優しい幼馴染はプライドを踏み躙ってくる   作:美味しいサバ

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駄文です


馴れ初め

俺は藤堂博、先ほど県内1の偏差値を誇る高校の入学式を終えたばかりのピチピチの高校1年生だ。俺は自分で言うのも何だが、スポーツ、勉強ともに全国でも有数と言える実力を持っている。

これは俺が親や教師の言う事を聞く優等生だから…という訳ではない。単純に負けず嫌いだからだ。小学校から高校に至るまで生徒同士が競い合うものと言えば、勉強、スポーツ、あとはまあゲームの上手さぐらいだろうか。

俺は生まれた時からの負けず嫌いの性格が理由で、それらにおいて手を抜いたことはない。授業はしっかり聞いて家でも勉強するし、日頃からトレーニングはかかさない。流行りのゲームでも時間の許す限りは練習してきた。小学1年生から現在に至るまでこのルーティンをかかしたことはない。

 

かかしたことはないのだが、それらのルーティンの強度に拍車をかけた出来事がある。これからその出来事を俺の忌々しいライバルであり幼馴染である女、如月結衣との馴れ初めも含めて説明していこうと思う

 

 

そいつとは生まれた時から家が隣同士で、保育園から仲良しのありがちな幼馴染の関係だった。遊ぶ時はいつも引っ付いてきてずっと一緒だったし、家族ぐるみで仲も良く頻繁にお互いの家にお泊まりなんかもしていた。

そいつは昔から可愛かったので男子からはちょっかいを、女子からは妬み嫉みを受けるようなやつだった。俺はそんな状況が気に食わなかったのでそいつらにつっかかり続けていたら何だかんだで状況は好転して、結衣も立ち回りを覚えていった。

 

結衣が大きく変わったのは確か小学3年生の頃だっただろうか、ある出来事が原因だ。子供は当然だが年を取るにつれ様々な知識を得ていく。そして他人の関係性

や噂話、いわゆるゴシップに興味を持ち始める。

 

ある時同じクラスの男子がいつも一緒にいる俺と結衣をからかいたくなったのか、ある事を言ってきた

 

「お前ら付き合ってんじゃね!?カップルってやつだろ!」

 

結衣は困ったような笑顔をしてあはは、、苦笑いしていたが、俺は何だか無性に恥ずかしくなって「そんなんじゃねーよ!」と言い返した。

その男子の発言がきっかけで俺はよくからかわれるようになるようになった。

俺はその状況が気に食わず、何とか出来ないだろうかと思案して名案を思いついた。そうだ、ある期間だけでも仲良くするのを辞めれば良いじゃないか、と。

そうすればからかわれることも無くなると考えたのだ。

 

そう考えた俺がまず実行したのは、名前では無く苗字で呼ぶ事だ。下の名前で呼ぶって事は仲が良いって事だし、なんて突拍子のない理由を付けていたが、ようするに仲が良いと思われなければいいのだ。

思いついてから実行するまでは早かった。いつも通り2人で登校する際にやってみた。

 

しかし

 

「ひろしくんおはよ〜」

 

「よう、如月」

 

「、、、ん?」

 

「どうしたんだ?」

 

「い、いや、今なんて言ったの?」

 

「よう、如月って」

 

「な、なんで名前で呼んでくれないのかな?」

 

当然、お前と仲良く見られるのが恥ずかしいから、なんて言えるはずもない

 

「なんとなくかな〜」

 

「そっか、それやめてほしいな」

 

「別に良いだろ、呼び方くら「やめてほしいな」

 

「いや別に良い「やめてほしいな」

 

「何か変な感じするし悲しいよ、ひろしくんにだけはそう言ってほしくない」

 

涙目で言われては引き下がるしかない、この作戦は失敗に終わった。

次に俺が考えたのは、フェードアウト作戦だ。関係を急に悪くしてしまったら逆に色んな奴から怪しまれる。だから徐々に徐々に付き合いを悪くしていく、というものだ。

これは途中までは成功を収めていたと言えるだろう。しかしこの作戦が原因で大きく状況は変わることとなる。

 

「ひろしくん一緒に帰ろ〜」

 

「わりい!サッカー誘われてんだ!」

 

「そっか、、また明日ね」

 

といった具合でいつも一緒にしていた登下校の頻度を徐々に下げていき、

 

「ひろしくん居ますか〜?」

 

「あら結衣ちゃんいらっしゃい、遊びに来たの?呼んでくるからちょっと待っててね」

「ひろし!結衣ちゃんが遊びに来たわよ!」

 

「わりい!腹痛いから今日は無理だ!」

 

といった感じで遊びの頻度も減らしていった。

 

その他にも学校で喋る回数なども減らしていって、満遍なく結衣との付き合いを減らしていく。

あいつは昔こそ人間関係の構築が下手だったが、この頃には友達も沢山いてモテていたため俺1人が居なくなってもそこまで影響は無いと考えていた。

実際、あいつは普段通り明るく振る舞っていたため特に深く考える事はなかった。

強いて言うなら目の下に隈が出来始めていた事だろうか、あいつは最近親にスマホを買ってもらっていたため夜更かししてんだろうなーと予測していた。

俺に付きっきりの結衣の将来を小学3年生ながらにして心配していたのも、この作戦の実行の理由の一つであったため、一石二鳥だな、なんて思っていた。

 

フェードアウト作戦を決行してからおよそ二週間後だろうか、俺が男友達とサッカーをして夕方に帰ってきて、自分の部屋に入ると結衣が俺のベッドに座りながらこちらをニコニコと見ていた。

普通だったら驚くところだろう。しかし昔からこういったのは時々あったので久しぶりではあるが、特に大きな反応をする事はなかった。

 

「お、結衣じゃねえか、どうしたんだよ?」

 

「ひろしくん隣座って?お話ししよっか」

 

「何だよ、別に良いけど」

 

ドスっと結衣から少し離れた所に腰掛ける。すると俺と密着するように移動してきた。そして俺の右手と彼女の左手の指を一本ずつ絡め、いわゆる恋人繋ぎをさせられ、急な行動に驚いて結衣の顔を見ると恍惚な表情をしてこちらの胸板にしなだれかかってきた。俺が呆気にとられたままその状況が10分ほど続いた後、手は繋いだままゆいは起き上がった。

 

「で、話って?」

 

「ひろしくんさ、私の事嫌いになっちゃったの?」

 

「はあ?なわけねーだろ」

 

「じゃあなんで私の事避けてるの?なんで?」

 

本当の理由を教えられる訳もない

 

「なんとなく、、かな」

 

「そっか、じゃあもうそれ終わりね?悲しいしさ」

 

「いや、、だ」

 

「ふーん、そんな事言っちゃうんだ。私は辞めて欲しいんだけどなあ。知ってるよ?カップルだ〜ってからかわれたのが恥ずかしかったんでしょ?可愛い笑、けどさあ、こんなの酷いよ。私の気持ちも考えて欲しいなあ」

 

違和感を感じた。全てを見透かされているような気がする。優しい言い方だが、子供をあやすような物言いでペースを握られている。いつものおっとりした結衣と雰囲気は一緒だが、何か違う。

 

「黙っちゃってどうしたの?いつものひろしくんぽくないよ?もしかして私のこと怖がってるのかな?」

 

「そ、そんな訳ないだろ!」

 

「ふふっ、そうだよね。強ーいひろしくんが女の子の私を怖がるわけないもんね?ごめんね?」

 

笑顔で俺のことをバカにしているとしか考えられないが、何故か反論出来ない、とても悔しかった。

 

「いじめすぎちゃったね。話は戻るけどさ、私ほんとに悲しかったんだよ?謝ってほしいな」

 

「、、悪かったよ」

 

「うーん、それだけじゃなんかなあ」

 

結衣はわざとらしく首を傾げて顎に手を当てながら考えた後、再び口を開いた

 

「キスしてよ」

 

「は、はあ!?何言ってんだよ!」

 

「私とっても傷ついたしさ、いいでしょ?」

 

「良いわけないだろ、、もう帰ってとっとと寝ろ」

 

恐らく結衣は疲れてるんだろう。そう思った俺は帰らせることに決めて、部屋から追い出そうとした。

 

「ちょっと待ってよ〜分かった、分かったから。じゃあ勝負して決めようよ」

 

勝負、という単語が結衣の口から出てきた瞬間俺は動きを止めた。先ほども言ったが俺は正真正銘の負けず嫌いであり、何かしらの勝負で勝つというのは大好きなのだ。バカにされて煽られたしこいつにお灸を据えてやりたいという気持ちも相まって、俺は話を聞いてやることにした。

 

「ひろしくんの部屋オセロあったよね?それで勝負しようよ。勝った方が何でも命令していい、どうかな?」

 

結衣とはこれまで何回か俺の部屋でオセロをした事がある。結果は全て俺の勝ちだ。こいつは今完全に俺を舐め腐っている、動揺している俺なら勝てるなんて考えているんだろう。圧勝した後は変顔させながら無礼を謝罪させてやろうなんてゲスなことを思い描きながら勝負を受けることにした。

 

「分かったよ、やってやるよ」

 

「かっこい〜、じゃやろっか」

 

やかましい、なんて軽口を叩きながらオセロを押し入れから取り出す。床の真ん中に置いてある低めのテーブルの上に置いて用意を終えた。その間結衣は俺のことをずっとニコニコしながら見ていた。俺はコイツ絶対分からせてやるなんて考えていた気がする。

俺が黒、結衣が白の石を使う事に決まり、勝負は始まった。

 

今まで通りボコボコにしてやろう、と考えながら石を置いていく。楽な勝負だと考えていたが何かおかしい。徐々に盤面が絶望的になっていく。俺が熟考を重ねた上で一手を指すのに対して、結衣は笑顔を崩す事なくすぐに指し返してくる。

 

「ひろしくんどうしたの〜?調子悪そうだね」

 

「う、うるせえ、泳がせてんだよ」

 

「ふーん、、まあ頑張れ〜」

 

嘘である。ここから挽回出来る気が全くしない。悔しすぎる。コイツ今まで俺に手加減してたのか、なんて様々な事が思考をよぎりながら精一杯指していくが状況が好転する事はない。試合も終盤になるとほとんど取り返しのつかない絶望的な盤面になっていた。

 

「ふぁーあ、、弱すぎて退屈かも。ごめん、スマホ触って良い?」

 

「ば、バカにしてんのか、、!」

 

「私に怒る前にさあ、考えた方がいいんじゃないかな?笑」

 

「ちくしょう、、!」

 

「文句、ある?笑」

 

「、、、」

 

明らかにバカにした態度の結衣に言い返せなかった。俺がボコボコにされているのは事実だし、結衣が本気を出していないのも明らかだった。俺は悔しくて悔しくてたまらなかったが、やはり言う通りに考えるしかなかったのだ。

結衣はそんな俺の情け無い姿を見て鼻で笑った後、スマホをいじり出した。

 

 

 

 

 

「あ、後1個置いたら終わりだね。あれ、うわ、、なんかごめんね?」

 

パチン、と石が置かれた。俺は負けたのだ。ただ普通に負けただけならまだしも、盤面を真っ白にされて完敗した。しかもスマホをいじりながら片手間に指している相手に対して。恥ずかしくて悔しくて、顔が真っ赤だった。とてもじゃないが結衣の顔を真正面から見る事はできなかった。

 

「はい、終わりだね。自信満々で勝負を受けたくせになんか情け無い負け方だね笑。恥ずかしく無いの?絶対恥ずかしいよね、学んだでしょ?私のこと避けようとしたらこーんな恥ずかしい事になるからもうしない方がいいよ!ひろしくんクラスで1番頭良いから分かるよね?」

 

これだけバカにされても、俺は何も言い返せなかった。真っ白な盤面がお前には言い返す権利なんて無い、と圧をかけてきているようだった。

 

「ひろしくん、お返事しよっか?」

 

「分かり、、ました」

 

「急に敬語なんて使っちゃってどうしたの?」

 

「な、なんでもねえよ!」

 

これ以上の辱めを受けてたまるか、そう思った俺は全てをとっとと終わらせてこいつを帰らせる事にシフトを変えた

 

「分かったよ!キスすれば良いんだろ?」

 

「うん!ひろしくんにキスしてもらえるなんて嬉しいなー!」

 

「とっととやろうぜ、、」

 

疲れた、全てを終わらせて早く寝たい。頭を整理したい。何で急にこんな事をさせられる羽目になったのか、何でこいつはこんなにオセロが強くなったのか、考えたい事が沢山ある。

 

「うん!しよ!えーっとね、、ここに正座してもらって良いかな?」

 

なんで?と思いながらもベッドから少し離れた場所に正座する。彼女はそれを満足げな顔で見た後、ベットに腰掛けた。俺が正座でベッドに座っている結衣から見下ろされているような構図になった。

 

「これでどうやってキスしろってんだよ、、」

 

そう問いかけると結衣は足裏を俺の顔の目の前に向けた。

 

「はい!キスどーぞ」

 

は?どういうことだ?思考が追いつかなくなる。どこにキスすれば良いって話だ

 

「ど、どう言う事だよ」

 

「ん?早くキスしてよ〜」

 

「足にキスしろって、、おかしいだろ」

 

「うーん、、まあ普通はそうだよね」

「ひろしくんさー、結構モテるじゃん?」

「これからもしかしたら私以外の雌豚とキスするかもしれないよね、絶対に誰にもさせるつもりないけどさ」

「そんな事されたら私頭おかしくなっちゃうからね」

「けどもし、、もし他の雌豚とキスすることになったとしてさ、ひろしくんは思い出すんだよ」

「俺は結衣の足裏にキスした唇でこいつと、、って」

「そしたらひろしくんの頭の中には私しかいないわけじゃん?」

「最高だよね!」

 

こいつは何をいってるんだ、そう思った。こんなこと絶対してやるか、とも。

しかし負けず嫌いの俺は悟った。ここで逃げたら本当に負け犬に成り下がってしまうのでは?

それだけは絶対に嫌だ。だけど結衣の足裏に…それも屈辱的すぎる。

一体どうすれば良い?分からない、頭を回せ、何か解決策があるはず…!

 

「ねえ〜早くしてよ〜」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ、、」

 

「うーん、、分かった」

 

「助かる、、」

 

 

 

 

「言い方変えるね、とっととしろ」

 

 

 

 

頭が真っ白になった。

 

俺は結衣の足を両手で抱えて、キスをした

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