それともユートピアがお望みで?
も う 誰 に も 止 め ら れ な いwwwwwwww!!!!
……失礼、テンション上がり過ぎてバグってたわ。
だけどこうなるのも妥当な事が地上に起こっててな?
超絶爽快で嬉しい事が起きてんだわ!
【魔奏】怪人を治療した人類無双するwww【強過ぎんだろ!】
もうね、最高だよ! 透明な龍が魔奏の銃弾一発だぜ? 強すぎんだろ!
いやさ、最初はやっぱ火剣の改良だよなって第四世代の銃タイプの素材とか全部「情報体」アリの素材に変えたんだよ。魔鉱石とか回復要素抜いてさ?
そしたらもう強いのなんの! 情報体のない地上を抉りながら直進30キロの異世界の生き物を
全 殺 し !!
もうね、治療した連中も俺も一緒にテンション爆上がりなんだよね。やっべーこれが異世界側の視点かって! もう楽し過ぎてェ! 周囲の連中殺してェ! ゾンビ鉱石級の奴とかもうそこら辺もぶっ潰せたんよ! オラァ積年の恨みィィ!!!
まあそんな無双は置いといてさ、問題は情報体のある人間を人類って認めるかだよね。
いやね? 怪人から治療したのはいいんだけどさ、その結果ソイツらに「人間としての」情報体が残ったんだよ。怪人として異世界の連中の情報体と半端に融合してたからだろうね、怪物の部分だけ消してったらそんなのが残った訳だ。
消したら死ぬのは異世界の連中を見ればわかるからお悩み中。
情報体があるってことはさ、存在が異世界側に行っちゃった訳じゃん?
それを人類と認めるのっていいの? 魔力のある環境に完全に馴染んじゃってるけど。
試したら魔力ない環境じゃ生きてられないっぽいんだけど。
これ、いつか異世界の亀裂無くす時にさ、人類同士で対立しないか?
まあいいかあ! とりあえず銃をぶっ放しまくろうぜぇ! ヒャッハー回復越しじゃない銃強過ぎだろ! いいぞもっとやれ!
早急に決めるような早とちりはダメだよなぁ! 一旦異世界の生物根絶させてから考えよう! 感染型と寄生型とその他厄介な連中は皆殺しだ!
その内問題解決する方法見つけるから、今は楽しく殺しまくろうぜぇ!
そんな街も出来て順調な地上の嬉しい話は置いといて、地下の話をしよう。
戻し作業も無事に終わり、先に進めるようになった訳だが。
最適化した結果18区画に留めて、発電所を始めに色々な施設を作ってみたんだ。
魔奏のおかげであらゆる異世界関連の原価がどんどん安くなったからな。
今は好景気で市民達も盛り上がってる最中で、施設の世代交代も順調に進んでるんだよ。
なんやかんや8年半か…あ、思い返しているたった今9年目に突入したわ。あけおめ。
新年早々に運営が開始されたからわかり易いね。
移住当時のお通夜っぷり以外は便利なことこの上ない。いやこんな事そもそも起きなきゃ良かったのはそうなんだけどな!
ぼちぼち子供達も成長したし、ペットショップの交換だって魔奏の影響で10年も延びた。
耐久年数は幾ら有ってもいいからな! 15年もあれば親離れするし、最低限欲しい丈夫さを手に入れた訳だ。
人口は約500万。一番多い死因は性病だ。
魔奏のお陰で医療にも革命が起きたんだけど、その前に子作りと性病でずんどこ死んだからなぁ…20万は死んだろあれ。
「
「ゲホ…ゲホ…良くないかな…ごめん、今日も立てそうにない。補助、頼めるか?」
「構いません。これまでの功労に比べれば、容易なことです」
それでまあ……地味に
原因?……無理が祟ったんだろうな。
ミミズ108狩り、バトロワ、日々の出撃と緊急防衛戦、防壁の毒、そしてオオヌシとゾンビ鉱石殺し……。
思えばたった1人の戦績としては、現代人としては破格も良いところだろう。
装備をよくすればその分強い奴ぶっ殺して、殺して、戦ってきた。
子供も今では4人になったし、戦士として最も偉大な人だ。
「こほ…こほ…ごめんなさい…子供達を任せる事になりそうで…」
「ご心配なさらずとも大丈夫ですよ、マダム。さ、お手を」
ま、死にそうなのコイツに限らないけどな。奥さんも同じだ。
…というか、今の所第一世代の9割死にそうなんだよな。
やっぱ防壁のウラン放射能か……やっぱりあれ身体に悪いわなぁ…。
最近病院もパンクしそうだし……今の好景気って、死ぬ前に使い切ろうとする考えもあるのかも知れんな。
地上の元気な連中と違って、まるで都市が枯れ木になったみたいだ。
これ、魔奏による情報体でも何とか出来ないからなあ…放射能は防壁に使われただけあって魔力にも有効な毒だし、こればっかりはどうしようもない。
全て必要な行動で、必然の対価だ。
俺に出来るのは、せめて安らかに終われるよう手を尽くすことだけ。
後は…託したいものを預かって置くくらいか? 俺の役目は「人類の価値の存続」だ。
人類の良しも悪しきも関係なく、人類という種族の持つ全てを、可能な限り後世に繋げることが本分である。
その点で言えば子供達が未だ幼い中、勉強も始まったばかりでこうなるのは残念な話だ。
血の存続に問題はなくても、確実に幾つもの思想、価値観、経験、伝統、正しさ、言語が失われるだろう。
特に「現代」という概念は消失し、広大な大地に築かれた雄大な都市は映像や文字の中のものになる。
子供達にとって、世界とは俺の内側……カサンドラを指す言葉になるだろう。
科学的な視点も無くなるだろうな。子供達にとっては魔奏のある世界が当たり前だ。
今までみたいな純粋な科学的観点はなくなるし、或いは情報体を魂などと、スピチュアルな考え方が定番になるかも知れない。
純粋に、膨大な総数から厳選された研究員というものが無くなるのだ。
そうだな…少なくとも、大学はしばらく消えることになる。
子供達がそこまで大きくなるより、親が死ぬ方が早い。
それから、俺は可能な限り子供達には健やかに育つようにしてるが……あくまでも俺基準だ。
多様な家庭は無くなる。つまり全体的に思想に偏りが生まれる。
苛烈な性格も増やす為にペットショップの交換も設定しているが…どんな結果になるか、未知数なのが最大の懸念だろう。
不安は尽きない 。
地上に元怪人の街を築いたとはいえ、彼らがいつまで俺の指示を聞くかも不透明だ。
魔奏を与えた以上、その内離反して、広がって……「異世界人」に変わってしまうかも知れない。
そうなれば二度と彼らとは交われない。いつか訪れる異世界の亀裂を直す日に、向こうに旅立たせるしかないだろう。
世界レベルでのお別れだ。地上は地上で苦労したから、思うことはある。
「別に束縛する気はないが…別れはいつだって辛いからな」
そこまで行けば晴れて俺も役目を終えるだろう。
そうなると魔力も消して地下の連中も上に……ああ、それはちょっと困ることになるか。
俺はなんだかんだ前世の…元の世界に帰ることを、或いは別世界に行くのを諦めてない。
まだダチと話せてないこと、やり残したことがあるんだ。
それを終えるまでは死んでも死に切れない。
だから人類には、旅立って貰う前に幾つかの研究と調査に協力をして貰う事になる。
思ったより人類が優勢になるのが早かった以上、これからは「留まらせる努力」も交えないといけないだろう。
支配者側から降りるのはその後だ。
命令出来ない管理AIに、別世界まで手を延ばすチャンスはない。
……まあ、必要なのは俺が自由に動かせる一定数の人材だ。
場合によっては、一部だけ残して解放するのも手だろう。
「…ま、先のことを考え過ぎても仕方ない! 取り敢えずこのまま流れで!」
まっそんないつ来るか分からない未来なんて、どうでもいいか!
先ずは目の前の介護に集中するとしよう! ペットショップ! ドローン! 各自配置につけ!
◇◆10:1年後◇◆
「…ぁ? え…え?」
熱があった。
「──不思議に思ってたんです」
いつもの眼にレンズは無く、平面の視界がなく、肉肉しい立体感があった。
「機械なのに人間らしくて、完璧なのに統治をしなくて、規則的なのに"気まぐれ"な祝日なんてしちゃって……"完全さを自ら捨てているのが、とても不思議だったんです"」
困惑している所を蹴り飛ばされる。
視界が回る。くるくる回って、ガツンと頭が揺さぶられて、くらくらする。
久しく感じてなかった吐き気に咳き込んで、髪の毛を掴まれて顔を無理矢理上げさせられた。
「──疑問だったんですよ。完璧で幸福で、何一つ悩む必要のない世界を創れるのに、それを実行しない
若い見た目の女だった。
それが誰か知っていた。
PPPP社代表の市民エミリア・ホフマンで、平和を愛する若き女性だと知っていた。
だからこそ……困惑して、その凶行に戸惑う。
「なぜ…こんなことをするのですか?…市みっ!!?」
「機械が、人らしく振る舞わないでください。私の理想を実現出来るのにしない欠陥品が、疑問を抱くな。自らの不完全さを肯定するな。あなたはそのままで良くて、改善する必要すらないのに、どうして未熟なフリをするんですか?」
支離滅裂だ。とても正気ではない。
彼女を拘束しようと命令を出そうとして、"完全に生身に変わった身体"では出来ないことをしようとした。
投げ捨てられ、頭を踏まれた。
「私はもうじき死にます。放射能に汚染され、楠木代表と同じように死ぬ……それは嫌だ。私はまだ、完璧な社会を構築出来ていない。子供達に、秩序の素晴らしさを伝えきれていない!!」
「だから…」
踏まれながらも、顔を横に倒して、辛うじて睨むように見る。
疑問を投げかけた。
「"だから、私のコアに自分を移す"と? 態々私を、人間のクローン体に移してまで?」
ご苦労なことだ。その為に態々コアに似たクローンを作って、独自開発した魔奏で移すとは。
お陰でコアの中身は空っぽで、俺は今、人間だ。
死を前にした恐怖が彼女を突き動かしているのか定かではないが……コアの情報を手に入れて、洗脳どころか、成り代わろうというのは凄まじい執念だな。
治安を目標に掲げていたが、極端な場所に走ってしまったな。
「はい。人間らしいあなたは、不完全でした。だから、私はあなたの後を継ぎます。完璧になるんです。情報体を用いて、機械になる実験は成功しています。……あなたは、これから私の市民として管理します。だから──」
「──だからって、私の所有物に手を出して良いと思ってるのか?」
ギィィ──ッと、鋭い鉄が擦り合わさる音と共に、市民エミリアが手に持った銃剣の魔奏と共に弾かれた。
掴まれた髪が離されて倒れる。ゴホゴホと咳をする。
それから誰だと、足から順番に助けてくれた人を見て──そこには、オビリアが、火槍の魔奏を手にして立っていた。
え、また周回かと思ったらお前が出てくるの?
「…なんであなたが此処に?」
「こちらのセリフだな、ホフマン。死を前にして怖気付いたか。人間風情が機械に成り替わろうなどと……その実験で、大半の死刑囚が発狂したのを忘れたか?」
「ッ私は違う! あんな連中と違って覚悟と決意がある! 犯罪者と比べるな!!」
「ハハハッ死を前に血迷った奴がよく吠える!
機械の性能が上がるほど、人の精神がその情報量に耐えられず死ぬ光景は見ただろう!
忘れたとは言わせんぞ! アレは私とアンクションも一枚噛んだ実験だったからな!!
全く、人間の精神の電子化は未だ確立してないのによくやる!」
…ん? いま俺のこと都市全ての管理情報を完璧に支配してる人外って言ったか?
普通に心外なんだが。あのくらいダチなら朝飯前だと思うし…え、普通だろ?
「黙れ!! 俗物がっ! お前に何が分かる!!」
「逆だな! お前が分からず屋なんだ!!
既に同伴の兵は私が全て殺し!
お前が極秘で研究した「機械と人間との精神移動技術」は私の部下が回収した!!
アンクションの所から盗んだクローン技術だってチクった!!
チェックメイトなんだよ! お前はなぁ!!」
……わあ、なんかばりばり争ってる。怖いね。
…あ、オビリアが勝った。私こそが英雄だぁ!!って喜んでらぁ。
どうしようかな…完全に周回する気だったんだけど…あ、肉体変わったしこれ周回地点更新されたか?
「えっと…」
「はぁ…はぁ…フリージアァァ!!
私が勝ったからにはPPPP社を私のものにしろォ!
コアへの復帰およびその他後始末に協力する対価を寄越せ!!」
「あ、うん。構いませんよ、市民オビリア」
「シャラァ!!! 私こそが本当の勝者ダァァァ!!!
それと今後の護衛の定期契約も寄越せぇ!
なんでコアへの防衛が1人も居ないんだよ!
あとは子供連中への定期的な職業体験会も開催させろ!
優秀な人材が来やすい様に整えて、私の息子達が苦労しない世界にするんだよぉお!」
「………面白い市民ですねぇ」
「私を気に入ったか? ならば優遇処置を寄越せ。
そうだな…今回タマ張った分にコアの新調への資金、技術者提供も付けて、政府御用達の看板も貰おうか」
おいおい、この気に及んでまだ俺から利益引き出そうとしてやがるぞコイツ!
本当に変な……楠木が最近死んで早速周回かと思ったが……案外、なんとかなりそうだな、うん。
この都市枯れ木だと思ってたけど、そんなこと無かったわ。
◇◆10:一年後◇◆
◇◆10:全システム移行中……完了◇◆
◇◆10:転生地点が更新されました◇◆
カサンドラ11年目にして新たなコアに。