綾小路がBクラスに配属された世界線   作:来世

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なるべく、初期のウキウキ小路くんの雰囲気を崩さないように書いていきたいと思います


1年生1学期
1話:出逢いの季節


 

 

春──────それは、出会いと別れの季節だと聞く。

 

かく言うオレも、それに当てはまる状況に身を置いていると言えるだろう。

 

 

 

オレは綾小路清隆、今年の春、というか今日から高校生になる十五歳男児だ。

 

通う予定の高校の名前は、『高度育成高等学校』。

 

鬼島内閣が打ち出した政策のうちの一つで、将来日本を支えてくれるであろう若者を生み出すための国営の教育機関である。

 

ただし、オレと言う人間は、その高校に当てはまるほど優秀な人間じゃない。

 

それでも、オレは新しい生活の幕開けに大きな希望と若干の不安を抱えてバスに乗り込んだ。

 

 

 

「友達、できるかな…………」

 

 

始発と言うこともあり、好きな席を択べた。

 

ので、奥から二番目の二人掛けの席に腰を下ろし、呟いた。

 

 

なにせオレ本人があまり面白みのない人間だから、関わってくれる人はいるかどうかも分からない。

 

それでも、折角三年間しかない高校生活なのだから、浮かれてしまうのは仕方ないと言えよう。

 

 

 

暫く窓の外を見ながら時間を消費していると、隣に誰かが座った。

 

少しだけボーっとしていたせいか、急に意識が目覚めたかのような感覚に襲われる。

 

 

隣に目を向けると、ピンク色の髪を腰あたりまで伸ばした少女が座っていた。

 

オレと同じ、赤色のブレザーを着ていることから、同じく高度育成高等学校に通ことになる同級生であろうことが察せる。

 

しかし、あそこまで大きいのは今までに見たことが──────

 

 

「おっ、君も高育行く子? だよね?」

 

 

横目で見ていたのがバレたのか、向こうから話を振ってくる。

 

‘‘高育’’とは、前述した高校の略称だ。

 

 

「………まぁ、な」

 

 

いきなり話しかけられ、少しだけ動揺してしまう。

 

あそこではコミュニケーション能力なんて鍛えなかったからな…………

 

友達を作るのがどれだけ困難か、オレは今の一瞬で理解してしまった。

 

 

「やっぱり!私は一之瀬帆波、よろしくね?」

 

 

どうやら、この少女の名前は一之瀬というらしい。

 

ありふれた苗字だが、ルックスや性格は飛びぬけているようだ。

 

 

「オレは綾小路清隆だ。よろしく頼む、一之瀬」

 

 

ここは無難に乗り越える。

 

願わくばこの少女と友達になってみたいが、それが叶うかはオレ次第だな。

 

頑張るとしよう。

 

 

「綾小路くん、かぁ。かっこいい苗字だね!」

 

 

幸い、こうして向こうから話題を提供してくれる。

 

今オレがすべきことは、なんとかして会話を繋げ渡されたボールをパスし返すことだ。

 

 

「そうか? あまり自覚はないが、そう言ってもらえると有難いな」

 

 

事実、オレはあまり自分の名前に興味がない。

 

そんなものを気にしている暇は、なかったからな。

 

しかし、褒められていると思えば悪くない。

 

 

「そうだよ、まぁ私の一之瀬も中々だけどね!」

 

「確かに、響きが綺麗だな。和風でもあるし、構成している字も美しい」

 

「そ、そこまで言われると少しだけ恥ずかしいけど…………でも、ありがとね!」

 

 

どうやら、褒め過ぎてもダメらしい。

 

やはり、人間関係は難しいな。

 

 

「綾小路くんは緊張してる? 新しい環境だし、三年間出てこれないわけだしさ」

 

 

一之瀬の言う通り、高育は一度入学してしまえばその敷地内から出ることは卒業まで叶わない。

 

まぁ、その敷地が60万平米を超え、更にアミューズメント施設も充実しているからデメリットではなくメリットになってるわけだが。

 

 

「確かに、緊張はしているな。誰も知ってる人がいない環境、というのは怖いものだ」

 

「だよね~。私は東関東から来たんだけど、綾小路くんってどこ出身なの?」

 

 

そう一之瀬に訊かれ、オレは言い淀む。

 

オレの出身か…………変に誤魔化して誤解を生むよりは、嘘を吐く方が速いな。

 

 

「埼玉の辺鄙な街だ。それこそ、高育の敷地よりも小さいんじゃないか?」

 

「あははっ、綾小路くん面白いね。そこまで小さい町は探しても中々ないよ~」

 

 

そういうものなのか?

 

生憎と、街の大体の広さを頭に入れているわけではないから、相場が分からない。

 

が、一之瀬が人に嘘を吐くタイプにも思えないので、それが真実なのだろう。

 

 

「それもそうだな」

 

「なんか、綾小路くんって大人びてるね。大体の男の子は私と話すとき目を合わせてくれないんだけど、君は違うみたい」

 

 

一之瀬、多分それはお前から目を離しているんじゃなくてお前のそのm(((殴

 

 

「オレも緊張はしているぞ。高育関係なく、一之瀬のような美人と話すのは生まれて初めてだからな」

 

 

これはお世辞ではない、だろう。

 

あまり世界の美的感覚を周知しているわけではないが、一之瀬は十分美人という括りに入るだろう。

 

綺麗な青い瞳に、綺麗な鼻筋。

 

男なら、誰もが憧れるルックスを兼ね備えていると言える。

 

その上会話が覚束ないオレに対しても気さくに話しかけて来てくれる圧倒的性格。

 

最早、ここまで完璧な人間がいて良いのかと言いたくなるレベルだ。

 

 

「そ、そんなことないよっ。私なんて、まだまだだし、そんな美人とかじゃ………」

 

 

一之瀬、いいアドバイスをしてやろう。

 

行き過ぎた謙遜は、逆に相手の神経を逆撫でするときもあるとな。

 

 

 

 

一之瀬と下らない会話をしていると、バスが高育に着いたらしい。

 

高育の敷地は東京湾上の埋立地にある為、潮風が顔に当たる。

 

 

「うわぁ、凄いね」

 

 

目の前に聳え立つ校門を見て、一之瀬が言う。

 

確かに、圧巻の迫力だ。

 

大理石で作られた門と、威圧感を放つ『高度育成高等学校』の文字列。

 

 

「ここから三年間、か」

 

「楽しみだねっ!」

 

「ああ、全くだ」

 

 

──────友達、作るぞ!

 

 

 

 

 

「あ、クラス分けが発表されてるみたい。一緒に行かない?」

 

 

校門を抜けしばらく進むと、人だかりが見えた。

 

確かに、入学当日に人が集まると言えばクラス分け…………なんだろう。多分。

 

一之瀬が言うんだから間違いない。

 

 

「ああ、是非同行させてくれ」

 

「もちろんっ!」

 

 

人の波に沿って移動していくと、掲示板らしきものに大きなポスターが貼り出されていた。

 

あれに、細かく記されているんだろう。

 

 

「オレが見てこよう」

 

「じゃあお願いするね」

 

「ああ」

 

 

一之瀬は身長的に見えないだろうと判断し、オレは一人で人だかりに近づく。

 

目を凝らし、『綾小路清隆』と『一之瀬帆波』の名前を捜していく。

 

そして──────

 

 

 

 

「あったぞ。オレも一之瀬も同じ『Bクラス』だった」

 

 

報告に戻ると、一之瀬が微笑んだ。

 

 

「やっぱり?なんか、綾小路くんとは同じクラスになるんじゃないかなぁ~って思ってんだっ!」

 

 

これが、女の勘ってやつなのか…………? 凄いな。

 

 

「オレも、一之瀬と同じクラスで嬉しい」

 

「そう言ってくれると嬉しいよぉ。じゃ、一緒に行く?」

 

「ああ」

 

 

オレは青空の下、一之瀬と並んで校舎へと歩みを進めた。

 

 




ヒロインは未定です
アンケート取りますかね

Bクラス綾小路くんのヒロイン候補

  • 一之瀬帆波
  • 網倉麻子
  • 小橋夢
  • 白波千尋
  • 姫野ユキ
  • 神崎隆二
  • 柴田颯
  • 渡辺紀仁
  • 堀北鈴音
  • 軽井沢恵
  • 櫛田桔梗
  • 龍園翔
  • 椎名ひより
  • 坂柳有栖
  • 神室真澄
  • 綾小路にヒロインなんていらねぇ!
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