両面宿儺でスカイリム 作:蠅頭
「そろそろパーサーナックスに合うか」
二か月の時が経った。
その間各地を巡りクエストをクリアしたりドラゴンを退治するなどしてドラゴンボーン一行は過ごしてきた。
結果レイアはレベル五十に、リディアは三十レベルになった。デルフィンはレベル三十のままである。
宿儺も戦闘経験を多数積んだことで戦闘能力が上がっている。
ホワイトランのバナード・メアという酒場の一回で酒盛りしながら宿儺が話す。
「パーサーナックスって?」
「グレイビアードの長の事だ。奴ならばアルドゥインを倒せるシャウトを知っているだろうな」
「……そのシャウト、スクナは知らないの?」
レイアがそう尋ねる。
「知ってはいるが……教えることはできんな。あれはグレイビアードの特権だ」
「ん、わかったわ」
レイアは多数のシャウトを習得した。
霊体化、疾風の旋風、激しき力、フロストブレスの二段階目、時間減速。
時間減速のシャウトは本来内戦クエストを進めないと進めないが魔虚羅に発掘作業をさせた。
ラビリンシアンも入口が封印されていたが魔虚羅に破壊させて攻略した。
なので一行はマグナスの杖とクロシスの仮面を持っている。
「じゃあ明日、ハイフロスガーに行きましょう」
「……私はついていけないわ」
途端デルフィンが口を開いた。
「グレイビアードの長、パーサーナックスは……ブレイズの敵。彼の助力が必要なのだとしても……ブレイズとして彼に力を借りるのは……ごめんだわ」
「そうか、じゃあここでお別れだな」
宿儺は無礼ズだからとっとと帰れと内心思いつつ話す。
といっても旅でいくらか世話になったのでゲーム時代ほどの殺意は抱いてないが、それでも苦手な相手であることに変わりはない。
「えぇ。私はスカイヘイブン聖堂に戻るわ」
スカイヘイブン聖堂はスカイリムの西、リーチ地方にある聖堂だ。
かつてのブレイズが使っていたとされる遺跡でもありドラゴンボーンの血をもって開く扉によって行ける。
既にエズバーンも救出済みである。
「それじゃあな、デルフィン」
宿儺は別れの言葉を言い、はちみつ酒をあおった。
■
「声の道を順調に進んでいるようだな、ドラゴンボーン」
ハイフロスガーに来たレイアはハイフロスガーの中庭でアーンゲールにそう言われた。
「えぇ。シャウトも多数習得しているわ」
「それは良い事だ」
アーンゲールは上機嫌な顔で頷く。
「それで、今日は何用かな?」
「あなたたちの長、パーサーナックスに会いに来たの」
「……パーサーナックスに? 何の用でだ?」
「アルドゥインを倒すシャウトを知るために」
アーンゲールは鋭い目をした。
「その存在をどこで知った?」
「スクナが教えてくれたけど……」
レイアはちらり、と宿儺を見る。
「ふむ。スクナとやら。何をどこまで知ってる?」
「まぁ、大抵のことは知ってるぞアーンゲール。パーサーナックスの正体もな」
アーンゲールはじろりと宿儺を睨んだ。
「アーンゲールさん?」
「む……すまなかった、ドラゴンボーン。それで、パーサーナックスに会いたいと……わかった。パーサーナックスへの道を開くシャウトを教えよう」
ついて来い、とアーンゲールは歩いていく。
ついていった先は猛吹雪が吹く道の前だ。
ここはゲーム中でも猛吹雪が吹いており侵入不可の領域である。ここを進むには特殊なシャウトを習得しなければならない。
気づけば居たポッリやアイナース、ウルフガーもいる。
彼らは地面にシャウトを刻む。
ロク、ヴァー、コール。三つの力の言葉だ。
レイアはその言葉の力を身に着け、グレイビアードから知識を手に入れシャウトを身に着ける。
「晴天の空……天候を晴れにするシャウトね。これがあればあの猛吹雪も解除できると」
「その通りだ、ドラゴンボーン。そして……パーサーナックスには一人で会いに行ってもらいたい。残る二人は待機で頼む」
「なぜだ? ついて行ってもいいだろう」
宿儺が疑問を抱き問いかける。
「それには訳があるのだ。パーサーナックスは──」
『問題ない。アーンゲール。彼らも山頂に行くべきだ』
途端虚空から声が響いた。
(これは……呼びかけのシャウトか?)
呼びかけとはシアーポイントで習得できるシャウトだ。
遠くに声を飛ばすシャウトでありゲーム上では隠密プレイで役立つシャウトだ。
世界観設定にのっとった使い方は遠くにいる仲間に伝言を伝えるシャウトだ。
「パーサーナックス、それは……」
『問題ない。さぁ、来るがいい』
「ま、来て良いってならみんなで行きましょ……ロクヴァコール!」
レイアはシャウトで吹雪をやませる。
「さ、行くわよ」
■
山を登った先に見えたのは絶景だ。このスカイリムが一望できる。
雪山であり多少平たいだけで奥に何も書かれてない言葉の壁がある。
そして特徴的なのは何か揺らいでいる空間があることぐらいだ。
「……パーサーナックスはどこ?」
「上だな」
宿儺の言葉に従い二人とも空を見る。
そこにはドラゴンが居た。
驚愕し動きが止まる二人に対し宿儺は冷静に佇む。
老いたドラゴンだ。翼はボロボロで角は片方折れている。
「ドレムヨル゙ ロ゙ク。よく来たな、ドヴァーキン」
「……あなたがパーサーナックス?」
「ゲ、その通りだ……相手がドヴァで驚いたか?」
「まぁ、少しは……それで、あなたがアルドゥインを倒すシャウトを教えてくれるの?」
「その話をする前に、まずは挨拶をしよう。我が声を聴け、そして骨で感じろ!」
レイアは身構え、盾を構える。
「yoltoorshul!」
使われたのはファイヤブレスのシャウトだ。
パーサーナックスからファイヤブレスが放たれレイアの体が火に包まれる。
「これが竜の挨拶ね……」
炎の中から無事なレイアの姿が出てくる。
これはレベルアップで体力が増えたのと盾を構えたことでパークが発動したのだ。
炎、冷気、雷の耐性を盾を構えている間五十パーセント上昇するというパークだ。
「じゃあ今度はこちらから……ヨル!」
レイアはファイヤブレスの一段階目を放つ。
炎の吐息がパーサーナックスに当たった。
「おぉ……これぞまさしく竜の言葉。同族と話すのは何千年ぶりか……」
「長話をする気はないの。アルドゥインを倒すシャウトを教えて頂戴」
レイアの言葉にパーサーナックスは少ししょんぼりとした。
「教えたいのや山々だが、クロシス……私が教えることは出来ない」
「どうして?」
「我らドヴァではかのザーン……言葉を、パドリッメ……心では概念まで理解できない。ドラゴンレンド……アルドゥインを倒すシャウトは本人から教えてもらった方がいいだろう」
「本人って、何千年も前の人物に?」
「ああ。ここはティード、時が壊れた場所だ……ケル、星霜の書を使えば時を遡り過去を見れるだろう」
「星霜の書?」
「知らんのか? まぁわかりやすく言えば創造の欠片、といったやつだな。増えたり減ったりする書物だ」
宿儺が補足をする。
星霜の書とは宿儺の言ったとおりの白物だ。
世界の創造の欠片であり縦糸は時間、横糸は空間で出来ている。
増えたり減ったりというのはまさしくその通りで勝手にくっついて増えたり保管してたら増えたりし、保管してても空を飛んでどっか行くこともある物である。
「そうだ。それがあればティードを……時を遡れる」
「わかったわ。それを……星霜の書を探せばいいのね。どこにあるか知ってる?」
「そういった物事は私よりジョーレ……お前たちの方が知っているだろう」
「んー、スクナ、何か知ってる?」
「シロディールの白金の塔で星霜の書の保管と解読をしているが……まぁ、遠すぎるな」
「さすがにシロディールは遠すぎるわね……」
「ケル、星霜の書は過去に使われたものでないといけないだろう。シロディールにある物では無理だ」
「どうしよ……」
「でしたらウィンターホールド大学はどうでしょう? 彼ら魔術師ならば何か知っているかもしれません」
リディアがそう提案する。
「ウィンターホールドか……じゃあそこに行くか。ありがとうパーサーナックス。また来るわ!」
「ああ。いつでも来るといい。歓迎しよう……だが少し待ってくれ、彼、宿儺と話したい」
「それって私たちが聞いたらいけないやつ?」
「あぁ……彼は、困るだろう?」
パーサーナックスは宿儺を見る。
(こりゃ異世界人の事ばれてるか?)
ふむ、と宿儺は考える。
ストーリー進行上パーサーナックスの存在は必須ではない。
ゲーム中でもクリア後には殺すクエストがあるぐらいだ。
そのため敵対し殺すことになっても問題はない。
「ああ。俺も二人で話したい。悪いが二人は離れててくれ」
「わかったわ。行きましょ、リディア」
レイアはリディアを連れて離れる。
「それでなんの話をするんだ?」
「其方はラ゙イン……この世界の者ではないだろう? ジー、魂を見ればわかる」
「……まぁ、この外見と能力だ、ばれるだろうな……それで?」
「ああ。気を付けた方がいい。この世界の異物である君はアカトシュからも目を付けられるだろう……アルドゥインも何をしてくるかわからない。それに……異端者は排除されるものだ」
「問題ない。今の俺には理解者がいるし……いなくなっても、まぁなんとかなるさ」
「そうか……それならばよい。良ければアルドゥインを倒した後も来てくれ。異なる世界の話も気になるからな」