両面宿儺でスカイリム 作:蠅頭
「寒いな」
「そう?」
数日が経ち、ドラゴンボーン一行はウィンターホールドに来ていた。
寂れた寒村にしか見えないが一時期はスカイリムの首都ともいわれていた大都市ウィンターホールドである。
「ノルドにとってはそう寒くないのだろうが、俺には充分寒い」
「……スクナって種族何?」
「多分ブレトンだ」
「多分ってなによ……」
宿儺は念のために買っておいた冷気軽減のアミュレットを装備する。
これで冷気は六十パーセントまで軽減できる。
「あれが大学ね」
少し歩くと目的地である大学が見えてくる。
「でかいな」
「まぁスカイリムでも有数の大学だからね」
大学は崖にそびえたつように建っている。
非常に大きい。塔がいくつもあり本体ホールもまた大きい。
崖となっているため途中への橋がある。
橋の上にはハイエルフが一人立っている。
銀髪の女のハイエルフだ。エルフ種らしく身長は高い。
ハイエルフとはアルトマーとも呼ばれることがある種族である。
生まれつきマジカに優れ魔法使いとしての能力をもって生まれる事が多い。
サマーセットを故郷としているがそれ以前の故郷があるが、そこは既に滅亡している。
「あら、あなたたちは入学志願者?」
そのハイエルフ、ファラルダに近づくとファラルダはそう問いかける。
「いいえ。大学に調べものに来ました。星霜の書について」
「星霜の書? それはまた面白いものを……大学でそれを調べようというのね、ふぅん」
ファルダは何か考える素振りを見せる。
「入学するというのならアルケイナエウム……図書館で調べものをしたっていいわ。だけど入学しないというのならだめね」
「そこを何とかできませんか、世界の危機なんです」
「世界とは、また大きく出たわね……」
ファラルダはクスリと笑う。
はたから聞けば世界の危機などいうやつは頭のおかしい奴でしかない。
「事実よ。ドラゴンボーンとして嘘偽りではないと誓うわ」
「……ドラゴンボーン? あなたが最近噂の?」
レイアはここ二か月各地を回ってドラゴン胎児をしている。
アンソール山だったり何かの遺跡なども攻略しているため知名度は高い。
そもそもホワイトランでドラゴンを倒したことで武名は広がっている。
「あなたがドラゴンボーンだというのなら証拠を示してみて。それ次第で大学に入れてもいいわ」
「なら遠慮なく……ファス!」
レイアは揺ぎ無き力の一段階目を放つ。
力の波動がファラルダを襲い体を揺らした。
「これは……全く未知の体系の魔法! これがシャウトなのね!」
「信じてもらえた?」
「あなたがドラゴンボーンなのは信じるわ、けど……世界の破滅については半信半疑ね。だけどついてきて、アルケイナエウムに案内するわ」
ドラゴンボーン一行はファラルダについて行って橋を渡っていく。
門をくぐって中に入ると広間に着く。
中央にはマグナスの像がある。
マグナスとは魔法を司る神の事だ。
ローブをまとった男の像である。
因みにmodで全裸の女の像に変えれる。
「あら、また入学志願者ですか? 最近は多いですね」
大学内への扉の前には二人の男女が居た。
片方は男のハイエルフ。銀髪金目の整った容姿の男だ。
サルモールの制服を着ている。アンカノというサルモールの一員だ。
もう一人はブレトンの女だ。大学の魔術師のローブをまとっている。
ミラベル・アーヴィンというマスターウィザード、大学のトップであるアークメイジの次の地位にいる女魔術師だ。
「いいえ、ミラベル。彼女たちはドラゴンボーンで、星霜の書について調べるために来たの」
「星霜の書について? 確かにスカイリムで調べるならここ以上の場所はないでしょうが……なぜ入れたのです?」
「かのドラゴンボーンの手助けができる。それ以上の栄誉はないでしょう?」
「……まぁ、いいでしょう。ですがウラッグが拒絶したらそれまでというのを忘れずに」
「わかってるわ」
そういうとミラベルはアンカノとともに離れていった。
アンカノはレイアを睨んでいた。
大学の中に入り階段を上る。
そうしてついた先は広大な図書館だ。
塔の階を一つ丸々図書館にしており膨大な蔵書がある。
奥に進むと机があり、椅子には一人のオークが座っている。
オークのウラッグ・グロ・シューブだ。男であり初老である。
「ふむ。見慣れぬ者たちだが……ドラゴンボーン一行か」
「あら、私たちを知ってるの?」
「目と腕が四つで腹に口が着いた男など早々いないだろう? ドラゴンボーン一行は噂になっているとも」
ウラッグは宿儺を見ながらそう言った。
宿儺の容姿は唯一無二で早々いるものではないのであたり前である。
「それで、戦士であるドラゴンボーンが入学したとは思いにくい。一体何を調べに来たんだ?」
ウラッグはドラゴンボーンが何かを調べに来たと察して問いかける。
「星霜の書について調べるために来たの」
「星霜の書だと? いったい何を求めている?」
「世界の破滅を防ぐための道具として、ね」
「世界の破滅とは大きく出たな。いや、アルドゥインをどうにかするすべが星霜の書に記されているというのか?」
「アルドゥインについて知ってるの?」
「ここの本を飾りとでも思ったのか? ノルド神話に出てくる終末を齎す竜、一説ではアカトシュとも同一視される存在。知らぬわけがないだろう」
「まぁ、それもそうね」
「星霜の書は預言書として知られている。もちろん実際は違うが……さて、私に星霜の書の知識を求めるというのなら、その対価はなんだ?」
「え、あぁ……単純に千セプティムじゃダメ?」
ドラゴンボーン一行は金持ちである。
ドラゴンの素材を売ったりドラゴン討伐で金を得ているのだ。山賊退治もするし古代ノルド墓地も攻略して金銭を得ている。
「ふむ、悪くはないが……そうだな。星霜の書を手に入れたらそれを見せてくれ。もちろん譲ってくれるというのなら歓迎するが」
「いいえ、星霜の書は使い道があるから渡すのは駄目ね。ただ見せるぐらいならいいわ」
「ありがとう。さて、本はどこにしまったかな」
ウラッグは立ち上がり壁にはめた本棚から二冊の本を取り出す。
星霜の書の考察という本と星霜の書の効果について、という本だ。
レイアは二つの本を読む。
「……この考察の本は意味が分からないわね」
「ああ、その本か……その本はセプティマス・シグナスが書いた本でな。本人も少し……な」
「知っているの?」
「ああ。少し前まで大学に在籍していた。今はどうなったか……」
「亡くなったの?」
「そういう訳ではない。彼はどうやらドゥーマーの遺物を見つけたようでな、それの解析に夢中になって大学を辞めたのだ。確か氷河の中にいるはずだが……まぁ、便りがないのは良い便りともいうが……」
「ドゥーマーか……」
ドゥーマーとはドワーフの事だ。
数千年前に突如として消滅した種族であるが彼らは科学技術に優れている。
今も動く機械仕掛けに機械の守護者などが多数いる。このスカイリムはドゥーマーの遺跡が多い。
「彼に会えば星霜の書が手に入るのかしら」
「その可能性はあるだろうな。彼が見つけた遺物の中に星霜の書が封印されている可能性もある」
「じゃあセプティマスを探しましょう」
「それなら地図を出してくれ。大体の位置を示しておこう」
「ありがとう」
レイアは地図を出してウラッグに書いてもらう。
地図に示してもらうと三人は礼を言ってアルケイナエウムから出て大学を出ていった。用事は終わったのである。
一行は大学の下を降りていく。
そうしてついたのは氷の海だ。
「地図によるとこの先らしいけど……ここを渡るの?」
「……凍死しそうだな」
「流石のノルドも凍死するわね、これ」
氷の海を渡る方法を三人は持っていない。
船何てないしあったとしても砕氷船がいるだろう。
「ねぇスクナ、鵺で空飛んで行きましょうよ」
「まぁ、これならそうするしかないな」
宿儺は諦めて鵺を出した。
三人は巨大な鵺の足に乗って氷河の海を渡っていった。
■
「ここら辺でいったん降りましょ」
「わかった」
宿儺は鵺を海の上にある氷の上に降ろし、一行は氷の上に立った。
「地図によるとこの辺のはずだけど……」
「むぅ。一面氷の海だな」
宿儺はゲーム時代と地形が変わっていてわかりにくいと内心愚痴を零した。
その後五分ほど周囲を探索する。
「あ、ここじゃないですか?」
リディアが何か見つけたようだ。
宿儺とレイアはリディアに近づく。
「明らかにここね」
そこには木でできた扉があった。
「呼び鈴は……ないわね」
「まぁ、中に入ってもいいだろう」
宿儺がドアを開けて中に入る。鍵はかかってなかった。
宿儺に続いて二人も入る。
中は道になっていて少し進むと空洞に出た。
空洞には螺旋状の坂がある。
そして氷に埋もれるように歯車のついた巨大な箱がある。
小屋ほどの大きさがあり真鍮にも似た光沢と精緻な真円はドゥーマーが作ったことを示している。
坂を下りていくと其処には一人のノルドの男がいる。
歳をとっているが白髪ではない。薄い金髪だ。
「掘れよドゥーマー! はるけき彼方へ。お前の失われた未知なるものを知り、私はお前たちの深淵まで登る」
男、セプティマスはレイア達一行を見るなりそう叫んだ。
なんだこいつ、という目線を一行はする。
「え~と、あなたがセプティマス・シグナス? 星霜の書について教えてくれない?」
「おお、星霜の書か、知っているとも」
「できればどこにあるか魔で教えてくれるといいんだけど……」
「どこにあるかだと? ここにあるとも」
「星霜の書を持っているの?」
「いいや、だけどある。この次元、ムンダスだ。相対的な理論で、宇宙論的尺度で言えばこのすべては隣人となる」
「何言ってんだお前」
宿儺はゲーム時代と変わらない狂人ぶりに呆れる。
「星霜の書を持っていないならその手助けをしてほしいの。お願い」
「積み木はお互いを支えあっている。セプティマスはお前が欲しいものを与え、お前は私が欲するものを持ってくるのだ! このドゥーマーの傑作が見えるだろう? 彼らの偉大なる知識の深淵だよ」
セプティマスは巨大な金属の箱を指し示す。
「セプティマスはこの箱を開けたい。だが箱を開けられるドゥーマーはもはやタムリエルには存在しない! いや、もしかしたら違う次元にいるのかもしれないが、愚かなセプティマスには彼らがどこに行ったのか知る術がない!」
ドゥーマーの消滅には各説がある。
何かの病で絶滅した。種族事高次元、エセリウムやオブリビオンのような世界へ行った、などだ。
「心臓、そう、神の心臓だ! 既に失われたと言われていたが、私は違うと確信している!」
「神の心臓?」
セプティマスが言う神の心臓とはロルカーンの事だ。
ノルドの間ではショールという名で伝わる試練の神である。
世界を創生した神々のリーダー各であり、エイドラから不死性を奪った神でもある。
不死性を奪われた神々は怒りロルカーンの心臓を矢で射貫いたとされている。
「だがドゥーマーは星霜の書の読み方を残してくれた。読めば目が潰れてしまう書の読み方をな! ブラックリーチ、ドゥーマーの眠る街の上にある鋳造物、秘された知識に満ちた尖塔、ムザークの塔だ」
「そのムザークの塔に行けばいいのね」
「ああ、だが鍵がいる。調律の鍵がな」
セプティマスは懐から何かを取り出す。
ドゥーマーが作ったらしい手のひらサイズの丸い物と四角い箱だ。
「丸い方は調律を表し、四角いのはムザークの塔の鋳造物を動かすための物。鋳造物は塔にある空のドームを使い、星霜の書に記された知識を引き出し、この辞典に刻むこむための物だ。故に、鋳造物を動かすにはこの空の辞典が必要となる」
「わかったわ。ムザークの塔ってのはどこにあるの?」
「ブラックリーチの中にある。ああ、行き方だな。アルフタンドに行けばわかるだろう」
「アルフタンドのブラックリーチのムザークの塔、ね。ややこしいわね」
「ドゥーマーはややこしいのが好きだからな。行くぞ」
「ええ。じゃあねセプティマス。星霜の書を手に入れたらくるわ」
そうして一行はセプティマスの隠れ家を出ていった。