悪役人外TS転生「ディストピアAI」   作:何処にでもある

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AI[ほらいけ、火剣第四世代+防御アーマー第二世代装備の統治者(コンダクター)
鉄砲玉「やー!」
ゾンビとオオヌシ「ぐわー!」
AI[相応の装備があればアレらに勝てるの相変わらずだな…で、代表集める為だけの洗脳でかき集めたリソースは…ふむ、折角だしやるか。お祝い]




西暦の起源を祝福します #16

 

 

 ‭─‬‭─‬夢を見ていた。

 現代日本で、OLとして普通に過ごしていた頃を。

 場面は飛んで、白い世界で5枚のクジを引いていて、気が付けば‭─‬‭─‬。

 

「子供になってる…」

 

「みんなー! 起きる時間だよー!」

 

「獣人がいる…」

 

 成る程異世界…噂には聞いた事があります。かなり野蛮な世界が多いと。

 余り詳しい方ではありませんが、今の私が人で、保育士が獣人の姿な辺り、野蛮な世界でも平和な場所から始まったのでしょう。

 

「ねーねー、ネコさん」

「ん〜? どうしたのかな〜?」

「教えて!」

「わあ、無秩序な知識欲の現れ〜。じゃあ私が「ペットショップ」っていうサイバネ技術由来のアンドロイドって教えてあげよう〜」

「???」

「分かんないでしょ〜。これからはもっと何を知りたいかも言うんだよ〜?」

 

 あ、ここSFな世界なんだ。

 へぇ…だったら情報メチャクチャ大事じゃないですか!

 ダメですねもっと慎重に立ち回った方がいい。一先ず周りに合わせるのに注力します。

 よく見れば沢山子供がいます。これは殺処分とかあるかも知れません。

 気を付けていかなければ……。

 

 

「なんて考えていたのも昔の話……」

「ぼく…いつまで寄りかかるつもりかね?」

「ふわふわ…気持ちいい…」

「ふむ…子供達が集まって脱出不可能だな…寝るか」

 

 三年過ごしてよく分かりました。ここは素晴らしい場所です…!

 犬と猫を始めに多様な動物達が私達を育てる保育施設……どんな目的か分かりませんが、全員モフモフで、すべすべで、どこをお触りしても許される場所…楽園はここにありました!!

 

 警戒するとか馬鹿らしいですねほんと。

 エッチなお触りとかはそもそもお股にその部位がないので出来ませんが、胸は男女関係なく揉んでも「めっ」て咎められるだけ!!

 勉強も子供同士の交流も簡単ですし、なにより仕事をしなくていいのが最高。

 ご飯はSFらしく謎のペーストですが、それも勉強を励めば前世と変わらない食事がある!

 そして何より‭─‬‭─‬もうね、裏がありそうな制度は有っても気にならないこのモフモフ!!!

 

 何が一番いいってモフモフのレベルが高いんですよ。

 

 一回触れてみ? ふっわあ…って沈んでいくんですよ? 程よい弾力まであるんですよ? 幾ら触れても手の脂でへにゃらないんですよ!

 

 癖になって止まらないとはこの事。見た目もイケメンにキュートと一通り揃ってますし‭─‬‭─‬なんだこのケモナーの天国はぁ!!

 仮にねぇ! ディストピアとしてもここに関しては素晴らしい場所なの! みんなすっごく優しいの! 幾ら甘えてもいいの! 童話でメルヘンなの!

 

 宣言する! 俺は此処から出たら真っ先にここの保育士さんを買う!

 この人達がアンドロイドなら、もう私だけのものになってください。

 私、みんなを養う為に頑張るから…待っててくださいね…!

 

「……ふわぁ…あれ、いつもならもう起こしくるのに…」

 

 そんなある日、この揺籠のような世界で目を覚ますと、妙な静かさに満ちていました。

 規則正しく起こしに来てくれる彼女達の姿は無くて、時計の針はカチコチと部屋に響きます。

 それが何だかイヤで、大人を探そうと周りの子供達を起こしました。

 

「ねえ、ねえ、起きて!」

「なに…」「ううん…」「どうしたの?」

 

 事情を話すと大半は大丈夫だと言いますが、私と同じように優秀だと判断されていた子達は一緒に探しに行こうと言ってくれました。

 先行学習している私と比べて、本当の意味で優秀な子供達です。

 

「ネコちゃーん! どこー!?」

「ワンワン! インコー! ちょーろー!」

「…本当に変だね。いつもならもう来る筈なのに……」

 

 それからしばらく探しても誰も出てきません。

 こうなると何か悪いことが起きたんじゃないかと、次第にみんなも不安になり始めました。

 

「……もしかしたら、悪い人に拐われたんじゃ…」

「そんな訳…いや、あり得るかも……」

「あの人達、いつもイジワルな子の悪戯に引っかかってるから…」

「買い物に行ってる時に騙されて……」

「「「「あり得る」」」」

 

 そうなるとイヤな想像も膨らんで来ます。

 私達は決して無知ではありません。

 ここでは普段から外がどうなってるかも勉強していますし、週一でみんなで大きなカゴの中に入って散歩もしていて、そんな日は、みんなで一緒に行きたくないと大ブーイングの合唱になるんです。

 

「だとしたら…お外に出ないと見つけられないってこと?」

「「「「…………」」」」

 

 私は元々大人で転生者ですが、それでも外は怖い場所だと思います。

 一見するとドローンが多いだけで普通の街なのですが……武器を持っている人が何処にでも居ますし、散歩する場所によってはタトゥーをしていたり、煙管を吹かす怖い人も居ます。

 

 そして何より、私達を見る目が……何というか、とても"卑しい"んです。

 

 行動自体は私達を前にすると脇に退きますが…どうにも、イヤな好意を向けられている。

 

 だから、外に出ることはとっても勇気がいります。

 心配だけど、起きて直ぐに自分の身を危険に晒そうとする子は……。

 

「…私が行く」

 

「「「「!!」」」」

 

 私一人くらいなものです。

 中身は大人で、転生者のチートを5つも持っている。

 これほどの適任もそう居ないでしょう。

 

 [エキストラ憑依転生][理解力・好奇心3倍][ランダムに魔奏を獲得][良縁○][健康]

 

 大抵は些細なものばかりですが…一つ、不思議な力を得られそうな物もあるのです。

 使い方も最近分かってきましたし、私が手を挙げたのも道理だったのかも知れません。

 

「けど、先ずはここ…第一区画を全部回ってから。もしかしたら、他の所のお手伝いに行ってるだけかも知れないでしょ?」

 

 私の言葉に納得したのか、各々が頷いていきます。

 そう、私達はこの施設にいる沢山の子供達の、たった50人の集まりに過ぎません。

 何をするにもずっと一緒で、他の子供達に会うのも稀。散歩の時に横切るくらいなもの。

 

「でも他の部屋に行くのは…外に行くよりも大変だよ?」

「大丈夫! だって私はみんなの中で一番スゴいもん!」

 

 「カサンドラ」は存外大きいみたいで、ここは都市で産まれた子供達の大半が集まります。

 だからでしょうか。ここはカサンドラで一番厳重な場所で、別のグループに行くのはとっても大変なんです。

 アリの巣みたいに入り組んでて、子供には通れない通路が幾つもあるんです。

 代わりに外に出る道はすっごく単純で…まるで、内側に行くのを阻む迷路。

 大きくなるに連れて子供達は外側に運び出されて、そのまま二度と入れないような気さえします。

 

 そこに行くんです。

 多分、ペットショップのみんなに見つかったらとっても怒られると思います。

 外に行くよりも怒られると思います。

 

 だけど、いつもと違う日が‭─‬‭─‬私の燻る冒険心に火を灯したんです。

 

 

 

「よっと!……わあ、懐かしい! 去年の6歳のときに通ったところだ!」

 

 パルクールの要領で獣人な保育士さんしか届かない場所……高所にある通路を通って、記憶を頼りに奥へと進みます。

 中は案外広くて、案内はないけど分かりやすい造りだったので、簡単に奥に行くことができました。

 

「うーん…だけど真っ暗だなあ…なんだか霧もあるし…火が灯ってない蝋燭って、私の時には無かったんだけど……よし、先に進もう!」

 

 そうして、やっぱり変なことが起きてると確信して、奥に奥に進んで…子供達が眠る部屋に辿り着きました。

 

「……よーし、開けるぞー…何があったか「きーみ、何してるの?」‭─‬‭─‬う!?」

「はい静かにー…よしよし、いい子だねぇ」

 

 うわあっと、叫びそうになる口に、しーっと、ヤギの角を生やした‭─‬‭─‬"赤いサンタ服"を着た、知らないペットショップの方が、突如として現れました。

 暗いですが、よく見れば角だけじゃなく瞳孔が横長で、細目なのもあってか"ワル"な雰囲気のある、軽薄そうな、若い男の人です。

 

「君、年長さんでしょ? なーに? 抜け出してきちゃったの? だめだよぉ、そんな事したら。サンタさん、プレゼントをあげられませんねぇ」

「え、あ、う…」

「でも分かるよー。起きても誰も居なくて不安だったんだろ? ごめんねー、今年はサンタさん大変でさ、今緊急で手伝って貰ってるの。……あっと…これ、秘密だったんだったわー」

「ひ…ひみつ?」

「そ、秘密。してくれたらサンタさんと共犯だ。プレゼントだってあげちゃう」

「プレゼント…」

 

 サンタさんはそうして箱を一つ、私に差し出しました。

 好奇心のままに開けてみると……そこには、赤と白で飾られた指輪がありました。

 え、け…結婚指輪かなにか?

 

「どうかな?‭─‬‭─‬ちょっとだけ、サンタさんの為に悪いこと。お願いできる?」

「たたたたいたい大切にしましゅ!!!」

 

 ブンブンブンブン!!!

 

「わあ、すっごいヘドバン」

 

 優しい手つきで、ヤギの人に私の頭を撫でられて…もう、私は無我夢中で首を振る赤べこになってて……気が付けば、私は元の部屋でみんなと一緒にクリスマスを祝っていました。

 

「「「「メリークリスマス!」」」」

 

「今日は奮発してケーキを作ったよ〜。美味しくたべてね〜」

 

 あれは夢だったのか?

 いーや夢ではない。あんな女の子の夢を詰めたお茶目なヤギさんは絶対夢なんかではない。

 

 だって私の指には、あの指輪がある。

 

「ほ…ほう……」

「ん〜? フクロウさんになってどうしたの〜?」

 

「惚れてまうやろがい!!」

 

「わあ、性の目覚め」

 

 あートサカに来ました。もう許しません。泣いて媚びるまでぶっ愛します。

 待ってろよ……一目惚れした転生者がどれだけ恐ろしいか、その身に刻み込んでやります…!

 

 

 

 そうして、また1日「カサンドラ」の子供達は平和を謳歌する。

 また1人、子供に新たな夢と性癖を齎しながら‭─‬‭─‬。

 

[‭─‬‭─‬メリークリスマス、市民達。プレゼント‭─‬‭─‬嬉しそうで何よりですね]

 

 






 フリージア戻し作業中渾身のオリチャー。
 気分転換にクリスマスのお祝いをする。

 その結果、1人の転生者が確固たる目標を得て、他にも様々な関係性の変化が起こりました。
 直ちに影響はありません。

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