両面宿儺でスカイリム 作:蠅頭
「やっぱ外の空気は違うわ!」
外に出た四人は久しぶりの外を堪能する。
墓地という事もあって暗い空気だったが外の清々しい空気によって肺が浄化された気分になるのだ。
「取り合えずリバーウッドまで戻ろう」
「けどここ通って来た道的に反対じゃない?」
ブリークフォール墓地を通って山を進んだ形になるのでリバーウッドに戻るにはまた山越えをしなければならない。
「それならいい手段がある。鵺」
宿儺は上の手で鵺の掌印を結ぶ。
すると巨大な鵺が現れる。十メートルを超える鵺だ。
顔面に髑髏を模した仮面をつけたような怪鳥の式神である。
「でっか。ナニコレ」
「召喚魔法だ」
「へー。魔法って便利ねー」
レイアとリディアは深く考えず受け入れるも魔法について多少は知っているアーヴェルはこんなデイドラ居たか? と疑問に思う。
鵺の脚に乗って四人は空を飛ぶ。
「うっひょー!」
レイアが生れてはじめての空に興奮しアーヴェルとリディアは空に恐怖する。
宿儺は落ちてもまぁどうにかなるだろとどうにか心を落ち着けていた。
五分も経たず目的地のリバーウッドについて村の中に降り鵺を解除する。
「まずは金の爪を返さないと」
「あ、じゃあ俺はここで……顔を合わせるのもまずいし」
という訳でアーヴェルはパーティから離脱した。
「取り合えずルーカンて人に返せばいいのよね?」
「恐らくは店にいるだろう。その辺の店を当たればいい」
「そうね」
と近くにあった店に入る。
「駄目だと言ってるだろう!」
入った途端怒声が聞こえレイアは硬直する。
店の中にはインペリアルの男女が居た。
男がルーカン・バレリウスで女がカミラ・バレリウスだ。
「誰かがどうにかしないと!」
「ちょっといいですかー」
レイアは何か話そうとした二人をぶっちって声をかける。
「ああ、客か、すまない。何をお求めで?」
「悪いけど客じゃないのよ。これ持って来てね」
レイアは懐から金の爪を取り出す。
「それは……まさか盗賊から取り返して来たのか?」
「そうよ。まぁ偶々拾ったってだけだけどね」
「いいや、それでもありがたい。どれ、最新の積み荷に金貨があったはずだ。持ってこよう」
店主のルーカンが奥から金貨の入った袋を取り出す。
「俺たちの為にとんでもないことしてくれてありがとう」
「どういたしまして」
レイアは金貨を受け取り店を出た。
「じゃあホワイトランまで行きましょ。どうせならさっきのデイドラに乗せてってくれない?」
「ふむ……駄目だ。楽を覚えすぎるといかん」
「ちぇ」
等と言いつつもレイアは言われた事も一理あると受け入れた。
ホワイトランへと三人は向かっていった。
■
昼頃に三人はホワイトランのドラゴンズリーチに来ていた。
ファレンガーの研究室に入ると其処にはフードを被った怪しい人物がいた。
「ファレンガードラゴンストーン持って来たわよー」
レイアは話す二人を無視してドラゴンストーンを見せた。
「おお! これぞ正しくドラゴンストーン! どうやらお前は首長がいつも寄越す無能とは違うらしい」
「あったり前でしょ」
「ファレンガー!」
そこに叫び声が来た。
「ファレンガー直ぐに着て。西の監視塔でドラゴンが発見されたわ……あなた達も来るべきよ」
声の主はイリレスだ。慌てた様子で話している。
「おお! ドラゴン! すばらしい!」
「もっと深刻に考えるべきだと思うけど」
イリレスに釣られ三人は二階に上がる。
二階にはバルグルーフと疲れ切った衛兵が居た。
「よし。お前が見たものを聞かせてくれ」
「はい……山のように大きかった。最初見た時は鳥かと思った、けど違った! 奴はドラゴンだ!」
「そのドラゴンは何をしていたんだ?」
「最初は周囲を飛んでいました。俺は緊急事態だと思いホワイトランまで走ってきました……」
「わかった。よく休め。後で褒美を出そう」
衛兵は疲れ切った様子で下がっていった。
「話は聞いていただろう? 君の助けが必要だ。君はヘルゲンを生き延びた。今回もどうにかしてくれるんじゃないか?」
「ドラゴン相手となるとちょっと怖いけど……いいわ。やってやろうじゃない」
「ありがとう。これは報酬だ。そしてホワイトランの土地を買う権利を与えよう」
「有難く貰うわ。行くわよ、スクナ」
「わかった」
「いや、イリレスと衛兵隊、そしてリディアも連れて行ってくれ」
「わかりました、首長」
イリレスとリディアを連れて一行はホワイトランの入り口前につく。
イリレスが軽く演説を行い衛兵たちを鼓舞しホワイトランを出て西に向かう。
「これは……」
西の監視塔は壊されていた。
破片が舞い、壁が砕けている。
レイアたちが近づくと塔の中から生存者が出てきた。
「駄目だ! 戻れ! まだ近くにいる! ホロキとトーが逃げようとした時に捕まった!」
──オオオオオオ
「ああ、キナレス、助けてくれ、彼がまたやって来た……」
全員空を見た。
そこに居るのは紛れもなくドラゴンだった。
巨大な蜥蜴に酷似した姿。前腕は被膜の付いた翼。全身が鱗に覆われている。
頭部には角が一対生えている。
竜戦争を生き抜いた竜mirmulnirミルムルニルだ。
「ドラゴンよ!」
イリレスが叫び抜刀する。
「ドラゴン……!」
レイアもぎろっとミルムルニルを睨む。
ミルムルニルは滞空し口を開いた。
「ヨルトゥールシェル!」
放たれるのはファイヤブレスのシャウトだ。
竜の言葉は力となって炎の吐息と化す。
射線上に居た宿儺は炎に包まれた。
「ふむ……思ったより耐えれるな」
だがダメージは殆どない。
これは宿儺が元から炎を扱う術式を持っている為炎に対し耐性を持っていたからだ。
そして方陣が回りシャウトそのものに対する耐性を魔虚羅が会得する。
「解」
宿儺は解を放つ。ミルムルニルの頭にあたりダメージが入った。
「スクナ! 大丈夫?!」
「問題ない」
火傷を負った体を宿儺は反転術式で回復する。
(ごめん嘘! 超痛い!)
宿儺は内心ドラゴンブレス痛いやんけと絶叫しながらどうにか宿儺ロールを続ける。
本音は地面を転がり回って痛みに絶叫したいがどうにか耐えるのだ。
「ありったけの矢を浴びせるのよ!」
イリレスが叫び衛兵隊が矢を放つ。
だが矢の殆どは当たらない。それどころか当たっても強靭な鱗によって弾かれる。
「こにゃろー! 降りて戦いなさい!」
レイアがずるいと叫んだ。
「なら降ろしてやろう」
宿儺がニヤリと笑みを浮かべ空を蹴って跳ぶ。
タン、タンと空気の面を蹴って跳びミルムルニルの頭上まで飛んだ。
「ほーれ!」
宿儺は上の手でハンマーを作るとミルムルニルの頭に向かって振り落とした。
ミルムルニルに衝撃が伝わり飛行の維持が出来なくなり地面に落ちた。
「しゃあ! やるわよ!」
いの一番にレイアが駆け出しミルムルニルの頭に剣を叩きこんだ。
「バー、ジョール! 己人間!」
ミルムルニルが怒り言葉を発した。
そのことにレイア達が驚くもそれよりも戦意の方が高い。構わず襲い掛かる。
レイアが剣を振るいミルムルニルが防ごうと翼の腕を振るう。
翼の腕と剣が交差する。
「今よ! 囲んで叩くのよ!」
イリレスがそう指示を出す。
衛兵たちが武器を手にミルムルニルを囲う。
各々両手剣や片手剣で攻撃をするも大したダメージには成らない。
これはドラゴンが持つ主人公以外からの攻撃を半減するパーク──スキルのような物──の力のせいだ。
その為宿儺の攻撃も半減されている。
宿儺は地面に降りると解を連続で放った。
ミルムルニルがのけぞった。
好機と見たレイアがミルムルニルの口の中に剣をぶっ刺した。
そして引き抜くと血が噴出する。
更に追撃を入れ鱗事ドラゴンの肌をぶった切った。
「おおおお!」
そして傷口に追撃をかけドラゴンの首を斬り裂いた。
「ドヴァーキン! 辞めろ!」
そう叫んでミルムルニルは絶命……生命活動を停止したのだ。
「やったのか……?」
衛兵の一人がポツリと呟いた。
「あれを見て!」
イリレスが剣を構えたまま叫んだ。
ミルムルニルの死体が発光している。
ミルムルニルの死体が光となってレイアの体に向かう。
「ちょ、ちょっと!」
レイアは避けようとするがそれよりも光の方が早い。光はレイアの体に吸収されていった。
そして光を全て吸収するとミルムルニルの体は幾つかの鱗と骨だけになってしまった。
「信じられない……お前は、ドラゴンボーンだ!」
衛兵の一人がそう叫んだ。
「ドラゴンボーンって……タロスの事?」
「ああ、もっとも古い話は違うが……ドラゴンボーンはドラゴンを殺しその力を得たという。お前もそうなんだろう? 竜の力を得たんじゃないのか?」
「えぇっと……うわなにこれ、変な力を感じる」
「叫んでみろ」
「えぇっと……じゃあ」
レイアは誰もいない方を向く。
「fas!」
シャウトが放たれた。
力の波動が地面を揺らした。
「おお! これぞ正に声の力! ドラゴンボーンの力だ!」
衛兵たちが騒ぎ出す。
「くく、伝説の存在に成った気分はどうだ?」
「……変な感じね。一気に力が強くなったのを感じるわ」
レイアはグッと握りこぶしを作る。
宿儺は軽くレイアを観察すると実際強くなっているのを確認できた。レベルにして十は上がっているだろう。
(ちょっと強くなり過ぎじゃない?)
宿儺は流石原作主人公と微妙な顔をする。自分のが強いのは今の内だけかもしれない、と。
他の転生者に殺されるかもという微妙な心配はいらなかったのかも、と。
「取り合えず私はここで警戒を続けるわ。あなた達はドラゴンズリーチに戻ってこのことを主張に伝えて」
「わかったわ」
イリレスの言に従い宿儺とレイアはドラゴンズリーチに戻る。
「dovakin!!!!」
瞬間空から大声が響いた。
「これは……何?」
「グレイビアードの声だな」
「それって、確か賢者たちの事よね……ドヴァーキン?」
「ドヴァーキンは竜の言葉でドラゴンボーンを意味する。つまりレイアを呼んでいるな」
「そうなの……賢者たちが私を……」
■
「それであの監視塔で何があったんだ?」
ドラゴンズリーチに戻った宿儺とレイアはバルグルーフから質問を受けていた。
「ドラゴンを倒したわ。そして……ドラゴンから力を吸収したわ」
「ドラゴンから力を……やはりグレイビアードがお前を呼んでいるんだ!」
「そのグレイビアードって何なの?」
「知らないのか? 声の達人の事だ。世界の喉近くに寺院を作ってそこで暮らしている」
世界の喉とはこの大陸、下手したらこの世界で最も高い山の事だ。
「おっと、報酬の話がまだだったな。君はこのホワイトランの恩人だ。千セプティム与えよう。そして……このことを盛大に祝おう!」
バルグルーフは立ち上がって叫んだ。
「今夜は宴だ! 大いに飲んで騒ごうじゃないか!」