新訳 ドラゴンクエストビルダーズ   作:seven river

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7話 大木槌の作り方

ビルドが旅の扉に入ると、目の前には土でできた山岳地帯が広がっていた。それともう一つ、いくつか建物が立っているのも見えた。

 

「建物だ…誰かいるのかな?」

 

町作りの仲間になってくれるかもしれないと思い、まずは1番近くにある建物に近づいていった。すると、建物の前に看板があり、『大木槌の里 案内所』と書かれていた。

 

「案内所か…ここに大木槌がいるのかな」

 

大木槌の作り方を調べに来ているので、ビルドは入ってみることにする。すると、頭が紫色の毛皮に覆われ、木槌を持った魔物である、大木槌がいた。

 

「こんにちは」

 

「おお、お前は人間じゃないか。さも当然のように家に入ってくるとは、向こう見ずというか大胆というか…」

 

案内所と書かれていたので、家と言われてビルドは驚く。

 

「案内所って書いてあったから入ってきたんだ。家だったのか?」

 

「確かに案内所でもあるな…それで何を案内して欲しいんだ?オレは昔から人間が嫌いじゃない…好きに聞いてくれ」

 

そう言われたので、ビルドは大木槌の作り方を尋ねてみる。

 

「えっと、大木槌の作り方が知りたいんだ」

 

すると、目の前の大木槌は大層驚いたような表情をしていた。

 

「おおお、お前はなんてえっちな質問をする奴なんだ!」

 

「えっちな質問…?」

 

えっちな質問と言われてビルドは困惑するが、武器と魔物の名前が一緒であることを思い出す。ビルドは武器の方の作り方が知りたいのに、目の前の大木槌は魔物の方の作り方だと解釈したようだった。

 

「いや、僕が言ってる大木槌っていうのは武器の方だよ」

 

「なんだ、そっちの方か。武器の大木槌は、オレたちが持ってる道具のことだな」

 

無事に誤解を解くことができて、ビルドは一安心する。

 

「それなら、あっちに住んでいる長老なら知っているはずだぜ。長老の家は屋根に篝火があるから、それを目印にしろよな」

 

旅の扉を出た時に、遠くに篝火のある建物が見えた。あれが長老の家なのだろうと、ビルドは考える。

 

「教えてくれてありがとう。長老の家に行ってくるよ」

 

「行ってらっしゃい。ちなみにオレはラソルって言うんだ。また何かあったらよろしくな!」

 

案内所の大木槌はラソルと名乗っていた。ビルドは案内所を出て、長老の家へと向かっていく。その途中、何体もの大木槌を見かけた。そのうちの一体に、ビルドは話しかけられる。

 

「人間さんが里を訪れるなんて珍しいね。どうしたの?私、人間さんに興味があるから話しかけちゃった」

 

ラソルと比べて随分声の高い大木槌だった。ラソルはオスで、目の前の個体はメスのようだった。

 

「大木槌の作り方を長老に聞きに行くところなんだ。案内所で、長老のところに行くように言われてね」

 

「そんな事を聞こうとするなんて、あなた変態さん…?」

 

変態さんと言われ、ビルドはまた武器と魔物を間違えられたことに気づく。

 

「いや、聞きに行くのは武器の大木槌の作り方であって、魔物の大木槌じゃないよ」

 

「あっ、そうだったのね。誤解してごめんね。長老は優しい方だけど、失礼のないようにね」

 

誤解したことを、目の前の大木槌は謝ってくれる。

 

「分かったよ」

 

「一応教えておくけど、私はフレイユ。話したかったらまた相手になってあげる」

 

「よろしくね、フレイユ」

 

メスの大木槌はフレイユと名乗る。彼女は1つ、注意しなければならないことを伝えてくる。

 

「そうだ。私たち大木槌は人間を襲ったりしないけど、頭の毛皮が茶色の奴らには気をつけてね。奴らはブラウニーと言って、人間や大木槌と敵対してるから、視界に入ると攻撃してくるはずよ」

 

「そうなんだね。注意しておくよ」

 

ブラウニーのこともビルドは気に留めておいた。ビルドはフレイユの元を離れると、長老の家へと向かっていった。長老の家には石段があり、それを登っていかなければならないようだった。ビルドは一段ずつ登っていき、入り口へとたどり着く。

 

「すみませーん」

 

中には3体の大木槌がおり、真ん中の個体は身体が大きかった。どうやらこの大木槌が、里の長老のようだった。

 

「ふおお、お主は人の子か」

 

「君が大木槌たちの長老なの?」

 

「いかにも。ワシは大木槌の長老、ラグナーダじゃ。滅びを待つ哀れな人間よ、ワシに何か用か?」

 

滅びを待つ哀れな人間と言われたが、ビルドは滅びる気なんてなかった。

 

「大木槌の作り方を教えて欲しいんだ」

 

「ふぉお!それならまずはの、活きがよくてぴちぴちとした大木槌を腹這いにして…」

 

ラグナーダは解説を始めるが、どう考えても武器ではなく、魔物の方の作り方を言っていた。またまた誤解されてしまい、ビルドは武器の方だと伝える。

 

「いや、僕が知りたいのは武器の方の大木槌だよ」

 

「ふぉおお、そうであったか。大木槌は我らが秘宝。そう簡単に作り方は教えられぬな」

 

作り方を教えてもらえず、ビルドはがっかりする。

 

「何もそこまで分かりやすく落ち込まずとも良いではないか…」

 

落ち込んでいるのは、ラグナーダにもはっきりと伝わったようだった。

 

「そうじゃ、実はこの家の天井に穴が3つ空いてしまってな。自分で修理しようともなかなか上手くいかず困っておったのじゃ。大木槌は壊すのは得意でも、直すのは苦手でな…それを塞いでくれたら、大木槌の作り方を教えてやろうぞ」

 

「本当か!?ありがとう」

 

家の天井を直せば、大木槌の作り方を教えてくれるようだった。ビルドは感謝するが、ラグナーダの左にいた大木槌はこう言う。

 

「長老、人間なんて相手にする必要はありませんぜ。人間なんて百害あって一利なし、このまま滅んでしまえばいいんです!」

 

大木槌のみんなが人間に友好的というわけではないようだ。

 

「そう思うか…じゃが、ワシは人間も必要な存在だと考えておる」

 

「ぐぬぬ…長老がそう言うなら仕方ないか…」

 

ラグナーダに言われて、左の大木槌は引き下がる。

 

「それじゃあ、天井を直してくるね」

 

ビルドは天井の修理へと向かう。一度石段を降りて、近くにあった土を回収する。そして再び石段を登って天井まで行き、穴を塞いでいった。3つ全ての穴を塞ぐと、ビルドはラグナーダの元に戻る。

 

「ラグナーダ、天井の穴を塞いできたよ」

 

「よくやったぞ。いとも簡単に天井の修理をやってのけるとは…まさかお主は、物を作る力を持つという伝説の存在、ビルダーなのか?」

 

「うん。そうみたい」

 

ラグナーダはビルダーの伝説のことも知っているようだった。そんな話の中、ラグナーダの右の大木槌が言う。

 

「長老。前に、昔は人間だらけで魔物はいじめられてたって言ってたよね。せっかく魔物の時代が来たのに、どうして人間の味方をするの?」

 

「そうだ。アッシもやっぱり納得いかないぞ」

 

左の大木槌も続けて言った。

 

「確かにそんな話をしたな。人間は力を失い今や滅びを待つ存在。一方で魔物は数を増やし続けておる」

 

ラグナーダは世界の現状を語っていった。

 

「ワシはな、今の人間と魔物のあり方が正しいとは思っておらぬ」

 

「どうしてですか?長老」

 

右の大木槌は尋ねる。

 

「確かに人間が多すぎるのも困る。しかし、このままでは世界の調和が崩れてしまうじゃろう」

 

「調和か…難しくてアッシには分かんねえぜ」

 

「でも、長老なりの考えがあって人間に味方しているんだね。僕にも分からないけど…」

 

ラグナーダの話は左右の大木槌には難しすぎるようだった。

 

「とにかく、人間よ。天井を直してくれたお礼として、大木槌の作り方を教えるぞ」

 

ラグナーダは大木槌の作り方を教えてくれる。

 

「まず、1本の太い枝を切り出し、殴る部分を作る。それの真ん中に穴を開けて、細く切った2本目の太い枝を通し、持ち手にする。これで大木槌ができる。ワシが持っているのを参考にしてもよいぞ」

 

ラグナーダは持っている槌を間近で見せてくれる。ビルドはそれの構造をよく観察していった。彼の持っているのは大きすぎるので自分で作る時はもう少し小さいのを作ることになりそうだった。

 

「どうじゃ?作れそうか?」

 

「うん、ありがとうラグナーダ。町に帰ったら作ってみるよ」

 

ビルドは感謝して、ラグナーダの元を去ろうとする。しかしその前に、彼はもう一つ話をする。

 

「人間よ、町作りをしているのじゃな。町を発展させるために、ワシから一つ言っておこう」

 

「何かあるのか?」

 

ラグナーダは町作りのためのアドバイスをしてくれる。

 

「今の魔物と人間のあり方に納得のいっていない魔物は、ワシ以外にもおるじゃろう。そういう魔物も仲間にしていけば、より町が発展すると思うぞ」

 

人間だけでなく、人間に協力してくれる魔物も仲間にすべきというアドバイスだった。

 

「分かったよ」

 

「魔物を仲間にする時は、丈夫な草でキノコを包んだエサを与えると、喜ばれると思うぞ」

 

ラグナーダは、魔物のエサの作り方も教えてくれる。

 

「分かった、それも作ってみるよ。それじゃあね、ラグナーダ」

 

「応援しておるぞ」

 

ラグナーダの話を聞き終えたビルドは、家から去る。石段を降りて、旅の扉へと向かっていった。そして旅の扉を通り、町へと戻っていった。

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