遂にUAが10000を超えたのでそろそろ評価が欲しいです。
~慎之助side~
「~♪」
「なんだ、えらいご機嫌だな」
まだ6月だというのに本格的に夏日になっていた。
そのため普段は中庭いる人も、大抵の奴は冷房の効いてる校舎内に避難していて今は俺と陽歌くらいしかいなかった。
「そうかな?」
これは決してとぼけているわけではなく、陽歌だからこそ出せる無自覚天然な答えなのだ。
「いつもよりも浮かれているぞ」
もうそれに慣れた俺は、手で自分を扇ぎながら返す。
「えぇ~そうかな~?」
暑いからか、ワイシャツをパタパタしている陽歌を一瞥して笑う。
「まあいつものことか」
「ひどいよ~、確かに良いことはあったけど。えっとね……」
「へぇ、よかったじゃないか」
「私まだなにも言ってないよ?」
俺たちはいつも通り平常運転だった。
~蒼士side~
昼休み、一年の校舎でモモに説明をしていた。
「じゃあ今週末でよろしくね」
「うん!わかったよお兄ちゃん」
元気よく返事をするモモに俺は苦笑を浮かべざるを得なかった。
「……もうなにも言うまい」
俺の呟きは蝉の鳴き声でかき消されていった。
~颯斗side~
放課後、いつものメンバー+α(にゅ―ろん★くりぃむそふとの五人)でとある会場へと来ていた。
「わざわざすまないねぇ。ホント助かるよ」
バンドのリーダー的な黒川が再三蒼士にお礼を言っている。
まあ俺らからしたらいつものことだけど、蒼士の思いつきは大抵はやってのけるから驚きだよな。主にやることの規模とかが。
「今度はバンド用に会場を貸しきるなんて、半端ねぇな」
「三輪先輩はやっぱり凄いですね!」
「でも助かるだがや~!」
他のバンドメンバーも驚いてるようで、それぞれが素直に喜びの声を挙げる。
「でも俺が出来るのは会場を用意すること位だから。ここから先は自分達で頑張らなくちゃいけないよ?」
普通に考えれば一高校生が中規模とはいえ会場を貸しきるなんて出来ないが、そこは蒼士だからといえば皆納得する。これこそまさに蒼士クオリティ!
「お兄ちゃん、ここから先って?」
「主に客集めかな。モモだってお客さんがいない中でライブなんて嫌でしょ?」
……何か蒼士が頭を撫でながら朝比奈に言ったが、その前に引っ掛かる。
「ちょっと待て、今『お兄ちゃん』とか言わなかったか?」
俺と同じことに引っ掛かった慎之助が、朝比奈へと問う。
朝比奈はそれに一言、
「お兄ちゃんはお兄ちゃんですよ~♪」
浮かれきって答える朝比奈を見て、蒼士がまるで答えを用意していたかのように言う。
「小学生の頃、家がご近所さんだったってだけだよ」
きっといろんな奴に聞かれたんだろうな。何か諦め顔してるし。
「じゃあ当日は頑張れよ。俺たちは裏方としてしか手伝ってやれないからな」
意外と心配性な慎之助がにゅ―ろんの皆へ声をかけて、今日は解散した。
*****
~蒼士side~
ライブの日に近づくにつれて、聖櫻の生徒がチケットを買うようになり、あっという間に用意した分のチケットが完売した。
それでもまだ欲しいと言う人がいたのでさらに作ったけど、それすらも完売してしまった。
だからこそ、俺は不安だった。
(流石にこれはヤバイかな……)
にゅ―ろん★くりぃむそふとは初ライブで緊張するだろうけど、何とか行けるかなと思っていたが、何せ人が多すぎる。
当初の予定は30人くらい集まればいい方かなと思っていたけど、チケットの枚数は最初に刷ったのが100枚、その次に追加で150枚を刷って完売してるから少なく見積もって8倍以上の観客が来る。
「大丈夫かねぇ?はっきり言って今のを聞いた後だと無理だと思うんだけど」
裏方組の颯斗に俺の意見を述べると、颯斗も不安なのか、似たような回答が返ってきた。
「ん~キツいかな。やっぱり初ライブで人が多いし相当プレッシャーが掛かるだろうね」
「それは仕方のないことだが、どうにかならんか?陽歌は緊張のし過ぎで明日歌えるか分からんぞ」
「あ~そうきたか。やっぱりモモと風町さんがあぶないと思ってたんだけど、仕方ないね。モモは俺が落ち着かせとくから慎之助は風町さんを、颯斗は当初の予定通りによろしく」
「おう!任せとけ!」
「分かった。そっちも頑張れよ」
それぞれが応えて行動へと移す。
何せライブはもう明日なのだから。
*****
~慎之助side~
ライブ当日、昼には陽歌と会場にいた。
「大丈夫だよ。初めてのライブだから緊張はするけど……慎之助くんが一緒にいるから……」
「……とりあえず言って赤くなるなら言わなければいいだろう」
顔を真っ赤にして照れている陽歌に言う。
「はぁぁぁぁ、相変わらず女心が分からないやつだなぁ」
「それ以前に何故お前がいる」
何時の間にか後ろには長い赤髪をオールバックにしたタンクトップの颯斗がニヤリと笑っている。
確かコイツは蒼士に何かを頼まれていた筈だ。
「いやー、蒼士からライブ会場の確認を任されてな。今終えてきた所だぜ」
夏の熱気に当てられて、汗だくになった颯斗は左手に持ったアク○リアスをゴクゴクと飲み干す。
「ねぇ颯斗くん、桃子ちゃん知らない?」
そこに陽歌が尋ねる。
「ん?桃子ちゃんって確か……朝比奈か。今日はまだ見てないな」
「そう……」
「陽歌、朝比奈がどうかしたのか?」
普段なら特に質問をするようなことではないが、昨日の蒼士の言葉を思い出して放っておけなかった。
「えっとね、昨日の夜に桃子ちゃんに電話したんだけど、桃子ちゃん出なかったんだ」
その瞬間、颯斗はすぐに蒼士に連絡をした。
「……そうか。陽歌、他のメンバーには言わなくていい。お前たちはライブの準備をしておけ。颯斗、蒼士に連絡つくか?」
「いや、電源が切れてるって……どうする?」
おそらく既に手を打っているであろう蒼士に、確認をしておきたかったんだがな。
「俺達がどうこうしなくても問題ないだろう。……多分どっかのお人好しが解決するだろうからな」
****
~蒼士side~
「……お兄ちゃん?」
緊張で何も喋らないモモをリラックスさせようと、馴染みの駄菓子屋に来た。
「モモ、大丈夫?」
「えーと……大丈夫だよ?」
何を聞かれたのか分からないのか、むしろ聞き返すモモに苦笑する。
「モモ、今日は初ライブだね」
「あややー、お兄ちゃんのおかげだよ。ありがとう、お兄ちゃん」
会話をして少しは緊張がほぐれたのか、モモは笑顔で言う。
そんな光景が微笑ましくて、モモの頭の上にポンと手を置く。
「~♪」
「おばちゃん、笛ラムネ貰うよ」
駄菓子屋のおばちゃんの了承を得て、笛ラムネをいくつか貰う。
「じゃ、そろそろ行こっか」
ライブは盛り上がり、裏方の俺達はずっと動きっぱなしだった。
夏の熱気に当てられて倒れた人がいなかったのが奇跡なくらい、ライブハウスは大変だった。
「お疲れ~!!」
風町さんは元気に飛び上がり、慎之助はやれやれといった感じになる。
「ホントに凄かったぜ!」
「ホントですか!ありがとうございます!」
「お兄ちゃん、頭なでなでして!」
「ええーどしたの急に?」
控え室では皆がそれぞれ盛り上がり、収集がつかなくなっていた。
夜はいくらか涼しく、ライブハウスを出ると外のヒヤッとした空気に当てられて更に盛り上がる。
「よーし、じゃあ打ち上げ行くかー!勿論蒼士の奢りでな」
「先輩ありがとうございます!」
打ち合わせでもしてたのか、颯斗の提案に江藤が乗る。
「お兄ちゃん、いいの?」
思わず項垂れる俺に、唯一の味方であるモモは顔を覗き込んでくる。
「仕方ない。今日は皆頑張ってたし、ご褒美ということで」
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