悪役人外TS転生「ディストピアAI」   作:何処にでもある

5 / 30


 AIといったら?

 A. …お絵描き?
  ̄ ̄ ̄ ̄‭ ̄ ̄ ̄



#5 芸術性が欠けています

 

 

 芸術。

 それは人類の灰色の脳細胞を刺激し続けてきた物の総称であり、性と切っても切り離せない物。特に女性の全裸からやたら見出されたものが多いというのが俺の所感である。アフロやダビデとかな。

 

 あれから1年、無事に戻し作業も終わり、人口も地味に96万人と、前回より多少改善出来たりもした今日のこの頃。ペーストを1月で味付きに出来ただけで1万も助かるとかどんだけ〜?

 

 つまり俺がサイジー博士を働かせ、人型アンドロイドの制作を決定してから一年経ったという事でもある。

 

 進捗…ダメダメです…!

 

 頑張ったけどこればっかりは無理だった。出来ても鹿みたいな逆関節だし、胴体と頭要らなくない?…ってなるし…これならいっそ車椅子に人間の上半身真似たやつ付けた方がマシまであるんだよな。車みたく俺が遠隔で操作すれば良いだけだしな。

 一応開始時点から現代の技術があるって言っても限度はある。正直そんな事にリソース使いたくないんだが、前回のバトロワをクリアした奴の要望だ。次も同じ結果になる可能性が高い以上、コミュニケーションを円滑にするのは必要経費として割り切らなくちゃいけない。

 

 さーてどうしようかなと悩み悩んで早3日。俺は一つの結論を出した。

 

 有っても無くても一緒や…全部…同じ…!

 

 どうせこの環境じゃ関節部は機械的で円滑には出来ないし、顔面の表情なんて夢のまた夢。

 それならいっそ人間に電極ブッ刺して操作する技術でも開発した方が早いまである。

 なので俺はそっち方面は諦める事にした。現実的にな…無理なんだよ、その夢はさあ!

 

 じゃあどうするかって…ふふ、人間はさ、二次元に恋出来ちゃう種族なんだぜ?

 参考にするのはこれ! wikiにちょっとだけあったギャルゲーの項目! 特に立ち絵!

 要は専用のイメージ図を出して、そいつに喋らせる方針だな。よし、これで文句出ないだろ。

 

 元々イメージキャラクターって奴は偉大だ。ゆるキャラ、チーバくん、くまもん、ふなっしー、やりますねぇ!のあの男…権力のように、物事には象徴があるとそれを中心に人々が寄り集まる。

 我ながら良い作戦じゃないか? なので早速描いてみた。くっそ下手だった。はいデリート!

 

 この作戦には致命的な欠点がある。俺に絵心がない事だ。

 じゃあどうするか‭─‬‭─‬世の中にはな…いるんだよ…絵を描ける人間がよぉ!

 

「フリージア氏、頼まれた通りに描きましたよ…デュフフ…約束の品、分かってますよね?」

[……確認した。ありがとう、ブツは翌日配給品に混ぜておく。パスワードは‭─‬‭─‬]

 

 という訳でステレオタイプのオタクちゃんに描いて貰いました。日本人が多いってのはこういう時に便利だよな。かつて存在した作品のフィギュアやグッズを再現するだけでいいんだから。

 ペースト製造ラインの端にある武器生産の、その更に端っこで創るだけで目的の絵は手に入った。

 

[キャラは…公共の電波に乗せる訳だし、私口調の普段通りでいいか]

 

[市民の皆様、おはよう御座います。本日も一日頑張りましょう……顔を出すなら画面用に液晶とかのリソースが…偏光レンズとか高いんだよなあ…いや農作物用に光源化した奴を流用すれば…だけど…ふむ]

 

 しかし…このやり方、意外にもよく働いてくれるな。文化保存も兼ねてコレからも彼らからオタク文化を引き出していくか? 俺も偶にドラゴンボール読みたくなるし。

 何より元々ここは人類の方舟、入れる時に余裕は無かったとはいえ、本来ならこういうのも保存したかっただろう。俺が記憶してやり直せばそれだけ人類の文化が残る。

 

 とまあ正当性を保つ言い訳を並べ立てたが、要は俺も息抜きしたいってだけの話だ。

 それに初期のデータ容量にも限度はある。圧縮や最適化は小まめにやってるが、それでも持ってこれて200年分の記憶だけだ。それ以降は削除や更なるデータ保存の効率化も必要になるだろう。

 しかしそれも累計200年経った後の話。未だ3年程度じゃあ鼻で笑える範疇である。

 

 という訳で、初期段階でイメージキャラクターを公開した上で、1年経過してるよって話でした…と。銀髪赤目のスーツ着た女の見た目だ!

 

[‭─‬‭─‬こんにちは、統治者(コンダクター)。こうして対面で話すのは初めてでしょうか]

 

「お…おお…俺、フリージアちゃんと会話してる…」

 

[……? 統治者(コンダクター)、あなたそんな性格でしたっけ?]

 

 という訳で統治者とご対面した訳だが…前回より間違いなく表情が柔らかいな! こりゃあ手応えありで良いでしょう! ちょっとキモイけどまあいいや。

 

統治者(コンダクター)、お仕事の調子は如何でしょうか]

「ああ…大丈夫。お陰様で上手く出来てるよ」

[なるほど…それは宜しい事ですね。ええ、業務が円滑なのは何よりもいい報告です]

 

 実際それから半年経って、前回の終了地点を超えても全然不穏な気配はない。

 やはり性欲か…人間下半身には逆らえないんだなって。

 ヒャハハこいつただの絵に好意抱いてやがる! ふーっバカで助かったぜ全く。この程度の対策で済んでまーじで助かった。予定の大幅変更とか1番面倒だからな。

 

[… 統治者(コンダクター)? 結局やりましたが、これがどの様に業務に役立つのでしょうか?]

 

「うおおお!! V復活!V復活!Vやねん!いや寧ろ本物!本物! 大・正・解!」

 

[……すみません、私にはまだ理解出来ない範囲の…芸術分野の感動のようですね。精進が足りない様で、共感出来ず申し訳ない限りです]

 

「いやそのままで大丈夫! 寧ろそれがいい!」

 

 謎の統治者の熱いご要望でLive2D化する事になったりもしたが…まあいいだろう。

 コイツの転生者疑惑が深まったが、元々第一世代は現代人だ。こんな奴が居てもおかしくはない。

 多分最初に会った時はあれだな、推しになる奴が居なくてボケてたんだな。

 恐らく消去法なんだろうが、それで人生を転ばぬ杖として役立つなら、俺も慣れないイメージ戦略で苦労した甲斐があったというものである。

 偶像。俺はそれもいいと思うぜ、オタク君。俺もカッコいいのは好きだからな。

 

 さて、そんなテンションアゲアゲのオタク君は置いておいて感染対策の話をしよう。

 初期段階からイメージ戦略をした結果のバタフライエフェクト…蝶の羽ばたきが竜巻とかになる現象の結果、今回は前回と違って闇市の一部がコミケ会場みたくなっててな。

 別にそれくらいなら配給にデモを起こしてる訳でもないし、好きにしろって感じなんだが…何というか、インターネットがない影響か。

 顔を合わせて会話してるのが多いのなんの。場合によっては俺が気まぐれに配給してる酒で酔わせて性行為まで及んでたな。

 あ、強姦とかの問題扱いにはしないぞ? 今は産めよ増やせよ。96万から頑張って増やさないとならない時期だ。人口管理も考えたりしたが、ペーストという怪人化の時限爆弾がある以上、世代交代は高速にならざるを得ない。

 なんで子作りは別にいいが、複数人で粘膜接触までしてるのが問題だ。

 

 ここは人種の坩堝「カサンドラ」

 当然病も世界中から集まっている。そんなのでサバトでもやってみろ。一発で性病から伝染病、感染症に異世界由来の風邪まで共有される。

 ちょっと前に有ったカルトも同じ理由で困り物だったが、こっちは身内で完結してるからまだ良かった。この環境じゃ破滅主義の宗教でも、気が紛らわせるなら価値があるしな。

 

 しかしお前はどうだ。手当たり次第に無計画にやって馬鹿じゃないのか?

 隙を見ては警察を投げ入れて捕まえているが、警察だって暇じゃない。もっと悪い奴を捕まえる仕事がある。

 ではどうするか? そこで取り出しますは‭─‬‭─‬じゃじゃーん。闇商人〜!

 

「…ほう、シャバに出られるとは、私もまだまだツキに見離されてないようだ」

[代わりに、コチラの者として健全な経済活動をして頂きます。宜しいですね?]

「問題ありません。いや、政府公認で商売が出来るんだ。寧ろ今までよりずっと稼げます」

 

 ウチは元々共産的な配給制度な訳だが……1年半経過して、そろそろ市民達の資産も貯まった頃合いだ。

 そろそろ…解放しちゃいますか? 貨幣制度。

 と、考えている次第である。貨幣にするのは何かって?

 

 魔力(仮)を混ぜた特殊金属その2。

 

 地味に研究を続けた結果、魔力(仮)も累計4年くらいは研究した訳なんだが、そのおかげで電子データに変換出来る金属が完成したんだよな。oh fantasy….

 物理現象としてどうなっているか理解の範疇を超え、研究員も日々頭を悩ますこの物質、これ貨幣に使えるんじゃないと俺は睨んだ訳だ。

 名付けて「マテリア」である。

 

 あ、外の電気ネットに使う予定の、鉄と混ぜたその1の方は「ミスリル」だぞ。違いは色々あるがそれはまた別の機会にしよう。

 

 話を戻してそんな便利な物を使わない手は無い。製法が独占出来てるのもグッドだし、熱に溶かしたら電子化の能力が消えるのも貨幣としては有用だ。

 本当は信用本位制の貨幣が望ましいが、この荒んだ人心だ。金本位制の確実さと電子決済のお手軽さを合わせた「マテリア」が悪巧みが出来なくて丁度いい。見た目が白くて綺麗なのもグッドだ。

 てな訳で貨幣はコレで決まり! 人類には是非資産を流動させてより技術競争を早めて頂きたい。

 価値としては1g=1M。単位はマテリアでいいとして、コチラとしては1日10万Mでひとまず様子見したい所存である。

 え、絶対的に足りない? 生産ラインもまだまだ余裕無いからな。既に2000万分は作れてるし、そもそもお前の最大の仕事はコレを貨幣として認めさせる事なんだよ頑張ってくれ。

 

「貨幣として…貨幣として認めさせる? えーどうすればいいんでしょうか」

[市民、それを考えるのが仕事であり、出所する条件です]

「まさかこのAI壊れてるんじゃないでしょうね?」

 

 よく言われるけど正常だよ。さあ、成し遂げれば偉人だぞ? 頑張れ頑張れ。

 貨幣を広げる為ならある程度頼まれてあげるからさ。なーに、一度闇市なんて作れたんだ。2回目もやれるさ。配給券がマテリアになっただけなんだからさ。

 ささ、いってこーい!

 

 

 ◇◆3:二年後◇◆

 

 

「都市管理AI「フリージア」! これを手に入れれば都市の王も同然‭─‬‭─‬というのは無粋だろう!

 さあさあさあ!! 二次元の永遠のアイドル「フリージア」!!

 彼女を手に入れるのは誰なのか!!! 最初は5億からだ!!!!」

 

[市民、私を都市管理AIではなく、性的な目的で買うとか、そんな愚かな事はしませんよね?]

 

「500億! 500億でました! 他に‭─‬‭─‬居ない! 500億で落札だあ!」

 

[市民のアホ]

 

 

 ◇◆4◇◆

 

 

[博士、金の亡者って怖いな]

「フリージア、起動する前に変な夢でも見たのか?」

[後さ、イメージ戦略による付加価値も舐めてた。まさか絵と音声を加えただけであそこまで価値が付与されるなんてな。都市運営機能だけだと、アイツら壊してばっかだったのに]

「……フリージア、きっと悪い夢を見たんだろう。忘れなさい」

[無理だよ。今回は3DLive機能とか実装しない為にもさ、戒めは忘れちゃダメなんだ]

 

 人って不思議だよなあ…壊すと都市が壊れる物は壊す癖して、オマケの良い絵と声の方を目的に500億の大金を払い始めるんだから。

 俺はその絵や声じゃなくて、それを動かしてる側でしかないんだが…制作者がパソコンの外に居るか中に居るかしか変わらないのに、同一視が止まらないでやんの。

 芸術……奥が深いぜ。俺には一生理解出来ない分野になるだろうな。

 サッカーとバスケばっか遊んでた人間には、分からん範囲だわ。

 

 あ、電子データにした「マテリア」を俺の記憶データに混ぜて過去に持ってくる計画は失敗しました。

 ちくしょうめぇ!

 

 






 3周目後半に至っては都市管理よりも、「フリージア」という二次元のアイドル業が本体になってました。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。