新訳 ドラゴンクエストビルダーズ   作:seven river

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11話 ピリンの部屋とメルキド山岳

回転斬りを習得し、レゾンを仲間にした後、ビルドは寝室でゆったりと過ごしていた。夕方になると、ビルドはレゾンに話しかけに行く。

 

「そういえば、せっかく仲間になったんだし、レゾンにもベッドが必要だよね」

 

「俺はどこででも寝られるし、そもそも寝なくても平気な身体だし、必要ねえよ。人間のことは好きだけど、人間と全く同じ生活をしたいわけじゃない」

 

レゾンはベッドを必要としていないようだった。

 

「そっか。ならベッドを作らなくてもいいね」

 

「ああ。人間や睡眠が必要な魔物が仲間になった時、作ってやるといい」

 

レゾンのベッドを作ることはなく、ビルドたちはその日を終えた。翌日目を覚ますと、ビルドはひとまず寝室から出る。ロロンドが相変わらず、希望の旗の傍でメルキド録の解読に勤しんでいた。今日はどうしようかと思っていると、ピリンに話しかけられる。

 

「ねえビルド、お願いがあるんだけど」

 

「どうしたの?」

 

「私、物を作るのが楽しくて、町のみんなにあるものを作ってるんだけど…夜になるとみんなの様子が気になって、なかなか作業に集中できないの」

 

ピリンは作業に集中できず困っているようだった。あるものというのもビルドは気になる。

 

「あるものって?」

 

「それはまだ内緒。ビルドには、作業に集中できるように私専用の部屋を作って欲しいの。みんなの様子が気にならないよう、みんなの寝室からは離れた場所にね」

 

あるものについてはまだ教えてくれないようだ。専用の部屋を作るというのはお安い御用だった。

 

「それならあの辺が良さそうだね」

 

ビルドは廃墟になっている、町の南西部を指さす。

 

「部屋にはそこが誰の部屋か分かる壁掛けがあるといいと思うんだけど…作れそう?」

 

ビルドはピリンの部屋のための壁掛けを思いつく。

 

「作れそうだよ」

 

「壁掛けが出来たら、草のベッドと壺がある部屋に掛けてね。部屋の扉は私が作るよ。明かりは…前に作った松明が残ってるよね」

 

「うんっ。それじゃあ、素材集めに行ってくるね」

 

壺は専用トイレとして使うためのものなのだろう。ビルドは壁掛けと壺、部屋の壁を作るための素材を集めにいった。旅の扉を潜り、スライムベスと戦う。銅の剣で斬りかかり、反撃の体当たりをジャンプで躱してもう一度攻撃する。すると倒れ、赤い油を落としていった。

 

「まずは壁掛けの分だね」

 

それからビルドは、他のスライムベスにも斬りかかり、反撃を回避してさらなる斬撃を与える。2体目のスライムベスを倒し、赤い油を回収した。

 

「これで壺の分も手に入ったね。後は土を集めよう」

 

壺作りや壁作りのため、ビルドは大木槌で地面を削り、土を集めていく。たくさん集まると、ビルドはメルキドの町に戻っていった。町に戻ると、作業部屋に入る。

 

「あっ、ビルドお帰り。素材は集まった?」

 

「うん、今から作るよ。まずは壺からね」

 

作業部屋ではピリンが部屋の扉作りをしていた。ビルドは彼女に壺作りと壁掛け作りを見せる。まず土に赤い油を垂らして柔らかくし、壺の形へと変形させていく。壺の形になると、乾燥させて固めるため近くに置いておいた。壺を作っている間に、ピリンは草の扉を完成させていた。

 

「壺が出来たから、次は壁掛けだね」

 

ビルドは次に壁掛けを作る。大倉庫に入っていた木材を取り出し、それに赤い油を垂らす。女物の服を描くように垂らしていった。

 

「これが壁掛けだね。私の名前を書きたいな」

 

「油を乾燥させたらそうすればいいよ。少し待ってて」

 

壺も壁掛けも、やがて油が乾く。

 

「そろそろ乾いたかな?」

 

「そう思うよ」

 

ピリンは設計図を書いた時に使ったペンを取り出す。

 

「なら、私の名前を書くね」

 

ピリンは自分の名前を壁掛けに書いていった。

 

「それじゃあ、作ったものを置きに行こうか」

 

「私はみんなの寝室からベッドを持ってくるね」

 

ビルドは壺と壁掛けを持って、ピリンの部屋を作る町の南西に向かう。まず土ブロックで壁を作っていく。

 

「ここにベッドを置けばいいんだね」

 

土ブロックで囲まれる領域に、ピリンはベッドを設置する。ビルドがブロックを置き終わると、ピリンは草の扉を配置した。

 

「これで部屋になったね。後は中に壺と松明を置いて、入口の横に壁掛けをつければいいね」

 

「そうだね。これからやるよ」

 

ビルドは部屋の中に壺と松明を置き、部屋の入口の横の壁にピリンの部屋の壁掛けを設置する。

 

「ありがとう。これで私の部屋が完成したね!集中して作業できるようになったよ」

 

自分の部屋ができて、ピリンは喜ぶ。

 

「ロッシは時々寝ながら絶叫するし、ロロンドはいびきが異常に大きくて全然物作りに集中できなかったんだ」

 

「そんなことがあったんだ…僕全然気づかなかったよ」

 

ビルドは寝付きがよく、ロロンドとロッシがそんなことになっているとは思いもよらなかった。

 

「本当にありがとうビルド!そうだ、私の作りたいものに関してなんだけど…赤い油に青い油、油に石炭を溶かした黒の染料が必要なんだ。私は戦えないから、代わりに集めてきてくれない?それぞれ3つずつあれば十分かな」

 

「いいよ。それくらいなら簡単だから」

 

次は油と染料が必要と言われる。容易に集められるものなので、まず町の周りにいるスライムを6体倒し、青い油を集める。それから旅の扉を潜り、スライムベスを3体倒して赤い油を集める。町に戻ってくると、大倉庫の中の石炭をすり潰し、3つの青い油と混ぜる。すると、青かった油は黒くなっていった。

 

「これでピリンに言われた分できたね」

 

ビルドは油と染料をピリンの部屋に持っていく。

 

「ピリン、油と染料を持ってきたよ」

 

そう呼びかけると、ピリンは部屋から出てくる。

 

「本当にありがとう。これで私の作りたいものが作れそうだよ。ビルドの分も作るから、楽しみに待っててね」

 

ピリンの部屋の中に、丈夫な草でできた服のようなものがちらっと見えた。どんな服ができるのだろうかと、ビルドは楽しみになっていた。

その翌日、ビルドが寝室の中でゆったりと過ごしていると、ロロンドが入ってきた。

 

「ビルドよ、メルキド録を解読して重要な事が分かったぞ」

 

「そうなのか!?一体何が分かったんだ?」

 

「大木槌の里のさらに奥、メルキド山岳を越えた辺りにとある城があり、そこに石の守りという魔物を撃退する装置の手がかりがあるらしいのだ」

 

「石の守り…それがあれば、魔物の襲撃があっても勝てる可能性が高まるんだね」

 

「そうに違いないはずだ。それではビルド、その城に向かって石の守りの手がかりを探してきてくれ」

 

「分かったよ。行ってくる」

 

ビルドはまず部屋を出発し、旅の扉を通り抜ける。それから、まずは大木槌の里に入っていった。里では、いつも話しかけてくるフレイユに、今日も話しかけられる。

 

「人間さん、今日も来てくれたんだね。今日も何かと戦うつもり?」

 

「いや、今日はメルキド山岳の奥にあるっていう城に向かおうとしてるんだ。戦いじゃないよ」

 

「そんなところに城があるなんて不思議ね…行ってらっしゃい」

 

今日は1人でメルキド山岳を目指すことになる。大木槌の里を抜けたところで、ビルドは山登り用の土を集めるため、地面の土を削っていった。

道中、骸骨に襲われるが、剣を避けて横から斬り裂いていけば、容易に倒すことができた。

さらに進んでいくと、ブラウニーの群れにも襲われた。3匹おり、うち1匹は大型の個体だ。動きは遅いので、ビルドは木槌での攻撃を回避し、まず小さい個体から斬りつけていった。

 

「えいっ!それっ!」

 

小さい個体は簡単に倒すことができ、1体倒すともう1体の小さい個体を狙って攻撃していった。小さい個体が2体とも倒れると、大きな個体との1対1だ。大きな木槌を叩きつけてくるが、ジャンプして回避し、側面から攻撃していった。銅の剣なら身体の深くまで斬ることができ、大きな個体もだんだん弱っていった。何度も木槌で攻撃するがビルドには当たらず、そのまま倒されていった。

そうして進んでいくと、以前鉄の蠍と戦った場所にまでやってくる。その先にそびえ立つ白い岩山がメルキド山岳なのだろう。ビルドは集めた土ブロックを使って、白い岩山を登っていく。岩を登りきるとキメラがおり、ビルドを狙って火を放ってくる。ビルドはジャンプして避け、キメラを斬り裂いて倒していった。山岳を進んでいくと、地面が白い岩から草原や土へと変わる。

 

「小麦が生えてるね」

 

その場所には小麦が生えており、ビルドは銅の剣で刈りとっていった。高低差が激しく、高いところでは目の前に大きな城が見えた。

 

「あれがロロンドの言ってた城かな」

 

あれが目的の城だろうとビルドは思った。また骸骨やブラウニーの群れにも襲われ、戦いながら進んでいった。城の前では、生気のない顔をした兵士の格好をした男が、石垣の上に立っていた。ビルドは彼に呼びかける。

 

「お〜い」

 

「むっ、ひょっとして君には、私の姿が見えるのかい?」

 

男はそう言う。普通の人には見えないということなのだろうか。

 

「えっ、他の人には見えないの?」

 

「私は幽霊だからな。この地を守るべく、竜王軍と戦った、メルキドの兵士だったんだ」

 

「僕、幽霊が見えるんだ…」

 

自分には幽霊を見る力があることが分かり、ビルドは驚く。

 

「町を守る石の守りを思いついた矢先に魔物にやられてね…それが無念で仕方ない」

 

「そうだったんだね…」

 

「そうだ!私が見える君に、石の守りのことを伝えよう。まずはこの石垣と棘罠で私の足元にある石の守りを完成させてくれ」

 

男は石垣を3つ、棘罠を2つ渡してくる。目の前には石垣が積まれ、その前に棘罠が設置されているが、所々抜けがあった。抜けている場所にまずは棘罠を置いていく。それから棘罠を踏まないよう、後ろに回って石垣を配置していった。3つとも石垣を設置すると、男は言う。

 

「石の守りが完成したな。これで魔物たちを罠にかけられるぞ。ちょうど3匹の魔物がやってきたようだ」

 

彼の言う通りブラウニーの群れが、ビルドを狙って迫ってきていた。ブラウニーたちは棘罠を踏み、ダメージを受ける。

 

「こんな壁、壊してやる」

 

石垣を壊そうとするブラウニーだが、彼らの力では壊すことができず、どんどん棘罠で傷ついていった。小さな2体のブラウニーは、そのまま倒れて消えていく。大きなブラウニーでも石垣は壊せず、やがて倒れていった。

 

「おお、無事に魔物を倒せたな!魔物が硬い壁に引っかかっているうちに、棘罠でダメージを与えて倒すっていう仕掛けだ」

 

「そうなんだね」

 

石の守りの仕組みについて、ビルドはこれで理解できた。すぐ後ろにある城のことについても、ビルドは聞いてみた。

 

「そういえば、この城って誰のものなんですか?」

 

「ここは城ではなく、人々が魔物から身を守るシェルターだったんだ。メルキドを破壊された人々は何とかこの建物を作り、中に閉じこもって魔物の攻撃を凌ごうとした…だけど、やがてこのシェルターの中にもとあるマモノが現れて…」

 

「それって一体…」

 

シェルターの中のマモノとは一体なんだったのか、ビルドは気になっていた。

 

「…詳しいことはこの中にいるロロニア様に聞いてくれ。ありがとう、死人の私に付き合ってくれて」

 

シェルターの中には、ロロニアなる人物がいるようだ。兵士の幽霊はそう言うと、昇天して消えていった。シェルターの中のマモノについて知るため、ビルドはロロニアに会いにシェルターに入っていった。

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