進化したら人外系お姉さんになる雑魚モンスの俺、飼い主♀の性癖を破壊する   作:霧夢龍人

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やっぱりAIくんは使いようですね。
絵の才能がからっきしな私からすれば、メルの設定や姿形をより固められるのは感謝でしかない。

お陰で他キャラとの絡みも鮮明に想像できちまうぜぐへへ……


キスマーク

なんでこうなったんだろうか。

本来なら、学園の近くでモルドに提供してもらった家に帰る予定だったんだ。

 

そしていつも通りイチャイチャして、ぐっすり寝てから学校へ向かう。

 

そのはずだったのに──。

 

「うわぁ、寮の部屋ってこんなに広いんやねぇ!」

 

「ふっふっふ、でしょ?三人部屋だと余計にね!」

 

「……ん」

 

──なんで、イスフィとリリアと共に寮の部屋にいるんだ?

 

この疑問の正解は、モルドがニヤケ顔で「女子高生たちと仲良くなるためには、寮に入るべきだよなぁ!?」と言って、無理やり入寮させられたからだ。

 

ちなみにご主人様は「メルとモウガンと一緒がいい!!」と駄々を捏ねていたが、現在家にいるため、モルドには勝てなかったらしい。

 

「ベッドもふかふかやし、机もちゃんとあるし……寮ってもっと狭いもんやと思ってたけど、メルちゃんとリリアちゃんが一緒とか最高やわ!」

 

「私も!急に一人部屋から変更になった時は驚いたけど、まさか二人と一緒だなんて……ふっ、最高だぜぃ!」

 

二人は部屋を見回しながら、楽しそうに会話している。

俺はというと、部屋の中央で立ち尽くし、内心で白目を剥いていた。

 

まぁ、確かに広い。

広いし、清潔だし、なんなら俺の粘液を床に垂らしても怒られなさそうだ……いや、それはダメだな。絶対バレる。

 

俺は壁際に荷物を置き、静かに自分のスペースを確保する。ベッドに腰掛け、スカートの裾を整えつつ、深く息を吐いた。制服のスカートなんて着たくない!とか思うのが、性転換した男あるある(?)だと思うのだが。

 

普段の格好の露出が激しすぎて、制服がマシに思えてしまう。

 

スカートを履いても気にしなくなった自分。ご主人様やモウガン、アグニとフォスが居ないと寂しい自分──完全に、想定外だ。

 

本来なら今頃、モルド提供の家でご主人様と……いや、これ以上考えるのはやめよう。精神衛生によろしくない。

 

あっ、やめろ我が尻尾よ!勝手にブンブン振り出すんじゃない!?

 

「メルちゃん、そっちのベッドで大丈夫?」

 

「っ!?……あっ、う……」

 

暴走し始める尻尾と格闘していると、イスフィがこちらを見て、気遣うように声をかけてくる。

 

見られてしまっては……ないな、良かった。不思議そうな顔を浮かべているものの、特に怪しまれてはいないらしい。

 

「……ん」

 

小さく頷く。

会話がそれで成立するの、おじさん本当に助かる。

 

「てかさ」

 

リリアがくるっと振り返り、両手を腰に当てた。胸を張って朗らかな雰囲気を醸し出している姿が、ゲームで見た姿そっくりである。彼女はイスフィのお助けキャラ兼友人ポジションだった。R18版では、恋人ルートも開拓されているらしい。

 

イスフィとリリアの間に挟まる不純物(おっさん)……俺、罪では?

 

そんな考えを吹き飛ばすように、イスフィは声を上げた。

 

「メルちゃんって、ほんまに不思議やよね。喋らへんし、感情もあんまり表に出ぇへんのに、なんでか一緒におると安心するっていうか」

 

「え、わかる!クール系なのになんか……美人すぎて目立つっていうか」

 

……わかっちゃうのね。

俺は内心で肩をすくめる。目立たないように、溶け込むように、空気の一部になるつもりだった。

 

──のに。

 

寮の部屋で女子高生二人に囲まれ、「不思議」「可愛い」「謎」と評される始末。

 

これは溶け込んでいると言えるのか?いや、言えない。完全に浮いている。

 

俺、詰みでは?

 

「ま、でも寮生活って楽しいじゃん?」

 

リリアがベッドに飛び乗り、弾むように言う。

 

「夜更かししてお喋りしたり、明日の授業の愚痴言ったりさ」

 

「……ん」

 

俺は曖昧に相槌を打ちつつ、心の中でそっと訂正した。

 

俺の夜は、ご主人様に捕まるか、アグニに絡まれるか、あるいは両方だ。たまにモウガンが入ってきて、三人で正座してモウガンに叱られるというのがいつもの構図である。その後は傷付いた俺たちをフォスが慰めてくれる。

 

これがいつものルーティンだ。

夜更かししてお喋り、というジャンルではない。

 

女三人よれば姦しいというが、俺は精神的には男の“つもり”ではあるため、いまいち女子高生のノリというものについていけない。気付かぬうちに話が進んでいるのだ。

 

「なぁなぁ、寮って門限あるんやけど、今日の夜って自由時間やねんて!」

 

「そうそう!お風呂も一緒だし、ご飯も一緒だし!」

 

ほら、今も勝手に話が……って、一緒?

 

「……ん?」

 

思わずほんの少しだけ首を傾げる。

一緒って、一緒にお風呂に入ったりするっていうことか?

 

いや、いやいやまさか。そんな訳ないよな?と二人の顔を見つめていると、イスフィは笑ったまま俺の肩にポンと手を乗っけてきた。

 

“逃がさない”という強い意志を感じる。

 

「あれ、なんで不思議そうな顔してるん?同室なんやし、一緒に入ろうや!」

 

「お風呂も広そうだから三人で入れそうだよね、女子寮だから安心だ!わーい!」

 

……安心とは?

 

俺は心の中で、遠い目をした。

この二人、俺を“女子”として完全に処理している。いや、ありがたい。ありがたいんだが、問題はそこじゃない。

 

しかしそんな俺の言いたくとも言えない悶々とした感情は、誰にも気付かれることはなかった。

 

 

 

──☆

 

 

 

都会の寮って凄いんやなぁ。

田舎出身のウチがビックリするくらいには、学園都市ヴァルヴォッサの名を冠するこの学校の設備はとんでもなかった。

 

まず洗濯機、全自動だ。

そしてキッチン、食材を入れるだけで勝手に料理してくれる。

ベッドとお風呂は広々していて、窮屈に感じることはなさそう。

 

もしかしてウチって原始人やったん?なんて思うくらいだ。こんな最高の部屋で、メルちゃんとリリアちゃんの二人と過ごせるとか……ウチの前世はやっぱり徳を積んどるな。

 

おっぱいを削った甲斐があったわ。

 

「とりあえず制服片付けよっか!」

 

「お、せやな!」

 

「ん」

 

リリアちゃんの明るい声で、ウチも実家から持ってきた制服をバッグから取り出した。メルちゃんも黙って制服を取り出してる。

 

綺麗な人が着るとどんな服も似合う様に見えるっていうのは、どうやら嘘じゃないみたいなんよな。ウチが着ると、無理して着られてる感が出てるんやけど、メルちゃんが着るとドラマとかに出てきそうな女の子の出来上がりや。

 

ほんまずるいて。

 

制服の形はウチと変わらな……ん?

 

「メルちゃんごめん、一旦制服貸してくれん?」

 

「……ん?……ん」

 

不思議な顔を浮かべるメルちゃんから制服を受け取る。見ての通り、サイズは大きいけどウチのとフォルムは変わらん。

 

嘘やろ?

 

「胸のところ、お椀じゃないんや……」

 

てっきり胸の部分だけ大きくなってるかと思ったら、どうやらそんなことはないみたいやな。

 

……え、おかしない?

てことは、胸の大きさだけであんなに制服が膨らんどるってことなんか?

 

タッパもケツもおっぱいも大きすぎるやろ。

 

「えー、どういうこ……で、デカすぎんだろ」

 

ウチとリリアちゃんの目が点になる。

 

「……制服が胸に負けてる、だと?」

 

リリアちゃんが真顔で呟く。

 

この世の知りたくもない真実を知ってしまったシリアスな表情で、普段ならウチも笑ってしまってたやろうけど、今のウチは笑えん。

 

「なんでそんなに主張してるのに、制服の形は普通なの……?リリア怖いよ……」

 

「おかしいやろこれ……物理法則どこ行ったん……?」

 

ウチは制服の胸元を指でつまんで、メルちゃんの胸を見て、もう一度制服を見る。

 

こんなに虚しい二度見するなんて思わんやった。

 

「……ん」

 

メルちゃんは少し困ったように首を傾げた。その仕草がまた無駄に可愛いのが腹立つんよ。でも可愛い。

こんなん年頃の男子が知ったらとんでもない事になるんやろなぁ……とそう遠くないであろう未来を想像して、ウチは天を仰いだ。

 

リリアも真似して天を仰いでる。可愛い。ウチの周りの女の子、皆可愛すぎん?実家の弟に自慢してやろ!とスマホをポチポチ触っていると、メルちゃんが制服のままベッドの上で寛いでるのが見えた。

 

お風呂の時間にはまだ早いんやけど、ブレザーくらい脱いでもええんと思うんやけどな。

 

そんなこと考えていると──ふと、メルちゃんの首筋に目がいった。細くて白くて綺麗な首や。

 

でもその首の下、付け根ら辺のところに変な赤い点が幾つかあるのが見えた。

 

「あれ、メルちゃんってば今日の授業でめっちゃ首刺されてるやん」

 

ウチがそう言った瞬間、リリアも同じ場所をじっと見た。

 

「ほんとだ。しかも何ヶ所も!……でも、虫刺されにしては……なんか変じゃない?」

 

そこまで言って、ウチとリリアの頭には変な考えが浮かんだ。

 

首元に何個も付いている赤い点。しかも膨らんでる訳じゃなくて、淡い内出血みたいな感じやった。

 

虫刺されでこんなんなるやろか?どちらかと言うとこれは──キスマーク。

 

「……はは、いやまさかな」

 

「う、うん!だってメルちゃんってガード硬そうやし」

 

二人してなんとも言えない言い訳(?)をして現実逃避をする。メルちゃんはウチらの会話が聞こえてきたのか、「ん?」と顔を上げて見つめてきた。

 

同時に目に入るのは、赤い幾つもの斑点。

 

それはメルちゃんが、こんな無表情で美人な子がソウイウコトを誰かとしてるって証明になってまう。

 

結論を出したくない。

 

「……見なかったことにしよか」

 

「……うん、そうだね」

 

結果として、ウチらは深く踏み込まんことにした。これ以上考えたら脳破壊されそうやったからや。

 

だって考えてみ?寡黙でクールなこの子の笑顔を知っとるのがウチらだけじゃないって、なんかちょっと嫌やんか。誰かに取られたみたいで、もし恋人ができても友達優先にしてしまうウチからすれば、寝取られと一緒なんよ。

 

やからあれは虫刺され。それ以上でもそれ以下でもない。

身動ぎする度に垣間見える赤い斑点を見ながら、胸元に燻るザワザワとした気持ちを沈み込めた。




大部屋……ベッドに広い浴室……女三人……何も起きないはずがなく。

当作品で何を楽しみたいか(これからの参考にさせていただきます)

  • ストーリー
  • キャラ同士のイチャイチャ
  • どっちも
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