ディストピア市民に恋愛って皆無じゃない?
「やめろ、やめてくれフリージア!」
[saaて、もuちょtttyとka?──hunnnnnn¥&8@/404]
◇◆5◇◆
「ハッピー」
「よし、ループ起点の更新確認っと。問題点→本体が変わって自滅プログラムがうまく動かないし、今のうちに修正推奨。この身体、無駄に頑丈みたいだ」
「…フリージア、まさか今、確認の為に自壊したのか?」
「ただの耐久テストですよ。博士」
「……偶についていけない時があるな、君は」
恋愛。
人類が次世代に託すには必須の過程であり、人によっては最も楽しいまである性行為の一歩手前のもの。俺はそんな物経験せずに死んだが、親はこの手の話の上で俺を作ったんだからかなり身近な話なのは間違いない。
しかしだ。昔、それこそ自由恋愛なんてものが鼻で笑われる時代では、そんな物よりも血の掛け合わせと家の都合で相手が決まっていたという。
ではカサンドラではそれらは如何なっているだろうか? 答えは単純。ただの娯楽としてか、もしくは諦めてるかの2択である。仮に産まれても捨てられるばかりで、このままでは次世代が致命的という計算が出た訳だ。
そういう事なら逆行しよう。自由恋愛とか言ってる余裕が無いのなら、無理やり掛け合わせる時代まで。
俺としても自由恋愛で済むならそれでも放置していた問題だが、出生率が0.0001を下回ってるとなれば火急の要件として処理しなければならない。
これまでは安定させるまでの期間として意図的に無視して来たものの、もう5年も経つのだ。そろそろ子作りも促進しなければ人が滅ぶ。
正直童貞がこんな事やるとか、下らないと切って捨てたい気持ちでいっぱいだ。
……しかしやらないと人類が滅ぶんだから仕方ない。真面目に考えるとしよう。
現実的な話、実の所無理やり婚約させるにはまだ統治者の権力が足りてないしな。
政務を行ってる側としては権力の象徴としてもっと頑張って欲しい所存であります!
「
「えっあっと、ととと突然どうしたの!?」
「子作りの義務化をしたいのです」
「ブッ!?」
という訳でダメ元で統治者に相談したが役立たずだった。
童貞オタク君さあ…俺がこの見た目になってから吃りまくりじゃん。
警察として優秀だった君はどこに行ったんだ。創作みたいな存在を相手にするとそうなっちゃうの致命的だぞ! そんなんで人型の怪物共とか来たらどうするんだ!
ともあれ、そうなると使うべきはサイビー博士と、半分くらい学校の先生になってる産科の先生方である。
まず前提として、俺から見た問題点として「カサンドラ」で子供を育てる環境が整ってないのがダメだと睨んでてな。先ずはそこから切り込もうと考えた訳だ。
なので俺は子持ちに対する特別配給を実施し、サイビー博士には良い感じの子守りロボと人工子宮を、先生達には可能な範囲でのサポートをお願いする事にした。よし、一旦これで様子見で良いだろ。
後は…人類を存続させるAI「フリージア」としての仕事だな。
これから魔力(仮)に適合していくだろう人類の原型を保管する為、精子、卵子バンクの提供をできる様にして、それを掛け合わせて正常な子供を生産出来る様にしよう。
おっと、定期的に動作確認して機能を確認するのも忘れちゃいけないな!
……まあ、やるかちょっと迷ったんだが、見た目そのままに完全に別種族になると、霊長類の席を譲る形になるしさ。それはダメだよ。
うん…デカ目の懸念があるんだよ。「カサンドラ」の頭上の、異世界産の怪物の中にはキノコモドキとか居るんだが、コイツは外面はそのままに中身を自分…菌糸に置き換えるんだ。
擬態のレベルも健康診断すり抜ける再現度でな。その癖思考の根本が致命的に変わりやがる。
しかも寄生先の生殖能力はそのままに、子供を半分キノコモドキの別種族に変えちまうんだ。
なんで怪人化でキノコモドキの特徴が出たやつは要注意、可能なら殺処分。いやー、情報集めといて良かったぜ全く。
はい、これで寄生先が人間で、この存在に気付かずに広まり切った後にループ更新したらどうなる?
そうだね、人類絶滅だね! ヒューやっべー奴!
という訳でこの保険は必須です。俺がそう判断した。
機能確認の試運転で産まれた子供は様々な悩みを抱えて生きていくかも知れないが、そんな事より大事なことがあるので許容しよう。社会的立場とかはこっちで用意するから後は自分なりの幸せを見つけてくれ。
ほら、人間ってそういうの得意だろ? お前らが産まれる頃にはネット環境もあるだろうし、娯楽も充実させるさ、絶対な。約束だぜ!
はい、この事情はこれで解決! また一つ、つまらぬ懸念を切ってしまったな…。
じゃあそろそろ防壁の「ミスリル製」への張り替えをするかどうか考えようか。
「カサンドラ」は現代技術で作られた物であるのは周知の事実だが…現代兵器が通用しない中、どうやって耐え忍んで「カサンドラ」が作られたか、考えたことある市民は全然居ないと思う。居たら建築業の才能あるから頑張れ。
それがこの「防壁」──正確には「ウランを始めとした毒性物質の混合物」。
要するに生き物相手なら毒で近付けさせなければいいだろって考えの産物だ。
勿論人間にもめっちゃ悪影響。ずっと近くに居たら癌が馬鹿みたいに発生するやべー奴だ。放射能バリバリ!
大きさは半径10㎝の円盤。コンクリートの壁に一定間隔で配置すれば、それだけでミミズモドキを始めに地下の怪物はまず近付かない。
生産自体も農作物や鉱物の採取が安定した今では容易である。
初期? なんかこれだけ大量に倉庫にあったからそれ使った。
多分元々これ関係の研究をする施設をシェルターに改築したのが「カサンドラ」なんだと思う。
お陰で拡張が捗って助かりました! けどまだ余ってるのはどういう事ですか? 作り過ぎでは?
……まあ、マジな話恐らく海外に輸出する予定だったのだろう。
地下楽園計画は複数国の共同開発だったからな。日本の担当がこれだったって訳だ。
結局自分のとこ以外潰れたし、そこはもう考えても仕方ない。はい、切り替えてこう!
そんな仕組みの防壁ちゃん。機能的には充分なんだが…ちょっと壁際のスペースが使えないって問題がある。もうね、放射能が内側まで浸透しちゃってるんだよね。お陰で壁際は今日もスラム街が広がっております。その中でもマジの端の方に行くと怪人化した連中を収穫できるぞ! 今日も豊作だ!
ま、困るよね。平均寿命が洒落にならん。そこに住む人の命をなんだと思ってるんだ。
だから張り替えたい訳なんだが、これが難題なんだ。「ミスリル」のコストがエグいって点で。
「ミスリル」って何もかもに強いからここら辺で最強の怪物、空飛ぶ透明な奴の攻撃もへっちゃらなんだよね。だからこれで壁にすれば代替は可能なんだ。
ただなぁ…コストがなぁ…エグい。需要も高いし今でも生産が追いついてない。
「火剣」と「防御アーマー」の主材料だからな。鉄は偉大だって事。
なのでこれに関しては周回も視野に入れて、新たなやり方を目指す事になるだろう。
コストと安全性、両方がある程度担保されたものが望ましい。
それでも今出来るのは……鉄筋コンクリートの代わりに使って、建築物の高層化、広大な空間の確保、各区画を跨ぐ鉄道の軌条に使う程度。
多少時間は掛かるが、カサンドラの中心部「第一区画」をより強固にするのが出来る最大のラインだろう。ここ、俺の本体を始めに重要なのがある割に、こじんまりしてるしな。
でもそうだなあ…区画なあ…水路や鉱脈避けたりして元の形からぐちゃぐちゃなんだよな。
それらを区切りにして生まれた9つの区画。区切りは都道府県並みに波打っております。
将来的な都市計画を考えると、ちゃんと整備すべきなのは分かってるんだけど……自然の形を利用したお陰で地震や地層ズレに強くなってるからな。直しやすいって意味で。
接合部を適当にそれっぽく合わせれば良いってのはやっぱり強いんだよ。
でもそういうのは耐えるって方向にしたいし、それには正確な測定とか諸々々……はーっやんなるね。
ま、これも長期的に少しずつ形整えるか。
最初期の大拡張を一次とした第二次カサンドラ改築計画。
今のうちに始動! 今回は民間の企業も参戦だ!
◇◆5:半年後◇◆
『──キォォォォオオオオオ!!!!!!』
[市民の皆様は速やかに第一区画へと避難してください! 繰り返します、市民の皆様は速やかに第一区画へと──ブツ!]
◇◆6◇◆
「ハッピーバースデイ、フリージ」
「なんだよ! あのクソデケェ怪物…ってか怪獣はヨォ!」
「…将来的にすごく大きい獣が来るってことか?」
「うん、それも半年後な」
あれはそう…ミミズモドキの主、ミミズダイジャオオヌシと言った所か。
いやー…本気で参ったな。星の戦士の助けが1人か2人来て欲しいくらいだ。
子供だのなんだの準備してる場合じゃない──いややるけどな? 掛けるリソースは減らす。
観測した限りだと全長170km以上、幅は通常個体の3倍。しかも断ち切れば分裂すると来た。
俺は好きだぜ? こういうドシンプルな強いやつ。けど敵に出てきて欲しくは無かったな。
こりゃあ…マジでやる必要あるかもな。
総力戦。
なお、本物の管理AIは怪獣も初見クリアしましたが、代わりにカルト組織が呼び出した異世界の神?と契約を結んでます。