進化したら人外系お姉さんになる雑魚モンスの俺、飼い主♀の性癖を破壊する   作:霧夢龍人

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ネタバラシ

ご主人様が捕まった。

その報告を、俺に“擬態”させた触手から受ける。

 

やっぱり動き出したか、ストーリーが。

無印のゲームでの話はうろ覚えだが、対策を講じないほど俺は愚かじゃない。

 

【擬態】という位相は生物に擬態することは不可能だが、果たしてそれは自分自身に擬態することは可能なのだろうか?

答えはYESだ。

 

なぜならあくまでも、自分以外の生物に擬態することが不可能なだけで、自分は対象内だからである。

今朝急いで準備したのは、ストーリーの進行具合に遅れながら気づいたから。

 

まさか主人公がいないのにフラグが立つとは思わなかったからである。

 

「きゅきゅ」

(まぁ、俺たちがストーリーに巻き込まれてるのは逆に都合がいい)

 

ストーリーに気づいた俺は、ご主人様の所に転移すると見せかけて、触手だけをベッドに送った。恐らくご主人様でも気付くことはないはずだ。

俺自身は先程の洞窟内で擬態しながら、待ち人を待っていたわけである。

 

そしてとうとう──ソイツは来た。

 

「うがぁぁぁぁ!!!!」

 

モグライヌ。

テレビで報道されている、脱走した凶悪なモンスター……と思われている奴だ。

 

様子見を決めるために息を潜めていたのだが、洞窟内に来た途端暴れだし、目の前で進化した時は流石に驚いた。

だってモグライヌって進化しないし。しかも美少女モンスターになってるし。

 

なんかご主人様の周り、人型モンスター多くね?

 

……ま、まぁいいか。

 

進化したモグライヌは、傍から見ても凶暴なのを隠さずに暴れ回る。きっと俺を追ってきたのに、当の本人が居なくなった(ように見えた)からだろう。

 

ゲーム本編でも登場しなかったキャラだから、まさかストーリーと関わりがあると思わなかった。その後、俺なりに色々と調べたり考察をしたのである。

こっそりご主人様のスマホを借りてな。

 

その時検索履歴に、

 

・パートナー 可愛くてヤバい

・パートナー 手を出したら 逮捕?

・ロリモンスター 進化先

 

なんてのが出てきた事は墓場まで持っていくつもりである。

ごめんね、性癖狂わせて。責任取るからね……。

 

兎角として調査の結果、モグライヌはとある少女と関わりがあることがわかった。

ゲームのストーリーで少し触れていたのだが、とある少女はモンスターにしか掛からない病である“獣性転写症候群”に感染し、パートナーを置いて死亡する。

 

この“獣性転写症候群”とは、モンスターの生命力や能力を文字通り転写される病だ。モンスターを倒したモンスターが、レベルアップする時に強くなるのはこの病に皆感染しているから。

 

故にモンスター以外は感染することなく、人間が感染すれば人とモンスターのキャパシティを超えてしまうことで身体が持たなくなる。

 

そして──死亡する、のだが。

この病が厄介で、死亡する前にパートナーがいる場合、その能力を一部分だけ引き継いで生まれ変わるのだ。

新たなモンスターとして、既存の進化とは別の進化を遂げるのである。

 

当の俺も転生云々の話は、正直俺のことなのか?って勘違いをしてしまった。だからモグライヌは俺を追いかけて来たのか、と。

なまじストーリーのことを知っているために、このミスリードに引っかかってしまった訳だ。

 

だが、転生した少女の正体は俺じゃない。

 

──さて、ここでピンと来るやつが居るはずだ。

 

モグライヌの能力は、焔と土を操る能力。そのうち、ストーリーで登場する焔を操るモンスターと言えば……答えは簡単だ。

 

“アグニール”。

あいつがモグライヌのパートナーであり、転生した少女である。

そして恐らく、モグライヌを人質にとられてラスボスの組織に傀儡とされた哀れな特異個体だ。

 

ハナから疑問だった。

弱体化しているとはいえ、強力なあの特異個体が捕まるだろうか?と。しかしストーリー上で触れられることはなかった。

 

だが、モグライヌというモンスターを人質にされ、手出しできないところを操られたなら説明がつく。

そしてアグニールのパートナーであるモグライヌが登場しないのも、利用価値がなくなったモンスターを生かしておく必要がないため──消されたのだろう。

 

あまりに残酷なストーリーだ。

全年齢対応のゲームで出していい内容じゃない。そりゃあ設定があったとしても、ストーリーに出せないわけだと納得した。

 

だから。

 

「きゅ」

(なぁ)

 

俺がストーリーを書き換えることにした。

都合の悪いことは表面上に出さずに、責任を取れる立場の奴がしっかりと処理する。

 

社会人の得意技(・・・)だよなぁ?

 

「ぐぅあ……?」

 

声を掛けたことにより、モグライヌが俺に気付いた。

害獣たちを倒し尽くした姿で、俺の方に近付いてくる。まるで俺の存在を確かめるように、ゆっくりと。

 

擬態を解いて、人型になる。

 

「んきゅんきゅ」

(ほれ、コレが目当てなんだろ?)

 

そして俺の右肩を指差しながら、くいくいと呼び寄せた。

 

「……うが」

 

モグライヌの視線が、俺の右肩……即ちマーキングの痕に釘付けになる。コレを付けたのはアグニール本人だ。

 

モグライヌが追い掛けていたのは俺、ではなくアグニール本人なら、マーキングがある俺を追いかけて来たのも説明が着く。

 

「んきゅ」

(準備は整ったな)

 

ネタバラシというか、今までの騒動の顛末を解明したところで本題に移ろう。

 

なぜ俺がここまでしたのか。

わざわざこんな洞窟まで赴いて。

わざわざモグライヌと対面して。

わざわざご主人様のスマホで調べてまで下準備を整えたのか。

 

「きゅ」

(よし、そろそろお前の出番だぞ)

 

その全ては───。

 

(出てこい、アグニール)

 

 

 

ご主人様を勝手に連れて行かれた怒りと朝のイチャイチャが出来なかった八つ当たりだ!!!

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