綾小路がBクラスに配属された世界線   作:来世

30 / 53
昨日は体調を崩していたため投稿できませんでした
今日から再開します


30話:死のグループ

 

 

 

「────さて、行くか」

 

「だね」

 

「ああ」

 

 

時刻は十八時十分。

 

オレは同じ組だと思われる一之瀬・神崎と共に船内の廊下を歩いていた。

 

特別試験だというのに、少人数ごとに区切っている時点で、恐らくは個人戦か少数戦。

 

だが、故意に選んだのかと疑いたくなる面子だ。

 

一之瀬は言わずと知れたクラスのリーダーだし、神崎は恐らく地力だけならクラス内TOPの実力者。

 

それに加えてオレがいるとなると、Bクラスの結成出来る最強の部隊といえる。

 

 

 

 

「失礼します」

 

 

指定された時間ジャストに二〇五号室のドアを開ける。

 

中には四つの椅子が用意されており、既に一席は埋まっていた。

 

 

「──────来たか。Bクラスの綾小路、一之瀬、神崎だな」

 

「担当はあなたですか。…………茶柱先生」

 

 

オレは露骨に顔を顰める。

 

この教師、見てくれと身体だけはいいものの授業が聞いていてつまらないんだよな。

 

それに、オレたち生徒のことが眼中にないかのような態度も苦手だ。

 

見てくれと身体はいいのに勿体ない奴だ(二回目)

 

 

「黙って席につけ。試験の説明を始めるぞ」

 

 

そう促され、オレたちは奥からオレ、一之瀬、神崎の順に腰掛ける。

 

にしても、この四人で試験を受けるってことはないだろうな、イージーすぎるし。

 

 

 

「今回の試験は、一年生の試験参加者全員を干支に準えた十二のグループに分けて行う試験となっている。先の無人島試験ではグループワーク、協調性や団結力が求められたが、今回の試験は真反対の力が求められる」

 

 

協調性やグループワークから真反対、となると個人での実力だろうか。

 

この学校はやっぱり釈然としない表現が多いな。

 

 

「今回の試験で求められるのは──────シンキング力だ。自分の力で現状を分析し、新たな打開策を導き出してみせろ。これがお前たちと同じ『辰グループ』のメンバーリストだ。退室時に回収するから、メモしておけ。写メは禁止だ」

 

 

オレは配られた白いA4のプリントに目を通し、辟易とした。

 

何故なら──────

 

 

 

─────────────────────────────────────────

 

辰グループメンバーリスト

 

 

Aクラス

葛城康平・西川亮子・的場信二・矢野小春

 

Bクラス

綾小路清隆・一之瀬帆波・神崎隆二

 

Cクラス

小田拓海・鈴木英俊・龍園翔

 

Dクラス

櫛田桔梗・平田洋介・王美雨

 

 

─────────────────────────────────────────

 

 

この通り、各クラスの最大戦力とも呼べる奴らが集まっている死のグループに配属されたからだ。

 

今まで多少目立ってきたし仕方ない部分もあるのだが、やはり面倒だという感情が優先される。

 

 

「…………うわぁ、すごいメンバーだね」

 

 

オレが思っていたことを、隣に座る一之瀬が代弁した。

 

これは、その一言に尽きると言えるだろうな。

 

 

「意図的に仕組まれた、としか思えないな」

 

 

神崎も同意を表明する。

 

だが、茶柱の説明はまだ終わっていない。

 

なんせ、肝心の特別試験の内容がまだ明かされていないからな。

 

 

 

「説明を続けるぞ。お前たちにはこのグループとして試験を受けてもらう。内容については、このプリントを見て各々把握しろ」

 

 

その後茶柱から渡されたプリントに書いてあったことをまとめると、以下の通りだ。

 

 

・試験は各クラスから生徒三~四人を集めた十二のグループに分けて行われる。

・試験自体は『優待者』という者を中心として進み、『優待者』は明日朝八時に全生徒に一斉に送られるメールにて決定される。

・一日に二度、グループでの話し合い(ディスカッション)を設け、そこで『優待者』が誰なのかについて議論する。

・試験は明日から四日後まで行われ、間に完全休日を挟むため実質三日間。

・『優待者』が誰であったのかは各グループで指定されているメールアドレスに『優待者』の名前を書いて送信することで指名できる。

・回答の受け付けは試験最終日の二十一時半から二十二時までとする。

・回答は一人一回までとする。

 

 

 

つまるところ、優待者を如何にして見つけ出すかと言う試験だ。

 

無人島試験と比べて身体を使うことはないが、その分頭を使う試験と言える。

 

 

「この試験で重要になってくるのが、『優待者』の存在だ。例えばお前たちのグループで試験を行った時、綾小路が優待者だとする。そしたらグループ全員が『綾小路』とメールで送れば試験はクリアとなる」

 

 

一見、簡単な試験に見える。

 

が、この学校がそんな甘いことをする筈がない。

 

 

「これが試験で得られる『結果1』に該当する。この場合、グループ全員に五十万ポイントが与えられ、優待者には『結果1』に導いた報酬として更に五十万が与えられる」

 

 

簡単だな…………

 

本性を出せよ、高育。

 

まだ、隠しネタがあるんだろ?

 

 

 

「一方で、優待者が誰にも正体を明かさず、誰にもバレなかった場合、若しくは回答の際一人でも優待者の名前を間違えた場合、優待者にのみ五十万ポイントが与えられる」

 

 

圧倒的に優待者が優位な試験だな。

 

いや、優位だから優待者なのか?

 

 

「優待者がすっごい有利だね」

 

「だな。取れる選択肢の数が違いすぎる」

 

 

一之瀬と神崎も同じ意見らしい。

 

まぁ、言っていることは概ね正しい。

 

 

 

「次にプリントの裏を見ろ。優待者は各グループに一人必ずいると言ったが、試験終了前に誰かを暴くことも可能だ」

 

 

 

〇結果3・優待者以外の者が試験終了を待たずに学校に答えを告げ正解していた場合

 

答えた生徒の所属クラスは、クラスポイントを50得ると同時に、

正解者にはプライベートポイントを50万ポイント支給する

また優待者を見抜かれたクラスは逆に-50クラスポイントのペナルティを受ける

及びこの時点でグループの試験は終了となる

なお優待者と同じクラスの者が正解した場合、答えは無効とし、試験は続行となる

 

 

〇結果4・優待者以外の者が試験終了を待たずに学校に答えを告げ不正解だった場合

 

答えを間違えた生徒が所属するクラスはクラスポイントを50ポイント失うペナルティを受け、

優待者はプライベートポイントを50万ポイント得ると同時に優待者の所属クラスはクラスポイントを50ポイント得る

答えを間違えた時点でグループでの試験は終了となる

なお優待者と同じクラスメイトが不正解した場合、答えを無効とし受け付けない

 

 

面倒そうな試験だな。

 

だが、別に構わない。

 

今回の試験は一之瀬・神崎に任せるつもりだからな。

 

 

「結果3・4は前者とは異なるため裏面に記載した。見れば理解できると思うが、試験の主な結果は4つ。『全員で優待者を当てる』『優待者が逃げ切る』『裏切り者が優待者を当てる』『裏切り者が優待者の判断を誤る』だ」

 

 

確率で言えば、結果三四が起こるのは一二に比べて少ない。

 

だが、その分優待者を他クラスより先に当てれれば大きなクラスポイントとプライベートポイントが動くことになる。

 

 

「説明は以上だ。お前たちは明日から午前十時、午後五時に指定された部屋へ向かえ」

 

 

それだけ言い残すと、茶柱は早々に部屋を出て行った。

 

最後にオレの方を見た気がしたけど、多分気のせいだ。

 

 

 

「改めて見ても凄いメンバーだよねぇ。ちょっと不安かも」

 

 

一之瀬がメモした辰グループのメンバーを見て言う。

 

確かに、あの厄介な龍園翔もいる。

 

とはいえ、直接相対するのはこれが初だが。

 

 

「俺たちは無人島試験でAクラスとの差をかなり縮めた。もしかしたら今回の試験で、狙い撃ちにされるかもな」

 

 

神崎が唸るように言う。

 

確かに、彼の言う通りだ。

 

無人島試験が始まる前のAクラスのクラスポイントは『1004』であり、オレたちBクラスのクラスポイントは『672』だった。

 

しかし無人島試験でオレたちが荒稼ぎしたことでAクラスは『1174』、Bクラスは『1091』となっている。

 

つまり、もうAクラスとのポイント差は僅か83しかないわけだ。

 

 

「なぁ、二人とも。今回の各クラスにいる優待者の数は分かっているか?」

 

 

オレはヒントのつもりで質問を投げかける。

 

だが、オレの予想とは反して神崎が即答した。

 

 

「今回の試験の特性上、各クラスに三人ずつ、だろ?」

 

「…………正解だ。それが分かっているのなら、お前たちに任せても問題ないな」

 

 

一安心だ。

 

これも、今までの経験と知識から予想できる範囲内の解答。

 

だが、気掛かりなのはやはり龍園翔だ。

 

アイツの無人島試験での結果から、恐らくクラスメイトをスパイを除いて全員リタイアさせるという奇策をとったのはほぼ確定と見るべきだ。

 

そしてその上であのAクラスのポイントを見れば、二クラスが同盟を組むか契約を交わすだかして他クラスのリーダー情報を共有していたのは確実。

 

また組まれるようなら、厄介だな。

 

 

 

「…………」

 

「ッチ…………」

 

 

二人と並んで歩いていると、足が止まった。

 

正確には、俯いて見ていた左右の二人の足が止まったのだ。

 

オレの視線も、自ずと前を向く。

 

その先には──────

 

 

 

 

 

 

 

「…………よぉ、Bクラス。初めましてだな」

 

 

 

赤紫色の髪を肩まで伸ばした、ガラの悪い男が立っていた。

 

 

Dクラスで救って欲しい生徒(No.1を投票して)

  • 堀北鈴音
  • 櫛田桔梗
  • 軽井沢恵
  • 長谷部波瑠加
  • 三宅明人
  • 松下千秋
  • Dクラスに救う価値無し
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。