進化したら人外系お姉さんになる雑魚モンスの俺、飼い主♀の性癖を破壊する   作:霧夢龍人

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BADEND

「で、私のところに来たってわけか」

 

「……そ、そうです」

 

「なるほどねぇ」

 

「あの、その……“これ”ツッコんでええ感じですか?」

 

「何が?」

 

澄ました顔を浮かべるヴェスティ先生。こうして見ると本当に顔がいいというか、ちょっとメルちゃんと顔が似てる気がするんよな。

先生なのにピアス付けてるところとか、同い年なのに強いモンスターとパートナー契約を結んでるとことか、色んな意味で憧れるタイプの女性やと思う。

 

……うん。現実逃避はよそか。

 

今現在ウチらは、特別指導室っちゅうところに来とる。

メルちゃんを見ればチビスラ──ええと、エリナスってウチが名付けた子を撫でとって、右膝にはアマネちゃんが寝転がってスマホをポチポチ触ってるっていう状況や。

 

ホンマ、ここだけ切りとったらめっちゃ微笑ましい光景なんよ。

 

やけどさ。

 

「ヴェスティ先生、堂々と盗撮するのやめてくれへん?」

 

涼しい顔でカメラ(高そうなヤツ)を構えて、メルちゃん達とエリナスを何度も撮りまくる不審者、もとい先生がノイズすぎんねん。

てか殆どメルちゃんにカメラが向いてる気がするんやけど?その子ウチのママやねん、堪忍してくれや。

 

「んふ、盗撮じゃないよ。これは珍しいスライムを観察するために撮ってるだけ」

 

「嘘つけ!めっちゃメルちゃんばっかり撮ってるやんか!!!」

 

「撮影に関しては初心者なんだ」

 

「にしてはあからさま過ぎるし、カメラがガチ過ぎて説得力ないと思うけどなぁ!?」

 

「形から入るタイプなんだ、えへ」

 

ぶん殴りたい。

 

てかダメや、全くツッコミ役が足りんて。さっきまで暴走しとったウチを止めてくれたアマネちゃんは偉大やったんやな。

 

我が娘の偉大さを思い知ったウチは、アマネちゃんの頭を撫でようとして──

 

「やめろ」

 

即座に手を払い落とされた。

 

「親面するな。私はお前の子供じゃない」

 

「反抗期きっつ……」

 

「だから誰が娘だ」

 

右膝の上でゴロゴロしながらも、ちゃんとツッコんでくれるあたり優しい。流石ウチの娘やな(確信)。

 

その横で、メルちゃんは相変わらずエリナスを撫でとる。

 

「んふ」

 

「僕、もうダメになる……」

 

ぷるぷるとエリナスが震えながら、精一杯チビスラの形を崩さんように頑張っとる姿は応援したくなってしまうなぁ。

 

……あかんわ、癒やし空間が強すぎる。なんて思った矢先。

 

「私のメル可愛すぎ……」

 

パシャ。

 

パシャパシャ。

 

連写音が鳴り響く。

今のヴェスティ先生の発言といい、やっぱりこの人ナチュラル変態やないか?という疑問がウチの頭に蔓延る。

 

しかも私のって……メルちゃんはウチのママなんやけど?誰かこの人、止めてくれんか(諦観)

 

もはや止めるのも諦めてジト目で先生を眺めとると、フワッと急な熱気が特別指導室に入り込む。視線を向ければ、ニコニコしとるアグニールちゃんがヴェスティ先生の真後ろにおった。

 

目がめっちゃ怖い。

 

ほんでおもむろに手を翳したかと思えば、カメラがちょっとずつ溶け出してしまっとる。

 

「なに、してる、の……?」

 

「って、ちょっと!カメラが溶けたちゃったじゃん!?」

 

「馬鹿なこと、してる、から」

 

「……そこそこ高かったんだよこれ」

 

パートナー仲は大丈夫なんやろか?

 

ま、まぁ喧嘩するほど仲がいいって言うし、ウチがとやかく言うても仕方ないけどな。そんなこんなで、漸く話を聞いて貰えそうになったウチはアグニールちゃんも交えて、遭遇した王種についての情報を話した。

 

桜の王種ってことも、夢を見たことも、声に誘われて契約に向かったことも、ウチが殺されるかもしれないってことも全部や。

 

その話を聞いたヴェスティ先生は、溶けかけたカメラを名残惜しそうに机の端へ置いてから、腕を組んだ。アグニールちゃんはその背後に立ったまま、何を考えてるか分からん顔でまたニコニコしとる。

 

「なるほどねぇ」

 

ヴェスティ先生の声色が、少しだけ真面目になるのがわかった。

 

「桜の王種──桜珱妃(オウヒ)か。やっぱりイスフィちゃんに接触したんだね」

 

「や、やっぱりって……知ってたんですか?」

 

ウチが驚いて身を乗り出すと、先生は軽く肩を竦めた。

 

「直接じゃないよ。ただ、桜が動く可能性があるって話は聞いてた」

 

「えと、誰から?」

 

先生は一瞬だけ、ほんの少しだけ目を細めた。

 

「聖女から」

 

聖女から、やって?

 

聞き間違いか思てメルちゃん達を見れば、ウチらのやり取りを聞いとったアマネちゃんも驚いて、スマホを伏せとった。目に浮かぶ感情は困惑の二文字で、あの聖女とヴェスティ先生が繋がりがあることと、オウヒが動くことを知っていたことを聞いてウチもあんまり頭が働かん。

 

だって聖女と言えば各都市の頭目は愚か、国王や大統領すらも頭が上がらんっていう超特別な人やで?モンスターを率いる力を持っとるらしくて、何度か国を救ったっちゅう噂もある。

 

今の聖女様は162代目で、二十歳になれば次世代の聖女様と入れ替わるらしい。

 

「……聖女って、あの?」

 

「うん、あの。イスフィちゃんが桜、もしくは淵の王種のどちらかとパートナー契約をするっていう話だよ。まぁ、最初は私も信じられなかったけどね」

 

「桜と淵って……ウチにそんな器量ないて。でも桜はまだしも、まだ淵の王種とは会ってないからこっから仲間になる可能性とか……?」

 

「ないと思うよ。だって君、エリナスちゃんを仲間にする時に『そんなポッと貰った力で強くなるより、ウチとこの子で強くなった方が万倍ええわ』って言ったんでしょ?間違いなく淵もこのことを分かってる」

 

「ちゅうことは?」

 

「王種二体と敵になったってことかな!」

 

「軽く言わんといてくださいよ!」

 

ウチは思わず机を強く叩いてもうた。

 

もうダメや、このまま水と花地獄でメッタメタにされてしまうんや。ただでさえない胸を削られて、ウチのチャームポイントの髪もボロボロにされてしまうんやぁ……。

 

エリナスを選んだことに悔いはないけど……ウチの人生、ハードモード過ぎひん?

 

なんなん?なんかしたんか。

幸せの絶頂からいきなり叩き落とされた気分なんやが。

 

絶望のあまり、体育座りで()の字を描くのが止められん。そんなウチを見かねたのか、アマネちゃんがポンッと立ち上がってヴェスティ先生に詰め寄った。

 

「なぁ、ヴェスティ先生。それは貴女では対処できないのか?」

 

「んー、分からないかな。アグニールなら一体は対処出来ると思うけど、もう一体は厳しいと思う」

 

「そんなこと、ない。ワタシ一人で、勝てる」

 

「強がらないの」

 

無理そうや。

かと言って、聖女様がこの脅威に気付いているのに動いてない以上、協力取り付けるのは無理やと思うし。

 

第一、王種同士が争うってなったら都市は跡形もなく無くなるやろ。

 

さらなる絶望に打ちのめされたウチは、思い描いていたメルちゃんとの未来予想図へと現実逃避していた。

 

その時。

 

轟ッッッ!!

 

と強制的に現実へ引き戻される爆発音が、校舎から響いた。

当作品で何を楽しみたいか(これからの参考にさせていただきます)

  • ストーリー
  • キャラ同士のイチャイチャ
  • どっちも
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