決してポケモンをやってて遅れたわけじゃありませんよ?
ガルフレのマガジンを読んで目についたのがこのジューンブライドだったので書いてみました。
~蒼士side~
「はぁ、あっという間に5月が終わったね」
慎之助といつものように、中庭で缶コーヒーを飲みながら喋る。
「ああ、これからは梅雨であまり中庭でのんびりはできないな」
「そうだな~、六月は憂鬱だな~」
「他にはジューンブライドというくらいか。まあ俺たちに関係ないか」
翌日、何故かいた父さんに変な話をされる。
「ジューンブライドのウェディング体験?それを手伝えと?」
「ああ、スタッフが足らないらしくてな」
勝手に話を進めていく父さん。いやちょっと待った。
「ちょっと待った。その手伝いって何をやるか知ってる?もしウェディングドレスの女性をエスコートしろ何て言ったら無理だから」
手伝いってだけで危ないのに、もしエスコートしろとかだったら、文緒がきっと怒る。
前に文緒が怒ったときは口を利いてくれなかった。
「ん?そこんとはよく聞いてないから自分で言って聞いてきてくれ」
結局、今すぐに行かなくてはならなかったから、助っ人(道連れ)に颯斗と慎之助を連れて会場へ向かった。
「またお前の親父さんか……毎度毎度大変だな」
いつものごとく慎之助が慰めてくれる。でもそれがむなしい。
「その分結構自由にさせてもらってるからしょうがないんだけどね……」
三人でスタッフの服(というかタキシード)に着替え、気合いを入れる。
「そういえば颯斗はすんなりと来てくれたけど、椎名さんは怒らない?」
「ん?ああ、というか心実はこれに参加してるし」
内心、俺は驚いていた。
何せあの椎名さんがウェディング体験に参加してるなんて、誘われても絶対に断ると思ってた。
「ああ、もしかして風町さんも参加してるとか?」
「確か参加するとは言ってたが知らん」
「と言ってる割にはもじもじしてない?本当は結婚式の予行練習とか思ってたりして……」
「バカを言え、そんなわけないだろう?」
……毎度のことながら取り繕うのがうまい。
「三輪さん。そろそろお願いします」
予定の時間になると、スタッフさんが呼びに来た。
「はーい、じゃあ覚悟を決めて行きますか?」
……ちなみに俺たちの仕事はエスコート役だった。
一人目、朝比奈桃子
「じゃあ俺から行こうかな?」
ゆっくりと立ち上がって、空の缶コーヒーをゴミ箱に入れる。
「では確認をしておきます。まず、三輪さんが部屋からエスコートをしてきて、あちらで写真撮影などをして終わりです」
スタッフさんが簡単に説明を済ませ、機材が置いてある教会の中央へ向かう。
聞きたいこともあったが、忙しそうにしているため、おとなしく一人目のいる部屋へ向かう。
ドアをノックして、声をかける。
「モモ~?開けるよ?」
「は、はい!どうぞ……え?」
緊張してて慌ててたのか、少し暗い顔をしてたが、俺の顔を見た瞬間駆け寄ってくる。
「お兄ちゃん!どうしたの?」
「驚いた?実はモモたちをエスコートすることになったんだ。モモ、ドレス似合ってるよ」
「あやや~、驚いたよ~。でもお兄ちゃんが一緒に行ってくれるんだよね?」
「そうだよ。モモは俺がエスコートするのは嫌?」
「ううん!凄く嬉しいよ!」
あえて言っておくが、俺に妹はいない。
勿論、そういった性癖があるわけでもない。
モモは小学生の頃に住んでいた家のお隣さんだった為、近所のお兄さんだとモモが思っているからこの呼び方らしい。
「それは良かった。だけどね、学校ではお兄ちゃんは勘弁してほしいんだけど……」
「ええ~、どうして?お兄ちゃんはお兄ちゃんなのに」
「いやね、変な風に勘違いする人だっているからね」
結局モモの説得には至らず、時間も押してしまうので仕方なく断念した。
ちなみに写真撮影で望月さんがいたのは少し驚いた。
慎之助のエスコート
二人目、優木苗
ったく、蒼士の親父の性格は理解してるとはいえ、流石に今回のはめんどくさいな。
まあ任された以上、やらないわけにはいかないか。
「というわけでた、まさか苗がいるとは思ってなかったぞ」
何とあの恥ずかしがりやの苗がなぁ。
「慎之助さん?その格好……スタッフさんですか?」
まあスタッフでもなければタキシードなぞ着ないからな。
「ああ、お前らをエスコートすることになってな」
「そうなんですか。その……どうですか?」
「?ドレスのことか?案外似合ってるな」
一応、今言ったことに嘘偽りはない。
背が低いから花嫁とは思えず、背伸びをしている少女にしか見えないが、以外と可愛い。
「あ、ありがとうごさいます……」
照れているのか、顔を赤くして頭を下げる。
俺は苗の頭を撫でながら言う。
「時間が押すといけないからな。準備はいいか?」
「はい、じゃあ……」
苗は手を出す。それがどういう意味か理解して手を取る。
「ああ、行くか」
颯斗のエスコート
三人目、椎名心実
「よ、心実」
「颯斗さん、どうしたんですか?」
俺のエスコートする相手が偶然心実だったため、少し気分が良い上に、心実のウェディングドレス姿は、思わず目を奪われるほど綺麗だった。
「どうかしましたか?」
いつの間にか心実が俺の顔を覗き込んでいた。
「いや、そのな……すげぇ綺麗で見とれてた」
「そ、そんな私なんかが……」
「いやいや、ホントに自信を持った方がいいって」
何か恥ずかしいことを言ってる気がするが、そこは気にしない。
「おっと、そろそろ時間か。そんじゃあ準備はいいか?」
俺は心実に手を差し伸べる。心実は俺の手を取り、言う。
「はい、よろしくお願いしますね」
……何故か写真撮影にエレナ先輩がいたのは気にしないぞ。
~蒼士side~
「これで一通り終わったか。……マジで疲れたぞ……」
休憩所の壁に寄りかかって、蝶ネクタイを緩めて言う颯斗。
「エスコートをするのが一人や二人ならともかく、よく時間内に終わったな……」
珍しく歯止めの悪い慎之助。よほど疲れたらしい。
「というか蒼士は疲れてねぇのか?」
「まあ、小さい頃から今回みたいに父さんに言われてエスコートしてたからね。多分、初めてじゃない分気疲れがないんだと思うよ?」
実際、ウェディング体験のスタッフをするのはこれで四回目だ。
「……それは流石に真似できんな。というかしたくないぞ」
「ちょっと良いですか?」
ドアのノックと同時にスタッフが入ってきて言う。
「はい?」
「これから体験者全員で撮影をするんですが、あなた方も一緒にと……」
やはりどこに行っても聖櫻の女子はわがままなようだ。
「だってさ。どうする?」
「俺はできれば遠慮したいな。全員ってことは凄い人数だからな。多分相当疲れ……」
「大丈夫です。三人とも参加できます」
「おいっ!」
慎之助の弱気発言を無視してスタッフに返事をする。
「それじゃあ急ぎましょう」
大分グロッキーな颯斗と、乗り気じゃない慎之助を引っ張って機材の用意されてる場所まで行く。
「あ、蒼士くん」
俺に気づいたのは隣のクラスの茉莉だった。
「……これって待たせてた?」
「待ってないよ?むしろ急に頼んじゃってごめんね?」
横から櫻井さんが答えてくれる。
「ああうん、俺は問題ないけど……」
後ろを振り返りながら言う。櫻井さんは察してくれたようだ。
「……なんかごめんね?」
「言うな、分かってる。ここまで来たらもう自棄だ。最後まで付き合ってやる」
腹を括った慎之助を横目に、颯斗をとある方法で起こす。
「椎名さん、ちょっとこっち来てもらえない?颯斗が呼んでるから」
俺が椎名さんを呼ぶと、凄い早さで立ち上がる颯斗。
「はい?どうかしましたか?」
「いや、俺の勘違いだったみたい。ごめんね?」
颯斗は俺を睨みながら蝶ネクタイを閉め直すと同時にスタッフが言った。
「はーい、じゃあ撮りますよー」
そうして俺たちの慌ただしい一日が終わる。