新訳 ドラゴンクエストビルダーズ 作:seven river
メルキド録の解読を待っていると、ケッパーの焦った声が聞こえてきた。
「みんな、大変だよ!この町に魔物が近づいてきてる」
ビルドはすぐにケッパーの所に向かい、彼の見ている方向を向いてみる。すると、5体のブラウニーと2体のキメラが町に向かってきていた。ブラウニーの中には一際大きな個体がおり、それが軍団のリーダーのようだ。
「吾輩たちの町を壊させはせぬぞ。一緒に戦おうぞ」
ロロンドも銅の剣を持って駆けつけてくる。
「うん。一緒に町を守ろう」
3人は魔物の群れに向かって走っていく。
「人間の町なんか、全部壊してやる!」
「諦めろ人間ども!」
ブラウニーたちはそう言いながら、木槌を振り上げてくる。ビルドたちはそれに対抗して、銅の剣で攻撃しに向かっていた。
「僕たちの町、壊させはしないよ!」
「吾輩たちの町を狙うのは許さん!」
ビルドとロロンドは先頭にいた2体のブラウニーの木槌を回避して、身体を斬り裂いていく。ケッパーは先に進み、奥の2体のブラウニーと戦っていた。2体くらいであれば軽々と避けて、銅の剣を振り下ろすことができていた。
「むむ…あの兵士の格好の奴は強そうだな。ワシも加勢するぞ。キメラたちは残りの2人を狙え」
隊長のブラウニーが、ケッパーのところに近づいていく。隊長は他より大きな木槌を持っていたが、大きくジャンプすることで回避することができていた。ビルドとロロンドに向かっては、キメラが火を放ってくる。
「この火も避けられるね。先にブラウニーを倒してしまおう」
火を放ってくるキメラも視界に入れて、確実に避けていく。ブラウニーの側面にまわり、銅の剣で繰り返し斬りつけていった。
「火を使ったところで、吾輩たちはやられんぞ」
ロロンドも同様にブラウニーの木槌とキメラの火を避けて、ブラウニーを攻撃していた。ブラウニーは身体が柔らかく、簡単に斬ることができた。攻撃し続けると、ブラウニーは体力がなくなって消えていく。
「よし。次はキメラを倒そう」
ブラウニーを倒したビルドは、キメラの元へと近づいていく。キメラは嘴でつついてくるが、それをジャンプして回避し、横から斬りつけていった。キメラも身体は硬くなく、容易に斬り裂くことができた。ロロンドもブラウニーを倒し、キメラのところに向かう。
「さっきからしつこく火を放ちおって…許さぬぞ!」
ロロンドもキメラの側面から攻撃していった。ビルドとロロンドは、うまく戦うことができていた。ケッパーは隊長を含めた3体のブラウニーと戦っているが、彼らは動きが遅く、避けて反撃することができた。戦いは順調に進み、ビルドはキメラを倒すと、ケッパーを襲っているブラウニーの1体に後ろから斬りかかる。
「ケッパー、こっちは片付いたから援護に来たよ」
「ありがとう。このまま魔物を倒しきろう」
「吾輩も援護するぞ」
ロロンドもキメラを倒し、ケッパーを襲っているブラウニーの1体に背後から斬りかかる。
「助かったよ。みんなでこの戦いに勝とう」
ビルドは目の前のブラウニーの横に回り、連続して銅の剣で斬っていく。ブラウニーが木槌を振るってきたら、跳んで避け、また斬りつけていく。それを繰り返して、ブラウニーを倒していった。ロロンドも同様の動きをし、ブラウニーを倒した。
「後は隊長だけだね」
残る敵は隊長のブラウニーだけになった。ケッパーが戦っていたので、既に結構弱っている。ビルドは後ろに回り、銅の剣を突き刺し、斬り裂いていった。
「うぐっ…人間め…」
敵は怯んで動けなくなっていた。ロロンドも隊長ブラウニーに剣を突き刺し、斬っていった。
「終わりだね…回転斬り!」
ケッパーは身体を回転させて斬り、凄まじい勢いで隊長のブラウニーを倒していく。これで町を襲いに来た魔物はいなくなった。
「よしっ、勝ったね」
「ああ、吾輩たちの勝利だ」
「町が無事でよかったよ」
2度目の防衛戦を乗り切り、ビルドたちは安堵する。
「魔物が落としたもの、拾っておこっと」
普通のブラウニーは毛皮を、キメラはキメラの羽根を、隊長のブラウニーは革袋を落としていった。ビルドはそれらを拾っていく。そして、町の中に戻っていった。
「吾輩はまたメルキド録の解読に戻るぞ。何か分かったら伝えようぞ」
「僕はまた魔物が来ないか見張っておくよ」
ロロンドとケッパーは、それぞれの行動をとる。寝室に戻って休もうとするビルドに、ケッパーは言う。
「そういえば、僕がさっき見せた回転斬り。あれを君やロロンドも使えるようになればいいね」
凄まじい威力だった、ケッパーの回転斬り。あれを使えるようになれば今後の戦いで役立つかもとビルドは思った。
「確かに、その方が勝てる可能性が上がりそうだね」
「実は大木槌の里の奥、メルキド山岳の手前に回転攻撃を使う魔物がいてね。君たちならそいつを倒して、技を自分の物にできると思うんだ」
「そんな魔物がいるのだな。しかし、吾輩はメルキド録の解読で忙しい。2人も町を空けるのは、魔物の襲撃があった時心配でもあるしな。回転攻撃はお主たちのを見て習得しようと思うぞ」
ロロンドは戦いに行かず、ビルドだけで行くことになりそうだった。今回の襲撃によって、町の防衛をケッパーだけに任せるのも不安になっていた。
「分かったよ。それじゃあ、行ってくるよ」
ビルドはまずは旅の扉をくぐり、大木槌の里へと向かっていく。何体もの大木槌たちがゆったりと暮らしているが、そのうちの1体、フレイユに話しかけられる。
「人間さん、今日も来てくれたんだね。今日は何の用?」
「メルキド山岳の手前に、回転攻撃を使う魔物がいるらしいんだ。そいつを倒して、自分も回転攻撃を習得しようとしてるんだ」
「そんな魔物がいるんだ…私にも戦いに協力させて。その方が勝ちやすいと思うから。ポルドにも協力を頼めばいいと思うよ」
フレイユやポルドと一緒に戦いに行くことになりそうだった。強い大木槌なので、一緒に来てくれるのはありがたかった。
「ポルドはこっちにいるよ。ついて来て」
「うんっ」
フレイユはポルドの所にビルドを連れていく。ポルドは里の端の方に佇んでいた。
「ポルド、人間さんが回転攻撃を使う魔物と戦いに行くんだって。今日も協力してくれる?」
「もちろん。俺は人間の味方だからな」
「ありがとう。メルキド山岳がどこにあるか分かる?」
ポルドも協力してくれることになった。ビルドは彼に、メルキド山岳がどこにあるか聞いてみる。
「メルキド山岳はあっちだ」
ポルドはメルキド山岳のある方向を指さす。
「ありがとう。じゃあ、そこに向かおう」
ビルドとポルド、フレイユは、メルキド山岳を目指して歩いていく。道中ブラウニーや骸骨に襲われたが、簡単に倒すことができていた。メルキド山岳は白い岩でできた岩山で、その前に鉄の蠍とキメラが陣取っていた。
「あれが今回戦う相手かな?」
「回転攻撃を使ってくるか…戦えば分かるさ」
ビルドたちは鉄の蠍たちと戦いに行こうとする。すると、横から声が聞こえてきた。
「おい、そこの人間。大木槌を連れてるみたいだが、この先の敵は危険だぞ」
「誰?」
横を見てみると、1体の骸骨がいた。
「俺はレゾン。人間好き、そして誰よりも強くなりたい骸骨だ」
骸骨とは何度も戦ってきたが、人間の味方をしてくれる個体もいるようだった。
「そうなんだ。危険なのは分かってるけど、回転攻撃を覚えるために戦いたいんだ」
「だったら俺も連れていってくれ。戦力は多い方がいいだろ?」
大木槌たちに加え、レゾンも戦いに加わってくれるようだった。
「ありがとう。一緒に戦おう」
「まず最初に俺が鉄の蠍の攻撃を受け止めるから、お前たちは周りのキメラを倒してくれ」
レゾンが鉄の蠍の攻撃を受け止めてくれるようだった。
「分かった。なるべく早く倒して、鉄の蠍との戦いに加わるよ」
「俺たちも、できるだけ早くキメラを倒す」
「みんなで頑張ろう」
ビルドと3体の魔物で、鉄の蠍とキメラと戦うことになった。みんなで彼らのところに向かう。人間であるビルドを見かけると、鉄の蠍は襲いかかってきた。
「お前の相手は俺だぜ!」
レゾンがビルドの前に出て、剣を構える。ビルドたちは周りのキメラの所に向かった。キメラのうち2体は、火を放って攻撃してくる。残り1体は、ビルドを嘴で突こうとしていた。火のうち1つはビルドの所へ、1つはポルドの所に飛んでいく。ビルドは火と嘴を避けて、一番奥のキメラを横から攻撃していく。回避力の低い大木槌であるポルドは火を受けてしまうが、倒れることなく耐えていた。
「くっ、熱い…よくもやったな!」
「私も行くよ!」
1体のキメラは次の火を放とうとしてくるが、ポルドが木槌を叩きつけて止める。もう1体はフレイユを嘴で攻撃していた。ポルドに火を放とうとした個体も嘴での攻撃に切り替えてくるが、ポルドはそれを受け止め、弾き返す。
「うおりゃっ!」
「それっ!」
フレイユも木槌で嘴を弾き返す。キメラは怯み、その隙に大木槌たちは何度も殴りつけていった。レゾンは鉄の蠍の片腕での攻撃を剣で受け止めるが、もう片腕を受けきれず身体に当たってしまっていた。
「くっ…キメラどもが倒れるまで、持ちこたえてみせる」
急がないとレゾンが倒れてしまうので、ビルドたちは何度もキメラを攻撃していく。ポルドが最初にキメラを倒し、レゾンの援護に向かった。
「俺も加勢するぜ」
「助かったぜ。ありがとうな」
レゾンとポルドによって、鉄の蠍の攻撃が受け止められる。ビルドとフレイユもキメラを倒すと、鉄の蠍を側面から殴っていく。すると鉄の蠍は、体に力を溜め始めた。
「来るぞ!」
レゾンとポルドは鉄の蠍から離れ、ビルドは大きく後方にジャンプする。側面にいたフレイユは避けきれないと判断し、木槌で受け止めようとする。鉄の蠍は身体を高速で回転させ、辺りを薙ぎ払った。
「うくっ…!」
フレイユは直撃は避けられたものの、あまりの威力に突き飛ばされていた。
「これが回転攻撃…フレイユ、大丈夫?」
「このくらい平気だよ…戦い続けよう」
フレイユは回転攻撃を避けられるよう、後ろに回って尻尾を殴っていく。
ビルドは変わらず側面から斬りつけ、鉄の蠍を弱らせていった。鉄の蠍は再び力を溜め始める。
「また来るぞ!」
今度はフレイユも範囲外に逃れることができ、みんな回転攻撃を凌ぎきった。ビルドはすぐに接近し、鉄の蠍を横から斬っていった。フレイユも尻尾を殴り、どんどん弱らせていく。鉄の蠍はついに倒れ、光を放って消えていく。
「やったな!鉄の蠍を倒したぞ!」
「なかなか強敵だったが、無事に勝てたな」
レゾンたちは、鉄の蠍に勝てたことを喜ぶ。レゾンは人間好きということで、町の仲間になってくれるかもしれないと思い、誘って見る。
「勝ててよかったよ。ポルドたちは里に戻るんだろうけど、レゾンはどうする?僕たちが作ってる人間の町があるから、そこに来ないか?」
「人間の町か…ぜひとも行ってみたいが、魔物のオレが受け入れられるのか?」
「味方をしてくれる魔物だったら、受け入れてもらえると思うよ」
「なら、行ってみるか」
レゾンも町に来てくれるようだった。
「とりあえず俺たちの里に戻ろう」
旅の扉は大木槌の里を越えた先なので、まずは里に戻ることにする。
「里に戻ってきたな。俺の力が必要な時は、また呼んでくれよ」
「うんっ、そうするよ」
「人間さんがまた来るの、楽しみに待ってるからね」
「またね。ポルド、フレイユ」
大木槌の里でポルドたちと別れたビルドとレゾンは、旅の扉に入ってメルキドの町に戻っていった。
「ケッパー、回転攻撃を使う魔物を倒してきたよ。それに、新しい仲間を連れてきた」
「新しい仲間っていうのは、その骸骨かい?」
「うんっ。レゾンって言って、人間が好きらしいんだ」
「そうなんだ。人間好きなら歓迎だよ」
ケッパーはレゾンを歓迎してくれるようだった。
「大木槌以外にも人間好きの魔物がいるとはな…吾輩も歓迎するぞ」
メルキド録を読んでいたロロンドも、レゾンのことを受け入れてくれるようだった。
「受け入れられてよかったぜ」
レゾンは嬉しそうにそう言った。
「ところでビルド、回転斬りのコツは掴めたかい?」
「うん。やってみるよ」
今回戦いに行ったのは、回転斬りの習得が目的だった。その目的も、しっかり果たせている。ビルドは周りに誰もいない場所で、鉄の蠍のように身体に力を溜め、回転させて解き放つ。
「回転斬り!」
「これはすごいぞ!見事な回転斬りだ。この技を使って、これからも町を守っていこう」
「うんっ」
回転斬りを無事習得し、町を守れる可能性がより高まり、ビルドは嬉しく思っていた。