進化したら人外系お姉さんになる雑魚モンスの俺、飼い主♀の性癖を破壊する   作:霧夢龍人

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何が起きたか分かりません。
普通に話を考えていたら、気付いたら6000文字になってました。
後悔はないです。


再誕

戦況が変わった。

アルマが引き連れてきたモンスター達が各区画に分散し、暴れているモンスター達を沈静化し始めている。

 

『待ってたよ。まさかこんなに連れて来るとは思わなかったけど……ありがとう』

 

「ふふん。私、頑張ったんですよ?後でご褒美ください」

 

『任せろ!何でも言う事聞いてやる!』

 

「……今何でもするって言いました?」

 

デカイモンスターの上で何故か顔を赤くしているアルマをよそに、戦場の空気は明確に変わったのを感じる。

 

「ふむ……まさか保護施設からモンスターを連れてくるとはね」

 

ドルマンも顔を歪ませ、己の不利を悟ったようだ。

なぜなら、今まで俺とアグニ達が分かれていたのはモンスターの沈静化のため。

 

その縛りがない今──。

 

『さぁ、出番だぞ。お前たち』

 

──俺たちの勝利は揺るがない。

 

各々に忍ばせていた触手を経由して、アグニ達を召喚する。

 

地面に黒い紋様が浮かび上がり、まるで都市が呼吸を始めたかのように脈動する。影が影としての役割を放棄し、立体的に盛り上がっていく。

 

最初に現れたのは、焔。

 

ゴォ……ッ!

 

炎が、地面から立ち上がった。

燃えるのではない。そこに在ると主張するように、赤金色の焔が人型を成し、その中心から、鋭い視線がドルマンを射抜く。

 

「ん、準備運動には……ちょうど、よかった」

 

その次に現れたのは、巨大なハルバードを肩に担いだ牛コス美女。

恵まれた体型を惜しげも無く晒すモウガンは、大粒の汗を滴らせながら俺の隣に並ぶ。

 

「アイツがご主人様の仇ね……ぶっ潰してやるわ」

 

最後に現れたのは、特徴的な狼耳と長い尻尾を揺らしたケモナー大歓喜の美少女であるフォス。

毛を逆立たせながらドルマンを睨む血走った瞳に、鋭い犬歯を覗かせてぐるぐると唸っている。

 

「グルル……」

 

役者は揃った。

 

『さて、モンスターバトルと行こうか、ドルマン』

 

「……貴様らで、私を止められるならやってみろ」

 

開始のゴングは鳴らない。

だが、いち早く飛び出したフォスによって強制的に始まった。

 

「ドルマン様!!!」

 

「私たちがお相手します!」

 

相対するのはドルマン率いる元人間たち。

モウガンもフォスを援護するようにハルバードをクルクルと回しながら、真正面から突っ込んでいく。

 

フォスの凶爪と元人間──デミモンスターと仮定する──の肥大化した爪が交錯した。

 

──ギィンッ!!

 

と金属同士がぶつかるような高音。

火花が散り、両者が弾かれる。デミモンスターは弾かれた衝撃で僅かにたじろいだ。

 

「……硬いっ!」

 

その瞬間を見逃すフォスじゃない。

地面を削りながら後退した後、次の瞬間にはもう踏み込んでいた。

 

凄まじい膂力と運動神経だ。

 

「グルァァッ!!」

 

獣の咆哮と共に、フォスの身体が低く沈む。

四肢に近い姿勢からの突進。

人間の動きじゃない。理性と本能を両立させた、完成された捕食者の動きだ。

 

爪が、喉を狙う。

 

だが──。

 

「調子に、乗るなァ!!」

 

デミモンスターが腕を交差させ、無理矢理受け止める。肉が裂け、黒い血が飛び散るが、致命傷には至らない。

 

だが、その瞬間。

 

──ズドンッ!!

 

横合いから、巨大な衝撃がデミモンスターを襲う。

 

「ぎっ……!?」

 

モウガンのハルバードが、デミモンスターの胴を薙ぎ払った。

刃ではない。柄だ。

それでも、装甲のような肉体が歪み、数メートル程吹き飛ぶ。

 

「戦闘中によそ見してんじゃないわよ」

 

モウガンが肩を回し、にやりと笑う。

 

「一人で相手にするつもり?アンタたち程度で、図に乗らないことね」

 

ハルバードが唸りを上げる。

 

重量、膂力、技量。

三つが揃った、正面突破型の暴力。

 

デミモンスターたちが、一瞬たじろいだ。

その様子をドルマンは少し離れた位置から眺めている。自分の部下が一人倒されたのに、まるで気にしている様子がない。

 

その間にも、モウガンとフォスが動揺したデミモンスター達に更なる攻撃を開始した。

俺より容赦なくデミモンスターを打ち倒していく二人。その後ろには焔を纏うアグニが依然とドルマンを睨んでいる。

 

──今なら、準備してもいい頃合だな。

 

俺の触手は基本的に八つまでしか出せない。

その内、アグニ達とアルマに合計四本。この戦闘用に二本ほど残している。デミモンスター相手に苦戦していたのは、それが原因だ。

 

なら残りの二つは?──答えは決まっている。

 

ご主人様とその兄。本ストーリーの主人公である男に持たせている。

モンスターが暴れているさなかに呼び出しては危険なため、都市のはずれに避難させていたのだ。

 

昨日、俺はカフェで主人公と話をしていた。名は、“モルド=クラウニア”。

 

ヴェスティが男になり、大人らしさを兼ね備えたらモルドのような顔になるだろう。

 

「君は俺に、何を望む?」

 

ゲームでよく見た顔を歪ませながら語りかけてくるモルドに、俺はこう答えた。

 

「んきゅ、きゅきゅ」

(ご主人様を生き返らせたい。それを手伝ってくれ)

 

そんな意思を込める。

きっと言っている意味は分からないだろう。だが、ゲームの主人公は何となくだが、モンスターの言葉が分かるという能力を持っている。

 

アルマの聞き上手(アノマリア)とは比較にならないが、伝わっているはずだ。

 

果たして俺の言葉は……。

 

「もちろんだとも」

 

モルドに届いていた。

ご主人様の遺体は粘液によって頭と身体を覆っている。【構造再設計(リビングリビルド)】は自身以外に使用できないため、身体を繋げることが出来ないからだ。

 

とはいえ、そのままでは復活できない可能性がある。

そのためモルドにお願いしたのは、回復草による身体の修復だ。

 

「任せてくれ。ただし、元通りになるのは体だけだ。それ以上のことは──君の役目だろ?」

 

「んきゅ」

 

身体の修復にはそこまで時間が掛からなかった。獣性転写症候群の因子が宿るチョーカーを首に着けたままであるため、他のモンスターがいる場所で復活させる訳にはいかなかった。

 

だが、今は違う。

 

信頼できる仲間たちと暴走を止めてくれる他のモンスターがいる──今ならできる。そんな確信があった。

 

『最後の役者だ』

 

白く滲むような光と共に、空間が静かに裂ける。

 

そこから現れたのは、ニヤニヤとした笑みを浮かべるモルドと、俺のご主人様……命を失った、その遺体だった。

 

「くぅ〜〜〜!!!やっぱりモンスターは凄いな。実質どこで○ドアだろ」

 

「んきゅ」

(だろ?)

 

顔を見合せて笑う。

ご主人様をお姫様抱っこで抱えているモルドから受け取り、その顔を優しく撫でた。

最期に見た時とは違って、綺麗に繋がっているご主人様。首には黒いチョーカーが存在を示している。

 

そして……肩からチョーカーのある首にかけて広がるのは、タトゥーのような黒い紋様。

 

最初は全く気付かなかった。

ご主人様が死んで動揺したのもあるが、まさかチョーカーを付けているだけでそうなると思わなかった。

 

当たり前だ。

まさかご主人様が──“獣性転写症候群”に罹っていたなんて。

 

「っ、貴様。何をする気だ」

 

急に現れた人影と、どう見ても死んでいる人間を見てドルマンが警戒を顕にする。右手に顕現させた紅い焔の玉がゆらゆらと揺らめきながら、無防備な俺たちへ向けて放たれた。

 

俺はともかく、モルドとご主人様は無事ですまないだろう。

 

だが、アグニがそれを許さない。

 

「させ、ない……ドルマン。お前の相手は……わたし」

 

焔が、応えた。

 

意思を持ったかのように——否、意思そのものとしてうねり、アグニールの背後でゆっくりと円環を描く。

それは回転していない。ただ、そこに在るだけで周囲の熱量を支配していた。

 

巨大な火輪。

いや、火という概念を円環として固定したかのような、圧倒的存在感。

 

ドルマンが放った紅い焔の玉が、その領域へ踏み込んだ瞬間。

 

熱圧に晒された、という表現ですら足りない。

上下関係を理解させられた焔は自ら燃えることをやめ、意味を失って崩壊した。

 

シューという情けない音と共に、霧のように消える。

 

「……ちっ、致し方ないか。久方ぶりだね、アグニ。研究の件では色々お世話になったよ」

 

「……殺、してあげる」

 

ドルマンの相手はアグニだけで事足りそうだ。あいつも散々ドルマンに酷い目にあっているだろうし、イライラが募っているだろう。

 

それを証拠に、アグニの浮かんでいるコンクリートは柔らかい豆腐のように溶けだしてしまっていた。

モウガンとフォスは依然としてデミモンスター達を圧倒している。アルマは大型モンスターに乗りながら、指示を飛ばしていた。

 

みんなが皆、己のやるべき事をしている。

ならば俺もすべきことをしよう。

 

触手の上に、ご主人様の遺体を寝かせる。穏やかな顔で目を閉じている姿は、いつぞやのマーキングの件を思い出させた。

 

──そのマーキングも、今はもう消えてしまっている。

 

そう考えると、何だか腹が立ってきた。

ご主人様が居ないとダメにさせておいて、俺を残して勝手に死んで。

 

『なんで俺のご主人様の癖に勝手に死んでるんだよ、ばーかばーか』

 

顔を撫でながら文句を宣う。

 

マーキングなんかしやがって。

お陰でご主人様の顔を見ないと、最近寝れなくなってるんだぞ。

モウガンも最近は俺に当たり強めだし、アグニは何でもない顔してるけど、あぁ見えて元少女だぞ?気にしてない訳がないだろ。

何よりフォスは、あれからめっきり落ち込んじまったよ。

 

でもそれも、全部ご主人様が生き返れば終わる話なんだ。

言いたいことが山ほどある。やりたいことも、文句も沢山ある。

 

だから、頼む。

戻ってきてくれ。

 

胸の奥で、言葉にならない願いが脈打つ。

逃げ場のない祈りみたいに、鼓動がやけに大きく聞こえた。

 

俺は、そっとご主人様の顔に近づく。

 

一瞬、迷い。

それでも、もう一歩。

 

触れるか触れないか、その距離で息が止まる。

 

そして──唇が、重なった。

 

ちゅっ、と。

 

音がするほど、軽く。

確かめるような、壊れ物に触れるみたいなキス。

 

冷たい。

 

生きていた頃とは違う、ひんやりとした感触が唇に伝わり、胸がきゅっと締め付けられる。

それでも離そうとは思わない。

 

今、この瞬間だけは。

生きていてほしいと、願っているのは俺だけじゃないと信じたかったから。

 

鼓動が、早くなる。時間が止まったみたいに感じられた。

 

お願いだ。

戻ってきてくれ。

 

溢れ出しそうな想いを、すべて胸の奥に押し込めて。

 

俺は、小さく息を吸った。

 

『……ごめんね、ご主人様』

 

声が、震えそうになるのを必死で堪える。

 

『ちょっと……熱いかもしれないけど』

 

言葉の裏に込めたのは、謝罪と、信頼と、そして覚悟。

 

俺の腕から、焔が静かに立ち上った

 

荒れ狂うような暴力的なものじゃなく、ただ、祈りを受け取るように、優しく、確実にご主人様の身体を包み込む。形をなぞるように燃やしていく。

 

肉も、骨も、痕跡すら残さない。

 

獣性転写症候群に感染した人間は、パートナーモンスターによって殺されることで、新たな“モンスター”として復活することが出来る。

それを証明したのは、他ならないアグニール。

 

もちろん上手くいくかは分からない。

もしかしたらダメかもしれないし、不完全な復活となってしまうかもしれない。

 

あるいは……と、だめな考えが浮かんでしまう。

だが俺は、この可能性に賭けるしかなかった。

 

腕の中の焔が、消えた。

 

跡形もなく、灰すら残らず。そこにあったはずの身体も、温もりも、重さもすべてが、きれいに無へと還っていた。

 

『……頼む』

 

何もない空間を、俺は見つめ続けた。

成功したのか、失敗したのか──判断する材料すら、まだない。

 

その時だった。

 

コトン。

 

乾いた音が、静寂を打ち破る。空中から何かが落ちてきた。

触手が反射的に伸び、それを受け止める。

 

黒いチョーカーだ。

 

先ほどまで、ご主人様の首にあったそれだけが、まるで“核”のように残されていた。

 

『……っこれは』

 

次の瞬間。

 

チョーカーが、脈動を始めた。

 

ドクン。

ドクン。

 

まるで心臓の鼓動みたいに、規則正しく。

 

それに呼応するように、チョーカーから伸びた黒い線が走り、重なり、絡み合い、まるで巨大な魔法陣のように再構築されていく。

 

「……何だ、これは」

 

離れた位置で、ドルマンが初めて明確に焦りを見せる。

 

アグニが、低く息を吐く。

 

「……始まった、みたいだね」

 

誰もが戦いの手を止めて、この光景に夢中になっていた。

 

チョーカーの中心から、淡い光が溢れ出す。白でも赤でもない、名付けようのない色。それはゆっくりと形を取り始めた。

 

最初は輪郭だけ。

次に、骨格。

筋肉。

皮膚。

 

一つずつ、世界が「そうあるべき形」を思い出すみたいに。

 

『……戻って、きてる』

 

声が、自然と零れた。

チョーカーから溢れる光が、ご主人様を形作っていく。

 

──そして。

 

まぶたが、わずかに震えた。

 

「……っ!」

 

俺は思わず息を呑む。

形成されきった身体、その胸が微かに上下したのが分かったからだ。

 

ドクン。

 

チョーカーの鼓動と心音が完全に重なる。

 

ドクン、ドクン。

 

黒い紋様が血管のように全身へと走り、次の瞬間、それらは一斉に沈む。まるで身体の内側へ溶け込むように、痕跡すら残さず消えていった。

 

その代わりに、ご主人様の肌に“生”の温度が戻ってくる。

 

『……っ、ご主人様……!』

 

触手越しに伝わる体温。

さっきまで確かに“無”だったはずの重さが、今ははっきりと存在している。

 

そして。

 

「……ん」

 

小さな、かすれた声。

 

間違いない。

聞き間違えるはずがない。

 

ご主人様の、声だ。

俺の大切で大事で世界で一番可愛い、俺のご主人様。

 

ゆっくりと、まぶたが開かれる。

焦点の合っていない瞳が宙を彷徨い、やがて俺を捉えた。

 

数秒の沈黙の後、ご主人様が口を開く。

 

「……あれ。私、そんなに寝てた?」

 

その一言で。

 

胸の奥に溜め込んでいたものが、全部、決壊した。

 

『──は?』

 

思考が一瞬、真っ白になる。

次の瞬間、触手が勝手に動いて、ご主人様を思いきり抱き締めていた。

 

「きゅきゅきゅう!!!!」

(寝てたとかそういうレベルじゃねぇんだよ!!)

 

「ちょ、ちょっと!? なに、なに!?」

 

突然の圧迫に、ご主人様が慌てて身じろぐ。

だが、離すつもりなんて欠片もない。生き返ったご主人様の鼓動をもう一度刻みつけるように、ぎゅうと力を込めた。

 

とぼけた顔して!!

俺が一体どんな思いでご主人様を復活させようと頑張ったことか!

それをご主人様は寝てた?なんて軽い一言で済まそうとしやがって!

 

本当に……本当に……っ!!

 

「すきゅ!!!」

(好き!!!)

 

「……え?」

 

抱き着いた勢いのまま、ご主人様の頬を抱き寄せて顔を見つめる。それでもやっぱり惚けた顔をしてるから、ぐいっと軽く引っ張った。

 

唇と唇が重なる。

 

びっくりして離れようとするご主人様を触手で縛り付け、何度も何度もキスを重ねた。

 

距離が何度もほどけていく。音もなく、理由もなく。

ただご主人様へのイライラと嬉しさをぶつけるように。

 

交わす呼吸と呼吸のあいだに、言葉にならなかった想いだけが漂っていた。

 

「……い、いきなり何するの。メルのえっち。へたくそ」

 

「うきゅきゅい」

(うるさい。黙ってキスされてて)

 

「っ、まだ続け──んぐ」

 

重なるリップ音。

顔を赤くして避けようとしているご主人様だが、俺の腰に手を回して、

ちゃっかりおしり触ってるのがバレバレだ。

 

でも許す。

だって俺のご主人様だもん。




周りの反応

モウガン「え、えぇ……あ、あんなに交じりあっちゃうの?しかも……えぇ」

両手で顔を覆う。
しかし指の隙間からこっそり覗いて赤面。



アグニ「ふーん……へぇ……」

なんか怖い。



フォス「ぎゅあぁ……」

顔を赤くしているが、気になるのかチラチラ見ている。
可愛い。



ドルマン「戦闘中に盛るとは……これだからモンスターは」

正論。



デミモンスター達「そうはならんやろ」

なっとるやろがい。



モルド「美少女と美少女モンスターのイチャイチャ百合タイム来ちゃぁぁぁぁ!!!!!」

平常運転。

ちなみにアルマはこの光景を見逃しています。
危うく脳を焼かれるところでした。危なかったね。

メリュ子ともっと絡んで欲しい推しキャラ

  • ヴェスティ(ご主人様)
  • モウガン
  • アグニール
  • フォス
  • アルマ
  • お兄さん(BLはないです)
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