綾小路がBクラスに配属された世界線 作:来世
「────というわけだ。一之瀬、やるか?」
オレは思いついた作戦を開示し、一之瀬に意見を求めていた。
今は無人島試験開始から四日目、午後三時。
金田の存在に気付いてから約一日が経過した。
「………まさか、そんなことが…………でも、分かった。やろう。みんな、納得してくれる筈だよ」
一之瀬はオレの提案に頷いた。
これで、計画を滞りなく進められる。
あれもこれもすべて、Cクラスを潰すためだ。
待ってろ、龍園。
お前が苦痛に藻掻く姿を、目の前で拝んでやるから。
「──────やぁ、こんにちは」
ふと、優しい声がした。
振り向くとそこには──────
「…………平田と…………佐倉?」
昨日会ったときと同じ格好をした平田と、昨日は見かけなかった佐倉が立っていた。
ついでに、Dクラスのマドンナ(諸説あり)の櫛田もいる。
一体、何の用だろうか。
「平田くんと、桔梗ちゃん!どうしてここに?」
一之瀬がいち早く反応を示す。
かく言うオレも、彼女の問に対する彼らの答が気になっている。
なんで、ここに来たんだろうか。
一応神崎に許可を取ってから、ベースキャンプの大まかな位置は教えていたが…………
「綾小路くんのお蔭で、ポイントが大分浮いたんだ。そのお礼も兼ねてね」
平田が淡々と事実を話す。
だが、たとえ他クラスでも誰かの役に立てるというのは嬉しいものだな。
それに、感謝もしてくれるし。
「─────本当にありがとう、綾小路くん。すべて君のお蔭だよ」
平田が頭を下げた。
それに呼応するように、二人もオレに向けて頭を下げる。
「…………頭を上げてくれ、三人とも。感謝してくれるのは嬉しいが、何もそんなことを求めてやったわけじゃない。ただの善意だ」
オレは近寄り、会話に参戦する。
まぁ、矯正
強制されたようなものだが。
「あ、綾小路くん。そ、その…………私も、前のこと、ちゃんとお礼言えてなかったから。その…………ありがとう!」
佐倉はオレが話し終えたタイミングで再び勢いよく頭を下げた。
一体何の件だろうと考えるが、すぐに思い当たる節を見つける。
「────あの件か。言っただろう? あれも、オレの自己満足だと」
佐倉の言っている件とは、彼女のストーカーを撃退した件だろう。
だがあれは急ピッチで間に合わせた杜撰な策だったし、お礼を言われるほどのものじゃない。
「あの人を投げ飛ばしたときの綾小路くん、その、すごいかっこよくて…………」
佐倉がそう言った瞬間、一之瀬が鋭い視線をオレたちに向ける。
何やら、鬼の形相だ…………
「佐倉さん、だったよね。その話、詳しく聞かせてもらえるかな?」
一之瀬が詰め寄ってくる。
一体、何だと言うんだ…………
「一之瀬。公衆の面前で話すような内容じゃない、せめて「綾小路くんは黙っててくれるかな?」
「は、はい…………」
一之瀬の圧に負け、オレは大人しく引き下がる。
その後、問い詰めていた一之瀬と佐倉が急に波長が合ったように熱く語り出したのには、流石に理解が追いつかなかったとだけ言っておこう。
「あんたも人助けとかするんだ、意外」
まだ話している一之瀬佐倉に加え、神崎と平田が話し始めてから数分が経つ。
ボーっとその光景を眺めていたオレに、姫野が話しかけてきた。
「お前はオレを何だと思ってるんだ?」
あまりにも酷い言い草にオレも負けじと言い返す。
が、返ってきたのはもっと悲惨な言葉だった。
「うーん………人の話を聞き出そうとしてくる変質者。若しくは覗き見不審者?」
「え、酷くないか?」
変質者も不審者も不名誉すぎるだろ。
そもそも、オレはそんなんじゃない。
「事実でしょ? そもそも、初めて話す相手にグイグイ来すぎ、キショいよ」
「やめろ…………ダメージが重すぎる」
「もっと話したいとかいって誑かそうとしてくるけど、意味わかんないし」
「でも、今はお前から話しかけて──────「は?」
「いや、なんでもないです…………」
一之瀬といい姫野といい、なんでうちのクラスの女子は皆圧が凄いんだ?
これじゃあ迂闊にコミュニケーションも取れないぞ。
平田たちが去ってから、オレの作戦が本格的に始動する。
まずやったのは、作戦の重要な役割であるリーダーへの作戦の一部開示。
これをやらないと、まず作戦が始まらないからな。
「網倉。少し話がある、いいか?」
オレは軽作業をしていた網倉に声を掛ける。
それも、
「え? い、いいけど…………」
網倉は思わず金田を一瞥する。
対する金田本人は、こちらには興味のないような態度を貫いた。
まぁ。視線が丸わかりだったが。
「一之瀬と神崎もいる」
「すぐ行くよ」
オレと網倉は、一之瀬と神崎の待っている木陰へと移動する。
ここで、作戦開示を行うからだ。
「私が説明するよ。麻子ちゃん、君にはリタイアしてもらうことになったの」
自ら説明役を名乗り出た一之瀬が、自信に満ちた顔で語った。
そう、まずは作戦の第一フェーズは『Bクラスのリーダーをリタイアさせること』だ。
「え? え、なんで? 意味わかんないんだけど」
「その説明も、私には難しいんだけど、今からやる作戦は全部綾小路くんの考えたものなの。でも、私から説明した方がいいかなーって。頼める?」
一之瀬がオレにバトンタッチを要求する。
まぁ、作戦を説明せずにリタイアさせるのはほぼ不可能だからな。
「ああ、引き受けた。まず今回の作戦だが、狙いはCクラスを叩き潰すことにある。そのために、うちのリーダーを網倉だとバラすことにした」
オレは端的に、目的と作戦を伝える。
だが、彼女はまだ理解できないらしい。
「いや、Cクラスを潰したいって言うのは分かったけど、なんで私がリタイアする必要があるの? そもそも、私がいなくなったらリーダーいなくなるけど」
やっぱり、そこからか。
マニュアルの書き方も悪いから、仕方ないのだがな。
「────網倉。マニュアルに書かれていたリーダーに関する記載を覚えているか?」
「うーんと…………『正当な理由なくリーダーを変更することはできない』だっけ?」
「正解だ。で、リーダーのリタイアはこの場合の正当な理由になると思わないか?」
そう、オレの目的は『Bクラスのリーダーを網倉だと誤解させた上で、無人島試験の終了を迎えること』にある。
「つまり、私がリーダーであることを故意に金田くんに知らせたうえで、私がリタイアしてリーダーを変える、と?」
「そういうことだ」
金田はリーダーを把握したらすぐに龍園に伝えてリタイアするだろうからな。
「でも、そんな作戦…………だって、私がリタイアしたら-30ポイントだよ?取り返せなくない?」
気にするのは、クラスへの負債か。
やはり、網倉は良い奴だ。
「それも、問題ない。Cクラスには最低でも-100ポイントを与えるからな。それに、うちも+100ポイント得られるから、問題はない」
「え? ど、どうやって?」
「まず、Bのリーダーを網倉だと誤解させて試験を終えることで龍園は指名をミスって-50、次にオレたちがCのリーダーを指名することで相手に-50。これを反転させればうちは+100だ」
Cのリーダー誤答で+50、Bのリーダー当て成功で+50。
理想はCクラスの生徒による略奪行為なんかを訴えて試験自体から叩き出すことだが、これでも恐らく最終結果は0ポイントに出来るからな。
リスクをとるよりも、目先の道を進む方が良いのは当たり前だ。
「そっか……でも、どうやって金田くんにバラすの?」
「確かに。あんまりわざとらしくやっても逆に怪しまれそうだよね」
他クラスへスパイとして送り込まれてきた時点で、Cクラス内では恐らく優秀な部類。
確かに、簡単に騙せると思いあがらない方が安全か。
「いや待て、だがCクラスがリーダーすり替えという裏技に気付いていると思うか?」
神崎が口を開いた。
確かに、そうだ。
何故なら、あっちのはリーダーすり替えのリスクを考えるのなら絶対に実行できないハイリスクローリターンのガバガバ作戦だからな。
もし仮に金田がリーダーを知り伝えても、その後変更される可能性があるのならベースキャンプに留まらせるべきだ。
だがしかし、逆にそれをすると行動が制限され、今度は相手にリーダーすり替えという裏技を知られるリスクにもつながる。
「あの男は律儀にマニュアルを読むタイプかは置いておいても、作戦の特性上気付いてないと見るべきだろうな」
神崎の発言により、そのままでの作戦実行が決定された。
その後、金田から少し離れたところで網倉がわざとキーカードを地面に落とした。
これにより、次の日の朝方には金田が消えていたことは言うまでもないだろう。
原作でも金田くんはBクラスのリーダー見抜いてたっぽいし、やっぱり有能なんかな
Dクラスで救って欲しい生徒(No.1を投票して)
-
堀北鈴音
-
櫛田桔梗
-
軽井沢恵
-
長谷部波瑠加
-
三宅明人
-
松下千秋
-
Dクラスに救う価値無し