綾小路がBクラスに配属された世界線 作:来世
オレの望んでいた生活を送りながら四月は過ぎ去った。
そして今日は──────五月一日である。
まぁ、一番に挙げるべき点は
──────プライベートポイントは6万5000ポイントしか振り込まれていないということだろう。
入学初日に星之宮の説明を聞いた時から思っていたが、やはり振り込まれるポイントは変動するらしい。
わざとらしくコンビニの中に設置してある『無料品コーナー』や、自販機で貰える『無料の天然水』など、気付こうと思えば気付けるレベルの仕組み。
しかし、途中までのオレのように気付けなかった者が多いのか、クラスのグループチャットは荒れに荒れている。
『みんな、ポイントいくら振り込まれてた?』
最初のチャットは午前六時の一之瀬のもの。
続いて、クラスの主要メンバーたちが反応していく。
『6万5000だな』
『私も』
『俺もだ』
彼らの会話から分かる通り、クラス全員一律でポイントが振り込まれている。
どうやら、ただの平和な学生生活は今日で
終わりになりそうだな。
登校すると、教室には既に半数以上がいた。
当然だろう。 オレの隣の席である一之瀬帆波の周りには、困惑を訴える生徒が集まっている。
大変だな、リーダーは。
まぁ、オレにはあまり関係のない話だ。
相談くらいなら、乗ってもいいかもしれないがな。
「あ、綾小路くん。おはよう、綾小路くんも6万5000ポイントだった?」
一之瀬がオレの存在に気付くと、そう声を掛けてきた。
「ああ、確かに6万5000だったな。てっきり、10万貰えるとばかり思っていたんだが」
「だよね~、やっぱり学校側のミスなのかな?」
オレの言葉に網倉が反応する。
確かに、学校側のミスだったならどれだけ良かったことだろうか。
事実は、残酷にもオレたちの評価を表していると考えられるが。
「星之宮先生が来たら説明してくれるだろう」
「あ、そういえばDクラスの桔梗ちゃんは0ポイントだったって今朝チャットで」
0ポイント、だと?
そんなこと、あり得るのか?
「0ポイントって………でも、それならミスじゃないのかなぁ」
「あり得るのかよ。先月は10万だったのがいきなり0とかよ」
そんなことを相談し合っていると、星之宮が教室に入ってきた。
しかし、今日はいつものように二日酔いをしているようには見えず、至って健康体だ。
「は~~い、みんな聞きたいことあると思うけど、まずはこれを見てね」
そう言い、黒板に大きなポスターを貼り出した。
一体何が──────
────────────────────────────────────────
【各クラスのクラスポイント】
Aクラス:940
Bクラス:650
Cクラス:490
Dクラス:0
────────────────────────────────────────
…………なるほどな。
「このクラスポイントっていうのが、君たちに振り込まれるポイント、改めプライベートポイントに直結するの。で、このクラスポイントっていうのは皆の生活態度とか成績の平均で決まるから」
星之宮は意気揚々と語る。
しかし、ここまで綺麗に並んでいるとはな。
「で、結果を見れば分かると思うけど、A~Dクラスの振り分けは、優劣順になってるの。優秀な人はA、そうじゃない人はDってね。皆は比較的優秀だって判断されたわけ」
優秀な者はAクラス………ならば、何故一之瀬がBクラスなんだ?
彼女は能力もあるし、休み時間に白波に勉強を教えていたことから学力も高い。
運動神経も、体育の授業を受けているのを見る限りでは高い水準に達している。
何か、特殊な理由があると考えるべきだろうな。
まぁ、深く追求する気はない。 誰にでも、触れられたくない過去はあるからな。
「それじゃあ次はこれね。皆お待ちかねの小テストの結果発表で~す!」
そう言い、今度は違うポスターを黒板に貼った。
そこには、先週受けた小テストの結果が全員分載っていた。
オレもある程度の点数を獲っているが、やはり目立つのは一之瀬だな。
各教科最後の三問は難しかったが、全教科80点以上を獲っている。
流石としか言いようがないな。
え? オレの結果?
言うまでもないだろ。 普通の点数だ。
「今回は赤点一人もなしだね、流石!赤点は平均点の半分未満だから覚えておいてね。あと、今後の定期試験で赤点を獲ったら一発で退学になっちゃうから気を付けて」
「あと、学校側が謳ってる将来の自由の恩恵を受けられるのは、Aクラスで卒業した生徒だけなの。だから、頑張ってね!」
もう質問はさせないとばかりに、それだけを言って星之宮は去っていった。
流石に、エグイだろ。
「──────Aクラスで卒業した人だけって…………」
「マジかよ」
「でも私たち、まだBクラスだし」
「AクラスよりもCクラスの方が近いんだよな」
「やばくない?」
普通にヤバいな。
そもそも、入学したら将来が安定だと考えたから態々ここに入学した者もいる筈だ。
なのに、それを嘲笑うかのように後出しで『嘘でした~』っていうのは詐欺に近い。
国家規模で国民を騙していると世間に公表されたら、どうする気なんだろうか。
下手しなくても鬼島内閣の崩壊を招きかねない大事態だぞ。
「─────ねぇ、みんな。少しだけいいかな?」
隣の席で何かを考え込んでいた一之瀬が、席を立った。
その顔には、迷いと決意が混在している。
「さっきの話、私も混乱した。でも、あれが事実なら、私は皆とAクラスを目指したい。だから、皆で力を合わせて戦ってくれないかなっ!」
この短時間で、そこまで決意できるのか。
しかも、この発言は自身がBクラスを引っ張っていくという宣言でもある。
「勿論だぜっ!」「当たり前だよ~」「みんなでやれば何とかなるだろ!」
クラス内からは当然、賛同の声が上がる。
まぁ、一之瀬はこの一カ月で下地を作っていたわけだし、彼女がリーダーなら誰もが納得するだろう。
「あ、あの私…………帆波ちゃんにポイント預けたいんだけど…………」
そんなことを言い出したのは、Bクラスのメンバーである白波千尋だ。
クラスの中でも、一番と言っていいほど一之瀬と行動を共にしているのが印象に残っている。
「えっ? で、でも…………」
「いいじゃんそれ、俺も預けるわ!」
「なら私も」
「じゃああたしも~!」
次第にそれに従う者が多数派となり、クラスは飲み込まれていく。
「みんなで貯金すればいいじゃん。いつか使えるかもしれないし、帆波ちゃんなら皆安心だろうし」
それはいいんだろうか。
オレとしては一之瀬を信頼していないわけではないが、あまり人に金を預けたくはない。
自分で必要となったときに、後悔しても遅いからな。
「──────ちょっと待て」
彼女らと親しいオレが止めるのもなんだと半ば諦めかけていたその時、誰かが口を開いた。
声の主は、オレの前の前の席に座る男子生徒だった。
確か名前は──────神崎隆二。
「神崎くん、何かな?」
流れを止めたことで、クラスの視線が彼に集中している。
が、それを意に介さず彼は話を続けるようだ。
「プライベートポイントを一之瀬に預けること自体は構わない。が、その重要性は理解しているだろう? もし、お前が今後クラスを率いて他クラスと戦うと言うのなら、今後納得する成果を出せなかった場合、責任をとって自主退学してもらいたい」
一瞬、クラス内の時が止まった。
それくらい、彼の発言が大胆だった。
「──────うん。勿論だよ、私は皆とAクラスに上がるために、全力を尽くす。プライベートポイントも当然私用に使ったりはしないけど、皆の時間と労力を奪う以上、その覚悟もしてるよ」
一之瀬の言葉を聞き、神崎は数秒沈黙した。
そして再び口を開く。
「────覚悟があるのならいい。悪いことを言ったな、前言は撤回させてもらおう」
この後はあまり進展がなく、一之瀬に金を預けたい者だけが預ける形となった。
オレも空気に推され、1万ポイントだけ彼女に預けることにした。
──────にしても、Bクラスにも神崎みたいな奴がいたんだな。
出来れば、彼のような者とも友達になってみたいものだ。
赤点一回で退学とかヤバすぎるよなぁ
ホントに未来を支えてくれる若者を育成する気あんのか疑いたくなるレベル
Bクラス綾小路くんのヒロイン候補
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一之瀬帆波
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網倉麻子
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小橋夢
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白波千尋
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姫野ユキ
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神崎隆二
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柴田颯
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渡辺紀仁
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堀北鈴音
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軽井沢恵
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櫛田桔梗
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龍園翔
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椎名ひより
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坂柳有栖
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神室真澄
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綾小路にヒロインなんていらねぇ!