新訳 ドラゴンクエストビルダーズ 作:seven river
モモガキの実を食べ終わったビルドに、ピリンは話しかける。
「ビルドと私はこれからもたくさんの物を作っていくことになるだろうけど、そのために必要だと思う物があるの」
「必要なものって?」
「たくさんの素材を手に入れることになるだろうし、それを収納できるものがあったら良いと思わない?」
「彼女の言う通り、素材の保管場所があると良いかもしれませんね」
確かにこの先、たくさんの素材を集めることになるだろう。収納用の道具を作ることには、ビルドもルビスも賛成だった。
「確かにそうだね。それを作ってみるよ」
ビルドは頭の中に、素材を収納する箱を思い浮かべる。
「太い枝が必要だから、取ってくるね」
「私はビルドが物作りしてる間、収納道具を使った設計図を書いておくね。私、昔の人が使ってただろう紙とペンを持ってるの」
ピリンはそう言い、紙とペンを取り出す。
「楽しみに待ってるよ。それじゃあ、行ってくる」
ビルドは森の中に入り、落ちている太い枝に檜の棒を叩きつける。そして2本回収すると、拠点へと戻っていった。ピリンは悩みながら、設計図を書き進めていた。
「おかえりビルド。素材は集まった?」
「うん。早速作ってみるよ」
ビルドは石の作業台で、1本目の太い枝を削っていく。箱状の形にして、そこに素材を入れられるようにする。2本目の太い枝は、箱の蓋になるように加工していった。
「ピリン、収納箱ができたよ」
「ありがとう。これで素材が増えても大丈夫だね」
収納箱が完成して、ピリンも喜んでいる。
「私の方も設計図が書けたよ」
彼女はそう言うと、設計図をビルドに見せつける。土で壁、草で扉が作られ、石の作業台に焚き火、収納箱が置かれた小さな部屋だった。
「へえ、よく書いたね」
ビルドはピリンの設計図を褒める。
「えへへ。そういえば私、思うことがあるの」
「思うこと?」
「この世界に昔何があったのかは分からないけど、悪い魔物たちが世界から光を奪ったせいで、今の人たちは自分が生きていくので精一杯なんだ」
生きていくので精一杯。それがアレフガルドの現状だった。
「誰かを助けようともしないし、協力して生きていこうともしない…私、そんな世界ってすっごくつまらないと思うの。だから、町を作ってみんなで暮らせたら楽しいと思わない?」
「僕もみんなで暮らせた方がいいと思うよ」
ピリンの思いに、ビルドも賛成であった。
「そうでしょ。だから町作りの一貫として、まずはこの設計図の部屋を作ろうよ」
「それじゃあ、早速作り始めよう。場所はどこにする?」
「あの辺は何もないから、そこが良さそう」
ピリンは拠点の東の、何もないところを指さす。
「じゃあ、そこに作ろう」
「うんっ。石の作業台は、叩いて外して、この部屋の中に置き直してくれるかな?」
「わかったよ」
ビルドは石の作業台を檜の棒で叩いて外し、建設予定地へと再配置する。
「それと、さっきの収納箱も置かなきゃだね」
ビルドは石の作業台の後、収納箱も建設予定地に配置する。後は焚き火と草の扉、土の壁が必要だ。ビルドは必要な素材量を考え、ピリンに伝える。
「ピリンは太い枝と丈夫な草を3個ずつ集めてきて。僕は土と青い油をとってくるよ」
「わかったよ。気をつけてね」
ピリンは草原と森に、丈夫な草と太い枝を集めにいく。ビルドは町の東に行き、土ブロックを次々に崩していった。
「結構な数が必要だったね」
ビルドはピリンの設計図を思い出し、かなりの数の土ブロックが必要だと認識する。檜の棒を振り回し、根気強く集めていった。
「土はこのくらいでいいかな?」
大量の土ブロックを手に入れると、次は青い油を手に入れにいく。恐らく青い体のスライムが持っているだろうと考え、ビルドはスライムに近づいていった。
「えいっ、そりゃっ!」
檜の棒でスライムを攻撃する。スライムは体当たりで反撃しようとしてくるが、ビルドは横にジャンプして回避した。それからもう一度攻撃すると、スライムは倒れる。
「おっ、青い油だ」
スライムが倒れたところには、青い油が落ちていた。ビルドはそれを拾い、拠点へと戻っていく。すると、ピリンはもう戻ってきていた。
「ビルドも戻ってきたね。私、ちゃんと素材を用意してきたよ」
「ありがとう。それじゃあ作っていこう」
ビルドはピリンに、青い油とたくさんの土ブロックを渡す。
「ピリンはこれで壁を作って。終わったら、焚き火をお願い。僕は時間がかかりそうな、扉作りをやるよ。丈夫な草3つと太い枝1つを僕に渡して」
「はいっ。早速始めるね」
ピリンは丈夫な草と太い枝をビルドに渡す。それから彼女は設計図の通りに、土ブロックを配置していった。ピリンは手際よく作業を進め、あっという間に壁が出来上がっていった。ビルドはまず太い枝を切り分けて骨組みを作り、それに丈夫な草を結んで扉を作っていった。
「太い枝の切り分けが終わったみたいだね。それじゃあ、私は焚き火を作っていくね」
ピリンは壁を作った後、2本の太い枝を切り分けていく。そしてそれに青い油をかけて、擦り合わせて火をつける。彼女は完成した焚き火を、設計図に書かれた位置に配置していった。
「こっちの作業は終わったよ。ビルドももう少しかな?」
「うんっ。少し待ってて」
ビルドは骨組み全体に丈夫な草を結び、扉を完成させる。
「できた。これをここに置いて…」
完成した旅の扉を、彼は設計図に書かれた位置に配置していった。
「うわあ。設計図通りの部屋ができたね!ありがとう、一緒に作ってくれて」
設計図通りの部屋が完成したことを、ピリンは喜んでいる。
「これからこの部屋でたくさんの物を作るんだよね。とっても楽しみ」
「僕も楽しみだよ」
ピリンもビルドも、これからの物作りを楽しみにしていた。