今回で三回目のガサ入れです。
[市民、今日も一日頑張りましょう]
この世には欺瞞が満ちている。
[──…企業に通達する内容は以上です。では繰り返します。我々は企業に対して開拓使との契約を許可すると共に──…]
機械による統治、意地汚く生きる人間、終わりの延命、醜いあり様──全て、くだらない。
「我々はあの日、あの3日間で滅ぶべき運命だった──にも関わらず続いている。これは可笑しい話だ。そうだろう──諸君」
〈*837名の信者達による肯定の叫び。及び絶え間ない拍手に似た破裂音*〉
「────」
〈*壇上の者が手を挙げたのに合わせ、静寂に包まれる*〉
あの日、この鉄の棺桶に入る直前に、私は見た。
空に広がり刻まれていく
「あの日振り向いた我々は知った。人類はあの日終わらなければならなかったと……ならばこそ、我々はこの
この考えを疑う者はこの場に居ない。
当然だ。何故なら、我々は知っているから。
「故に──共に聞こう。同志達よ」
あの日から終わりまでの道を告げる、この
『──告げる』
「ああ──来た! 我々に
ああ、来た! 来た!! きた!!!
これだ! この声だ! この声が我々の全てで、幸福がきたんだ! 幸せだ!
この声に会いたい! 見たい! 知りたい!
その為なら──幾らでも愚かになれそうだあ…ああ…命令を…より多くの命令を!
『先に続いて、我と謁見する儀の知恵を授けよう。白竜の██と█を███に█ぜ噛み、██の█を██に█す事による███を先ほど作った█████に封じ込め──』
紡がれる。言葉が、幸福への道が! 正しい終わりが彼の物から授けられていく!!
「────────────仰せのままに」
お告げが終わる。
眼を開け同志を見ると、幸福の余り絶頂に至るものばかり……はぁ、精進が足らないなあ!?
「目覚めろ! 使命を果たせ!」
ならばこそ、私は必ずやこの使命を成し遂げなければならない。
同志を率いて、必ずやあの悪の枢軸、人類を不当に存続させる支配に革命を齎さなければならない。
これは聖戦である。
全てを無に返す為の、確たる信仰の──終焉に辿り着くのだ。
「──観測完了」
| ──調査員「T」の報告書 |
| ──対象定義名「丫」 |
| ──以下観測記録。 電子化、通称「ミーム化」を所有する異空存在を核とした、宗教を主軸にした奉仕社会性を構築する生命体で、元人類です。 既に異空存在による長期的な肉体改造を受けており、採血した結果、通常時では純粋な人間との一致率は平均3%以下。但し、擬態中ならば99.8%を超えます。 肝心の異空存在の感染能力は低いですが長期で接触すれば感染し、その変質能力及び長期的な計画を行う生態は、十分注意を払う必要があるでしょう。
……以下は私の考察、所感です。 今回の件と未然に防いだBL社の不祥事案件から、異空存在には魔鉱合金「マテリア」と同様に「電子化」「実体化」を有する寄生型が居ると推測されます。 通常時は電子として潜伏し増殖。一定の規模で「実体化」を開始。 それ以降は…あらゆる可能性が考えられますので省略します。 ですが、想像し得ることは全て起き得るでしょう。
サンプル数は2つの為確かな事は言えませんが、「認識感染」と仮称している現象は電子状態での感染……謂わば、「電子を媒体とした感染経路」を辿っていると思われます。 そして潜伏箇所は脳と思われ……ご存知の通り、これらには思考を汚染する特性がありますが、何故そうするかは、「特定の意識、感情が栄養源になっている」為と考えられます。
増殖には栄養が必要です。そのために思考を誘導するのはおかしい事ではありません。 カマキリの寄生虫は出産の為に脳を弄り溺死させると聞きます。 この前例に基づくならば、「丫」が信者を破滅的な思想にしているのはその思考による栄養と、出産に最適な要素に「死体」がある為と考えられます。
これは寄生型が見せているまやかしに過ぎません。 フリージア様、決して見誤らないでください。 人よりも正しく世界を観れるあなたなら、この問題も解決できると願っております。
報告は以上です。お疲れ様でした。
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| 〈*追記事項→これは調査員Tの自宅に訪問した新人調査員Sが代理で提出した報告書です。Sが訪問した時には既にTは死亡していました。その後、調査員Tの死体を検死した結果から拳銃自殺と断定。また、解剖した結果内部に2つの未知の臓器を確認。既存の臓器の不自然な融解と置き換えと合わせ、"感染済み"と判断。彼の死を無駄にしない為にも、絶縁防護服の作製、効果検証を申請します──調査員S*〉 |
[調査員Sの提案を却下します。あなたに研究テーマを決める権限はありませんし、既存の装備品の性能を考慮しても優先度は低いと判断してのことです]
[ですがこの成果には価値があります。遠くない内に検証を行うことになるでしょう。お疲れ様でした、調査員T、調査員S。あなたの尽力により人類はまた一歩存続に繋がります。カサンドラの管理システムとして感謝を。"次周"でも貴方達のご活躍を期待しております]
「次周…次週の誤字か?…はっんなもん死んだ奴に言って何になるんだか……所詮機械ってか?」
カサンドラ市民情勢内部調査員。
誰も知らない…
やる事はみんなバラバラに適当な組織に入って調査して、深く潜り込んで、機を見て命を賭けてでも報告する。
たったそれだけの、金なんてこれっぽっちも貰えない裏切り者達。それが俺達だ。
「別にアイツと深い知り合いでもないが…"原作"を考えると、ああして有能な奴が死ぬのは、原作キャラの誰かが居なくなりそうで心臓に悪いな…俺には関係ないが」
ならば何が手に入るか?
名誉。人類を救った英雄として機械に覚えられるだけ。
そんなのにいったいどれほどの価値があるんだか。信用スコアの先駆けか?
何処の誰それの特典の影響か知らないが、折角人口も余裕も、会社なんてものもあるんだ。
平凡な会社員にでもなって生きてた方がマシだろう。
「ま、俺は暇つぶしが理由だけど。ゲームも何もないし、賭け事は面倒だしな」
そんなボランティア活動をしている俺は、市民の中では変わってる方だろう。
これが原作開始頃に産まれてたら違ったんだけどなぁ? やれ、500年前だって言うんだから好き勝手にもするさ。
この世界、異空の連中が来る前は前世と変わらないからな。個人的に好きなアーティストを避難させて、その作品を観て暇を潰す。米津居ると日々に潤いが出来て嬉しいもんだね。
まあ、それでも暇だからこんな事してるんだが。
「しっかし…この様子だと原作通りは到底望めないな。もう興味もないが。
現実として共食いして生き残るとか、フリージア様に洗脳されて社会の歯車になるのは勘弁だ。
そこまでして生き残りたい訳じゃないしな。死にたい訳でもないけどさ。
誰かの活躍でこの平和を享受できてる内は、のんびりさせて貰うとしよう。
「さて──《
3つの力の重ね掛けで何処にでもいる通行人Aとなり、街中を歩く。
今ならフリージア様の監視すら気にしないでいい。500年前なら尚更だ。
チートは隠し持ってるからこそ
いずれ産み出されるだろう、「実体化」を研究した先の力──人が自身の世界観を実体化させる「魔奏」の先取り。
引いたクジが3つ共[任意の魔奏の取得]だった時は思わず「ダブりかよ!」ってクジを叩き落としちまったが、魔奏って名前に、その後に出てきたカタログのレパートリーを見て原作を特定し、どんな時代でも有用な力を手に入れられたんだから悪くない。
ま、これ原作だと序盤で死んだ犯罪者やカジノのオーナーとか、スラム住まいのシスター様の能力だけどな?
主人公勢の能力とかも考えたが、魔奏は遺伝で強くなる。異空間の法則に人類が馴染むほど実体化効率も上がるって理屈でな。
ワンチャン主人公勢の先祖になるリスクは勘弁なんだわ。絶対厄介ごとに巻き込まれる。
「だから頼むぜー他の転生者様よぉ。俺の平和、守ってくれよなぁ?」
米津の社長が作った曲聴いて働いて、そこそこ食えるようになったペーストや、ニートなんてふざけた名前の会社の天然素材の料理を食う。
俺がそれで十分なんだ、
ほんの少しフリージア様に手助けして、ちょっとだけ今をよくするくらいで良いんだ。
日陰者のモブは目立たずに端で大人しく──ってね。
なお、原作に登場した魔奏を選んだ時点で、過去に産まれればその能力者の先祖になる運命も得られます。
つまり、3つも選んだのなら、嫁を3人娶るチャンスも同時に得られます。
あなたにガチ惚れです。羨ましい男ですね。保証されてるのは出会いと一目惚れだけですが。
そして婚約相手が3人もいれば管理AIがスルーする訳もなく……。