綾小路がBクラスに配属された世界線 作:来世
というかあんまり入んないだろと思ってた姫野が思った以上に人気で草
そして龍園にすら負けてる自称幼馴染(笑)、お前は危機感持て
五月一日、あの日に星之宮から中間試験開催の発表も同時に行われた。
この試験での成績次第では、クラスポイントが上がる可能性もあるらしい。
もし赤点を獲った場合、退学になるわけだが。
まぁ、高等学校の試験なのでオレは安心していいだろうが、一之瀬がどこまで動くかだな。
特にDクラスは、圧倒的な『CP:0』を記録し、学級崩壊寸前だという。
オレたちBクラスには関係のない話だが、一之瀬なら首を突っ込むかもしれないな。
「綾小路くんっ、ここ分かる?」
──────オレは、一之瀬主導の勉強会で教師役をしていた。
オレのいた場所では当たり前だった点数よりも、格段に下げた点数を獲ったんだがな。
四月末の小テストでオレが取った点数は、全教科揃っての80点だった。
Bクラスが比較的優秀なメンバーの集まるクラスである以上、この程度なら問題がないと思ったんだが…………
結果として、オレは目立ってしまっている。
「ああ、えっとここはな…………」
今教えている相手は、一之瀬と仲が良くオレにもよく絡んでくる網倉麻子だ。
数学が苦手らしく、先程からオレの隣に座り込んで教えを乞うて来てる。
「それと、図書館だからもう少しだけ動きも静かにな」
「あ、綾小路くんに、当たり前のこと言われた…………」
「失礼だな」
この通り、オレが世間知らずなのをいいことに、いじってくるのだ。
それ自体に悪い気はしないんだが、いかんせん頻度が多い。
「まぁまぁ、でも綾小路くんホント教えるの上手いよね~」
分かりやすく話題を変えたな。
まぁ、いいか。
「まだ簡単な範囲だからな。難易度が上がれば、オレも教える余裕はない」
「それって私が簡単なとこで躓く馬鹿だって言ってるの? 綾小路くん酷~い」
「そんなことは言ってないぞ」
「私がそう感じたらそうなの。っていう自己中キャラで行くよ?」
「やめてくれ…………」
何かと騒がしい日々だが、オレはそれも好み始めていた。
一之瀬に網倉、柴田や渡辺。
彼らのような存在を友と呼ぶのなら──────オレは今、少なくとも普通の生活を送れているのだろう。
勉強会も終わり、オレは寮へと向かって歩いていた。
他の皆は少し話してから帰るらしいが、オレは初の勉強会で少し精神的疲労を感じていたため、早々に切り上げてきたわけだ。
彼らが嫌いと言うわけではないし、好きか嫌いかでいうなれば『好き』に分類するであろうが、今まで人とまともに喋ってこなかったオレからすれば疲れる。
たった一カ月かそこらで、十数年の記憶が消えるわけでもないしな。
「…………」
オレは前方に、とある人物を発見した。
気配を消しているためか、向こうはオレに気付かない。
‘‘彼女’’はそのままオレの遥か前を通り過ぎ、海沿いの歩道に出る。
そこで──────
──────彼女、櫛田桔梗は本性を曝け出した。
「クソがッ!!堀北死ね!!!」
彼女と、うちのクラスのリーダーである一之瀬は友人らしい。
前に、学食で柴田たちと昼食をとっているときに楽しそうに話しているのを見かけたし、たまに一之瀬の口から彼女の名が出るときもある。
あまり、いいものではなかったが。
しかし、オレは彼女のことを見た目と口調などから良い奴だとどこかで思っていた。
無論、人は見かけじゃない。
サングラスにピアスの人相の悪い男でもいい奴なこともあるし、逆に今遠くで愚痴を溢している彼女のようにあざとい見た目からは考えられない悪人も存在する。
まぁ、今は分かりやすく彼女を例に挙げたが、オレは『堀北』が誰なのか知らないので、判別は出来ないけどな。
もし堀北が誰もが嫌うようなクソ野郎だった場合、彼女は悪人ではなく一般人だ。
「てめぇみたいな奴が弾かれんだよ!」
「ちょっと見てくれが良いからって調子乗んな!」
「お高く留まってるんじゃねぇ!」
オレは暫く、木陰で彼女の悪口を聞いてみることにした。
オレの望む生活に直接の関係はないが、あそこまで人が豹変すると言うのは興味深い。
あまり、経験がないからな。
「はぁ………はぁ………まじムカつくわ。死ねばいいのに」
フェンスを蹴り上げる彼女に、前のような面影はない。
暫くするとオレは興味を無くし、そのまま寮へと戻ることにした。
後日。
「みんなごめんね~~、大事なお知らせがあるからよく聞いてね!」
後日、いつものように酒臭い星之宮が教室に入ってきた。
しかし、少しだけいつもとは違う点がある。
それは、いつになく慌てているという点だ。
「何ですか? 先生」
皆の総意を代表し、一之瀬が星之宮に問いかける。
「実は、中間試験の試験範囲が変更になったの」
「ホントですか? 試験一週間前ですよ?」
「そうなんだけど………ごめんね、私もいきなり言われたから…………」
そう一之瀬に告げる星之宮の目は、若干左上を向いている。
どうやら、‘‘いきなり’’というのは嘘らしい。
まぁ、どうでもいい話か。
「とにかく、これが新しい範囲だから頑張って!」
そう言い、プリントを席の前の方の人物に渡していく。
「心配だろうけど、みんななら絶対に誰一人赤点を獲ることなく乗り越えられる筈だから、頑張ってね」
それだけ告げると、星之宮は普通のHRを始めた。
「う~~ん、どうしよっかな~~」
昼時。
オレの隣で、一之瀬が唸っている。
そして、テーブルを挟んで向こう側にはそれを見つめ共に悩む網倉と、天井を見上げながら唸る浜口。
今オレは、クラス会議とやらに巻き込まれていた。
発端は十数分前。
一之瀬に共に昼食に誘われ、いつものメンバーがいたためオレは承諾した。
結果、オレにまで意見を求めるまでに一之瀬は悩んでいる。
「試験開始一週間前に言うのはひでぇよなぁ」
一之瀬の反対、オレの左隣に座る柴田が苦言を呈す。
確かに、もっと前に言うべきだろうな。
これでは生徒の混乱を招き、定期試験に集中できなくなる者も出てくるだろう。
「先生の言っていた『必ず乗り越えられる方法』というのは、本当にあるんだろうか」
一之瀬の覚悟云々の話以降協力的になった神崎が呟く。
しかし、教師が断言した以上、存在はするのだろう。
見つけられるかは別の話だが。
「星之宮先生が嘘を吐くとは思えないし、あるんだろうけど…………」
「思いつきませんね」
「何か、いいアイデアはないのか…………」
そこで、何故か全員の視線がオレに向いた。
「…………そんな期待の込められた眼差しを向けられても、オレに分かるわけもないだろう」
オレは、皆の期待をバッサリと斬り裂いた。
今後、もし生活に支障をきたすレベルでクラスが崩壊しかけたら介入しても良いが、オレは現状に満足している。
それは逆に言うと、これ以上の幸福は望まないという意味でもあるわけだ。
あそこでは得られたなかった、『普通の生活』を得られただけでもオレは幸せだからな。
それに、こうして友に囲まれているのは幸福以外の何ものでもないだろう。
しかし、願わくば──────
──────いつか、『感情』というものを、得てみたい。
空っぽのオレに、宿る可能性があるのならの話だが。
Bクラス綾小路くんのヒロイン候補
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一之瀬帆波
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網倉麻子
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小橋夢
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白波千尋
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姫野ユキ
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神崎隆二
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柴田颯
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渡辺紀仁
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堀北鈴音
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軽井沢恵
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櫛田桔梗
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龍園翔
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椎名ひより
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坂柳有栖
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神室真澄
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綾小路にヒロインなんていらねぇ!