新訳 ドラゴンクエストビルダーズ   作:seven river

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5話 キノコの料理

キメラの翼ができた後作業部屋から出ると、ピリンの姿があった。

 

「ビルド。建物を作って、あなたとロロンドを待ってたら、とってもお腹が空いちゃったの」

 

彼女はそう話しかけてくる。この拠点の近くには、彼女の好物であるモモガキの実があったはずだ。

 

「それなら、またモモガキの実を取りに行ってくるのか?」

 

「ううん。モモガキの実は美味しいけど、あんまりお腹はふくれないからね。町に料理ができる場所があれば、美味しくてお腹にたまる物ができると思うの」

 

腹持ちが良いものをピリンは求めているようだった。

 

「ビルド、素材を料理出来る方法、何か思いつかない?」

 

ビルドは頭の中に、料理をするための焚き火を思い浮かべる。

 

「料理用の焚き火を思いついたよ。さっそく作ってみるね」

 

「それと収納箱を1つずつ置いて、料理専用の新しい部屋を作ってくれると嬉しいな」

 

ビルドとピリンの会話を聞いていたロロンドは言う。

 

「料理をするための部屋が出来たら、焼きキノコを作ると良い。キノコは水場に生えているものでな、モモガキの実より腹持ちが良いと思うぞ」

 

「分かった。それじゃあ僕は料理部屋を作るための素材を集めてくるから、ピリンとロロンドはキノコを集めてきて」

 

素材集めを分担するようにビルドは言う。

 

「分かったぞ。では、水場に向かおうではないか」

 

ピリンとロロンドは水場に向けて出発していった。ビルドも自分の分の素材集めへと向かう。料理部屋の壁を作るため、土ブロックを棍棒で叩き壊し、手に入れていった。また、扉や焚き火を作るため、草原で丈夫な草を、森で太い枝を集めていった。焚き火には青い油も必要になるため、草原にいたスライムと戦いに向かう。

 

「えいっ!」

 

棍棒で殴りかかると、スライムは体当たりで反撃してくる。ビルドは跳んでそれを回避し、さらなる攻撃を加えていった。するとスライムは倒れ、青い油を落としていく。

 

「これで素材は集まったね」

 

素材を集め終わると、ビルドは拠点へと戻っていく。すると、ピリンとロロンドは既に帰ってきていた。

 

「ようやく戻ってきたな、ビルドよ。こっちは集まったぞ」

 

「結構大きなキノコだったし、お腹いっぱいになりそうだよ」

 

十分な量のキノコが集まったようだった。

 

「そうなんだ。それじゃあ、早速料理部屋を作っていこう。ピリンも手伝って。ロロンドは、僕たちの物作りを見て学んで」

 

「分かったぞ。お主たちの物作り、しっかりと見せてもらおう」

 

ロロンドはまだキメラの翼しか作ったことがないので、今回は見学ということにした。

 

「私は何を作ればいい?」

 

「まず壁と、普通の焚き火、収納箱だね。普通の焚き火を加工して料理用焚き火を作るから。はい、これが素材だよ」

 

「ありがとう」

 

ビルドはそう言うと、ピリンに土ブロックと太い枝、青い油を渡す。

 

「そうだねー、あの壊れた建物を使おう」

 

ビルドは拠点の南にある細長い建物跡を指さす。広さは十分で、料理用焚き火と収納箱も問題なく置ける。

 

「まずはあの建物の壊れた壁を埋めればいいんだね。やってくるよ」

 

ピリンは壊れた建物に向かい、土ブロックで壁の穴を埋めていく。

 

「僕はまず枝と草で扉を作るよ」

 

ビルドは作業部屋に向かい、ロロンドもそれについて行った。まずは太い枝を細く切り、扉の枠にする。その作業中にピリンも作業部屋へと入ってきた。

 

「壁を土で埋めてきたよ。ビルドが枝を切り終わったら、私が焚き火を作るね」

 

工具は1つしかないので、ピリンはしばらく待っていることになる。扉の枠ができると、ビルドは彼女に工具を譲った。

 

「これで扉の枠はできたね。ピリン、焚き火を作って」

 

「分かったよ」

 

ピリンはまず、太い枝を細かく切り分けていった。十分切り分けると、青い油をつけて擦り合わせていく。すると火がつき、焚き火が完成した。

 

「ビルド、焚き火ができたよ」

 

「よくやったね。ありがとう」

 

ビルドは丈夫な草で枝の枠を固定し、それから扉に丈夫な草をかけていった。そうしながら、ピリンに感謝の言葉を言う。

 

「それじゃあ次は収納箱を作るね」

 

ピリンは収納箱を作るため、太い枝をくり抜いていく。四角形の収納スペースができると、他の太い枝で蓋も作っていった。ピリンが収納箱を完成させる頃には、ビルドは草の扉を完成させており、工具が使えるようになるのを待っていた。

 

「ピリン、収納箱をありがとう。これから僕は焚き火を料理用に加工するから、扉と収納箱をさっきの建物に置いてきて」

 

「分かったよ。頑張ってね」

 

ピリンは草の扉と収納箱を修理した建物に持っていく。ビルドは焚き火を料理用にするため、まずは太い枝を5本に切り分ける。

 

「扉と収納箱を置いてきたよ」

 

「ありがとう。これで料理用焚き火が出来れば、調理部屋が完成するね」

 

作業の途中にピリンも作業部屋に戻ってきた。5本のうち2本を交差させ、丈夫な草で縛って固定する。それをもう1セット作り、焚き火の左右に置く。5本目は交差させた枝両方に乗せ、焚き火の真上に置く。最後に5本目の枝から、焚き火の上に料理を吊り下げるための丈夫な草の輪を垂らし、料理用焚き火を完成させる。

 

「これで料理用焚き火は完成だね」

 

「見事な物作りだったな。そして、これでようやくキノコが食べられるということだな」

 

「私もうお腹ペコペコだよ。早く食べたい」

 

物作りをしたピリンは、相当お腹が空いているようだった。ロロンドもキノコを食べるのを楽しみにしているようだった。

 

「僕もお腹が空いたよ。それじゃあ、料理用焚き火を料理部屋に置きにいくね」

 

「吾輩たちもついて行こうぞ」

 

「うんっ」

 

ビルドたちは作業部屋を出て、料理部屋へと向かう。先ほどピリンが置いてくれた扉を開けて、空いているスペースに料理用焚き火を置いた。

 

「無事に置けたな。では、キノコを早速焼いていこうではないか」

 

ロロンドはキノコを垂れ下がった丈夫な草に引っ掛ける。しばらくしているとキノコの色が変わっていき、美味しそうな匂いがしてきた。

 

「うわあ。とっても美味しそうな匂いがするよ」

 

「匂いだけでも美味しさが伝わってくるな…まったりとして、こってりとして、それでいて上品だ。ビルド、ピリンよ、お主たちから食べてよいぞ。吾輩は見ているだけだったからな。お主たちの方がお腹が空いているであろう」

 

「ありがとう。僕はピリンの後でいいよ」

 

「それじゃあ私が最初だね。もうちょっと焼いたら、食べてみるよ」

 

中まで火が通ったであろう頃になると、ピリンはキノコを料理用焚き火から離す。

 

「それじゃあ、いただきまーす」

 

ピリンは思いっきり、焼きキノコにかぶりついた。

 

「うわあ、とっても美味しいよ」

 

ピリンは笑顔になりながら、何度もかぶりついていた。

 

「ピリンがこんなに美味しそうな顔をするから、僕も早く食べたくなってきちゃった」

 

「では、このキノコを焼くぞ」

 

ロロンドは次のキノコを料理用焚き火に吊り下げる。待っていると色が変わり、美味しそうな匂いが漂ってくる。

 

「とっても美味しそうだね」

 

もうしばらく待ち、ビルドは料理用焚き火から焼きキノコを外す。

 

「このくらいで十分かな。いただきます」

 

ビルドは焼きキノコをかじってみる。すると、旨みが口全体に広がり、笑顔になっていた。

 

「ほんとだピリン、とっても美味しいよ」

 

「2人がそう言うってことは、相当美味いのだろう。今度はいよいよ吾輩の番だ!」

 

ロロンドはまたキノコを料理用焚き火に吊るす。先ほどまでの二人と一緒で、色が変わってからもしばらく待ち、中まで火が通ったであろう時に外した。

 

「では吾輩も、いただきます」

 

ロロンドもいよいよ焼きキノコを食べる。

 

「うおおおお!なんという美味さだ!」

 

彼は大声で喜びながら、キノコを頬張っていた。これで3人とも、焼きキノコを味わったことになる。ピリンは食べ終わると、自分が集めたキノコを料理用焚き火にかける

 

「私、もう一つ食べたいな」

 

「ピリンが集めた分もあるからな。まだ味わえるぞ」

 

キノコを食べている間、ロロンドはこんな話をする。

 

「そういえば、メルキド録にはこだわりの男料理のページがあるのだ」

 

「そうなんだ。そのメルキド録、直接見せてもらうことは出来るかな?」

 

メルキド録には多彩な内容が載っているようだ。ビルドは直接見てみたいと思い、ロロンドに聞いてみる。

 

「メルキド録は吾輩の宝物だ。そうやすやすとは見せられん…それにこの書は古代の文字で書かれておるゆえ、文字を失った我らにはそう簡単に読むことはできぬのだ」

 

「そうなんだ…残念」

 

ロロンドの宝物であるというメルキド録を見せてもらうことはできなかった。仮に見ても、全然分からないのだろうとビルドは思う。

 

「だが吾輩は、この町を発展させるため、何としてもメルキド録を読み解くつもりだ。解読が進めばお主にも伝えるから、楽しみに待つが良いぞ」

 

そんな会話をしつつ、ビルドとロロンドはキノコが焼けるのを待つ。焼けたら、またその美味しさを味わうのだった。焼きキノコを楽しみ終わった頃には、夕方になっていた。

 

「もう夕方だね。そうだ、ロロンドの分のベッドも作らないと」

 

「吾輩も土や石の上では寝たくないからな。ぜひとも頼むぞ。作るところは見学させてほしい」

 

「分かった。まずは素材を集めてくるよ」

 

ビルドは拠点の外に出て、丈夫な草を3つ集める。

 

「集まったよ。これから作る」

 

「では、見させて貰うぞ」

 

そして、ロロンドと一緒に作業部屋へと入っていった。丈夫な草を細かく切り、編んでベッドへと変えていく。

 

「なるほど、そう作るのか」

 

ロロンドは物作りの様子をじっと見ていた。しばらく作業を続け、彼の分の草のベッドが完成する。

 

「これでロロンドのベッドができたよ」

 

「本当にありがたい。寝る部屋は用意してあるのか?」

 

「用意してあるよ。3人で寝よう。ベッドをその部屋に持っていくね」

 

「分かったぞ」

 

これで寝室には、3つのベッドが並ぶことになる。美味しい焼きキノコを食べ、腹も満たされた3人は、夜になるとそれらのベッドで眠りにつくのだった。

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