一方本物の管理AIは人口が一年で7万から20万に増えて大困惑していた。なんか…出産早くない?
えー大変な事が起きました。
いや、悪い話ではないんだよ?
撃退から復興までの一年でベビーブームが到来するというめでたい話なんだけどね?
いや、本当に悪い話じゃないんだよ。今まで人口に悩んでた訳だし、次世代どうしようって悩みまくってた訳だしさ。
でも一気に総人口が約250万まで増えるのはヤバくない?
なんで一年で女性1人につき3人くらい産んでるんだ!
十月十日はどうした! 出産サイクルが早すぎるぞ!
元々の97万ってこれさ、老人や若者も含んでの総人口だからな? なに? バカなの? 元々この世界ってこんな出産早かったタイプ?
違うよなぁ!? 明らかにここ最近がエグいんだよなあ!?
どうするんだよこの150万の赤ちゃん達をよぉ!? なんの影響だよぉ!?
そんなに育てる余裕ウチにはありませぇぇぇん!!! 市民のばーーかぁ! 考えなしぃ!
頭おち○ち○の発情期ぃ!!
はぁ…はぁ…しかし産まれたものは仕方ないし、防壁やペースト、催眠電波…身体が謎の進化を果たすのも無理はない状況だ。そう進化してしまったものは仕方がない。一斉に変わった辺りなんかの許容値を超えた感じだろう。
今から来年が恐ろしいが、このまま育ったらカサンドラの収容上限を突破するのが問題だ。
既に毒入り地雷原にした8区画の復旧も終わったが、地雷が
ミスリル壁がシャットアウトしてくれなきゃ大変な事になってたぜ!
まあ場所が無いから親共はそっちに行かすけどな。
なーに、却って耐性が付くさ。最近見比べて気付いたけど、ペースト食って若返ってたんだしさ。
お前らの進化に期待する! 出産ペース早くできたならこっちもイケるだろ!
兎に角、あらゆる設備の拡張が急務となる訳だ。
食料に始まり衣服、電力、ゴミ処理、需要は青天井となる。
正直今からでも避妊を徹底したい所だが……共和政を推し進めた以上、市民が嫌がることは出来なくなったんだよな。これが正直だいぶ痛い。中出しに対するその熱いパッションは一体…?
だから産まれるのはなんとかしつつ、それを受け入れる方針となる。大分無茶しないといけないけどやれんことはない。
隠蔽して研究進めたり、議会の裏で交渉したり、黙って都市運営の過程で実行したりな。バレなきゃ犯罪じゃないんですよ。
そんな訳で人手を補う為にこの一年で、俺が直接操作可能な子守りロボ、大型養育施設、哺乳瓶や赤ちゃんに害がないペースト飯(液体+豆乳味)などなどを作りつつ運営した訳だ。
いやホントよくやったと思うよ俺。
腕や脚とか無いまま産まれた子供の為に義足義腕とかをSJ社と共同開発したり、
スキャンしたら脳に異常があった子供の為に、試運転がてらIPS細胞で脳細胞の再生施術したり、
ついでに天然魔法使いさんの調査員Sの健康診断で採取した血から培養したIPS細胞で魔法(仮)が肉体由来か検証したり。
悪く思うなよ? ちゃんと脳に腫瘍とか障害のある赤ちゃんにだけやったことだからな。
あ、検証の結果脳への再生に使うと魔法(仮)が使えてたよ。すごいなぁ魔法使いの身体は。
上手くやれば透明化でウランの放射能を克服出来るし、夢が広がるぜ!
そんな訳で運営は何とか順調と言えるのだが……ベイビーラッシュにはそれ以外にも様々な問題があった。
「博士、博士、まだ出来ないのか?」
「待ってくれ…最近夜泣きが多くて眠れてないんだ」
「博士、何人と関係持ったか言ってみ?」
「4人」
「4児のお・と・う・さ・まぁ〜? 子供の為にもしっかり働いてくださいねぇ〜?」
「世知辛いな…フリージア」
「恨むなら節操のない自分のモツを恨め」
この度、異世界人であるサイジー博士の子供も産まれた事だ。
因みに
時間が過ぎるのは早いなぁ…とめでたく思うのも束の間、異世界人の子供の育成にはある問題があったのだ。
『あう〜』『もそもそ?』『シュー!』「……あう」
[はいどうしましたかお子様方〜? バイタルを見た所お腹を空かせているようですねぇ〜?…はい、樹液をどうぞ〜]
「……んべぇ」
[あ〜この配合はダメかぁ…お兄ちゃんお姉ちゃんと違って、母乳と樹液、両方同時に食べないとダメなのは大変だよねぇ〜。どうにか美味しいご飯にしてあげたいんだけど…ごめんね〜今日もこっちを飲んでねぇ…]
「……んく…んく…ウェ」
[がんばれ〜がんばれ〜…ちゃんと飲めたね、偉い偉い、君は立派だぁ]
「…まさかそっちの人類が虫由来だとはなぁ…産んだ連中は芋虫人間にビビって逃げてるし、隠すのも楽じゃないんだよ、その分仕事しろ」
「分かってる…私の子供だから人に近いと思ったんだがな…」
「先祖返りを考慮しろよ。そして最初の一回で諦めろよ。4人目はお前に似たけどさぁ…飯食ってる時マジで辛そうなんだよ」
博士が人間そのものだから見事に騙されていたが、なんと異世界人、虫だったのだ!
いやーびっくらこいたね。まさか異世界の蝶と、異世界に迷い込んだ日本の女性の子供が博士だったとは。へー! 昔からあの亀裂あったんだね。じゃあなんで広がったの?…てのはあとで考えよう。どうせ現時点じゃ分からん。
産まれはダンマリだったが、そりゃあ言いたくない話だよな。
それはそれとして育成がむず過ぎるけど。
樹液ならなんでもいい兄姉と違って、食えるものがないないマズいと来た。
お父さんと違って繊細だし、子守りも兄姉と違って人型じゃないと怯える始末。
まあそれは市民の赤ちゃんもそうだけどな。
白赤だと怯えられるから、子守りロボは基本黒毛青目のモデルにしてるし。
名付けて「ペットショップ」な。シリーズ化も計画中だ。
博士が俺の人型コアをモデルに、SJ社が最近ご執心なサイバネを盛り込んだ半人半機、安価にする為に内臓は脳以外オミット。筋肉とミスリルの骨と電気で動くぞ! 身長165㎝、体重20kg、稼働年数は5年を想定! 繰り返し使い込む予定だ!
人よりも力はないが、赤ちゃんを育てるには十分な体力があるぞ!
人間のサイバネはマズいから、都市に持ち込まれた犬猫ペットの細胞を利用!
素材は墓地送りになるのを少し拝借した! 筋肉の筋を取って残りは飼い主の要望通り墓地送りだ!
使い終わったら肉はご飯になるし、機械部分は再利用可能!
俺が直接動かして使うのを想定しているから単純な造りなんだ!
要はミスリルのスケルトンに肉と皮を被せた構造だな。バッテリーの熱で体温も再現したし、パッと見人間だ。
なお、頭部構造とかは人に寄せるのも限界が有ったから耳はイヌミミ、ネコミミだし、尻尾とか各所に元々の要素が残ってる。中には殆ど犬同然の頭部の奴、長毛の奴もいる。
そこはまあ人の死体から採取する訳には行かないっていう人道的配慮の結果だな。安価にする為に人型を徹底してないのもある。
まあ見分け易くなるしいいだろ。ぱっと見で人間じゃないって分かるし、結局全部俺が動かしてる機械だ。
ま、俺が動かしてるのは全員に秘密にしてるけどな! ハッキング経路にされたら堪った物じゃない。
赤ちゃん育てるなら人の肌っていうからな、我ながら限られた予算の中で実に赤ちゃんに寄り添った物を作れたと自負している。
サイジー博士にはなんか難しい顔をされたがな!
ハッそもそもお前らのケツ拭く為にこんな事しなくちゃいけなくなったんだぞ?
将来的に…具体的には皮肉の交換辺りで絶対何がしか起こるとしても、人手不足を解決する一手だ。電気とブドウ糖だけで動くから維持もすごく安上がりなんだしヨォ。
と、いう訳で既に箱も人も運用も既に始まったからと第一回目の議会で承諾させたぞ。
俺はあくまでも管理AIだから
洗脳は兎も角、こっちはどちらかと言えば名誉だ。あいつも喜ぶだろ。
お? となると…?
──勝った! ベイビー問題解決!
人の手から溢れる分は第一区画に俺がまとめて管理!
代表達には敢えてコレに関して非難させて、それで無秩序な子作りの問題を市民に意識! そこに避妊具を配布してやれば、無事使ってくれる! 子供も少ない!
これだ、この作戦で行こう。
共和政の代表は7名、内2枠は
少人数でわかり易くしたし、市民も政治はよく分からないからって関心を寄せないことはない筈だ。
これはもう勝利宣言しちゃっていいでしょう!
──順調です、全くもって、順調です!
次回、まじめなぎかいのようす。