綾小路がBクラスに配属された世界線   作:来世

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1年生夏季休暇:干支試験
29話:嫌な予感


 

 

 

無人島試験が終了してから三日が経過した。

 

オレたち一年生は豪華客船の上でクルーズを満喫中である。

 

 

 

「────だから、私も断ったわけ。まぁ、アンタに言っても分かんないだろうけど」

 

 

オレの目の前で悪態を吐いているのはクラスメイトの姫野ユキ。

 

無人島試験一日目での邂逅を機に話すようになった友達だ。

 

向こうからもそう思われているかは、怪しい所があるが。

 

 

「いや、分かるぞ。ただ、一致団結というか、協調性がBクラスの良さだからな。まぁ、噛み合わない奴がいるのは仕方ないことだが」

 

 

今話しているのは、姫野が小一時間くらい前に白波や網倉たち女子メンでの遊びの提案を断ったという話だ。

 

どうにも、面倒らしい。

 

 

「押し付けてくんなよって話。もう何回も断ってんだから、いい加減諦めて欲しい」

 

 

今いるのは、船内六階に位置している小さなカフェだ。

 

人も完全におらず、店員だけが店内の端を掃除している。

 

 

「まぁ、いつかはって望みもあるのかもな。それについては、オレからは何も言えん」

 

「つっかえな。やっぱ陰キャぼっちじゃん」

 

「網倉たちの意思を変えることはできないって話だ。それと、陰キャってなんだ?」

 

 

久しぶりに聞いた聞いたことのない単語に、オレは興味が出た。

 

姫野の口ぶりからして褒め言葉ではないのは確定だが、それでも気になるものは気になる。

 

 

 

「あんたってたまにアホよね。陰キャってのは陰気なキャラ、つまりあんたみたいな奴のこと」

 

 

やっぱりか…………

 

 

「陰気なのは認めるが、これでも努力してるんだぞ? それに、友達はいるから、ぼっちじゃない」

 

 

ぼっちの意味は先日知った。

 

一人ぼっちのぼっちであり、友人などの親しい者がいない人物を揶揄する言葉だ。

 

まぁ、そこまでの悪口というよりもいじる程度の意味だがな。

 

 

「へぇ? じゃあ誰がいるのよ、言ってみな?」

 

 

姫野はニヤッと笑い、飲んでいたキャラメルフラペチーノをテーブルに置く。

 

その眼や態度から、オレには友達がいないと確信しているらしい。

 

無人島試験で何を見てんだか。

 

 

「ふっ、甘いな姫野。まず一之瀬だろ? それに網倉も多分そうだ。それと、神崎や柴田もそう。あとは渡辺だな。どうだ?」

 

 

オレが思いついた名前を挙げていくと、姫野は少し驚いたような顔をする。

 

だがすぐに、返し技を思いついたようなものに変わった。

 

 

「それ、あんたが一方的に思ってるだけじゃない? あーらら、かわいそ」

 

「そんな筈はない。オレは、少なくとも神崎とは友人だと確信しているぞ」

 

 

なんせ、『オレたちは友人だからな』とか大見得切ったし。

 

それに、向こうも否定してなかったしな。

 

 

「ふーん、まぁ別にあんたの交友関係とかどうでもいいけど。にしても…………」

 

 

姫野がオレを見つめる。

 

顔に、何かついているのだろうか。

 

 

「あんた、いい体格してるわよね。何かスポーツとかやってた?」

 

「…………いや、格闘技を少しな。柔道と、空手なら多少の経験がある。よく気づいたな」

 

 

今まで、身体については触れられてこなかった。

 

まぁ、皆気付いててスルーしてくれてた可能性も否めないが。

 

 

「水泳の授業のときにチラッと見てたの思い出した。それに、無人島試験で中盤から神崎くんとスポット回ってたでしょ? 体力だけじゃ無理だし、体幹とかも凄そうってだけ」

 

 

確かに、神崎でもへばってたのにオレがぴんぴんしてたのは変か。

 

まぁ、今更気にしたところで仕方ない。

 

だが少しいつも後手だから攻め手に回ってみるのも悪くない。

 

 

「─────へぇ、オレのこと見ててくれたんだな。嬉しい限りだ」

 

 

オレは目の前に置いてあるカップを手に取り、口に近付ける。

 

そのまま、中のブラックコーヒーを啜った。

 

 

「はぁ? 別に見てないし。っていうか調子乗ってない? 綾小路のくせに」

 

「なんで神崎とか一之瀬は‘‘さん’’や‘‘くん’’をつけるのに、オレだけ呼び捨てなんだ?」

 

「あんたにつける価値はないってこと。あーあ、なんか暇~」

 

 

自分で振った話題を一瞬で切り捨て、姫野は天井に目を向ける。

 

上にはいくつもの蠟燭を飾り付けたシャンデリアが綺麗に光っていた。

 

 

「そうだな。だが、そろそろ──────」

 

 

 

「生徒の皆さんにお知らせいたします。先程、全ての生徒宛に学校側からの連絡事項を記載したメールを送信いたしました。各自確認し、内容に従ってください」

 

 

 

そろそろ、何かが起きそうだ。

 

そう言おうとしたタイミングで、不穏なアナウンスが船内に響いた。

 

手元のスマホで時刻を確認すると、丁度朝の八時。

 

 

「…………はぁ、だっる」

 

「早いな」

 

「絶対に面倒なことが始まるじゃん。まじ憂鬱」

 

 

姫野はそう言いながら、ポケットからスマホを取り出す。

 

それに合わせてオレも、届いたメールの確認を急いだ。

 

 

 

学校側からのメールの内容は、次の特別試験に関するものだった。

 

具体的な内容までは分からなかったが、オレはどうやら十八時半に二階の二〇五号室に行かないといけないらしい。

 

 

「…………姫野はどうだった?」

 

 

オレはスマホの画面を見せながら問いかける。

 

すると姫野は無言でスマホを差し出してきた。

 

 

「─────八時から二〇七号室、か。どうやら、時間も部屋もバラバラになってるらしいな」

 

「だるそ…………もうさっさとあんたが終わらしてよ。出来るでしょ?」

 

「無茶ぶりが過ぎるな。出来るかどうかは、試験の内容次第だ」

 

 

オレは飲みかけのコーヒーを喉に流し込んでから返す。

 

 

「出来ない、とは言わないのね」

 

「そりゃ、出来るのに出来ないと答えるのは嘘になるからな。それは嫌だ」

 

「変なとこ拘る…………まぁ、いっか。それより、友達に連絡しなくていいわけ?」

 

「そうする。ありがとな」

 

「別に。それじゃ、またね」

 

 

姫野はそう言うと、席を立ってどこかへ行ってしまった。

 

が、どうせ合流は出来ると思いオレは連絡を優先する。

 

 

 

『メールの内容を共有しないか?』

 

 

クラスのチャットで打つと、すぐに返信が来る。

 

 

『そうしよう』

 

『賛成だ』

 

 

一之瀬と、神崎か。

 

オレが動かずとも、二人なら共有に漕ぎ出していただろう。

 

 

『私は十七時から二〇二号室だったよ~』

 

『俺も同じだ』

 

『私もです』

 

 

十七時・二〇二組が小橋・二宮・渡辺か。

 

こうなると、クラス内で数人と同じ組になっている可能性が高いな。

 

 

『時間的に次だと思う者よろしく』

 

 

オレがそう打つと、すぐに返信が来る。

 

 

『俺かな。俺は十七時半から二〇三号室だ』

 

 

名乗りを上げたのは柴田、続くのは井口と中西だった。

 

その後も把握をしていくと、大体三人か四人でセットになっていると判明した。

 

因みに、オレは一之瀬・神崎と同じ組だ。

 

 

 

『法則性は掴めないな』

 

『だね。とりあえず、今日部屋に行けば分かるんじゃない?』

 

 

一之瀬と神崎の会話により、チャットでの話し合いは終結を迎えた。

 

 

 

 

『私は何をすればいい?』

 

 

ふと、通知が来た。

 

送り主は…………松下か。

 

 

『まだ分からない』

 

『今日説明あると思うから、そのあとで決めよ』

 

『ああ。それでいい』

 

『因みに、私は十七時から二〇二号室に集まれってさ』

 

 

柴田や井口と同じ組か。

 

どうやら、オレとは離れるらしい。

 

まぁ、その方が好都合だ。

 

 

『オレは十八時半から二〇五号室だ』

 

『またあとで』

 

『ああ』

 

 

…………さて、一体どんな試験が始まるのやら。

 

 




原作だとほとんどのグループのメンバーが不明なので、勝手に決めました
それと、船上試験を受けれるメンバーが152(160-坂柳-7=152)人しかいないので、少しだけ既存のメンバーが減ってるかもしれませんが、ご了承ください

Dクラスで救って欲しい生徒(No.1を投票して)

  • 堀北鈴音
  • 櫛田桔梗
  • 軽井沢恵
  • 長谷部波瑠加
  • 三宅明人
  • 松下千秋
  • Dクラスに救う価値無し
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