綾小路がBクラスに配属された世界線   作:来世

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腕復活

筆が乗ったため勢いで二話目落とします


16話:詰将棋

 

 

 

「────俺たちは事件当日、柴田くんに呼び出されました。要件は『話したいことがある』と。それで不審に思いながらも特別棟二階に向かいました。が、結果俺たちは彼に殴られたわけです」

 

 

淡々と事実を語ろうとする小宮。

 

しかし、彼らの顔は依然として渋い。

 

 

「なるほど。訴えと内容は当然同じですね。次に、Bクラス柴田くん、事実を教えていただけますか?」

 

 

橘が会話を切り、柴田へと回す。

 

あっさりとした対応に、Cクラス側は驚きを隠せないでいるな。

 

 

 

「────はい。俺は事件当日、そこの二人に道端で声を掛けられ、特別棟に来るよう言われました。しかし、以前から俺たちBクラスはCクラスから執拗な嫌がらせを受けていたため、当然警戒しました」

 

 

柴田が続きを話そうとすると、坂上が立ち上がる。

 

 

「そのような事実はないかと。捏造は止めていただきたいですね」

 

 

その顔には「お人好しクラスだ。どうせ証拠なんてないだろ?」って書いてある。

 

それに対し、今度は星之宮が立ち上がる。

 

 

「待ってください。確かに直接的な被害がなかったため審議されることはありませんでしたが、生徒たちからの訴えは既に何度か受けています。それは、一教師として私が保証します」

 

 

なぜ今はこんなにも頼もしく見えるのだろうか。

 

普段はただの酒臭い酔っ払いなのに…………

 

 

「────普段の自身の言動をお忘れですか? こういう場において、私とあなたどちらの意見に正当性があるかを問われれば議論は不要だと思いますが」

 

 

坂上は一切退こうとしない。

 

が、アイツには何個も計算違いがある。

 

 

「────待ってください。証拠なら、いくらでもありますよ」

 

 

オレはそう言い、生徒会長や書記、教師たちの意見も聞かずに立ち上がる。

 

パイプ椅子が勢いよく後ろに引かれ、キィィと音を立てた。

 

 

 

「────ちょっと、発言の許可は──────「いい。続けてみろ」

 

 

橘がオレを止めようとするが、逆に生徒会長がそれを止めた。

 

教師二人も、生徒会長の判断を優先するらしい。

 

自然と、全員の視線がオレに集まった。

 

 

 

「いざって時のため、オレたちBクラスは実害の証拠でなくとも、少なからず‘‘嫌がらせ’’に分類されるであろう行為の言質を取ってきました。まずはこれらをお聞きください」

 

 

そう前置きをしてから、オレは生徒証端末に入っているボイスレコーダー機能を使って録音した音声を流す。

 

 

『なぁ、おい。てめぇだよ間抜け面』

『済まなかった。大丈夫か?』

『てめぇ今、わざとぶつかってきたよなぁ?」

『いや、そのような事実はない。今のは、互いの不注意が招いた事態だ』

『は? 俺にも責任あるって言いてぇのか? お前何組だよ』

『一年Bクラスの綾小路だ。社交辞令で聞くが、お前は何組なんだ?』

『Bクラスかよ。俺はCクラスだよ、どうやら優しいクラスってのは噓っぱちだったらしい。学校側に訴えるぞ?』

 

 

──────

 

 

流されたのは、Cクラスからの嫌がらせの起源と思われる場面の録音。

 

そう、オレは肩をぶつけられた瞬間にはスマホでボイスレコーダー機能を使用していたわけだ。

 

まぁ、もっと細かく言えば正面から怪しい顔つきで歩いてきた時点で警戒していたが。

 

 

「────まずはこれですね。最後の言葉は明確に『脅迫』と捉えることが出来ます。また、相手がCクラスの生徒を騙った他クラスの生徒である可能性ですが、これについては異論はないですよね? 小宮くん(・・・・)

 

 

坂上の計算違い一つ目──────小宮が既にオレたちと接触済みであること。

 

 

「なっ?!」

 

 

坂上の目に、明らかに動揺が走った。

 

若干冷や汗をかいているようにも見えるな。

 

 

「その証言者はこの場にもいる──────」

 

「──────一年Bクラス、一之瀬帆波です。私もこの場に居合わせていて、当然綾小路に非がないこともあの時の生徒が小宮くんであったことも断言できます」

 

 

この場に来ないわけがない一之瀬による証言。

 

これで、Cクラスをどんどん詰められる。

 

だが、ここまで来たらもう逃がさないぞ。

 

徹底的に追い詰めて、Bクラス(うち)に手を出したことを後悔させてやる。

 

 

「一之瀬か…………証言には、信憑性があるな」

 

 

生徒会長も呟く。

 

そう、一之瀬は上級生にも噂が届くくらいには善人で真っ直ぐだという噂が広がっている。

 

その彼女からの証言となれば、生徒会の意見も自然と此方に揺らぐのは当然だ。

 

 

「────それだけで信用するんですか?!」

 

「俺たちを嵌めるためにわざわざここ数カ月良い顔してた可能性もあるだろ!」

 

 

被害者(笑)の二人は居ても立っても居られず反論してくる。

 

確かに、彼らは何もしないまま自動的に追い詰められているからな。

 

だが、今から現状を変えることは出来ない。

 

 

「────確かに、私だけの証言と綾小路くんの音声で小宮くんだと断言できないのは承知の上です。だけど、あの場には監視カメラもありました!六月二十日のケヤキモール手前の横断歩道付近の映像を確認していだたければ、事実確認は可能です」

 

 

あの場でも言った『監視カメラ』というワード、それが引き金となった。

 

 

「今すぐ確認を──────「いや、その必要はない。この場で嘘を吐くメリットがないのは、どのクラスの生徒でも察せる。柴田と言ったな、話を再開しろ」

 

 

またもや橘の行動を生徒会長が止める。

 

コントでも見せられている気分だ。

 

 

「はい。ただ、俺に対して彼らは『ビビってるのか?』などといって挑発してきました。そのうえ、俺の大切な仲間たちを侮辱するような発言をしたんです!だから、ついて行きました。我慢できなかったんです。でも、あの場では何もしませんでした」

 

 

柴田が簡潔に事実を説明する。

 

しかし、相手側からしたらこの展開は面白くないだろう。

 

だからなのか、相手の切れる最強のカードにして最後の頼みの綱を出してきた。

 

 

 

「─────ですが、俺たちは怪我をしています。これが、何よりも動かぬ証拠では?それに、柴田はよく沸点が低いや気性が荒いと噂されています。彼ならやってもおかしくないでですよね?」

 

 

──────怪我の痕。

 

それが、向こうの切り札だ。

 

だが、それも無意味な徒労に終わる。

 

 

 

「今の発言も、柴田に対する侮辱として訴えてもいいんだがな。それに、その作戦についいては無意味だ。星之宮先生、彼女を呼んで来てください」

 

「分かったわ。待っててちょうだい」

 

 

オレの言葉を聞いて、ずっと黙っていた神崎や少し俯いていた一之瀬も顔を上げる。

 

その顔には「やっとか」や「さっさと終わらそう」と書かれていた。

 

無論、オレもそのつもりだ。

 

 

「─────ほう? 誰を呼ぶ気だ、綾小路」

 

 

生徒会長がオレに視線を投げてくる。

 

どうやら、少し興味を持たれてしまったらしい。

 

 

「──────よく言うじゃないですか。ヒーローは遅れて(・・・・・・・・)やってくる(・・・・・)、って」

 

 

 

 

 

 

 

「──────失礼します。1-Dの佐倉愛里、です」

 

 

オレの言葉の一瞬後、生徒会室の扉が開いた。

 

そこには、星之宮と共に佐倉が立っている。

 

 

「彼女が、一体なんだと言うのだ?」

 

 

冷たい印象を与える言葉とは裏腹に、生徒会長の目には期待も含まれているように感じた。

 

それに応えるわけではないが、しっかりとやらせてもらうとしよう。

 

 

「私、しっかりこの目で見ました。最初に、Cクラスの生徒が柴田君に悪口を言っていたんです!それに、柴田君は一度も殴ってなんてしていませんっ!」

 

 

佐倉はおどおどとしながらも、全員に聞こえるように言い切った。

 

しかし、向こうの態度は未だ崩れない。

 

最早、砂上の楼閣といっても過言ではないだろうがな。

 

 

「はっ!急ピッチで用意したにしては陳腐な証人ですね。もっとしっかりした生徒を雇った方が良かったのでは?」

 

 

これはチャンスと言わんばかりに坂上が調子に乗る。

 

だが、証拠ある。

 

 

これがアイツの二つ目の計算違い。

 

こちらには証拠と証人がいると判断できなかったことだ。

 

 

 

「証拠なら、あります! これを、スクリーンに映してもらえますか…………?」

 

 

佐倉は恐る恐る手に持っていたデジカメを橘に渡す。

 

あれはオレが今朝、あのキショい店員から嫌々受け取ったものだ。

 

 

「ええ、分かりました。しかし、証拠以外の写真も多少映ってしまいますが、構いませんか?」

 

「は、はい。大丈夫、です。それも、大事なので」

 

「では、接続します」

 

 

橘は近くのテーブルの上に置いていたノートパソコンに触れ、ケーブルを引く。

 

それを佐倉のデジカメと同機させると、生徒会長から見た正面の壁に映像が転写された。

 

そこには、驚きの写真が写っていた。

 

 

 

「え…………あれって…………雫?!」

 

 

一之瀬が驚きの声を上げる。

 

かく言うオレも、少しだけ動揺を隠せない。

 

壁には、佐倉が眼鏡を外し鬱陶しい前髪を払った写真が写されていた。

 

少しだけ魅惑的なポーズをとっているが、背景が…………特別棟だな。

 

 

 

「私は趣味でその、自分の写真をSNSに投稿しているんです。あの、今さっき一之瀬さんが言った『雫』というのは、私のグラドル用の名前で。それで、いつも撮影は特別棟でしてるんです!」

 

 

これには、Cクラス側も唖然としている。

 

オレも、証拠の写真以外には目を通していなかったため、驚きだ。

 

 

「で、こちらが証拠の写真ですね。まずこれが、三人が特別棟に入った直後の写真、当然両名怪我なし。で、次にこちらが出て行くときの写真─────おや、おかしいですね」

 

 

橘の目が、疑念に満ちた。

 

当たり前だろう。

 

何故なら特別棟を出て行く近藤と小宮の頬には──────

 

 

 

 

 

 

 

──────傷なんてないのだから(・・・・・・・・・・)

 

 




佐倉のキャラ違和感ないですかね?
原作読み返してはいるけど発言も描写も他キャラに比べて少ない所為で自信ないので「ここの台詞おかしくね?」や「佐倉はこんなこと言わないだろ」みたいな意見あったら感想でもメッセージでもいいので指摘してくれたら嬉しいです

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