いやむしろ期待しないでくださいね。
さて、明日の分はすでに書き終わっているのでできれば明日もご閲覧ください(^^♪
一年の終わりの日、大晦日。
殆どのお店がお正月の準備で日の丸の赤を飾る中、この店、ファンシーショップは何一つ変えていなかった。
「店長、本当に何もしなくていいんですか?」
「いいのよ。来る人は来る、来ない人は初めから来ないんだから。足掻いたって変わらないし手間がかかるだけだわ」
店番をしていると、裏から店長が歩いてくる。
とても丁寧な話口調で髪も黒く長いが、店長こと岡村仁美(本名、仁志)は品出しをしている慎之介よりも頭一つ分背が高く、筋骨隆々という言葉がよく似合う男性だった。
「そうですか…」
「おーい、ちょっと来てくれ」
「あ、ちょっと行ってきます」
売り場の方で慎之介が大きな声を出すが、今は客は一人もいないので問題なく、急ぎ足で向かう。
「どうしたの?」
脚立の一番高いところで立っている慎之介に尋ねると、両手に持ったファンシーなぬいぐるみやあみぐるみを放り投げてくる。
「おー、ナイスキャッチ」
「ナイスキャッチ、じゃないって。とれなかったらどうしてたのさ?」
「んー、お前なら捕れる、俺はそう信じていた。ってことでどんどん放ん投げるぞ」
「あっこら!」
様々な動物のぬいぐるみとあみぐるみを上から落としてくるが、一先ずすべてを受け止めることに専念した。
「おー、やっぱり余裕だったか。ありがとな」
「それよりこれらはどうして下ろしたの?」
脚立からゆっくりと降りてきて言う慎之介だが、説明を求めた。
「ああ、そこの段ボールの中身と入れ替えるからな。いちいち上って降りては面倒だしこうした訳だ」
「……なら仕方ないか。だけど次は言ってよ、っていうか次はないよ?」
「おお怖い怖い」
そうしてレジに戻ろうと後ろを振り向く。タイミングが悪かったのか、後ろから先ほどまで乗っていた脚立が倒れてきた。
「……っ!」
咄嗟に両腕で体を庇って倒れる。
「っおい蒼士!大丈夫か!?」
「な、なんとかね」
殆ど怪我らしいとこは見当たらなく、脚立は慎之介が退かしてくれたので立とうとする。
「…っ!……ああ慎之介、ちょっと手を貸してくれるかな?右手が折れてるみたい」
だらーんとぶら下がり、先程から激痛の走る右腕を見せて、無事な左腕を慎之介に向かって伸ばす。
「あ、ああ…取り敢えず裏で応急処置をして病院行くぞ」
肩を借りて裏まで行くと、受話器を片手に店長が困った顔をしていた。
「それがねぇ、近くのクリニックは年末年始で殆ど休診状態なのよ。ここら辺は全滅ね」
「じゃあ崎本病院は?あそこは大型の病院だし確か年末はやってる筈だ」
「遠いわよ?近いって言ってもここからだと車で30分はかかるわ。それに私、車の免許を持ってないわ」
「クソッ……ん?おい蒼士、確か春奈さんは医療の知識があるって言ってたよな?」
椅子に腰かけていると、慎之介がこちらを向く。
「そうだね、たしかそう言ってたよ」
「よし。店長、すまないが今日は上がるぜ」