両面宿儺でスカイリム   作:蠅頭

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第5話

 

「美味いな」

 

 宿儺は一人はちみつ種を楽しんでいた。

 宴となって衛兵たちとリディア、レイアにバルグルーフとイリレスにファレンガーが騒いでいる。

 ちまちまつまみを食いながら酒を飲む。

 前の世界では酒はあまり飲まなかったがこの体はいける口らしい。

 尚方陣が回転して魔虚羅が酒に適応を初めた。適応してどうする。

 

「ねぇ、スクナはなんでスカイリムに来たの?」

 

 酒を飲んでいるとレイアが話しかけてきた。

 

「……俺はほとんど事故のような形できたからな……」

 

 というかなんで自分がこの世界に居るのかいまだにわかっていない。

 知識の邪神ハルメアス・モラあたりに聞けば何かわかるかもしれないがデイドラと取引するのはリスクが高すぎるのでできないだろう。

 そのためわかることはないだろう。

 

「そう? ……じゃあ、今は楽しんでる?」

「──楽しんでるさ」

 

 宿儺は本心からそういった。

 元の世界への気がかりはある。残した母の事の事も気になる。

 それでも今はこの世界を楽しんでいる。宿儺というチート級の体とスペックをもってすればこのタムリエルを楽しむことはできるだろう。

 

「なら、これからも一緒に頑張りましょ」

「ああ、そうだな」

 

 ■

 

「これが我々のできる最大限の準備だ、ドラゴンボーン」

「いや充分です、バルグルーフ首長」

「それにリディアをレイアの私兵とし、レイアをこのホワイトランの従士に任命しよう」

 

 従士というのは一代限りの騎士爵のようなものだ。

 軽い罪なら犯しても衛兵に言えば罰則なしに出来るぐらいには強力な地位である。

 といってもホワイトランでしか意味がない地位だが。

 

「あなたの私兵となれて光栄です、ドラゴンボーン」

「それは仰々しいから、これまで通りレイアでいいわ」

「……わかりました、レイア」

 

 レイア、リディア、宿儺の三人のパーティが完成した。

 ここに宿儺が魔虚羅と顎吐を出せば最強のパーティの完成である。

 リディアの限界レベルも五十と高い。

 

 一行はホワイトランを出て世界の喉ふもとの村イヴァルステッドに向かう。

 

「どのルートで向かう?」

「ん-、ヘルゲン経由していこうかなって思う」

「わかった……どうせならヘルゲンまでは俺のデイドラで行くか?」

「どうせならハイフロスガーまで載せてってよ」

「それはだめだ、一度行った場所に行くのは許すがそれ以外は禁止だ。楽を覚えすぎても困る」

「けち」

「ケチで結構」

 

 などと話しながら宿儺が巨大な鵺を呼び出し鵺の足に三人が乗る。

 そして飛び立った。

 

「いつ見てもこれはいいわねー!」

 

 レイアが興奮しながら叫んだ。

 この世界ではありえない空の飛行という現象に興奮しているのだ。リディアは恐怖しているが。

 宿儺も興奮と恐怖両方と戦っている。

 

 飛ぶこと十分。ヘルゲンに辿り着く。

 ヘルゲン前に降りて鵺を解除する。

 

 レイアがヘルゲンの門を開けて中に入る。

 

「……ひどい有様ですね」

 

 初めてヘルゲンに来たリディアがそう呟いた。

 

「もとは結構な大きさの街だったんだけどね。ドラゴンのせいでこうなったわ」

 

 家々は破壊され砦の一部も壊されている。

 たった一匹のドラゴンが齎した被害だ。といってもドラゴンの王の力なのでほかのドラゴンと比較するのは問題だが。

 

「……どうにかせねばな」

 

 宿儺は悪人でもなければ善人でもない。

 だが力ある存在としての自覚はある。

 この事態を解決できるだけの力と知識を持つものとしてなけなしの正義感がこの事態を解決させようと囁くのだ。

 

「えぇ。いきましょう……うん?」

 

 ヘルゲンを通っていこうとしたら何か声が聞こえてくる。

 果てなんだろうかと全員が疑問符を浮かべると奥から山賊がやってくる。

 

「うげ、また山賊? スカイリムの治安はどうなってるの?」

「ショールにしかわからんだろうな」

 

 などと言いながら三人は山賊と戦闘に入る。

 山賊の数は五人。敵にもならない数だ。

 

 宿儺とレイアが突撃し二人ずつ殺す。

 残る一人をリディアが矢を放つことで動きを止めレイアが首をはねることで殺した。

 

「先を急ぎましょう」

「ああ」

 

 そうして一行はイヴァルステッドに向かって進んでいった。

 

 

 

 ■

 

「ふるべゆらゆら」

 

 宿儺は魔虚羅を償還する。

 

 全長三メートル。真っ白な体に頭からしっぽが生えている。

 目の部分は二対の翼。腰みのを付けた人型の式神八握剣異戒神将魔虚羅だ。

 

 時刻は夜。三人はイヴァルステッドへの道中で眠ろうとしていた。

 

「見張りはこいつにさせとけばいいだろ」

「召喚魔法って便利ねー」

「魔法というのはかくも偉大なものですね」

 

 魔法に関する知識があまりないリディアとレイアは宿儺の言を受け入れる。

 

 テントを張って焚火を焚いて眠る準備は万端だ。

 

 晩飯の野菜スープはリディアが作った。

 材料などは宿儺の影の中にしまっておけば運搬は楽なので問題はない。

 

 そして一行は眠りについた。

 

 魔虚羅は一人夜の獣と戦って変に適応していた。

 

 

 

 

 翌朝。三人は昨日の晩飯の残りのスープとパンを食べる。

 

「ねぇ宿儺、戦闘訓練しない?」

 

 ふいにレイアがそう発言した。

 

「別にいいが……どうした、急に」

「あなた、能力こそ高いけど戦闘経験ほとんどないでしょ」

「……ばれたか」

「典型的な研究者って感じがするもの。そしてそれは私もおなじ」

「? お前は結構強いだろう」

「えぇ。ドラゴンの魂を吸収したことで私は格段に強くなった。その力を完全に扱えてないのよ。だから私にも訓練がいるわ」

「なるほどな、いいだろう」

 

 という訳で二人はある程度距離をとって構える。

 当然宿儺は魔虚羅の方陣を頭に浮かべてレイアを適応させる気満々である。

 

「では……はじめ!」

 

 リディアが見届け人となり開始を宣言する。

 

「ファス!」

 

 開幕早々レイアがシャウトを使う。

 宿儺は模擬戦にシャウトを使ってくるとは思わず受けてしまう。

 

 宿儺はシャウトに対する耐性を得てないのでよろめく。

 そしてよろめく宿儺に対しレイアが剣で斬りかかる。

 宿儺は防ぐことも回避もできず胸を斬られた。

 

「やってくれたな!」

 

 宿儺は呪力強化せず素の身体能力で殴り掛かる。

 それだけでも威力は高い。異形の体は相応の肉体スペックをもつのだ。

 がコンと方陣が回転しゆるぎなき力に対し耐性を会得する。

 

 宿儺が殴るもレイアは盾で受ける。

 宿儺は受けられてもかまわないと盾を連続で殴る。

 だがそれだけではない。上の手で盾を殴り下の手でレイア本体を殴ろうとする。

 

 レイアは殴られてはたまらないとローリングし横によける。

 

(TKdodgeか!)

 

 導入していたmodの一つだ。

 ローリングすることで攻撃を回避できるmodである。ちなみにプレイヤーだけの特権ではなく人型の敵mobも同じ挙動をする。

 

 宿儺は回転終わりのレイアに殴るもそれも盾で防がれる。

 パリィとなり宿儺の手がはじかれ行動が止まる。

 その隙を突かれ宿儺は胸を斬られる。

 

「ちっ」

 

 宿儺は舌打ちとともに後ろに下がりつつ反転術式を回して再生する。

 それをさせんとレイアは突撃する。

 剣による斬りかかり。宿儺は拳に斬撃をまとわせ防ぐ。

 レイアの剣と拳が衝突する。

 

 拳と剣が交差する。

 

 惜しかったのは宿儺の拳だ。

 一つの剣と四つの拳では拳の方が有利だった。

 

 宿儺はレイアの腹を殴り飛ばした。

 

「そこまで! スクナさんの勝ち!」

 

 これ以上は危険と判断したリディアが宿儺の勝利を宣言する。

 

「ぐわー! 負けたー! 悔しい! けど次は勝つ!」

 

 レイアは悔しがりながらも次は勝つと宣言する。

 その姿にリディアは微笑ましいものを感じていた。

 

 

 

 ■

 

「ここがイヴァルステッドね」

 

 昼の少し前になって三人はイヴァルステッドに辿り着いた。

 

「早速登りましょ」

「休憩はいらんのか?」

「ノルドの体力舐めないで、これぐらい平気よ」

「ならばよし」

 

 三人は川前の橋まで歩く。

 

「また七千階段を登るのか? クリメク」

 

 七千階段とはハイフロスガーまでの階段の事だ。

 実際に七千もあるのかは不明だがそれだけ長い階段である。

 

「今日はだめだ、準備できてないからな。それに最近は……俺の調子も悪い」

「すみませーん! 七千階段について聞きたいんですけどいいですかー?」

 

 レイアがそこに話を持ち掛ける。

 クリメクと呼ばれたノルドの初老の男が振り返り会話を受け入れる。

 

「ああ、あんたらハイフロスガーに行くのか?」

「はい。なので道中で気を付けることとか教えてほしいなーって」

「そうか……階段は雪で滑ることもあるから注意だ。それと狼も出てくるから気を付けるんだな。それと……少しいいか? 供物をハイフロスガーまでもっていってくれないか?」

「供物を? ……いつも送ってるんですか? 報酬は?」

「うーん、それは同意の上ってやつかな、これだけの供物で報酬を貰うのも悪いしな……どうだ、受けてくれるか?」

「荷物は負担にならないので受けますよ、どうぞ」

「ありがたい、これが供物だ」

 

 クリメクは供物が入った袋をレイアに渡す。

 レイアは宿儺に渡し宿儺は影の中に収納した。

 

「じゃあ行きましょう」

 

 三人は山を登って行く。

 

 

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