綾小路がBクラスに配属された世界線 作:来世
たまに無邪気な綾小路くんを書かないと死んじゃう病気だから、我
あまり期待はしないでください
我、笑いのセンス無し
──────結局、Dクラスからは変わらず七名の退学者が出た。
その中には、バスケ部としての活躍を期待されていた有力選手もいたらしいが、知ったことではない。
「これで、良かったんだよね…………」
星之宮からの知らせを聞いた一之瀬は、少しだけ顔を暗くする。
「一之瀬の所為で退学したわけでじゃないだろ。そもそも、金を出しても数名しか救えなかったんだ」
結局、悪いのは彼ら自身だ。
勉強を怠り、現状に満足した。
それでは、この世界じゃ生き残れない。
「…………ありがとう。そうだよね、私も、皆を一番に考えないと。他クラスを気にしている余裕なんて、うちにはないもんね」
「その通りだ」
どうやら、一人でも立ち上がれるらしい。
やはり、偉大な奴だ。
「─────綾小路くんっ! どこ見てんのっ!」
ふと一之瀬の横顔を見つめていたら、いきなり声を掛けられた。
少し驚いたが、それを顔に出さずに前を向く。
そこには──────
「─────一之瀬の横顔だが。 網倉」
クラスメイトの一人である網倉麻子がいた。
彼女は一之瀬と仲が良く、Bクラスの女子を取り仕切っている人物の一人だ。
能力はTheBクラスというべきか、至って全て優秀。
コミュニケーション能力だけは、Aクラス級といえるだろうか。
「なんで真顔でそんな恥ずかしいこと言えるわけ? 綾小路くんってロボット?」
酷いな。
オレにだって感情は──────今はあまりないが、いつかはあるんだぞ!
それを、人をAIやロボットだと?
「ただ、事実を述べただけだが。おかしいか?」
今までの学生生活で、オレは嘘を吐いたことがほぼない。
強いて言うなら、一之瀬に対して出身地を『埼玉の辺鄙な土地』と言ったことくらいだ。
他はすべて、正直に打ち明けてきた。
「やっぱり綾小路くん天然だよ…………ね? 帆波ちゃ─────」
そう言い、網倉はオレから視線を逸らし一之瀬に向ける。
が、その先にいた一之瀬は──────
「──────え、帆波ちゃん顔真っ赤だけど、大丈夫? 熱?」
顔が茹で上がった蛸のように赤かった。
「大丈夫か?」
オレも、友人の一人として心配する。
え? お前如きが友人カウントされてるわけないだろって?
何だそれ…………傷つくぞ。 本当か?
もし本当なら、クラスメイトの一人としてリーダーを心配することにするさ。
オレは寛大だからな。 自分の立場に拘ったりはしないんだ。
「あ、綾小路くんの所為だし…………まったくもうっ」
オレは、一之瀬に少し怒られてしまった。
なんでだ?
「すまない…………何か、気に障るようなことをしてしまったか?」
「そうじゃ、なくてさ…………なんで気づかないのよっ!」
えぇ…………これが女性の言う「察して」ってやつなのか?
渡辺から、酷く面倒くさいものとして教わっている。
確かに、原因が分からないから尋ねているのに、その答えを自身で導けと言うのは少し酷い話だ。
考えて分からなければ、答を教えてもらえるものだと教わってきたんだがな…………
ここじゃ、オレの常識は通用しないらしい。
まぁ、それは今に分かったことじゃないが。
「ああっ…………えぇと、すまない」
とりあえず謝ってみる。
怒ったり感情が昂っている相手にはいい薬になる筈だ。
「いや、そんな真剣に謝られてたら居たたまれないから。普通に帆波ちゃんは綾小路くんに見つめられて照れてただけだから気にしないで良いよ」
咄嗟に、網倉がカバーを入れてくれる。
有難い話だな。 いい友を持った。
「ま、麻子ちゃんっ?!」
彼女の言葉に、一之瀬は動揺を隠せない。
どうやら、図星だったらしい。
「そうなのか? 一之瀬」
「い、いや私は…………」
恥ずかしそうにもじもじしている一之瀬が興味深く、その後少しだけ網倉と共に彼女をいじってみた。
普通に面白かったぞ。
「────おわらいばんぐみ?」
ある日の昼休み。
オレは一緒に昼食をとっていた渡辺から、そんな言葉を聞いた。
しかし、聞き覚えがないな。
「んだよ綾小路。知らないのか?」
渡辺、そして柴田や神崎も驚愕と言った様子だ。
どうやら、再び無知を晒してしまったらしい。
「親が厳しくてな。どういったものなんだ?」
単純に気になる。
お笑い、というのはなんだろうか。
ただ、人が笑うだけのものなのか。
「そうだな………なら説明してやるから、少し待ってろ」
柴田はそう言い、隣に座る渡辺とごにょごにょしている。
その間オレは、隣の神崎と話すことにした。
今はオレたち四人だけで食べているが、彼とは最も気が合う。
あの一件以来、凄く距離が縮まった。
オレも、彼の勇気と思考は凄いと思うし、尊敬している。
だから、神崎と話すのは楽しい。
「神崎は知ってるのか? おわらいばんぐみというものを」
「ああ、詳しくはないが、人並みには知っていると自負しているぞ」
やっぱり、神崎は博識だな。
知らないことはないんじゃないかと、ときどき思う。
「だが、俺からの説明を聞くよりも、あいつらを見た方が早いだろうな。ほら、準備が出来たみたいだぞ」
神崎が視線を前に投げる。
その先には、自信満々といった様子の二人がオレを見ていた。
「綾小路、今からお笑いを魅せてやるぜ」
「見てなっ!」
「ああ、是非頼む。興味深いな」
オレがそう言ったのを皮切りに、二人の顔が変わった。
柴田は厳格な顔つきとなり、渡辺は席から立ち上がる。
…………一体、何が始まるんだろうか。
「──────では、失礼します」
急に喋り出したかと思えば、渡辺は柴田に一礼してから背を向ける。
そのまま少しだけ進む。
「ガラガラバタン」
そう口で言いながらドアノブを捻ってドアを押すジェスチャーをする。
「ガラガラバタン」
「ガラガラバタン」
その動作を三回繰り返した。
瞬間。
「──────ドア何個あんねんっ!」
「…………綾小路、何か言ってくれ」
暫く何を言っていいか分からず沈黙していると、痺れを切らした柴田が言った。
「すまない。何が面白いのかが理解できなかった」
「俺はいいと思うぞ。面白かった」
どうやら神崎には面白さが理解できたらしい。
「つまり、何が言いたかったんだ?」
「だからな? 今のは自然と社長室や商談室をイメージするところだ。んで、そんな部屋に何個もドアがついていることはないっていう当たり前のことに対してツッコむんだよ」
「当たり前なのか? 世界中を捜せば、ありそうな気もするが」
「難しいことは考えないで、フィーリングで楽しむもんだよお笑いってのは」
渡辺や柴田がオレの理屈を否定している。
つまり、パッションで楽しめと言う事か?
難易度高すぎだろ。
「じゃあ次だ。これは自信あるぞ」
「…………ああ、頼む」
今度はもっと面白いらしい。
「今度は例えツッコミだ。いくぞ渡辺」
「ああ、やってやろう」
二人とも、準備万端といった様子。
期待せずに待っとくか。
「いや~~、ビュッフェはいいなぁ」
大根役者並みの演技で渡辺が定食を態々乗せ直したトレーを持ってくる。
「いや取りすぎだろっ!」
それに対し、柴田がまたツッコむ(?)
ここまでなら、先程と変わらなかった。
が──────
「──────冬眠前の熊か!」
「おおっ」
オレは思わず声を漏らした。
「ウケたぞ!」 「やったぜ!」
二人は嬉しそうだ。
だが、別に面白かったわけじゃない。
「渡辺が食事を持ってきすぎていると想定し、見てみたら凄いな。冬眠前の熊は確かに大量の食事をする。それとかけたというわけか」
──────お笑い、少し興味深いな。
もし博識な者がやれば、可能性はもっと広がるだろう。
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