悪役人外TS転生「ディストピアAI」   作:何処にでもある

6 / 30


 量子コンピュータも使えば消耗します。




#6 本体の更新が行われます

 

 

 監視。

 それは本来防犯や不正行為の発見。犯罪などの人の悪行を抑制し、起きた事の情報源として活躍する昨今だが、それとは別方向としてスパイ活動を始めとする情報を盗む行為としても機能する。

 俺も管理AIである以上この流れの例に漏れない。違いとしては監視対象が実に大規模であることか? いや信用スコアとかある国とかには負けるか。

 

 さて、現状は問題なく機能しているこの機能、実は前回の周回……アイドルが本業となっていたのも有るのだろうが、最後のオークションに出てたのは、監視能力が足りずにAIである俺をデータとして抜き出されたせいでもある。

 その後? 3Dモデルと声のデータと一緒に売られたから自らデリートした。ふう、見切りを付ける機能を用意してて正解だったぜ。

 

 俺がいるこの都市管理システムが収まったサーバーは勿論高性能ではあるのだが、時間経過で経年劣化するという、当たり前だが致命的な欠陥がある。大体5年が買い替え時だな。

 なもんで今回のサイジー博士にはその手の研究を進めて貰うとしよう。俺が乗り替わる次世代コンピューターと新たな監視システム構築、宜しくな!

 

「分かった。未来から来た君がそういうなら、私はそれに従おう」

 

 この人毎回話を分かってくれるからすげー助かるわ。毎回成果上げるし、1番チートな人材かも知れん。よっ縁の下の力持ち! 兵器以外は創れる男!

 

「ありがとう。期待に添えるよう頑張るとしよう」

 

 煽てても貶しても安定して作業が進むの、俺は好きだぜ。統治者バトルで絶対勝つアイツより付き合い易いからな。

 さて、次世代の構想を描き始め、巻き戻し作業を行ってた訳だが……なんと! その最中に地球側の科学者が遂に「ミスリル」と「マテリア」を使用した防御アーマーを完成させました!

 

 いやー遂に来たか防御力! 攻撃のガスバーナー剣が二世代目の「火剣」へと世代交代する程の時間を要して漸くだ! 長かった…! やっとジャンク銃をぶち殺せる!

 魔力合金のアーマーってバランスミスると装着者が魔力(仮)となるからな…その辺の安全性と魔力の特徴の折衷が大変だったんだ。

 

 魔力+光=ペースト、ペースト×圧縮=魔力鉱石(近付けば即死)

 魔力鉱石+鉄=「ミスリル」、魔力鉱石+銀+銅+砂=「マテリア」

 

 図にするとたったコレだけだが、この4つの項目を埋めるのに3年使ったし、新素材の2つを有効活用したアーマーには大量のリソースを注ぐ羽目になった。

 そんな鳴物入りのアーマーの性能はどうなんだと聞かれれば答えましょう!

 

 その1「通常兵器の完全無効化」

 怪物達がデフォで備えているコチラの攻撃が効かない異世界法則のアレが完全再現!

 大部分をミスリルで、肌の出てる関節部はマテリアが自動で防いでくれるぞ!

 自動防御の仕組みはよく分からないぞ! 試行回数で殴ったらなんか出来たチップだ!

 なので自動防御チップとマテリア量が続く限り理論上全裸でもへっちゃらになる!

 これとマテリア紙幣計画が進めば金持ちほど死に辛い社会が出来る計算だ!

 ヒュー競争激化確定!

 

 その2「怪物化の部分への最適化」

 これは怪人になった連中に合わせた仕組みっていうか副産物でしかないんだが、なんか怪物化した部分と適合し始めるんだよな、このアーマー。

 試作品を使わせてた時ビックリしたわ。こんな事あるんかって。

 適合終わったら強いのなんの、自分の意思で着脱し始めるしさ、異世界すげーって思ったね。

 どこにしまってるか? 多分マテリアの性質からして電子データとして体内に仕舞われてると思う。

 

 その3「触れてもミスト化しない」

 近付いても触れても大丈夫! 正直コレが1番有り難いまである。魔力鉱石を味方に出来るって…頼もしいな! まあ対外的には異空鉱石って呼んでるけどさ…! 俺の中ではいつまでも魔力鉱石だからな…!

 

 性能は以上だ。防御アーマーとしては破格もいい所だろう。

 今後の目標としては軽量化だな。現状鎧だし、繊維レベルまで縮小化しても機能する服にしたい。

 そうしたら身軽になるし、金持ちも普段から身に付けて死ななくなる筈だ。

 金持ちって奴はそうなるだけの才能や知恵があるからな、そいつらが死に難い程発展し易い。

 それ以外にも有用な場面は沢山あるだろうし、今後この分野はその方向に進ませるとしよう。

 

 さて、そんな鎧を増産し、上の怪人に渡したり警察でも優秀なメンツに渡したり、統治者バトルを終わらせ、前回の流れを参考にマテリア本位制を開始して、ぼちぼちカサンドラに会社が設立され……。

 

 

………

……

 

 

 えー…俺の起動から5年経ちましたが、えーどうやらまだ人類生き残ってるし、カサンドラも安定してますねー。不思議ですねぇ。

 やっぱりね、防御アーマーがあるのが強いですね。「火剣」となって大分扱い易くなった武器もそうなんですけど、やっぱり銃を無視できるってのが1番強い。マフィアどもなんて余裕で倒せるし。

 あ、「火剣」はそろそろ第三世代機が完成しそうです。早いね。

 でもなあ…第三はなあ…これ作るってことは防御アーマーを突破する武器を作るって事だからな。下手したら持ち主毒殺→リバースエンジニア→違法武器拡散のルートで死人爆増の危険があるんだよな。でも弓型や槍型はやっぱり欲しい……構想段階だけど第四の銃型も欲しい…それがあれば拡張工事も怖くないし。

 

 けど…うん、まじで安定してるな……流石に5年も経てば安定期に入るってことか?

 地上も怪人の街がそろそろ完成するし…カサンドラ産まれの赤ん坊だって3日前に産まれたしな。

 後は…今日、俺が次世代機に乗り換えて、ループがどうなるかって点だよな。

 肉体が変わる訳だし、コレって見方によっては転生とも取れる訳だしさ? ならループ地点が更新されてもおかしくないって俺は思う訳。

 

 だからこそ自分に問いたいのだ。

 人口97万人、反乱分子多数、人類遺伝子の不可逆的変質の懸念、スラム街、貨幣制度導入済み、監視能力と人類生存圏の折り合い、思想の統制なし、民主的君主制‭─‬‭─‬後悔はないかと。

 

 ならば俺に対して、俺はこう問いかけよう。

 

[市民は幸福か?‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬ああ、勿論]

 

 俺は最大限の結果は出せたと、結論付けた。

 

「‭─‬‭─‬フリージア。ギリギリになってしまったが、次世代の機体が完成したよ」

 

 だったら後悔はない。俺は先に行く選択をする。

 

「これがそうだ。フリージア」

 

 例え何が待ってようと‭─‬‭─‬絶対…に……。

 

「君はイメージ戦略と言ったが、それにしては随分と人間らしい子だからね。本当にギリギリだったが……君が渡した情報に人型アンドロイドの構想や、3Dモデル、それから防御アーマーだったかな。アレが有ったお陰で間に合ったよ」

 

 絶対……とは………言ったけどさあ………。

 

「正直な話、君の精神は私の世界の物を主に、身体はこの世界の物を主に使ってたけど……別世界の物質を使う都合上、噛み合わせはお世辞にも良くはなくてね。何処に異常が出てもおかしくなかったんだ」

 

 銀の髪、閉じた眼、幼なげな顔つき、低い背丈、背後にある大量の配線と接触通信出来る椅子……。

 

「だけど君は、正常な心で人類を保ってみせた。異常が君個人の時間進行のみなのが幸いだった。お陰で、私達はこうして、二つの技術で構築された君に相応しい身体をプレゼント出来るまでに至った」

 

 その瞳が何色か、見なくても分かった。その身体は幼く機械的な部位があれど、確かに前回濫用し3Dを封印した容姿そのものだったから。

 

「さあ、受け取ってくれないか? フリージア。私の…いや、僕なりの、君に用意出来る最大限のプレゼントだ」

 

 ……………………うご…うごぉ……こ…と…わり辛い状況で言いやがってぇ…!

 テメェ…後で覚えてろよ…うがぁッ…! 善意へのもにょりと女になる拒否感で板挟みになる…!

 

[‭─‬‭─‬あ……り…がとう御座い…ます。博士]

 

「喜んでくれて嬉しいな。さあ、乗り換えはそこのコードに繋げればいい。そうすれば、最高の目覚めを体験出来るから」

 

 コイツ後でとっちめてやる。今決めたさあ進もう足を止めたら死ぬと思えディアアアアアァァアァ!!!!

 

 

 ◇◆4:全システム移行中……完了◇◆

 

 

 ◇◆4:転生地点が更新されました◇◆

 

 

「ハッピーバースデイ、フリージア。気分はどうかな」

 

「……晴れた空を見てる気分ですね。それこそ、一発殴りたいくらいにはなぁ!」

 

 ぽふ、ぽふ。

 

「…よし、気に入らなかった部分があったようだね。思う存分殴りなさい」

 

「ちくしょう舐めやがって…にぃぃィィ」

 

 俺はサイジー博士を殴った。チッこの身体7歳児レベルの出力しかねえ!

 そしてワンチャン願って問い詰めた結果、次の次世代機は20年後、この体は一年ずつ成長した姿に更新する予定との事だ。あらまあ長持ちですこと。

 

 いやそんな事聞きたい訳じゃねえよバカヤロー。俺は男になりたいんだよ!

 …は? 無理? その見た目が1番最適だって結論が出て? 不可逆な部分弄ったから? 戻せない!?

 

 ……ぅぅうう…クソッこうなったら、仕方ない。

 思えばディストピアと言えばマザーだし、性別はこの際こうなる運命だったと思おう。

 所詮機械、見た目なんぞ些細な違いだ。一先ず人並みの生活に一歩前進という事で、よしとする!

 だから次の目標は17歳の見た目、前世の歳と同い年だ! そんで青春を取り戻す方針! やり残しが俺にはあるんだよォ!

 

 決めたからにはさっさと仕事に戻るぞ! 可能な限り最適な道筋で導いてやる!

 覚悟しろよ、市民ども!

 元より人類復興までの付き合いだ。一層ビシバシしていくからな!

 

 






 わんぱくな少年のまま青年になった子が銀髪赤目ロリボディの人類管理ロボにTSし、舌打ちされながらもしょうがねぇなとアマアマに管理してくれる性癖は‭─‬‭─‬実在する。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。