機動戦士Ζガンダム異伝 エグザベ・オリベ戦記 作:1スレ130番より愛を込めて
地球連邦政府とジオン共和国政府は、ジオン公国を拒絶した。テロリストと認定した。
ジオン公国も両政府を拒絶した。キャスバル・レム・ダイクン公王が宣戦布告をしたのだ。
地球連邦政府とジオン共和国政府は知っていた。ジオン公国がかつて『南極条約』に違反したことを。その後継を名乗るデラーズフリートが核兵器を使用することもコロニー落としをすることもを躊躇わなかったことを。
旧世紀時代の教訓がある。
テロリストと和解するなかれ。
テロリストの主張を喧伝するなかれ。
テロリストの名を遺すなかれ。
ダムナティオ・メモリアエはここに復活する。宇宙に復活する。
記録から、抹消せよ。
なーんて、詰めが甘いことを俺が許すとでも思ったか?バァーカ!!
記録は記録に埋めるのが一番楽だろ?全部、ゴミ屑に、ガラクタに変えてやるよ。
宇宙世紀における『天動説』にしてやる。
人類は「唯一神さまの教え」さえ正確に伝えることもできないんだぜ。
いわんや負け犬の遠吠えをや。
未来に残せると思うなよ。
アクシズ殲滅作戦、それは、ジオン共和国軍がサイド3全土からかき集めて来た艦艇と輸送船による質量攻撃から始まる。アクシズ港湾封鎖作戦がそれだ。
アクシズの港湾に向けて無人の、または有人の船を全速で突っ込ませて、港湾を塞ぐ単純な作戦だ。
1割の船は居住用惑星のモウサにも向かっている。囮だ。アクシズの防衛力を二手に分けるための、囮。
モウサは壊れなくてもいい。
どっちにしろ、生かしてはおかないのだから。
共和国政府と共和国軍が血を、大量の血を流したという事実こそ必要だった。そのための作戦だ。
ジオン共和国がアクシズのジオン公国の抵抗力を削ぐために、有効な手を打ったという事実を必要とした。
アクシズは最大全長30キロメートルだ。コロニーよりも大きい。が、アステロイドベルトに居たのだ。当然、アクシズ自体に防衛設備は少ない。観測機器や通信設備を優先しなければアステロイドベルトで他の小惑星と衝突する可能性も、アステロイドベルトに潜む武装盗賊団に奇襲される可能性もあるのだから仕方がないことなのだろう。防衛設備は予算がかかる。
港湾も空気漏れ対策のために、戦艦を係留できるほどの大規模なものは2つしかない。その防衛のための戦艦の、MSの練度も低い。
多少練度に自信のある戦艦やMSは、アクシズの周辺宙域で僕たちに墜とされている。
宇宙基地として見たとき、アクシズはデカい的でしかなかった。
そうであれば、アクシズのどこかしらに共和国軍の船が当たり攻撃した。その事実ができればいい。その為だけに、僕は1,000人程度の決死隊を共和国軍に提案した。共和国軍は応えてくれた。
港湾封鎖が完了すれば、次は地球連邦軍の陸軍が、アクシズとモウサのテロリスト達の殲滅を担う予定になっている。
地球連邦軍はわざわざ、地上から陸軍のエリート部隊を宇宙に上がらせている。白兵戦や超近距離対人戦を、地球連邦軍が請け負ってくれた。兵にとっては酷い負担になるであろう作戦を引き受けてくれた。ジオン共和国には決してできない。同じジオンだからだ。それを地球連邦軍の上層部や参謀本部は理解してくれている。有難いことに。後はジオン共和国政府が人道を踏み外さなければ、両国間で戦争は起きずに済むはず。
ヴェルザンディのMS部隊も連邦軍の陸軍に連携して、アクシズ内部で殲滅作戦に参加する。
だから、アクシズの4万人か、或いはそれ以上のテロリストは死ぬ。
共和国軍も犠牲を払う。地球連邦軍とて無傷ではすまない。戦死者も多くなるだろう。
それが、確定した。現実となった。
計画ではなく、現実に人が死ぬ。間違いなく、非戦闘員も子供も死ぬ。
分かっていたことだった。そのために立てた作戦だ。今更、怖気づいたとでも言うのか。違うだろう。もう既に人は死んでいる。僕は殺している。MSも戦艦も、殺してきている。
今更。
そう、今更だ。
僕が軍人になって、もう、何年目だ?何人目だ?
数えてもいないだろう。任官当時から、僕は共和国軍の命令の下で人を殺し続けている。
何度も、何度も、MSを、戦艦を、時には生身の人間を。
作戦を立て、部下を指揮して鼓舞して殺してきた。仲間を失ってもテロリストたちを殺し続けてきた。
そうだ。ジオニズムに染まって、歪んだエリート意識と選民思想の下に、テロを繰り返そうとする人間たちを殺し続けてきたのが、僕だろう。それが、エグザべ・オリベなんだ。
今更。
でも、僕が最初に殺してしまった人間は、あの日のルウムで同じ避難船に乗り合わせた……
他者の命を奪ってまで、争い続ける生命は良き生命体なのか?己の手で殺した生命に報いるために、更なる殺生を行う?それは、ただの思い上がりではないのか?その自己満足の中で生きる貴様らは、決して良き生命体になり得ないのではないか?
ドゴス・ギアから、パプテマス・シロッコから離れれば、これだ。
ずっと、赤い巨人が語り掛けてくる。何のために、僕に話しかけてくる?僕程度の、何でもない大したこともできない人間に話しかけて、何になる?
僕に何を求めているんだ、お前は?
「巨人、お前は応えない。決戦になってさえも。」
ギャン改-Ⅱの中で、独りごちるしかできない。
決戦だった。
今、僕はアクシズから防衛のために出て来たガザC部隊と戦艦を殺して回っている。
ガザCの大型ビームライフルであるナックルバスターが一撃でも当たれば、共和国軍の旧型戦艦でさえただでは済まない。小型輸送船なんて鉄くずに代わる。5回も出撃すれば自壊するようなガザCは僕の敵ではないが、殲滅作戦においては大きな障害だ。戦艦の敵だった。
無論、無人の、囮の船ならまだいい。だが、有人の、決死隊の乗った戦艦を落とさせるわけには、失敗は許されない。
許されていいわけがない!
命を奪うことを楽しめる、命を奪うことに愉悦を感じる生命体だからこそ、効率的に命を奪う力と想像力を持つのではないか?同胞の命さえ、他者の命を奪うための道具に使うのではないか?純粋無垢な自己防衛本能さえも踏みにじる生命体に宇宙を生きる価値はあるのか?良き生命体となれないのならば、滅びるのが定めではないか?
赤い巨人の声が、巨人が邪魔だ。
艦橋を落とした戦艦から、怨念が、叫びが聞こえる。巨人が聞かせてくる。全身が焼けただれる、身体が裂ける痛みさえ錯覚させてくる。
パプテマス・シロッコが言ってただろう!幻覚だ!思考が走らされているだけだ!
ギャン改-Ⅱの、僕の動きが、他人事のようにも見えている。戦場を俯瞰して見ている僕がいる。
チェス盤を上から見るように、駒を手に取るように僕自身を、或いは敵を動かして……
それすらも、幻覚なんだ。僕はギャン改-Ⅱのコクピットにいる。そのはずだ!
敵戦艦からの弾幕が、僕を避けているように………思えている。思わされている。僕の進行方向に、導かれるように敵MSや戦艦が現れるのも、幻覚…か?本当に?
タンスに足をぶつければ、自分がニュータイプじゃないってはっきりわかるんだよな!! 編
アクシズの簡易的状況…
アクシズは国際的にも経済的にも既に孤立済み。
アクシズ内部でも内乱が起こっている。餓死者も出ている。
偽札事件と食料配給制のおかげで経済も破綻している。
だけど、キャスバル・レム・ダイクンはアクシズ落としを宣言した。
パプテマス・シロッコが強すぎて、アクシズは手も足も出てない。
そもそも、アクシズは烏合の衆過ぎて、キャスバル・レム・ダイクンを戴いても纏まらなかった。
この裏で『ルウムの亡霊』は良い仕事をしている。
キャスバル・レム・ダイクン公王の映像使って、とんでも演説動画とか作っているに違いない。
忙しすぎて、SSに出せないけれど。「キャスバル・レム・ダイクンの母・叔母・姉・妹・弟です」謝罪動画が配信サイトで沢山見つかりそう。地獄かな??