~優也side~
太陽から熱気がジンジンと照らされる、一年で一番暑い時期、夏になった。
「流石にこの時期になると暑いですよね」
俺の数少ない友達の綾瀬愛斗も、普段は夏でも長袖ワイシャツを着ているが、今日は半袖を着ていた。
まあ綾瀬が暑いと思うのはやっぱり男とは思えないほど長い、肩までかかる銀髪が問題だ。
「髪切ってくれば少しは涼しくなるんじゃないか?」
「そうですか?」
「ああ、美容室とか行ってみろよ。メガネもコンタクトに変えて、相当変わると思うぜ」
突然だが、俺には厄介な能力がある。
俺には霊が見えるのだ。それも、見えるだけではなく話すこともできる。
俺が物心ついた時には、すでに霊に触れることもできた。
それを誰かに相談できるわけもなく、今ではむしろ霊の方が友達が多い位だ。
元々俺は非社交的な性格で、時々霊と会話しているのを見られた事もあったから、俺に寄り付く人はいない。
そう、思っていたんだけどな……。
翌日、普段通り学校で半日を過ごしてから一端家に帰る。
制服を脱ぎ、壁にかけてある服を適当に着て家を出る。
目的地は決まってないので、目についた喫茶店に入る。
店員が注文を取りに来たので、飲み物を注文する。
「コーヒーで」
特に宛もなく出掛けるのはいつものことだから、気分で寄る店も変わる。そのためこの店に来たのは初めてだった。
だから、笹原先輩がここでバイトしているなんて知らなかったし、動揺もした。
「どうぞ……って優也君!?」
何故か笹原先輩も動揺していたが、俺は自分を落ち着かせるのに必至だった。
「お、なになにすげぇ可愛い店員さんじゃん。ねえねえバイト終わったら俺達と飯食いにいかない?」
そこで空気を読まない(いや、ある意味読んだのか)柄の悪い男が三人店に入ってきて笹原先輩にクソなことを言う。
「あ、あの……」
笹原先輩も何か言おうとしていたが、俺は席を立って男達を睨み、言う。
「おい、嫌がってるじゃねぇか」
「ああ~?なにお前、正義の味方気取り?それとも彼氏くん?まあどっちにしてもお前にキョーミないから」
男の一人が言うが、後ろの男がまあまあとなだめる。
「コイツ何気にイケメンだし、イラつくからボコろうぜ」
「いいねぇ、じゃあさっさと裏に行こうぜ」
もう一人が俺の腕を掴み、店の外へ引っ張る。
これは俺にとっても好都合だった。
あそこでこいつらをボコしてたら店に迷惑だったろうし。
一分後、
俺はもう一度店に入店する。
店に財布や携帯電話を置きっぱなしにしてたから、入りずらくても仕方ない。
多少返り血のついた拳や服はそのままだから、数人いた客が驚いていた。
「優也君!無事なの!?」
俺は周りを見渡して、笹原先輩を探した。
笹原先輩は受話器を持って慌てていた!
「……どうして受話器を持ってるんですか?」
「警察って何番だったか忘れちゃったのよおっ!」
……俺は笹原先輩をよく見ていたと思ってたが、笹原先輩のことは全く分かってなかったらしい。
笹原先輩は超のつくほどドジっ子だった。