皆さんどうもありがとう!
~蒼士side~
サンタクロース、それは血塗れの男。
サンタクロース、それは住居侵入をする犯罪者。
サンタクロース、それは年に一度しか仕事をしないニート野郎。
「まあそうなるよね……」
クリスマスイブ。本当は文緒と過ごすはずだったのに、急な呼び出しのせいで今はイギリスのロンドンに来ている。
「父さん、後で絶対ぶん殴る」
というか、大抵はクリスマスイブは外国で過ごしている気がする。
「大丈夫だって。夕方には日本に着くだろうし」
「そりゃ着いてくれなきゃ困るし」
せめて夜は文緒とのんびり過ごしたい……。
日本に着いたのは午後6時。外はもう真っ暗になっていた。ちなみに父さんはその足のまま三輪の本社のあるアメリカへと向かった。
「はぁ~、本当に疲れた」
ものすごい疲労感に襲われながらも、家へと向かう。
一端家に帰り、そのあとに文緒とのんびり家で過ごす予定だ。
だが、その予定は儚くも崩れ去っていった。
「お、やっと帰ってきやがった。メリークリスマス」
……おかしいな。ここは俺の家のはずなのに何故か颯斗がくつろいでいる。
「すまないな。上がらせてもらっている。あとメリークリスマス」
「なら少しはすまなそうにしようか?」
やっと落ち着けると思ったら騒がしい颯斗を見てしまったためか、少しキレ気味に返す。
「す、すみません。勝手に上がらせて貰っちゃって……」
「いやいや、ぜんぜん良いって。むしろこの家は聖櫻に通うために買った家だしどんどん使っちゃっていいよ」
文緒も上がってたらしく、申し訳なさそうな顔をさせてしまってので急いで取り繕う。
「お、気前がいいな。じゃあぜひ使わせてもらうぜ」
「バカは使うな」
颯斗が調子に乗り出したため、いつものように罵倒をする。
「んだとこら!誰がバカだ誰が!」
「それはお前だろう」
俺の代わりに慎之助が答える。
「はぁ、俺は疲れてるんだけど」
分かりやすく文緒の肩を抱いて引き寄せる。勿論文緒の顔は赤くなる。
「きゃっ!」
「おっと。颯斗、俺たちはお邪魔みたいだな。早く退散するか」
颯斗を引っ張る形で早々に出ていく慎之助。
「よし、これで静かになった」
文緒の肩を離して、コタツの中に入る。
「あっ……」
だが、文緒が名残惜しそうな顔をしてるのを見て、少し意地悪をしたい衝動に駆られる。
「文緒、ちょっといい?」
コタツを出て文緒に近づく。
「は、はい……」
「膝枕をお願いできないかな?」
「へ?ひ、膝枕ですか?」
思いっきり動揺する文緒を見て、いたずら心が刺激される。
「そう、ちょっと疲れててね。お願い」
「うぅ、膝枕ですか……凄く恥ずかしいですがこれも蒼士くんの為です」
もうリンゴよりも赤いと思えるほどに真っ赤な文緒の顔を見て、小さくガッツポーズをする。
「は、はいどうぞ。蒼士くん」
コタツから出て膝を出す文緒。俺は遠慮なくそこに頭を乗っける。ちなみにコタツから出て寒くないかと言うと、ストーブに暖房とコタツが必要ないくらい暖かかった。
「ああ~、気持ちいい。というか何か眠くなってきた」
「ダメですよ。寝たら私はどうすれば良いんですか?」
文緒の言葉を子守唄にして俺は寝る。
起きたらすでに八時になっていた。
「起きましたか?」
「ごめんごめん。でも、文緒の膝枕が凄く気持ち良いからしょうがないよ。またしてほしいな」
わざとらしく言うと、文緒が赤面顔になる。
「じゃあ、そろそろ遅いし帰らないとじゃない?送るよ」
「え、えーと……」
「どうしたの?まさか家に泊まっていくとか?まさかね……」
俺が言うと、文緒の体がビクッ!?となった。
「え、まさか図星?家は問題ないけど文緒の家はダメって言わない?」
「だ、大丈夫です。ちゃんと泊まるってお母さんに言いましたから……」
というかそれって最初っから泊まる気できたんじゃ……
「ならいいけど……」
文緒と一緒に料理をして、順番に風呂に入る。
文緒が風呂に入ってる間に、準備しておいたプレゼントを部屋から取ってくる。
「文緒、ちょっとこっちに来て」
「はい?どうかしましたか?」
可愛らしいパジャマを着ている文緒を呼ぶ。
「ほら、これあげる。クリスマスプレゼント」
ちなみに中身は手編みのマフラーが入ってる。
「ありがとうごさいます。でも……」
何か言いづらそうにする文緒を見て笑いが込み上げてくる。
「大丈夫だよ。中は高価な物じゃないから、俺の編んだマフラーだし」
文緒は俺が三輪の次男と知って、プレゼントで高価な物は受け取れないと言ってきたので、今まで文緒にあげたプレゼントは大抵が本だったり、たまに服を送るくらいだ。
「て、手編みのマフラーですか?」
文緒は少し驚いたような顔をして聞く。
「そうだよ。嫌だった?」
「いえ、その、なんと言いますか、凄い奇遇ですね」
そう言って文緒は持ってきた荷物の中からリボンのついた箱を取り出す。
「あの、私もマフラーを編みましたのですけど、貰ってくれますか?」
「勿論、毎日使わさせてもらうよ」