきているよ!友情パワーだね!!

シャア・アズナブルより、ジャミトフのほうがまだ、喋る。


まあ、サイド3が独立したがるのは別に良いんですよ。それはね。
でも、独立した後、軍の創設、安全保障、関税、パスポートやビザ、外交、輸出入に関する経済摩擦、通貨価値、領宙、資源配布、等々。あと、コロニーの維持管理費も、か。
パッと考えただけでも、割と難題揃いですけど、ジオン共和国って、こういうこと考えていたんですか?考えて「独立」って言ってたんですか?
ついさっきあにまんのスレで、この時代は空気と水、まだ地球頼りだって聞いたけど、マジならなんで「独立」なんて言っちゃったの?空気と水さえ、地球に頼ってるのに?

考えた結果が大虐殺で地球も支配してザビが全部独裁する!なんですか???どうして…




ガルーダ・ラブハート一等兵の『お化け屋敷』ウィルス 

叡智な動画をダウンロードすると、一緒についてきます。ランダム時間で怖い女の人か子供の幽霊が『オマエガ シネバ ヨカッタノニ』って言ってきます。デバイスを強制終了させないと画面から消えません。

感染するとデバイスに保存されているメールアドレスすべてに勝手に送信されて、感染拡大します。
地球連邦はウィルス対策しているので、被害は最小限です。
アクシズ?びっくりしてデバイス壊す人間も多数でてますよ、当然。
壊れたデバイスを修理できる余裕?無いかも…

え?情報部が強すぎる??だって、戦いは数だって、ジオン公国のお偉い人も言ってたではないか!





全体の情勢まとめ

地球連邦&ジオン共和国&各サイドコロニー VS アクシズ&ジオン公国敗残兵&ティターンズのジャミトフ派

地球連邦→地球上で活動するテロ組織カラバを早期に制圧、被害軽微、余力あり。その余力で宇宙のアクシズ包囲網に正規軍とヴェルザンディ運用

ジオン共和国→地球連邦に隠していたはずの、なけなしの新造戦艦と新型MSを未錬成のままアクシズ包囲網へ。余力、ぎりぎり。

各サイド→軍需物資や資金提供。サイド6はジオニズム否定を宣言。

アクシズ→包囲網と指導者不明と偽札と急激な人口増加で、死にかけ。

ジオン公国敗残兵→アクシズで一旗揚げようと、アクシズに集結中。旧式の戦艦と機体多数。

ティターンズのジャミトフ派→アクシズに受け入れられたけど、内部の権力争いと財政崩壊の波を泳ぎ切るために右往左往。
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