悪役人外TS転生「ディストピアAI」   作:何処にでもある

25 / 30


 Q. 本物は異世界に勝つまでの400年を10万人規模で維持してきました。この場合、産まれる子供達の累計人数はどうなるでしょう? 途中(300年辺り)で世代交代を意図的に加速(3倍程度)したとします。

 A. 約200万人。

 Q.では仮に転生者などのなんらかの手段で産まれる存在の「中身」の順序が固定されたとして、子供が一斉に約150万、中身を入れる対象として妥当な50万、合わせて約200万が一気に現れた場合、この「中身」はどのように配られるでしょう?

 A. 最も妥当な外見に宛てがう形で中身が配られる。




顔を見て話しましょう #25

 

 

 1/10(50)1D6=4

 [主人公転生][ハーレム][無限射程][バカエロ展開]

 

 2/10(46)1D6=3

 [任意の魔奏の取得][任意の魔奏の取得][任意の魔奏の取得]

 

 3/10(43)1D6=5

 [エキストラ憑依転生][理解力・好奇心3倍][ランダムに魔奏を獲得][良縁○][健康]

 

 4/10(38)1D6=6

 [原作知識(ごつ盛)][原作知識(松)][鉄人(金特)][原作知識(梅)][原作知識(竹)][魔奏:鑑定(ターニング)

 

 5/10(32)1D6=6

 [なでられポ][にこられポ][にっこにっこにんポ][良縁◎][ランダムに魔奏を取得][ライバル転生]

 

 6/10(26)1D6=6

 [古代転生(?)][黄金律の教え][不滅不死(石像転生)][黄金の縁][ゲーム性能持ち越し(?)][別世界転生(我々でもどんな世界、時間に行くのか分かりません)]

 

 7/10(20)1D6=6+3+1+2+4=16

 [イカサマダイス(特典追加+3)][確変(特典追加+1)][天才ゲーマー(特典追加+2)][国士無双十三面(特典追加+4)][時間泥棒][ヒロイン転生][モモの灰][現世に蘇生(?)][新米10kg][ランダムに魔奏を取得][番外転生(?)][幸運○][幸運◎][超健康][無双無敵][ランダムに魔奏を取得]

 

 8/10(4)1D4=2

 [最強転生(前世の記憶は1割のみ引き継ぎ)][死ノ目(人間への転生確定)]

 

 9/10(2)1D2=2

 [悪役転生(何回でもご利用可)][人外転生(何回でもご利用可)]

 

 10/10(0)

 『味方転生』『転生者観測』『aqjg(pi』

 

 


 

 

「バカエ…え、えっち…え?…え、えっちするんですか? え、わ、私…女性ですよ? え?」

 

 

 夢を見た。

 本来なら男性に配られるのを想定したのだろう特典を引き当てた、主人公の席を確約された哀れな女を。

 

 

「魔奏!魔奏!魔奏! ジェットストリームをかけるぞ! クソガァ!」

 

 

 夢を見た。

 奇跡的な確率で同じ特典を引き当てた豪運な男を。

 

「……平凡に生きろってことかあ」

 

 夢を見た。

 どこまでも平々凡々に生きられる道を約束された女の夢を。

 

 

「ダブってる…ダブりのレベルが違うっ! まるで原作博士だな。ふぅん、慟哭のエネミーコントローラ"ー"! ヴェヴェヴェヴェヴェヴェ!!!!」

 

 

 夢を見た。

 ちょっと信じられないようなくじ運を成し遂げ、全知と化してもキショい男の夢を。

 

 

「にこ…なで…られぇ? はっ?…はっ?……はぇ? つまり惚れっぽくなるってか? 嘘だろぉ…せめてリリカルな○はの世界に行かせてくれ!!! 頼むからさぁぁ!!!な○はとフェ○○と○○○の救済ハーレムやらせ

 

 

 夢を見た。

 絵に描いたような踏み台転生者みたいな性格の男が、惚れっぽくなる未来に絶望する夢を。

 

 

「ごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめん‭─‬‭─‬…」

 

 

 夢を見た。

 死んでいるのにも関わらず、歪に割れたままの頭を抑え、正気を失いながらも誰かに謝り続ける男が、俺ですら知覚できない何処かに消えていく夢を。

 

 

「蘇りとヒロイン転生が重なるってことはTS現代復活と言う事で宜しいでしょうか! 宜しいですね! っっっしゃあああいい!!!」

 

 

 夢を見た。

 何もかも望みを手に入れた男が、そのまま現世に戻っていく夢を。

 

 

「……記憶90%OFFって、死んでるも同然じゃないか。はぁ…(アンデッド)ってレベルじゃねーぞ? はぁ…最期はピースでお別れってな。へへ、それが最強だろ?」

 

 

 夢を見た。

 人類最強の名を約束され、ピースを掲げたまま、記憶の殆どが消え去った男の夢を。

 

 

「むぎゃ!」

 

 

 ……夢というか、踏んでた。

 

 

 何度繰り返しても愉快な夢が続いていく。

 神に特別だと渡された力が、僕が産まれるまでに描かれた転生者の軌跡を見せ付ける。

 産まれることも出来ず、揺蕩うままに、観測する。

 

『……今度は』

 

 僕に相応しい器が、席が用意されるまで、この夢は終わらない。

 何年待っても、何年微睡んでも……与えられた力は、産まれない限り使えないのだ。

 だって僕は、世界のどこにも存在しないのだから。

 出来るのは、夢の中で知識が与えられるのを、ただ受け取ることだけ。

 

『僕が、産まれると、いいな』

 

 例えそれが一つの世界を滅ぼす物だとしても、僕はそう願わずには居られない。

 

 

 とくん…とくん…とくん…

 

 

 蛹、未だ孵ら‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬

 

 

 "[……時間観測記録から情報体の潜伏を検出。異世界の生態調査の一環として、適応する肉体の生成と情報体の植え込み実験を検証─‬‭─予算承認‬]"

 

 

『……あれ、身体が引っ張られ‭─‬‭─‬』

 

 ‭─‬‭─‬孵らずとも、産まれ出づるまで後……。

 

 


 

 

「おーんおんおんおん……」

 

「なんだあれ…?」「知らない…」「人?」「……何してるんだろう」

 

 俺は‭─‬‭─悲しい。

 

「おーんおんおんおん……」

 

 何が悲しいか‭─‬‭─あれだけ願ったリリカル○のはの世界への転生が、叶わなかったことだ。

 産まれた当時のことを思い出して、その悲しみがぶり返している所である。

 

「おーんおんおんおん……」

 

 俺はかなり懐古趣味のオタク…或いは掲示板だと荒らしとも呼ばれていた。

 Fateは昔から追ってて、GOのマスターLv.は180のレベルマ。

 比企谷、涼宮、空条と来れば八幡、ハルヒ、承太郎。

 ワン○○マンはone版しか見てなかったし、日常と言ったら京アニ。

 同世代がTik○○kやラインのグループ会話で盛り上がる中、一人隅っこでにゃる子さんのOPを鬼リピしているのが俺だった。

 

 それがどうだ?

 山の崩れに巻き込まれてTS転生したら知らん世界で、クッッソみテェな一目惚れ体質を抱えて生きている。

 身体の何処だろうと撫でられたり、自分に向けて笑顔を向けられた途端に心臓が高鳴って、いつまで経っても落ち着かない。

 お陰で今はパーカーしたり前髪伸ばしたり、前世よりも根暗な見た目。

 しかもどんどん惚れる相手は増えるのだ。浮気性の女というレベルではない。俺はこんな尻軽にはなりたく無かったのに……自分を育てた相手にも、隣に眠る赤子にも見境がないと泣けてくる。赤子に惚れるんじゃねぇマジで。

 

「おーんおんおんおん……」

 

 だからこうして、偶に人生に絶望した俺は泣くのだ。

 周囲の目? そんなの、人の顔を見ないように生きてる内に気にならなくなったね。

 

「俺の銀髪オッドアイイケメン魔力無限SSS級王の財宝ステンノ様レベルの魅了チート……俺の八幡無限米俵太郎固有結界起源弾無限直死の魔眼エウリュアレ様レベルの魅了チート……俺の形なき島女神三姉妹使役お館様な虹級魅了魔眼チート……おーんお」「喧しい!!

おん!

 

 そうして泣いていたら、蹴飛ばされた。

 12歳の子供に酷い仕打ちだ。俺が転生者じゃなきゃ今ので肋骨折れて泣いてたね。

 

「道のど真ん中で泣くな! 車の邪魔なんだよ!」

「はい! すみませんでした!」

 

 負けた? 負けた。

 ど正論で退かされた。仕方ないのでのっそり起き上がり、のそのそと人混みに紛れて仕事を探しに行く。

 奇異の視線も、しばらく歩けばなくなった。まあ、そんな物だ。

 

 厚手の手袋をした手でフードを深く被り、銀の前髪で塞がった視界を下に向ける。

 そうすると嫌でも街の賑やかな声が、耳に入って来た。

 

 

「ねえねえ、槍と剣どっちが良いと思う?」

「近接だし剣でよくなーい? ミリは普段銃使うじゃん」

「そっかあこっちの方が可愛いと思うけど…うーん、剣にしよ! シンプルな分デコる!」

「ふは、取り回し死にそうで笑う」

 

 

「武器、防具、改造……物騒な区画だなあ」

「"上"で戦う人の為の街ってパンフには書いてるね。どうする? 仕事先」

「どうするも何も、卒業前の進路アンケートの通りだよ。魔奏兵装の関連店に当たってみる。そっちは?」

「勿論ビーム! ロマンだよこれは!」

「ははは、事故って蒸発だけはやめてよ?」

 

 

「SJ社…人間の求人はしてないけど、研究員としてワンチャンないかな…本社勤務」

「あそこかぁ…ウワサだと一期卒の中に、社長の立場貰った奴が居たっていう…」

「俺も若造だけどさ、ずりぃよなぁ…たった一歳差なのにこんなに違うんだぜ?」

「外育ちの姉からだっけ? 分かる〜マジ羨ましいよな」

 

 

 …………。

 

「ケッ…リア充が…」

 

 ここは第5区画。

 

 12歳で仕事を探す事になった第一区画の卒業生と、ほかの区画よりヘイローを見かける兵器の街。

 灰色の床と、澄んだ青色がほのかに光っている、ミスリル防壁の天井を10m先に持つ、地上に近い街だ。

 常にごうんこうんと送風機が煩くて、それに伴ってか街の人々はみんなして声を大きくする。

 ドローンも静音性を気にする必要が無いからかカビの生えた古い物が回されてて、最先端と古さの二つが両極端に混ざった街だ。

 

「友達作りが得意じゃないのが、何が悪いんだよマジで……」

 

 現実に戻ると、イヤなことがいっぱい耳に入って来るからキライだ。

 特に今世の身体は一番キライ。

 

 女の身体で、前世よりも頭が静かで沢山考えられる。

 それが前世の俺が劣ってたみたいでキライだ。

 

 惚れてばかりで、みんなと比べるとドジ臭い。

 前世よりも頭が良くなったのに、中身が足を引っ張っている。

 そんな、前世で夢に見たような誰かをズバーッて助けて、ステキーって褒められるような人生じゃ無いのがキライだ。

 

 つか、キョドッて、下向いて、触れられたり笑われるのを極端に嫌うって……まるで前世の焼き増しだ。

 だからキライだ。自分のイヤな所が腫れたみたいに大きくなったようで。

 

「クソ…なんで神はこんな特典入れたんだよ…俺がこの世界に転生した意味ってあるのか?」

 

 第一区画…通称「楽園」は、12歳になると卒業…そこから追い出される。

 とはいえ無作為じゃない。事前に進路アンケートや将来の夢の発表が元になって選ばれる。

 

 そして、丸腰でもない。

 当分の間は持つ金と、自分の身分を証明する市民票。

 成績を優秀で収めたら1日分の天然食の弁当に、事前に希望した企業への推薦だって貰える。

 後は……この世界に関する一通りの知識と、外(楽園の外。ただし地上じゃなく、カサンドラ内部)の情報か。オマケで資格とかな。

 

 要は独り立ちって訳だ。

 ここは機械が管理する地下都市「カサンドラ」。

 育成リソースは限られるから、ある程度経ったらこうして働かされる事になる。

 そして俺は今現在追い出されて3時間の卒業したての第二期生って訳。

 

「つまり創作でよくあるディストピア……って訳でもないんだよなぁ…なんか」

 

 俺の知ってるディストピアにはさ、「ペットショップ」なんて素敵なサイバネアンドロイドは居ねーのよ。ソシャゲみたいに多種多様でクソ強いヘイローって奴もな。なんでこれで地上奪還出来てないの?

 

 それにこんな色々1箇所にまとめて育てるのも知らねーのよ。

 こういうのって普通一部のデザイナーベイビーの蠱毒とかだろ?

 あと、出産直後に脳の外科手術で知能上げたってのもナニ?

 なんで普通に歴史で学べる範疇なの?

 

 サイバネ技術が発達してるのは分かるけど、それが出来るならもう何でもアリだろ。

 だって脳の構造完璧に分かってないと無理だもん。それやれるなら人間の完全上位互換の知的生命体作れたよな? なんでやってないの?

 

 兎に角可笑しい。

 まだ歴史が浅いから管理するAIがまともって理屈なんだろうけど、ここまで至り尽せりな管理社会は見たことがない。陰謀の影も形もない。エッチな人造生物は山ほど居たけど。

 普通こういうのってもっと……革命とか起きる要素があるもんなんだが…。

 

「そんで平和だから……俺もこの体質に途方に暮れるしかないんだよな…」

 

 小さな…砂場と街路樹とベンチだけの公園で座る。

 こういうのも変だよな。管理社会に公園って…それが稀に見かける程度にあって、前世を彷彿とさせる。

 

「はぁ……版権の世界に転生じゃなくてもさ、異世界に転生するなら……もっと地に足を付かせないようにしてくれよ…夢に溺れたいんだよ、俺は」

 

 なんだか、ずっと前世の延長線上に居るみたいだ。

 そこはかとなく現実がチラついて、夢と現実が交互に織り混ざっている。

 世界がどうしてこうなったか教えてくれるのは楽しいのに、その次の授業では前世で学んだ事が来て、しかもどうやって知ったのか俺のレベルに合わせて大学とかの問題を渡される。

 おかげで、事前学習の無双なんて一度も出来た事は無かった。

 

「……"人との関わりが苦手なんですね"……"惚れるのがイヤなら、物作りに興味は無いですか?"……か」

 

 俺が第5区画を希望したのは惚れない為の対策だ。

 物作りに人との関わりはないって考えて、だからここに居る。

 

「……あの先生、察した上で笑ったりしないようにしてくれたからなぁ…」

 

 決定した理由の一つに、ペットショップの先生に言われたのもある。

 俺は無表情の姿しか知らないが、よく笑うらしい、たぬきみたいな女の先生だ。

 ペットショップに性別はないが……まあ、些細な事だ。

 

「…はぁ、行くか‭─‬‭─‬」

 

「おーい! 誰か排水溝から鍵取るのに向いた魔奏持ってる奴はいないかー!」

「限定的すぎるぞー!」

「ねーよ!」

「兵器が鍵取るような繊細なことできる訳ねーだろバカがよー! 一生困ってろ!」

 

「……声デケェ」

 

 面接とか就職に憂鬱になるのも終わりだと席を立つと、そんな話し声が聞こえて来た。

 聞き耳を立てた訳じゃ無い。ヘイローの彼女達の声がデカすぎるだけだ。

 ………はぁ。

 

「困ったなあ…最悪壊して」

「おい」

「うわ!…なんだ急に…不気味な奴だな…」

「手をグッて握れ」

「はあ? 何言って」

「良いから。種も仕掛けもないからサッサとやれ」

「はぁ?…まあはい」

 

 ハンデ染みたやつじゃない特典も、もう少し便利だと良かったんだが…これだもんなあ。

 

「……はい終わり。じゃあな」

 

「は? なんだった……えうわあ!!? 鍵が手にある!?」

 

 

「にんぽー"小物交換の術"……なんてね」

 

 こんなイタズラみたいなことしか出来ないとか、オワコンだよほんと。

 手汗と鍵を交換とか、俺が求めたのと程遠い、些細な力。

 人を笑わせるような、そんな時にしか使えない小さな忍術とか、本当なんで特典に入れたんだか。

 

「……ありがとー!」

 

 顔も知らないヘイローの感謝に、軽く手を振って立ち去った。

 振り返りはしない。

 

 見たら惚れちまうからな。

 

 






 その後踏み台がとあるSJ社の子会社に入社したら、助けたヘイローが入社先の先輩だったので親身に世話される事になった。
 なお、踏み台転生者は銀髪オッドアイの厚着パーカー目隠れで惚れっぽいダウナーヤンチャギザ歯の12歳ツインテロリです。調子こくと煽って来ますが、オタク趣味の話題だとすごい早口になります。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。