新訳 ドラゴンクエストビルダーズ   作:seven river

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2話 町の始まり

「この旗、いったいんなんだろう?それにここ、とってもあったかい」

希望の旗から溢れた光は辺りを明るく照らしている。女の子は不思議そうな表情をしていた。

 

「あなたは誰なの?」

 

女の子はビルドに聞いてくる。

 

「僕はビルド。この旗は僕が立てたんだ」

 

「そうだったんだ。あなたはどこから来たの?」

 

そう聞かれて、ビルドは先ほどの洞窟があった方向を指さす。

 

「あっちにある洞窟から。それ以前のことは、何も覚えていないんだ。精霊の導きでここまで来たんだ」

 

「精霊の声が聞こえるなんて…とっても不思議な感じだけど…」

 

ビルド以外には、ルビスの声は聞こえないようだった。

 

「けど、本当のことなんだ」

 

「そうなんだね、なんだか怪しいけど…でもこの場所、暖かくて気持ちがいいし、私、ここに住んでみようかな。私はピリン、よろしくね」

 

女の子は自分の名前を名乗る。どうやらここに住んでくれるようだった。ピリンと話していると、ルビスが話しかけてくる。

 

「いくらあなたが物作りの力を持っているといっても、メルキドを1人で復興させるのは難しいでしょう。まずは共に町を再建させる仲間が住む部屋を作りましょう。そこに扉が残された壊れた家があります。壁の隙間を土で埋めて、修理してみましょう」

 

ルビスとの話が終わると、ピリンは聞いてくる。上からは土ブロックが5個落ちてきた。

 

「どうしたの?目が虚ろで、口が半開きになっていたけど。それに土が落ちてきたよ」

 

「えっ、僕そんな状態になってたの!?びっくりさせてごめん、精霊と話している時はそうなるみたいなんだ」

 

ルビスの声が聞こえる時にそんな状態になっていることに、ビルドは驚く。土ブロックについては、彼が説明していった。

 

「この土は精霊からの贈りもので、これを使ってあの家を直すように言われたんだ」

 

ビルドは土ブロックを拾い、家の壊れた壁を埋めていった。

 

「これで直ったね」

 

「うわあ、すごい!壊れてたお家の壁が直ってる。怪しい感じの人だけど…家を修理できるなんて、不思議な力を持ってるんだね」

 

壊れた家の壁が直ったことに、ピリンは驚いていた。

 

「どうしてこんなことができるの?」

 

「分からない。けど精霊が言うには、僕には物を作る力があるらしいんだ」

 

目覚めた時には物を作る力があったので、理由を聞かれても答えられなかった。ピリンは不思議そうな顔をして聞いてくる。

 

「物を作るってなあに?」

 

「先ほども言いましたが、この世界の住人は物を作る力を失っています。人々に物作りを伝えるのもあなたの役割なのです」

 

ピリンの質問の後、ルビスがそう言ってくる。

 

「また精霊の声が聞こえてたんだね。精霊はなんて言ってたの?」

 

「物を作ることを教えるのも僕の役割だって。何か欲しいものはある?」

 

実際に物作りを見たら分かってくれるかもと思い、ビルドはそう尋ねる。

 

「お家を修理してくれたのはありがたいけど、夜の闇を照らす明かりも欲しいな」

 

ピリンは明かりを作って欲しいとビルドに言う。

 

「旗の近くにある石の作業台を使えば、松明を作ることができそうです。私の贈る素材を使って、松明を作ると良いでしょう」

 

「また精霊の声が聞こえたんだ」

 

ビルドの顔の状態を見て、ピリンはそう言う。ビルドの目の前には太い枝と青い油が落ちてきた。物作りを伝えるため、ビルドは松明作りをピリンに見せてあげることにする。

 

「それじゃあ松明を作るから、ピリンは後ろで見てて」

 

「分かったよ。物を作るってどういうことなのか、覚えるね」

 

「あの作業台を使うね」

 

ビルドとピリンは拠点の中に置かれている石の作業台に近づき、ビルドは作業を始める。工具を使って太い枝を5つに切り分け、それぞれの先端に青い油を塗っていく。そして、油を塗った部分同士を擦り合わせて点火する。2本に火がつくと、残りの3本にも火を移していった。

 

「これで松明ができたよ」

 

「すごいすごい!素材から新たな物を生み出すことを物作りって言うんだね。私なんだか分かった気がするよ」

 

ピリンは物作りについて理解してくれたようだった。

 

「それならよかった」

 

「教えてくれてありがとう。せっかく作ってくれたその松明、お家の中に置いてみてよ」

 

「分かった」

 

ビルドは先ほど修理した家の中に入り、松明を1本設置する。

 

「これで夜の闇も照らせるね。立派な部屋になった感じがするよ。ありがとうビルド、今日からこの部屋で私と暮らそうね」

 

まだ部屋は1つなので、一緒に暮らすことになりそうだった。

 

「そうだ。部屋には夜になったら寝られる場所があるともっといいと思うんだ。何かいいもの作れないかな?」

 

ピリンは寝る場所について相談してくる。家の中には松明が置かれているだけで、寝るのに適した場所はなかった。

 

「では、素材を集めて寝床を作ってみましょう。私が素材をあげてばかりでは成長できないので、今回は自分で素材を集めましょう。拠点の中や外にある丈夫な草があれば、わらベッドを作れるはずです」

 

ルビスはそう言ってくる。今回は素材を支給してくれないようだった。

 

「寝る場所は2つあると嬉しいな。だって寝る場所があると、ビルドの隣で寝られるもん。1つは私が作ってみようかな」

 

「頑張ってみて。今回は自分で素材を集めてって言われたから、一旦拠点の外で丈夫な草を探してみるよ。ピリンは拠点の中を探してみて。寝床を作るには3つ必要かな」

 

「わかったよ。気をつけてね」

 

ビルドは拠点の外に出て、丈夫な草を探しに行く。拠点の外にはスライムが生息しているが、積極的に襲ってこないので無視していた。丈夫な草はすぐに見つかり、ビルドは檜の棒で刈り取る。

 

「まずは1つと」

 

その後もすぐに見つかり、3つの丈夫な草を手に入れた。3つあればベッドを作るのに十分だろうということで、ビルドは拠点に戻っていった。

 

「ピリン、こっちは集まったよ」

 

「おかえりビルド。こっちも集まったよ」

 

ピリンも拠点内の丈夫な草を集められたようだった。

 

「良かった。それじゃあ作り始めよう」

 

ビルドは丈夫な草を細かく切り、編み合わせていく。やがて、草の緑色のベッドができあがる。しばらく乾燥させれば、藁のベッドになるだろう。

 

「できた。次はピリンの番だよ」

 

「うんっ!」

 

ピリンもビルドの真似をして、草のベッドを作っていく。ビルドと比べて切り方や編み方が下手ではあるものの、何とかベッドの形にすることができていた。

 

「できた。これでどうかな?」

 

「なかなかいいんじゃないかな?それじゃあ、さっきの部屋に置きに行こう」

 

ベッドを完成させたピリンを、ビルドは褒める。2人で一緒に、先ほど修理した家に向かった。

 

「僕のはここに置いて…」

 

「私は隣に置くね」

 

ビルドとピリンのベッドは2つ並んで配置される。これで夜になったら眠ることができそうだった。

 

「これで寝床ができたね。初めて物作りをして、なんだかお腹が空いてきちゃった。ビルドもそうじゃない?」

 

「確かに、言われてみればそうかも」

 

ピリンに言われて、ビルドは自分が空腹であることに気づく。

 

「この辺りの木には、ピンク色の木の実、モモガキがなるの。小さくてお腹は大して膨れないけど、甘くてとっても美味しい実なんだ」

 

ピリンはモモガキなる木の実について説明する。

 

「そんな実があるんだ」

 

「この辺りには危険な魔物はいないし、私、探しに行ってくるね」

 

「それじゃあ、僕も探すとするよ」

 

ピリンはモモガキの実を見つけるため、森の中に入っていく。ビルドも森の中に入り、モモガキの実を探した。森にはドラキーがいたが、襲ってくることはないので、安全に探すことができた。

 

「これがモモガキの実か…」

 

やがて、ビルドは木の下に落ちているピンク色の木の実を発見する。檜の棒でそれを刈り取っていった。あまりお腹が膨れないということで、なるべく多く見つけておこうと思い、ビルドは5つ採取した。

 

「このくらいあれば十分かな」

 

ビルドはそう言うと、町の方へと歩いていった。ピリンはもう帰ってきていた。

 

「ビルド、モモガキの実は見つかった?私はいくつも見つけて、もう食べちゃった」

 

彼女はもうモモガキを食べ終わったようだ。

 

「僕も5つ見つけてきたよ。これから食べるところだよ」

 

「そっか。よく味わって食べてね」

 

「うんっ」

 

ビルドはモモガキの実をまずは1個食べてみる。すると、口の中に甘い味が広がった。

 

「確かに、甘くて美味しいね」

 

「そうでしょ。私、この味が大好きなんだ」

 

「僕も気に入ったよ」

 

ビルドはよく味わいながら、モモガキの実を1つずつ食べていった。完食すると、すっかり空腹も収まっていた。

 

「ふぅ〜、美味しかった」

 

腹も満たせたことで、さらなる物作りへの意欲が湧いてきた。

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